あ行
アー
ゴキュート星系の無人惑星。945年にアテーフ・ウェフ=ラソル・テーレにより命名された。
アーヴ abh
- 皇族、貴族、士族の総称。全部で約2500万人。そのうち大部分は士族で、貴族は約20万人。
子弟に対する遺伝子改造の義務を負う。
【名前】
アーヴの名前は以下の要素・順番で構成される。
・氏姓
・姓称号
・初代当主の名(生格)。姓称号と合わせて家姓と呼ぶ。
・称号(貴族、皇族のみ。複数有する場合はそのうちの一つ)
・個人名 - ホモ・サピエンスから遺伝子改造によって生み出された変異人類。1.と区別するため「遺伝的な」「生まれながらの」アーヴ、とも呼ばれる。
語源は「天」であり、宇宙あるいは海の種族を意味する。
地上人に対し自らについて語ることが少ないため、誤解されていることも多い。
【身体】
青系統の髪。美形(アーヴにしては平凡、と言えば地上人でも1000人集めれば対抗できるくらい、という意味)で性別の区別がつきにくいことも多い。空識覚という独特な感覚と、それを司る空識覚器官という器官を有する。
15歳くらいまでは人間と同じように加齢(成長)、それから25年ほどをかけて10歳分ほど外見が年をとる(成熟)。その後は死ぬまで老けないが、脳細胞は再生しないため不死ではない。寿命は200〜250年。年をとるにしたがって眠る時間が長くなり、知性が破壊される前に脳の呼吸領野が機能停止することで死亡する。
骨格と循環器系の特性によりかなりの高加速(20標準重力以上)にも耐えられる。その他の身体能力も高い。例外なく絶対音感を持つ。総じて寝起きがいい。
27000箇所の塩基配列が指定されており、それにより先天性疾患の防止と、種としての同一性の保持を行っている。そのため、誕生から2000年近く経つ今でも基本的な遺伝子組成は変わっていない。
【出生】
自然受胎出産は危険が伴う(2%程度の確率で重大な先天性疾患が発生する)ため、通常は人工子宮で受胎・育成される。したがって一卵性双生児は極めて珍しい。また、地上世界出身者との間で子供が生まれる可能性はほとんどなく、生まれたとしても先天的な欠陥が発生する。
血縁ではなく家風を重視するため、遺伝子提供者の有無、性別などにはこだわらないが(ただし動物を用いるのは禁止)、普通は自分と愛する者の遺伝子を掛け合わせて子供の遺伝子を作る。
親だけが子供に遺伝要素を教えられる。遺伝記録は公開されているが、未成年者の閲覧には親の許可を要し、また遺伝子提供者に直接確認することは失礼だとされている。
【性格】
「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と一般的に評されているとおり、自分を信じすぎる傾向がある。アーヴによって多様な諸世界が束ねられることなくして、人類全体の幸福な発展はないと確信している。
自分の誇りを大事にする。
人質を取られたとしても相手の要求を飲むことは決してない。
自身が空識覚器官と航法野を備え、通常宇宙を駆けるために生み出された種族であることを自負し、舟艇を真空に馳せることを好む。
誰が建造したものであれ空間にあるものは自分たちのものだという感覚があるが、地上世界の資源は地上の民のものだという認識があり、むやみに奪うことを嫌う。また商業種族であることから、個人の財産についても重視している。
真摯に戦うことが、殺す相手への礼儀と考えている。星界軍の艦艇に仲間と共に葬られることは最高の栄誉であると考えている者が多い。戦時には乗員を艦の部品とみなす傾向がある。
地上の民に関心を持つことは、概ね奇妙と見なされている。
【家族】
恋は激しく短いものが多く、結婚という制度はない。したがって、親は一人しかおらず、親子の性別により父の娘( や母の息子( などと呼ばれる。
星間交易を天職と心得ているため、良好な関係の親子が数十年も顔を合わさないのもよくあることと考えている。
20歳になるか翔士に叙任されれば成人と認められる(皇族を除く)。翔士、交易者( 、親としての生き方を経験することで一人前だといわれる。
他家の内部事情には関わらないのが常識。
【文化】
自然な1日がない空間が生活の場であるため、時間帯によって挨拶を使い分ける習慣がない。
宗教は持たず、霊の存在も解決済みの問題として否定しているが、何か不可知なものへの恐怖は心の奥底に残っている。また冗談の種にするくらいには心霊という概念に親しんでいる。宗教的なものを感じさせる行事も多い。死者へは過剰なほどの敬意を表する。
弔いの晩餐など、独自の習慣も多い。平時に武器を携行する習慣はない。
【教育】
幼い頃の初等教育はもっぱら親が行い、家風の継承に勤めると共に、読み書き等を教える。その期間、軍士であれば休暇を取り、領地のある親であれば代官を雇って教育に専念するのが普通。初級学校はないが、私塾は存在する。
【衣服】
性差がない。つなぎを着るのが普通で、上に長衣や短衣を着ることもある。基本的に首の上と手首の先以外は露出しない。
【住居】
たいてい人工環境の中にあり、屋外も屋内も区別がない。雨も好きな時間、好きな場所に降らせることが出来る。星間船や軌道施設を渡り歩く生涯を送るため、あまり住処には拘泥しないが、生まれ育った邸宅には格別の思いを抱く。
【食生活】
薄味を好む。料理の見た目にも最大限の注意を払うのが特徴。
素材は肉(鶏肉、子羊肉、山羊肉など)、野菜(南瓜、玉蜀黍( など)、魚介類(貝、海亀、鱒、海老など)、小麦、果物(桃、柑橘類、梨など)、香辛料・調味料(醤油など)など。
料理法は羹、碗物、吸い物、澄し汁( 、麭包み、香辛料煮込み、香味焼き、炙り肉( 、果実あんかけ、生(野菜など)など。
飲み物は珈琲、桃果汁、柑橘果汁、葡萄果汁、紅茶、緑茶、柑橘茶、林檎酒、麦酒、発泡米酒、混合酒、蜜酒、林檎火酒、白酒、白葡萄酒など。血液中の酒成分を片っ端から分解していくので、酒を飲んでもほろ酔いにとどまり(それなりに性格も変化する)、泥酔することはない。
【歴史】- 黎明時代
軌道都市において、都市予算の半分を費やされ、星間船の生体部品となるべき人工生命体(原アーヴ)として生まれる。人の遺伝子改造によって作り出され、人と区別するために青い髪を与えられた。その目的のため、独自の思考は持たされているものの、宿命遺伝子により自由や独立といった概念は有さないように造られていた。
最初に作られた30体のうち1体は訓練過程で失われたが、残りの29体は植民地開発のため、探査船で可住化の可能性が高い外宇宙の星系に派遣された(彼ら29体を黎明の乗り手と呼ぶ)。
探査船は出発後しばらくしてユアノンを発見、捕獲に成功し、母船をユアノン推進に改造。無限の軌道を得た彼らは母都市との訣別を決意し、深宇宙で独立を宣言した。 - 独立時代
