2013-08-26
S-Fマガジン 2013年10月号に掲載された森岡浩之先生の最新作、星界の断章のレビューです。大いにネタバレあり。
星界の断章「海嘯」
著者:森岡浩之
価格:895円(税別。S-Fマガジン本体)
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あらすじ
皇族としての義務を負え、王としての役目も兄に押しつけたアブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ゲムファーズ子爵・ラムリューヌは、貨客船に乗って子爵領を目指していた。ラムリューヌが手がける惑星改造は終盤にさしかかっていたが、ラムリューヌがその過程に興味を持ち、たまには領地を訪れて家臣達を激励するのも良い事だと気まぐれを起こしたことがそのきっかけだった。ところが、改造中の惑星スィルメーでは、「海の自殺」という摩訶不思議な状況が発生していて―
感想
星界シリーズのヒロイン、ラフィールの叔母に当たるラムリューヌが今回の主役です。これ予想出来た人いるのか。
今回は扱われている事件が割と小規模なので、おもにラムリューヌと家臣達の会話で話が進みます。家臣達が一癖ある人物ばかりですが、ラムリューヌは結構辛抱強いですね…ラフィールだったらキレてるし、ドゥビュースだったら嫌味の一つ二つ言ってそうです。まぁラムリューヌ自身も「自分の我慢強さに驚嘆していた」と言ってますけど。
その他、ラムリューヌの描かれたイラストが2枚あるのは見逃せないところですね。辞書編纂者としては、惑星改造についての新しい情報がいくつか出て来たのがポイントかな。
しかし気になる事が。この断章の時間軸は、ラムリューヌが惑星改造を始めてから17年後。そしてドゥサーニュが皇太子になる→ドゥビュースが王になる→惑星改造に着手、の順番である事は確定。ドゥサーニュが皇太子になった=ラマージュが皇帝になったのはラフィールが生まれた後と思われる(ラフィールはラマージュの即位式に出席しているから)し、惑星改造が成功してラムリューヌが伯爵になったのが952年だから、
帝国暦936年 ラフィール誕生
帝国暦???年 ラマージュが皇帝に即位
帝国暦???年 ドゥビュースが王に即位
↑17年以上前
帝国暦952年 ラムリューヌが伯爵に昇爵
…計算が合わぬ。ラマージュの皇帝即位と即位式の間に時間があるとしても、ドゥビュースが王になったのはラフィールが生まれた後なのは間違いなさそうだしなぁ(ラフィールが生まれた日に、プラキアが「あなたの方は王様になるんですって?」と聞いているから。断章「誕生」)…森岡先生なんとかしてください。
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2013-08-13
5ヶ月ぶりに、COMICメテオさんのWebコミック「星界の紋章」が更新されましたよ。いくらなんでも間隔空きすぎぃ!前回更新されたの、星界の戦旗5が出る前の事ですからね?
星界の紋章
第6話はゴースロスと敵艦隊との戦闘シーンですね。最後にジントとラフィールのパリューニュ子爵領に関する軽い会話が入ってますけど、完全におまけです。
戦闘シーンも相変わらず迫力があって好きなんですけど、ちょっとよく分からない事が…
左のコマってどういうシーンなんですか?敵第2は時空分離したの?してないの?しようとしただけ?この直後に電磁投射砲から発射された核融合弾が命中しているってことは、時空分離は完了してないんですよね(時空分離すると核融合弾は届かなくなるから)。でもこのコマをどう解釈しても、時空分離をしているようには見えないんですが…かといって時空融合の誤植でもなさそうだし…
だれか鋭い人教えてください。
※画像は第6話10ページから引用
2013-06-23
帝国星界軍案内所”銀河の星(グリューラシュ・エルークファル)“ を更新しました。
紋章DVD-BOXの付録である星界の断章「野営~ドゥサーニュの場合」関係の更新をしています。断章の内容についてはこちらをご覧下さい→【小説】星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~ レビュー | Y.A.S.