独立宣言後、船を近くの恒星系につけ、母船であった探査船をより大きな都市船アブリアルに改造した。居住区の拡張に伴い、急激な人口爆発が発生。一人の親から子供が生まれるという特異な家族形態から、人口が増えても各成員は極めて強固な先祖意識を捨てなかった。このような意識を共有する、同じ黎明の乗り手を先祖にいただくグループは氏族と呼ばれるようになった。
職業訓練は徒弟制度によって行われた。多くの乗り手は自分の子供を徒弟にすることを望んだため、都市船内の部門は氏族と同義になった。また、自分の子供たちのうちもっとも優秀な者を選んで後任とするのが一般的だったため、各部門の長は実質的に世襲となり、黎明の乗り手の直系と認識されるようになった。各部門は基本的に平等だったが、船の航法をつかさどる航法氏族だけは別格で、その長は船王と呼ばれていた。彼らは帝国創建後、皇族を形成するようになる。
やがて巨大な都市船を運用するようになったアーヴだが、母都市の派遣した懲罰隊を恐れて自衛するようになり、ついには自分たちの故郷である母都市を殲滅してしまう。しかし、空間に散逸する母都市の残骸を目にした彼らは、自分たちが故郷を愛していたことに気付き、母都市の文化の守護者として生きることを種族としての目的にする。また、母都市を滅ぼしたという罪を忘れないために、青い髪を遺伝子に刻み付けるようになる。同時に、自らをアーヴと名乗るようになり、以降宇宙をさすらう武装商人となった。 - 大放浪時代
半径一光世紀に広がった人類社会をつなぐか細い、唯一の糸として、主に人類社会の情報を扱う交易を営んでいた。同時に、都市船内部でもアーヴ同士、氏族単位の財産を交換することによる交易が行われていた。
やがて交易により人類社会の科学の精髄を蒐集したアーヴは平面宇宙航行理論を確立。それによって可能になりうる恒星間戦争を防ぐためにその理論を武力で独占することを決定、帝国を創建した。 - 帝国時代
「アーヴによる人類帝国」の項を参照。
- 黎明時代
アーヴ貴族
貴族のこと。
アーヴ言語文化学院
デルクトゥーにあるジントが通っていた学校。国民志願者を教育する施設で、教師はそのほとんどがデルクトゥー人で、元国民が多い。創立者も現学院長(952年当時)も元国民のヴォーラーシュ伯国の領民。
帝国とは無関係で、ヴォーラーシュ領民政府教育省管轄の私立学校。主にアーヴ語を教え込まれ、文化については礼儀作法を少しやる程度。
生徒は大体デルクトゥー人。国民として業績をあげて、貴族といわないまでも士族に叙され、子孫をアーヴにしようと考えているのが大部分。
アーヴ語
→アーヴ語
挑戦信号
宇宙船間で交わされる宣戦布告。
了解信号
命令了解を伝える泡間通信。
紋章
家柄(領地がある場合は共通)、艦隊、鎮守府などを象徴する意匠。
単純なものが洗練されているとみなされる。
【歴史】
アーヴの紋章使用は空間放浪時代に遡る。だが、それは家の紋章ではなく、氏族の、言いかえれば各部門のシンボルというものだった。
家ごとの紋章として最も古いものは八頸竜である。ただし、これも最初は帝室の紋章ではなく、国章として作られたものだった。帝国暦元年、初代皇帝ドゥネーの即位式において、新生帝国の象徴として厳かに披露されたのである。
帝国が地上世界を支配下に置き、貴族を封じるようになると、各邦国もそれぞれに紋章を持った。やがて邦国の紋章は諸侯の紋章として扱われるようになる。
諸侯たちに倣い、士族までが家紋を定めるようになると、八頸竜も国章であると同時に帝室の紋章という地位に落ち着き、王家ごとの紋章旗も定められた。
時代が下ると共に紋章の公的な意味が強まったため、国家が管理する必要性が生じ、紋章院が設立された。それ以降、アーヴは全て家固有の紋章を持つことが義務付けられるようになった。
朝
作業開始時刻前のこと。
アイザン
ルーヌ・ビーガ市警察管理官(952年当時)。警察の中立性を重視せず、外部の意見に引きずられて警察機構を台無しにし、議会の顔色をうかがって予算を削りつづけているので、選挙民には受けているが現職の警察官からは人気がない。12年間勤めた後、955年に選挙で破れた。嫌いなものは粗野な大声とエントリュア・レイ。
邦国
帝国が支配する星系のうち、有人惑星を含むもの。
青い鬘をかぶっている
ハニア連邦で用いられることわざ。惑星表面より宇宙船や軌道施設などで暮らすことを好む者を罵っていう言葉。転じて、宇宙で生活することの多い連邦職員についても用いられる。また、精神に異常を来たしていることのたとえ。由来はアーヴの髪が青いことから。
アクリューシュ・ナータ
サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルースがハイド伯爵代理として借りた貨物船。
蜻蛉と稲妻
アッサウーマン
アディーブ星系の有人惑星。
アディーノ
ガーフェウの少年。ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの交易に協力したことで彼の船に乗せてもらうことになった。父親を探しており、とある星系で再会する。推定15、6歳(ユースと会った時)。
【性格】
気が利く。
【嗜好】
マヴィーノの音楽が好き。
アテーフ・ウェフ=ラソル・テーレ
アテーフ・ウェフ=ラソル・トルージュの息子。ハイド伯国の発見者。まだ1歳にもなっていない(945年当時)。
アトスリュア
- 初代フェブダーシュ男爵。地上人女性。アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフの母親。技術者としては並だったが、指導者の資質があり、最終的には技術元帥にまでのぼりつめた才女。
【経歴】
・時期不明 惑星ディ・ラプランスで誕生
・時期不明 星界軍に志願し、掌兵科従士に
・時期不明 結婚(修技館卒業前に離婚)
・時期不明 スルーフ誕生
・時期不明 造兵修技館入学
・時期不明 造兵修技館卒業。造兵列翼翔士に叙任
・帝国暦906年頃(男爵領暦1年) 技術元帥に昇進。艦政本部長官に就任。フェブダーシュ男爵に叙爵
・帝国暦921年より前 死亡 - →アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ
アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵公女
アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵
Atausryac ssynec atausr lymh faibdacr Clüarh
第三代フェブダーシュ男爵。アーヴ男性。アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフの息子で、アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイの兄。遺伝子提供者はアーヴ女性(コセール?)。猫を飼っていた。
自分の所領を守るという口実のもと、ジントを拘禁しラフィールを足止めしようとするが、その真意はラフィールを四ヵ国連合との取引に使うことにあった。そのことでラフィールと対立し、戦闘により死亡する。
死亡時の階級は予備役十翔長。
【容姿】
金属光沢の仄かな青色の髪。切れ長の目。冷笑的な口元。頭が肩幅に比べてやや大きすぎる(ラフィール評)。
【性格】
劣等感の塊で、父親が地上人であることに耐えられず拘禁、他のアーヴと接触しないよう所領に閉じこもり、自分を憧憬し崇拝する地上人の女性で家臣を固めている。他人に価値観を押し付けがちな人物。
アーヴであることに重圧を感じているらしい。
緊張すると食欲がなくなる。
【嗜好】
好きなものはセムリューシュ産の林檎酒、海亀の羹。ペットなら犬。子供の頃は梨の糖蜜煮。
嫌いなものは地上人の男。
【経歴】
・帝国暦906年より前 誕生
・時期不明 スルーフ及びロイとラクファカールへ移住
・時期不明 初代男爵死亡。フェブダーシュ男爵領へ移住
・帝国暦921年より前 スルーフ及びロイとラクファカールへ移住
・帝国暦932年頃 スルーフを監禁し、第三代フェブダーシュ男爵に叙爵
・帝国暦952年 死亡
アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵
Atosryac ssynéc atosr lymh faibdacr Lauïc
第四代フェブダーシュ男爵。アーヴ女性。アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフの娘でアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールの妹。遺伝子提供者はコセール。
【容姿】
後ろで束ねた青みがかった銀色の髪。豹のような黄玉色の瞳。光沢のある眉。朱色の唇。
【性格】
道楽者と自認し、饗宴、遊戯、美食を好む。
父親譲りの饒舌。むしゃくしゃしたときは革製の砂袋を殴るのが癖。
【嗜好】
林檎酒が好き。
【経歴】
・帝国暦906年頃 ラクファカールで誕生
・時期不明(上記の後すぐ) フェブダーシュ男爵領へ移住
・時期不明 スルーフ及びクロワールとラクファカールへ移住
・時期不明 初代男爵死亡。フェブダーシュ男爵領へ移住
・帝国暦921年より前 スルーフ及びクロワールとラクファカールへ移住
・帝国暦955年頃 第四代フェブダーシュ男爵に叙爵
・帝国暦955年 ヴォベイルネー鎮守府所属突撃分艦隊ラトゥーシュ第1058突撃戦隊第一突撃隊司令に着任。階級は百翔長
・帝国暦958年 千翔長に昇進。第一蹂躙戦隊司令官に着任
・帝国暦959年 准提督に緊急昇進
・時期不明 練習第三艦隊副司令長官に着任。階級は大提督
・帝国暦969年 霹靂艦隊副司令長官に着任
・同年 霹靂第一艦隊司令長官に着任
アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵
Atausryac ssynec atausr lymh raica faibdacr Srumh
第二代フェブダーシュ男爵。アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールとアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイの父親。地上人男性で推定70歳以上。フェブダーシュ男爵館の設計者でもある。
自分と同室に監禁されたジントの脱出に協力し、以後友人となった。
【容姿】
晒したような白髪。白い眉。がっちりした体躯で矍鑠
端末腕環のようなものを装着しているが、ただの時計。
【経歴】
・時期不明 地上人の両親の間に誕生
・時期不明 造船修技館入学
・時期不明 造船修技館卒業。造船列翼翔士に叙任
・帝国暦906年頃(男爵領暦1年) 母の叙爵によりフェブダーシュ男爵公子に
・時期不明 フェブダーシュ男爵領へ移住
・時期不明 クロワール及びロイを連れてラクファカールに移住
・時期不明 母親が死亡。第二代フェブダーシュ男爵に叙爵。クロワール及びロイと共にフェブダーシュ男爵領へ移住
・帝国暦921年より前 代官に所領を任せ、クロワール及びロイと共にラクファカールへ移住
・帝国暦932年頃 クロワールに監禁され、隠居したことにされる
・帝国暦952年 クロワールの死後、帝都城館へ移住
・帝国暦959年 帝都防衛団に召集
・同年 第2次ラクファカール防衛戦で戦死
アプティック
アプティック伯国の中心にある黄色い恒星。
アプティックIII
アプティック伯国の第三惑星。有人。星界軍が幻炎作戦の一環として空間を封鎖した後、休養施設や軌道船渠が展開され、星界軍の後方基地となっている。
【人口】
1億に少し欠ける程度。
【組織】
最高官僚は星系首相。
【産業】
工業惑星で食糧の自給は不可。
アプティックIV
アプティック伯国の第四惑星。無人。水素や水が豊富。
アプティック星系
アブリアル Ablïarsec
- 根源29氏族の一つ。主航法子の末裔。その名は巨大都市船アブリアルに基づく。語源は「天照
( 」
【都市船時代】
航法をつかさどる氏族。氏族長は船王として、アーヴを統べ、進路等の重要事項を決裁し、裁判を主催し、新しい仕事があれば担当する氏族を決めた。また、戦時には最高指揮官として采配を振るった。帝国創建以降は皇帝氏族となった。
【特徴】
宗家以外の者はアブリアルの姓を名乗ることが許さない。分家には、帝国暦初期の頃は男系にキー、女系にリューシュの姓が与えられていたこともあったが、いらぬ混乱の元としてそれぞれの家の初代が決めることになった。
この一族に属する貴族は多く、諸侯だけでも100家を越える。しかし、自分の領地にかまけるのは皇族の義務から解放されてから、というのが伝統。
短気で怒りっぽく、『逆鱗で魂をよろう』といわれる。反面怒りに任せてヒステリックに喚き散らしたり、暴力を振るうことは決してあってはならないと幼い頃からしつけられている。また皇帝になるかもしれないため、虚言することや、臣下に依怙贔屓する人物だという印象を与えないよう、誰かのために泣いたりすることは厳に戒められている。また不安のために泣くこともあり得ないとされている。もっともアーヴらしい一族と言われることもある。
スポール一族とは伝統的に仲が悪い。帝国創立期前後にスポール一族が近くにいたことと関係があるのか、身近に苦手な人物がいないと落ち着けないという奇妙な性質も有する。