今回更新したのは以下の2ヵ所です。
ところで、これって帝国暦で言うといつ頃の話なんでしょうか。ドゥサーニュとドゥビュースが訓練生時代の話ということは、二人とも皇太子位・王位を継いでいない時代のことですよね。
ドゥビュースは軍を退役してからプラキアと旅をしているので、帝国暦935年より前であることは間違いなさそうです。
ラマージュとラフィールは80歳くらい年齢が離れているので、ドゥビュースがその間とすると、ドゥビュースの生まれたのは帝国暦896年頃ということになります。ドゥビュースは16歳で修技館に入学していて、修技館は3年制なので、912年頃~915年頃ということでよいのかな。
2013-06-14
星界辞典Ver.2.300を公開しました。今回は以前アップロードしていた星界の断章「介入」の更新分を総合辞典に統合しただけなので、大きな変化は有りません。
そろそろ星界の紋章DVD-BOX付属の小説「星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~」についての更新作業を始めようと思います。
なおまだ単行本化されていない作品なのでご存じない方も多いと思います。簡単なあらすじを用意しましたので、興味のある方はどうぞ。
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あらすじ
ドゥサーニュとドゥビュースが翔士修技館の訓練生だった時―
星界軍は、アブリアル伯国最大の惑星クラベール・ソスで、地上訓練を行っていた。その9日目。帝国旗を一晩保管する衛旗士に選ばれたドゥサーニュとドゥビュースは、交代で旗を見張ることに。どちらが後に寝るかで一悶着あったものの、ドゥビュースが先に見張りを務めることになった。
そして交代時。天幕の入り口で歩哨をしていたドゥビュースが天幕に戻ると、天幕の反対側が切り裂かれ、帝国旗もなくなっていた。そしてそこには「旗を取り戻したければ、アセージュ山頂に来るべし」という文字が残されていた。2人はこの不祥事を自分たちだけで解決しようと、アセージュ山頂に向かう。やっとの事でたどり着いた山頂には、急ごしらえの旗柱台が置かれ、帝国旗がはためいていたものの、辺りに人影はなく、2人は無事旗を回収して帰路に就いた。
結局、旗を奪われたことは教官には発覚しなかったが、その不自然な状況から、盗難は内部犯によるものではないかと2人は疑っていた。しかしそれ以上の事情は掴めなかった。
結局この事件の真の意味を知ったのは、ドゥサーニュが翔士に任官して数年経ってからのことだった。
感想
ごく短い小説です。あらすじは変な終わり方をしていますが、実際小説自体もこういう終わり方なので勘弁してください。冒頭で「修技館への志望動機はみっつに分けられるだろう」と書いているのに1つしか登場しないことも踏まえると、続きは戦旗DVD-BOXと、戦旗Ⅱ・ⅢDVD-BOXで明らかになるんでしょうね。
ドゥサーニュは若い頃から「度し難い性格」だったし、ドゥビュースは若い頃から変な2つ名を付ける癖があったことがわかりました。この2人はなかなかいい性格をしているのに、本編ではぜんぜん絡みがなかったので、こういう形で掛け合いが楽しめて良かったです。
「それで、だれが盗んだと思う?」
「変わり者であることに間違いありませんね」と彼(ドゥサーニュ)はこたえた。「あのようなもの、盗んでどうするというのですか」
「あのようなものって、帝国旗だぞ」
「旗は旗に過ぎません」
「まあ、そうだが。あまり人にきかれぬようにせねば」
「なぜですか? こんなことくらいで処罰されないでしょう」
「暴言者よ、われらはアブリアルだ」とドゥビュース。「皇族が八頸竜の紋章を軽んじていると誤解されたら、臣民に示しがつかないじゃないか」
「それもそうですね」ドゥサーニュはちょっと反省した。ドゥビュースもたまには正しいことをいう。
※7~8ページより引用
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2013-05-19
本日は単独で記事にするほどではない話をいくつか。
星界の紋章①発売中

COMICメテオで大好評連載中の「星界の紋章」がついにコミカライズです。
第1回~第5回までの更新分がまるっと収まっています。森岡先生も帯にコメントを寄せてますよー。
まとめて読むと、結構展開が早いことが分かりますね。うっかり見逃した方も、毎回きっちり見ている方も、是非お買い求めください。アニメ版を下敷きに緻密に書き込まれた世界観は、一見の価値ありです。
まさかのPVもあるよ。
シュタインズ・ゲート 線形拘束のフェノグラム クリア