軍士としてはきわめて優秀。生まれながらの戦士を自認し、戦いを楽しむためには命を賭けることも厭わない。戦時には率先して戦地に赴くのが伝統。また若者に過分な任務を与え、実地に教育するという伝統もある。敵に対しても敬意を払うのが常。
【宗家】
八王家。
【家紋】
八頸竜。家により紋章旗の地色が異なる。
【家徴】
アブリアルの耳と呼ばれる上部が尖った耳。 - アーヴが大放浪時代に母船として運用していた、ユアノン推進の巨大都市船。幾度かの改装を経て、今は帝宮として使用されている。最高時で100万、現在でも20万人以上が生活している、人類の作り出した最大の建造物の一つ。かつての推進力であったユアノンは、現在八門となっている。
元々は軌道都市から送り出された探査船で、ユアノン推進の都市船に改装された際にこの名で呼ばれるようになった。帝国創建後も都市船部分はそのままに残されており、帝国の卵と呼ばれている。またその操舵室は聖墓、人工子宮保管室は始祖の間と呼ばれている。
不死鳥作戦時には帝宮から分離されて帝都防衛団に編入され、竜卵要塞と名付けられた。第2次ラクファカール防衛戦で四ヵ国連合軍の攻撃により爆散した。 - アブリアル伯国の中心からラクファカールを照らす黄色矮星。帝国の乳房と呼ばれる人類宇宙最大の反物質燃料製造工場がその周囲を取り巻いている。当初は錨星四七と名付けられていた。
アブリアル・ドゥネー
アブリアルの船王(前19年よりあとに即位)。アーヴによる人類帝国初代皇帝。建国帝とも呼ばれる。アブリアル・ラムステュームの孫。
アブリアル・ドゥムイ
アブリアルの船王(前98年当時・マアト・カー・ラー接触当時)。アブリアル・ラムステュームの父。
【容姿】
銀の斑のある瞳。
【性格】
親しみやすい人柄。こうと決めたら滅多なことでは覆さない。酔狂(ロビート・ボイガの祖父評)。
アブリアル・ドゥロイ
都市船アブリアルの船王(前127年頃より前〜前120頃)。
アーヴが氏族ごとに分裂してしまうのを防ぐため、戦闘訓練組織を統合して連合学校を設立した。
前120年頃、公的記録の一部破棄と、歴史的記録に関する船王の検閲義務付けを決定。反対したカリュー氏と戦闘になってしまったことを反省し、譲位することを決定した。
アブリアル・ネイ=ドゥエール・上皇
アブリアル・ネイ=ドゥエール・ウェスコー王
949年当時のウェスコー王。
アブリアル・ネイ=ドゥエール・ウェスコー前王
952〜969年当時の上皇。かつて提督から百翔長への三階級降格処分を受けたことがあり、最終階級も提督を超えていない。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第一艦隊と共に臨時帝都に脱出した。
【容姿】
青錆色の髪。
【嗜好】
嫌いなものは占領地。しばしば優雅でない事態に陥るから。
【経歴】
・帝国暦952年より前 上皇に就任
・帝国暦969年より前 練習艦隊司令部附上皇
・帝国暦969年 練習艦隊司令部附上皇を離任
・同年 霹靂艦隊司令部附上皇
アブリアル・ネイ=ドゥスィール・イリーシュ王
959年当時のイリーシュ王家の当主。当時の帝位継承順位は第七位。ラクファカール陥落後、上皇会議が健在を把握している皇族のうち、アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュの次に高い帝位継承順位を有しており、彼の登極後の帝位継承順位は第二位となった。ドゥサーニュと同世代。
アブリアル・ネイ=ドゥブゼル・上皇
元バルグゼーデ王。952〜959年当時の上皇。959年当時の帝都防衛団司令長官
第2次ラクファカール防衛戦で、司令部のあった竜卵要塞が爆散し、戦死した。
【容姿】
長く流れ落ちる薄紫の巻毛。漆黒の虹彩。風格のある物腰。空識覚に頼って普段から瞼を開くことがないが、その理由は誰も知らず、視覚を嫌っているのだろう、あるいは自分の目の色が気に入らないのだろうと推測されている。
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵
アーヴによる人類帝国第27代皇帝。前クリューヴ王。ドゥビュースやラムリューヌの母で100歳近い。孫娘のラフィールのことを気に入っている。初恋は訓練生時代。
【容姿】
長い縹
【経歴】
・帝国暦905年頃 カミンテール戦役に帝国艦隊司令長官として出撃
・帝国暦936年〜940年の間 第27代皇帝に即位
・帝国暦959年 近衛艦隊司令長官に着任
・同年 クリューヴ門沖会戦で乗艦爆散、戦死
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ伯爵
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュの娘、ドゥビュースの妹で、ラフィールやドゥヒールの叔母。遺伝子提供者はラマージュの想人の一人(男性。ドゥビュースの遺伝子提供者とは異なる)。クリューヴ王宮で生まれ育った。黒猫を飼っている。
【容姿】
縹色の髪。一際大きなアブリアルの耳。
【嗜好】
子供の頃は外出そのものを嫌っていた。
【経歴】
・帝国暦952年 ゲムファーズ子爵領入植に伴い、伯爵に陞叙
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・上皇
元クリューヴ王。952〜959年当時の上皇。ラフィールの曾祖母でラマージュの母。
不死鳥作戦では帝都防衛団に所属し、クリューヴ王宮要塞司令長官
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ウェムダイス子爵
ドゥビュースの息子でラフィールの4歳下の弟。遺伝子提供者はおそらくレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
【容姿】
藍色髪。漆黒の瞳。美少女といっても通りそうな面差し。
【性格】
物思いに沈みやすく、嘘がつけない。帝位への意欲は抱いていない。
【嗜好】
好きなものは熱い桃果汁。
【経歴】
・帝国暦940年(0歳) 誕生
・帝国暦945年(5歳) 最初の公務(流砂艦隊出征式)に出席
・帝国暦956年(16歳) 修技館入学
・帝国暦959年(19歳) 修技館卒業
・同年(19歳) 列翼翔士に叙任。カイソーフ次席通信士に着任
・帝国暦959年頃 第二方面艦隊無任所参謀
・帝国暦962年頃 護衛艦長
・時期不明 偵察分艦隊ケスキュム司令官に着任(初めての分艦隊司令官)。階級は准提督
・帝国暦967年頃 提督に昇進。赤啄木鳥艦隊司令長官に着任(分艦隊司令官も兼任)
・帝国暦969年より前 哨戒艦隊司令長官に着任
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ガイタソール子爵
→アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王・ドゥビュース
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ子爵
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵
Ablïarsec néïc dubreuscr boerh parhynr Lamhirh
本編のヒロイン。クリューヴ王ドゥビュースの第一王女。遺伝子提供者はレクシュ・ウェフ=ローベル・プラキア。
兵籍番号は01-00-0937684(952年当時)・01-00-093768(958年当時)。
名前は珠玉
アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王・ドゥサーニュが登極した際、皇族のうち生存が確認できた最先任の現役軍士だったことから仮の皇太女になったが、若輩であったため帝国艦隊司令長官就任は見送られている。
【容姿】
黝く長い髪。淡い小麦色をした卵型の顔。ぱっちりした印象的な目に黒瑪瑙のような闇色の瞳で眦は高い。長い睫。細いがくっきりと優美な眉。小造りで繊麗な鼻。優美な曲線を描く鼻梁。ふっくらとした唇。アブリアルにしては小さ目の耳。切れる寸前まで張った琴線を爪弾いたような、清冽な声。真珠の光沢と色を持ち、光の加減で紅玉色にも見える菱形の空識覚器官。冴々とした美貌。細面。明るい小麦色できめこまやかな肌。均整の取れたからだ。その遺伝子は自然結合のままで、手が加えられていない。
【性格】
本質的には素直で嘘をつくのが下手。耳が小さいのをいくらか引け目に感じている。
【嗜好】
好きなものは温かくして檸檬を浮かべた桃果汁。酒なら蜜酒の林檎火酒割り(と彼女が主張するもの)。林檎酒は余り好きではない。
嫌いなものは地上戦、反抗的な弟、軟弱な猫。
【特技】
射撃。いつでもどこでも熟睡できること。
【経歴】
・帝国暦936年(0歳) 誕生
・帝国暦949年(13歳) 修技館入学
・帝国暦952年(16歳) 修技館卒業。翔士修技生としてゴースロスに配属
・同年(16歳) 列翼翔士に叙任。艦橋勤務を行う
・帝国暦953年(17歳) 後衛翔士に昇進
・帝国暦954年頃(上記の1年半後) 前衛翔士に昇進。ドゥネー星界軍大学入学
・帝国暦955年(上記の半年後)(19歳) ドゥネー星界軍大学卒業
・同年(19歳)十翔長に昇進。バースロイル艦長に着任
・同年(19歳) アプティック伯国領主代行に着任
・同年(上記の約半月後)(19歳) アプティック伯国領主代行を離任
・帝国暦956年(20歳) ロブナス伯国領主代行に着任
・帝国暦956年(20歳) 副百翔長に昇進
・帝国暦956年(20歳) 星界軍の休暇を取得
・帝国暦958年頃(22歳) 休暇を終え、星界軍に復帰
・帝国暦959年(23歳) フリーコヴ艦長に着任
・同年(23歳) フリーコヴ艦長を離任し、ガフトノーシュ・ドゥラド艦長に着任
・同年(23歳) 百翔長に緊急昇進
・同年(23歳) 仮の皇太女に。提督に三階級特進
・時期不明 練習艦隊司令長官兼練習第三艦隊司令長官に着任。階級は帝国元帥
・帝国暦969年 練習艦隊司令長官を離任し、霹靂艦隊司令長官に着任
アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・クリューヴ王
Ablïarsec néïc dubreuscr larth clybr Dubeusec
クリューヴ王家の当主。アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・アブリアル伯爵・ラマージュの息子で、ラフィール及びドゥヒールの父。帝位継承順位は第四位。遺伝子提供者はラマージュの何人目かの想人(男性)。訓練生時代はガイタソール子爵を名乗っていた。
ラクファカール陥落後、自分が連絡の取れるうちで最高の帝位承継順位を持っていることを確認すると、副帝の位に就くことを宣言。当地可能な領域を第二方面と定義し、第二方面に存在する星界軍全部隊で第二方面艦隊を編成した。967年に第二方面の縮小を決定し、その後セスカル子爵領を中心とする領域に縮小させている。
【容姿】
青灰色の髪。
【性格】
一族の中では例外的に穏やかな性格。出生の秘密があったほうが子供の人格は豊かになると信じている。訓練生時代から皇帝ではなく王になることを目指していた。
【嗜好】
懐古趣味がある。子供の頃はランシュ伯爵帝都城館に行くことを好んでいた。
【経歴】
・時期不明(16歳) 修技館入学
・時期不明 レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと出会う。階級は十翔長
・時期不明 退役。階級は提督。予備役准提督に
・帝国暦935年 プレアーヴの宇宙船を発見
・帝国暦936年 ラフィール誕生
・帝国暦936年頃 クリューヴ王に即位
・帝国暦940年 ドゥヒール誕生
・帝国暦955年頃 現役復帰
・帝国暦956年頃 淡雪第二艦隊司令長官に着任。階級は大提督
・時期不明 星界軍元帥に昇進
・帝国暦959年頃 副帝に即位。第二方面艦隊司令長官
アブリアル・ネイ=ラムサール・上皇
前バルケー王。952〜959年当時の上皇。不死鳥作戦では帝都防衛団参謀長を務めた。
第2次ラクファカール防衛戦で、司令部のある竜卵要塞が爆散し、戦死した。
アブリアル・ネイ=ラムサール・エクレーム子爵
アブリアル・ネイ=ラムサール・ギュクダーシュ子爵
アブリアル・ネイ=ラムサール・バルケー王
Ablïarsec néïc lamsar larth barcoer Dusanh
帝国皇太子にして帝国艦隊司令長官。ドゥビュースより3か月年下。ラフィールより年上(もしくは同じ年)の息子がいる。エクレーム子爵の爵位を有するが、所領は一度訪問したのみで放置している。訓練生時代はギュクダーシュ子爵を名乗っていた。
959年に先帝の戦死に伴い、第28代皇帝に即位した。
【容姿】
腰の辺りまで垂れた濃紺の髪。尖った耳。新雪のように白い顔。
【性格】
度しがたい性格(ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール及びドゥサーニュ評)。
悪質な諧謔精神の持ち主(ラフィール評)。
【経歴】
・帝国暦945年 流砂艦隊司令長官に着任
・帝国暦955年 幻炎艦隊司令長官兼幻炎第三艦隊司令長官に着任
・帝国暦956年 狩人艦隊司令長官に着任
・帝国暦959年 双棘艦隊司令長官に着任
・同年 第28代皇帝に即位
アブリアル・ネイ=ラムリュラル・前皇帝