フェノグラムクリアしました。全部のボイスを聞いて、多少放置をして35時間ほどでした。
どのシナリオも面白く、各キャラの魅力をぎゅんぎゅん高めてくれたように思います。といってもやっぱりオカリンはダントツで男前ですけど。
ただ、かなり緻密にシナリオが組まれていた本編と違い、番外編だからかやや設定が緩い話があったのが気になったかな。あと今回は比翼恋理のだーりんと違って本編の裏話みたいなところを期待していたところもあったんですが、そのへんの話がほとんど無かったのも残念でした(まあこれは好みの問題ですが)。それを考えるとフルプライスはちょっと高いかな(シナリオを外注しているのが原因と思われるので一概に批判は出来ませんが)。
しかし、本編のファンや、公式小説などが好きでチェックしている皆様にはご満足いただけると思います。
シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ1発売中

大ヒット公開中の劇場版シュタインズ・ゲートですが、早くもコミカライズが出ています。
これはかなり映画のシナリオに忠実に作られており、細かなエピソードもガシガシ拾ってきていますので、映画を見る前に読んでしまうとおもしろさ半減ってレベルではないので要注意(と言っても核心部分にはまだ至っていませんけど)。
著者は久我山レキ先生です。
2013-03-29
本日から、帝国星界軍案内所の戦旗V関係の更新を開始しました。
とりあえず、飛翔科(用語事典)に、戦旗V追加分のデータを追加しました。残念ながら、まだ序章と第1章分しか更新できていませんが…これだけなのに何時間もかかったんですよ。でも楽しい!この作業がしたくてこのサイトやってるようなもんだからなー。
でも更新作業をしていて気づいたんですけど、この巻から、ルビが少し変わっていますね。これまでは拗音や促音も大文字で表示されていましたけど、きちんと小文字で表示されるようになっています。より正確な事典が作れるので喜ばしい限りです。
あと279ページにしれっと、「エクリュアは満面の笑みを浮かべた」という爆弾記述があることに今気づいた。アニメ化マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
2013-03-28
今日は仕事で色々あって疲れているので軽めに。
現在COMICメテオで大好評連載中のWebコミック「星界の紋章」ですが、5/9に待望の単行本第1巻が発売予定です(Amazon情報。ただし公式サイトには5/12とあるのでどっちが本当かは不明)。まだAmazonにも表紙情報すら来ていませんが、先日購入したSFマガジン5月号にも告知があったし大丈夫かな。一応Amazonへのリンクだけ貼っておきます。
星界の紋章1 (メテオCOMICS)
コミックスファンの方はもちろん、公開期間を過ぎて見逃してしまった方も、この機会にお買い求めになってはいかがでしょう。米村先生の緻密な絵を紙上で眺めたいので、僕も買います。
2013-03-25

前巻が出てから早8年余。ついに星界シリーズ最新作が発刊されました。シリーズを当初から(といっても2000年頃からですが)追ってきたyukkun20としても感無量です!ちなみに前巻のレビューも当時の僕がきちんとしてました。
→こちら
読むのが遅すぎるだろという批判は、全てきちんと早めに予約しておかなかった僕の不徳の致すところなので甘んじてお受けいたします。
そして偉大な作品を再び世に送り出してくださった森岡浩之先生に最大限の感謝を!
なお以下のレビューにはネタバレがありますが、ストーリー上の重要なネタバレはしていないつもりです。ですが全体的な流れには触れざるを得ないところなので、そういうのも駄目な人は回れ右。
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星界の戦旗V-宿命の調べ-
著者:森岡浩之
レーベル:ハヤカワ文庫JA
価格:651円
表紙など
表紙イラストはおなじみ赤井孝美先生によるラフィール、ジント、ドゥヒールの3人。ラフィールとジントは正装、ドゥヒールは軍衣ですが、この格好の意味は本文で明らかになります。
帯は「大人気スペース・オペラ、待望の最新刊!戦旗シリーズ第一部完結!!戦いの岐路に立つラフィールとジントの運命は?」となっています。
あらすじ
帝国はハニア連邦を併合するための雪晶作戦を発動させたが、その隙を縫うように、ハニア連邦、そして三ヵ国連合は突如帝都へむけての進撃を開始。戦線は崩壊し、分断された帝国軍はそれぞれ強大な敵と対峙せざるを得なくなった。ドゥヒールは乗艦を失い、ラフィールは新たな任務を負ってジントと共に帝都を去ることに。そして皇帝ラマージュは帝都防衛のための近衛艦隊を召集する。敵艦隊の帝都到達まであと7日。帝都、そして帝国に、過去最大の危機が迫ろうとしていた。