アーヴによる人類帝国第26代皇帝。952〜969年当時の上皇。上皇たちの間では若い部類に入るが、100歳を越えている(959年時点では最年少)。
不死鳥作戦の際に帝都防衛団を退団させられ、不死鳥第四艦隊と共に臨時帝都に脱出した。その後の帝位継承順位は第三位。
【容姿】
童顔。
アブリアル・ラムステューム
前52年当時の船王。アブリアル・ドゥムイの第一王女
【性格】
無口だが、必要なことは話す。厳しい性格だが、理の通った諫言には耳を傾ける。
帯留
飾帯を留めるための装飾品。フェブダーシュ男爵領でラフィールが使ったものは白金の台座に紅玉を埋め込んだもの。
査古令糖
チョコレートか。
アルカイク
ロブナスII特産の麻薬。この惑星にのみ繁殖する植物から抽出される。強い習慣性を持ち、禁断症状もきわめて強い。
瑠璃唐草
植物の名称。背が低い草で、その花は真ん中が白く、縁が青紫色をしている。
アルコ・アウゴ
ベリサリア星系政府交渉官(1年頃当時)。地上人男性で、年齢は老年にさしかかった辺り。若い頃は自転車競技の選手であり、その後も鍛錬を続けている。アーヴ艦隊との下交渉のため、星系政府の使者として派遣されたが、途上でスーメイ人が地上に侵攻したため、急遽政府副使に任命された。
軌道塔
宇宙港を貫いて地表から伸びる建造物。往還艇なしに軌道上まで上がることが出来るため経済効果が高く、帝国の有人惑星には必ずといっていいほどある。
バランスを取るため惑星の反対側にも長い軸があり、錘となる小惑星がくくりつけられている。
頭環
アーヴが装着する装備品。空識覚器官と接する部分には1億近くの発光素子が明滅し、両端に付いた接続纓から、個人の周囲あるいは接続された艦外空識覚から極超短波によって入力された周囲の情報を、空識覚器官に伝達する。
使用には装着者に合わせた調整が必要。装備することで360度の視野を持っているにも等しい状態になれるが、これがないと空識覚を使用できないため、生まれながらのアーヴには必要不可欠。入浴・就寝時以外ではめったにはずさない。かなり丈夫な作りをしており、めったに故障しない。
正装時のものは身分に合わせた造りになっていて、家格をあらわす。ちなみに皇帝のものは八頸竜を象ってある。
軍用のものは軍から支給される。
アルファベット
現在でも人類社会で広く使われている文字。
主任生態系調整官
最上級の生態系調整官。
先任砲術士
大型艦における最上級砲術士。
先任通信士
大型艦における最上級通信士。
先任航法士
大型艦における最上級航法士。
先任翔士
突撃艦などの小型艦における次席指揮官。
アルレート
霹靂第一艦隊所属の偵察分艦隊。司令官はアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督(兼任)。旗艦は巡察艦ビューヌラス。
【組織】
司令部
┗司令長官 アトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ大提督
旗艦 巡察艦ビューヌラス
巡察艦 ボイラス
巡察艦 キードラス
巡察艦 カイラス
戦列艦
機雷を大量(30基〜100基程度)に積みこみ、敵に浴びせかける軍艦。通常空間戦では巡察艦の敵ではないが、平面宇宙では最強。質量は巡察艦の約3倍(約3000セボー=30万t)。多数の防御用火器を備えてはいるが、基本的には輸送船と変わらない。通常空間戦では機雷の代わりに反物質弾を搭載することもある。いつでも戦隊旗艦が務まるよう、司令部施設が付属している。
通常の従士に加え掌雷従士たちも多数乗り込んでいるため、乗員数も多い。そのため居住区は非常に広く、平時なら子供の乗艦も認められている。操舵も容易なため、次席航法士が担当する。
臨時帝都
帝都が敵に陥落するなどの事態において臨時に定められる帝都。
959年の不死鳥作戦ではソトリュール鎮守府に設置され、ラクファカール・セラと名付けられた。
アンガスン
アントン・パーヴロヴィチ・フセイノフ
パーヴェリュアの本名。
イーデフ Idaimh
根源29氏族の一つ。語源は「牛
【都市船時代】
出産をつかさどり、遺伝子検査や人工子宮の管理を行っていた氏族。レペスと協力関係にあった。遺伝子工学全般に強く、様々な変異生物を作り出すことで惑星改造に貢献した。帝国創建後は惑星改造技師組合を設立した。
【特徴】
人間の生死に関しては冷めた見方をする。また、遺伝子改造に熱心なことから、マッド・サイエンティストのイメージが強いが、実際には科学者や技術者をそんなに出してはいない。
【宗家】
アビアヘール大公爵家。
【家紋】
中央に一本杉を配する。
【家徴】
イーデフの氷の瞳
委員長
ジントの訓練生時代の友人で寮で隣室に住む同級生。この時代では非常に稀なめがねっ娘。
本名ではないが、学校にいる間だけ、同級生は彼女の一族をこの名で呼ぶのが伝統。
視力が弱いのと雀斑
イェステーシュ
宰相府から派遣された宰相府財務総監部調査使。20年も調査使として勤務し、予備役主計百翔長の位階も持つ老練な官僚(958年当時)。
【容姿】
薄藍色の髪。
【性格】
職務に忠実。
イオラオス作戦
人類統合体の行った、対帝国の軍事作戦。帝国中枢部を最短距離で攻撃する航路を探索するために計画され、予算も時間もたっぷりと用意された。
作戦司令部はイリーシュ王国に通じるFLIST0223(アーヴ呼称スィーヴ882門)とVRGE1447(アーヴ呼称ケイシュ193門)を発見、成功裏に終了した。これにより、ヘラクレス作戦が発動された。
輸送艦
兵員・兵器等を輸送するための軍艦。定員は1500〜2000人ほど。平時なら子供の乗艦も認められている。
軌道上の安全確保が十分でない場合に、物資の代わりに娯楽施設などを搭載し、機動酒保街の代用とすることもある。
兵員用輸送艦
兵員を運ぶための輸送艦。居住性は中程度。単に兵員用輸送艦
イソーズ
ゲムファーズ子爵家の家臣で、子爵館二等港務官
イダーヴ
アーヴが初めて門を開く実験をしたときに用いられた12隻の観測船の一つ。ラ・エディ・ポイ・ベブナが乗船することになっていたが、乗船間際に爆発物が仕掛けられたとの情報が流れ、使用しないことになった。
一号
主航法子の機能分化前の呼び名。
物質燃料採取基地
気体惑星などから燃料を採掘するための基地。
イナンナ州
クドゥーロに存在する州。最高責任者は州知事。969年当時の州知事は年配の男性。
電磁投射砲
核融合弾を光速の1%にまで電磁加速して射出する、巡察艦等の主戦兵器。射出された核融合弾は無秩序噴射で弾幕をかわした後、最後の姿勢制御をし、残りの噴射剤で最終加速して目標に衝突する。
反動が大きいため、発射時は艦内に警告音が鳴る。
疑似電磁投射砲
電磁投射砲の砲口脇に付属している、演習用の装置。全長2ダージュ(=2cm)ほどの装置で、演習弾を発射する。射出速度は本物と同じ。反動はほとんどないが、思考結晶による逆噴射と重力制御により人工的に反動を作り出す。
質量弾
爆発しない砲弾。電磁投射砲から発射される。
商店館
帝都などにある施設。
隠居区画
アトスリュア・スューヌ=アトス・前フェブダーシュ男爵・スルーフが監禁されていた、フェブダーシュ男爵館3階の一室。元々は貴賓用の発着広間で、地上的な雰囲気に触れてくつろいでもらおう、という趣向のもと設計されている。
洗面所、浴室、厨房、自動機械の補修所兼倉庫、回廊をめぐらせた小規模な庭園とその周りを取り囲む5つの部屋からなる。庭園にある池の真ん中には10人がやっと立っていられるくらいの広さの島(元々は昇降筒兼気閘室が立っていた)があり、そこには白い虹橋がかかっている。出入りには厚い成形大理石の扉が使えるだけで、窓はない。壁面に映像投影装置があり、映像芸術を楽しめる。天井は半球をなし、円扉のある天頂部の高さは500ダージュ(=5.00m)ほどで、空色に塗られている。
厨房には冷蔵庫があり、第二配膳室と通路でつながっていて、そこから食料や日用品がやり取りされる。
監禁中は閉鎖されており、開放にはアトスリュア・スューヌ=アトス・フェブダーシュ男爵・クロワールが家政室から電波紋鍵と暗号鍵を入力する必要があった。
ヴィーナ
惑星モメンタにある大陸。スーメイ人が当初引き渡しを求めていたが、交渉中に引き渡し対象から除外された。
書記
中型艦以上の軍艦において、事務、乗員の健康管理、食料・備品・消耗品の購入・管理、貨物の搬入・管理、艦内環境(重力制御・空調・与圧・空気や水の浄化など)を担当する先任主計科翔士。
大型艦の場合、出入港と戦闘時以外は比較的暇なため、当直の飛翔科翔士が本来の任務のついでに館内環境を監視し、当人は書記室で業務(主に食事の献立の作成)を行うことが多い。食事の調理と応急的な医療も担当しているが、実務は専門教育を受けた従士が行っている。
予算についてある程度の裁量権を持つ。
軍艦
戦闘用の艦艇。
星界軍のものの内部には地上世界の絵が飾られていたりもする。艦内では武器を携行しないのが習慣だが、不測の事態に備えて個人用武器を納めた武器庫が設置されている。
帝国以外の星間国家では戦闘時の操艦が思考結晶に任されているが、星界軍では人の手で行われる。
大型艦には専用の育児室があり、無重力部屋が完備されている。
救命莢
短艇甲板まで行く余裕がないときに用いられる艦船からの緊急脱出装置。固体燃料が一定時間噴射して射出するだけで、動力はなく、生命維持系は24時間しか保たず、ごくわずかな食料と医薬品が積まれているのみ。場所を取らないのが利点。加速は瞬間的に20標準重力に達する。
直系100ダージュ(=1m)、高さ500ダージュ(=5m)ほどの円筒型居住区を備えており、その内側は加速に耐えられるよう弾性素材が敷き詰めてある。
射出後は搭載艦側の搭乗口に自動的に鍵がかかり、『開放厳禁』の表示が出る。
軍士たちの間で最も経験したくないことの一つに上げられるくらいの乗り心地。
ウィンブルIV
ウィンブル星系の第四惑星。有人。農業惑星。
装甲浮揚車
軍用の陸上装甲車。
追撃戦
撤退する敵軍を後方から攻撃すること。
ヴォーニュ
士族の女性。出世に興味がない。三歳の頃から戦列艦テールケスで育った。
【容姿】
露草色の髪。枯茶色の瞳。
【経歴】
・時期不明 カイソーフ専任通信士に着任。階級は前衛翔士
・帝国暦959年 十翔長に緊急昇進
・帝国暦967年 赤啄木鳥艦隊参謀長に着任。階級は准提督
ヴォーラーシュ
ヴォーラーシュ伯国の中心にある恒星。
ヴォーラーシュ伯国
艦政本部
艦艇の設計等を行う部署。最上級指揮官は艦政本部長官。
迂回挟撃
兵力を分派し、敵後方に進出させて退路を断ち、その上で主力と挟撃することで敵を完膚なきまでに殲滅する、という戦術。
宇宙卵
宇宙や万物が発生する元になったとされるもの。
ウニューシュ
955年当時のラルブリューヴ鎮守府司令長官。階級は星界軍元帥。
右方部隊
基本艦列において、主力部隊の右方に配置され、敵の側撃を防ぐと同時に、占領領域に幅を持たせる役割を担う部隊。決戦の際には、可能な限り主力部隊と合同して戦場に臨む。
エウドー
エウドー子爵領の中心にある恒星。
思考結晶網
思考結晶により構築されたネットワーク。
エーフ Aimh
根源29氏族の一つ。語源は「亢
【都市船時代】
船殻の保守を担当した氏族。船殻に損害を与えそうな浮遊物に対処し、そこから進んで一時は砲台を管理していたこともある。
【特徴】
家風は根気を第一とする。特に必要もないのに困難に進んで立ち向かう者も多い。
一族によって開発された地上世界は多いが、その割に富裕と縁遠い存在であることは帝国の七不思議に数えられるほど。
【宗家】
スムボール大公爵家。
【家紋】
鯱。
【家徴】
エーフの銀髪
エーフ・ウェフ=ガクロル・公子
959年当時の忘れじの広間管理官。
エクリュア
アーヴ士族の一族。
【特徴】
代々貧しい軍士の家系のため個人では軌道城館を持たず、一族が集まってエクリュア館で生活している。子供も共同で育てる大家族主義。成熟期が来るまで育児園に入り浸る習慣がある。個人用の浴室より大浴場を好む。死に行く者への礼式は、一緒に遊ぶこと。
交易者として成功することを望む者が多く、大抵十翔長になることなく退役するが、交易で成功した先祖はいないらしい。
【家徴】
エクリュア色と呼ばれる空色の髪と瞳。
エクリュア・ウェフ=アリュス・サフォール
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールより年下のエクリュア。
エクリュア・ウェフ=エク・スカーシュ
エクリュア一族の男性。エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールより年上。ノールとは四代前か五代前の先祖を同じくする。
【経歴】
・帝国暦955年 前衛翔士に昇進
エクリュア・ウェフ=グルズ・サイゼ
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールのすぐ年下のエクリュア。
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナース
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの父。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサの幼なじみで、かつての想人。
【性格】
エクリュア一族の中でも変わり者として扱われている。コリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ曰く、『時と場を弁えぬ男』。その歌は一族にも評判が悪い。