感想
さすが森岡先生としか言いようがない。こちらの予想を軽々と超えるすごい展開に、息もつけず一気に読み切ってしまいました。8年間心の中で高まり続けたハードルを、あっさり越えてくれるとは…待っていて本当によかった。このサイトを続けていて本当によかった。もう早くサイトを更新したくてたまらない状態です。
というかこの展開を予想できていた人はいるのでしょうか。あとコトポニーさんが裏切るとかなんとか言っていた人は腹を切って詫びて下さい。…僕だ。
森岡先生お得意の会話劇も相変わらずで、ベルソートとドゥヒール、サムソンとジント、ラマージュとドゥサーニュたちの軽快ながらも深い会話は、アーヴという種族の奥深さをしっかりと感じさせてくれました。ネタバレなので内容には触れませんが、ベルソートが巻の最後でドゥヒールに送った通信はなかなかカッコイイ。
そして緊迫した展開の中にあって、クファディスさんはほんま一服の清涼剤やでぇ。というか、クファディスの名前が出てくるだけでクスッとしてしまいました。もちろん本当に面白いのはクファディスさんではなくてその上司なのですが。
同感だな、とクファディスは思った。スポールの部下であるより上官であることのほうが、過酷な任務だと常々、考えていた。ましてや、スポールの教師などすれば、三分で胃に穴が空くにちがいない。いうまでもないことだが、もっとも楽なスポールとの関係は無関係でいることだ。
※267ページより引用
ところで想人(レー)と想人(ヨーフ)はどう違うんですか?性別?
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2013-03-14

総 員 傾 注 !
ついにAmazonでも「星界の戦旗5」の予約受付が始まりましたよー。一時は発売も危ぶまれた5巻ですが、当初の予定通り3/22に発売です。
ハヤカワオンラインでも3/22発売で予約受付していますし、これはかなり安心できそうです。皆さん!あと1週間ですよ!とりあえずAmazonで予約しておこうかな…でも22日は飲み会で、23、24は仕事なので、感想を書けるのは週明けになるかも…(ノД`)シクシク
表紙イラストですが、ドゥヒールは軍衣、ジントとラフィールは礼服っぽいですね。ラフィールの頭環はそれなりに格式ありそうなので、もしかすると帝都に戻るのかなぁ。
そして8年間放置されたコトポニーさんの真意も明かされるのでしょうか。
あーもう楽しみで楽しみでたまらない。Amazonでもベストセラーランキング6位でした(発売前の本としては2位)。みんな楽しみに待っていたんですね!
というわけであと1週間、体調を整えつつ正座して待ちましょう。
2013-03-06
3ヶ月ぶりに、COMICメテオさんのWebコミック「星界の紋章」が更新されましたよ。現在連載開始から半年で、まだ原作1巻の真ん中あたりです。
星界の紋章
第5話はゴースロスが敵艦隊を発見してから、実際に戦闘が始まったところまでですね。しかし今となってはラフィールの「我らは戦争を中途半端に終わらせるのは好きじゃない 私が死ぬまでに終わるかどうか…」というセリフは重いな。私が死ぬまでに(小説が)終わるかどうか…
さすがに1話に時間をかけているだけ会って、書き込みがすごいです。というかあの複雑な巡察艦をいろんな角度で描けているだけで正直驚きなんですが。3Dモデリングとかしているのだろうか。
今回は完全にレクシュ艦長が主役でした。ラフィールに「私の可愛い殿下」と呼びかけるところはもちろんなんですけど、やっぱり艦長としての凛々しい姿がいいですね。この艦長になら付いていきます!
ただ、ジントの「殿下が僕に頼るほど絶望的な状況はちょっと思いつけないですが その時は微力を尽くして」というセリフが個人的に好きなんですけど、その扱いが軽くて残念でした。振り向きざま肩越しに軽く言う台詞じゃないんだけどな…原作でも「深々と頭を下げ(た)」ってあるのに。
※画像は第5話10ページから引用

あと、独立の記事を書くほどでもないのでこちらで。
3月9日に、榊ガンパレ最新作「ガンパレード・マーチ 2K 5121小隊の日常III」が発売されます。おお…まさかの小隊日常シリーズか。I、IIと同じなら、小隊の日常を描く短編集になりそうですね。
Iが2001年、IIが2005年だからこちらもある意味8年ぶりの続編ということですね。あー楽しみ。
おお、本当ですね。新ハードの情報ももちろん楽しみですけど、ローンチタイトルがどう…