【経歴】
・時期不明 翔士修技館入学
・時期不明 後衛翔士に昇進
・時期不明 トルークビルジュ次席通信士に着任
・時期不明 前衛翔士に昇進。休暇に入る
・時期不明 コンサと共に旅行。遺伝子を交換する
・時期不明 休暇中に退役。一匹の猫と共に、人工子宮を乗せた船で交易に出る
・帝国暦933年 ノール誕生
・帝国暦959年頃 帝都防衛団に登録
・同年 帝都防衛団に召集。第2次ラクファカール防衛戦で戦死
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノール
Aicryac ïémh tlyzr Naurh
エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースの娘。遺伝子提供者はコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ。有能な砲術士。バースロイルで砲術士として勤務したあと、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユースの指名でフリーコヴに乗りこみ、航法士となった。
5歳まではナースと、頭と背中が鯖虎模様でそれ以外は白い一匹のオス猫とで深宇宙をさすらっていた。
【容姿】
柔らかそうな空色の髪。空色の眉。空色の瞳。
【性格】
立ち居振舞いは物静か。基本的には無口、無表情。だが、実は口が悪く、音痴でスピード狂。音痴なのは父親譲りで、本人もそのことには気付いている。また必要な時には多弁になる。
自分では正直で、良識にあふれた人間だと思っている。
修技館時代の成績は中位。意思疎通に難があるとされている。
【嗜好】
好きなものは林檎の香りをつけた紅茶。時空分離時に現れる虹を眺めること。船を駆ること。湧き出してくる想念を弄ぶこと。初めて会った同世代の地上人であるジントに興味を持っている。
年老いるから猫が嫌い。子供の頃は人参が大嫌いだった。
【経歴】
・帝国暦933年(0歳) バルケー王国を平面宇宙航行中の交易船で誕生
・帝国暦938年(5歳) エクリュア館に猫と共に送られる
・帝国暦948年頃 曾々々祖父が永眠
・帝国暦952年(19歳) 修技館入学
・帝国暦955年(22歳) 修技館卒業
・帝国暦955年(22歳) 列翼翔士に叙任。バースロイル次席翔士に着任
・帝国歴956年頃 後衛翔士に昇進
・帝国暦958年頃 前衛翔士に昇進
・帝国暦958年(25歳) フリーコヴ航法士に着任
・帝国暦959年(26歳) 十翔長に昇進。フリーコヴ副長兼航法士に就任
・同年(26歳) 副百翔長に緊急昇進
・帝国暦969年 霹靂艦隊参謀副長に着任。階級は准提督
エスレル Aislairec
根源29氏族の一つ。語源は「尾
【都市船時代】
精錬工場を管理し、アーヴに各種の金属を提供した氏族。
【特徴】
粘り強く、一度や二度の失敗ではくじけない。拙速を尊ぶ。そのため軍士としても交易者としてもすぐには成功しないが、長期的に見ると堅実なものといえる。事実、エスレルの諸侯が統治する邦国には豊かな地上世界を抱えるものが少なくない。
【宗家】
リュージュ大公爵家。
【家紋】
狼をベースにしたものが多い。
【家徴】
エスレルの鼻
エディリュア・エディ
エデロイ茶
ダクフォー特産のお茶。
エミュール Aimemyrh
根源29氏族の一つ。語源は「畢
【都市船時代】
化学工場を管理し、医薬品をはじめとする化学製品を生産していた氏族。当時、交易時に麻薬でも毒薬でも売り渡したので、そのことを覚えている地上世界では評判が悪い。
【特徴】
慎重で、細かいことでも忽せにしない完璧主義者。施設を建築するときに部屋や通路を精緻に配する傾向にある。隅々まで知れば実に使いやすいが、馴染みのないものには迷宮にしか見えない。その複雑さは『迷子になりたければエミュールの館に行け』といわれるほど。
細かいことに気がつくが、全体を見渡すことは得意でない。
【宗家】
アイサース大公爵家。
【家紋】
蜻蛉
【家徴】
エミュールの髪
エミンド
コーザイ出身のエレンディア人男性。ジムリュア・ボルジュ=フルク・フルーシュの何十番めかの恋人。エレンディア宇宙軍最高提督(ジムリュアがコーザイ総督に就任した当時)。ジムリュアより50歳ほど年下。
ジムリュアの乱に加担した。
天川銀河
物語の舞台となる銀河。太陽系も含めた全ての既知星系が存在している。
エルソーフ
霹靂艦隊所属の戦列艦。バハメリ門沖会戦後に機雷切れでフアンボ星系に退いていた。第五艦隊から送られた機雷を再装填し、エクリュア・ウェフ=トリュズ・ノールの指揮で他の戦列艦と共に前線に復帰、霹靂第三・一艦隊に編制された。
エルメン
惑星ザムスィアに対する現地の人による呼び名。
エレンディア
かつて存在した星間国家。ジムリュア・ボルジュ=フルク・フルーシュがコーザイ総督となる半世紀以上前に帝国に破れ、吸収された。
【言語】
エレンディア語。
エントリュア・レイ Entrya Reie
ルーヌ・ビーガ市警察犯罪捜査部警部(952年当時)。推定40代。生まれも育ちもルーヌ・ビーガ。優秀で公正なため、地域住民から良い評価を得ている。
アーヴ語も多少話せる。五代前の先祖は星界軍の従士。
【容姿】
褐色の肌。
【嗜好】
好きなものは煙草。嫌いなものはまぬけな部下。
エンルーヴ
ハイド星系の代官代行となるため、流砂艦隊に同行しているアーヴ男性。代官として多くの経験を積んでおり、有能なことで知られている。
ロック・リンがハイド伯爵に叙されたため、初代ハイド伯爵家家宰となった。
【容姿】
藍色の目。
オーヴォス
スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大公爵公女・ペネージュの部屋で飼われている金色烏の1羽。
海亀の羹
アーヴ料理の碗物。馥郁たる香りがする一品。
ばか
ラフィールの口癖。親愛表現。
暑い
アーヴの間では数千度から数万度に達する恒星表面を形容する言葉。
オールト雲
太陽系をとりまく、水や一酸化炭素、二酸化炭素、メタンなどのガス、あるいは鉱物性の小天体の集まり。
自動機械
人間の代わりに絨毯引きや飲み物の提供などの単純労働を行う機械。自走式のものが多い。
機械教師
親が忘れてしまったような知識を子供に伝えるための機械。子供には人気がない。
主機関
通常空間を移動するための機関。現在は対消滅機関が一般的。
親の葬式に人事官が来る
ハニア連邦で用いられることわざ。不幸が重なることのたとえ。人事官が個人宅を訪れるのは、移民に選抜されたことを通知する時ぐらいであることから。
オリヴォ・クリス
ベリサリア星系政府副大統領(1年頃当時)。