2011-10-24
【映画】とある飛空士への追憶 レビュー
映画「とある飛空士への追憶」を見て来ました。仕事が長引いて間に合わないかと思ったぜぃ…なんとか映画前のCM中に潜り込めました。
ストーリーはあまり評価が高くないようですが、尺の長さを考えればこれでやむを得ないと思います。
あえて難点を挙げるとすれば、シャルルが卓越した技量を持つ飛空士だということが十分には描かれていなかったことと、ファナの性格が小説版とまったく違っているところですかね。…これけっこう致命傷か?
小説だと、シャルルがどれほどの技術を持っているかは、シャルルの心の声でわかる判断能力とか、ト書きから読み取れる、索敵に引っかからないようにする挙動とかで分かるんですけど、映画だとその辺りの描写は当然ほとんど省かれています。映画のストーリーだけなぞると、シャルルは索敵にも失敗してますし、空戦でも完全に千々石にやられているので(これは小説でもそうなのでシナリオが悪いわけではない)、どれくらい彼が優秀かわからないんですよね…シャルルの秘技「イスマエル・ターン」も解説がないせいでいまいちすごさがわかりませんし。
とはいえこっちはまだ我慢できますけど、ファナの性格の方はちょっとダメでしょう。ファナが魅力的なのは、王族であるということから来る奥ゆかしさにあると思うんですよ。それはシャルルと打ち解けたあとも変わらないわけです。だからこそお酒を飲んで思いを告げるシーンが響くんですよね。でも映画版では、ファナが奔放すぎるんですよね。貴族の子女はあんな下品な格好はしない!シャルルと打ち解けるまでの過程がかなり省略されているのは尺の関係でやむを得ないとしても、だからこそファナの奥ゆかしさは大事にして欲しかった。島に来た後のファナの豹変振りは凄かったですよ。どれくらいかというと「リンカーン島のナディア」みたいと言えば伝わるでしょうか。そう思ったらあのショートカットもナディアにしか見えなくなってきた。…エンドロール見て気づいたけど、キャラデザが同じ人だったか…
辛口なことを書きましたが、終盤の最高潮である空戦シーンと別れのシーンはよくできていたと思います。空戦は手に汗握るスピード感あるシーンの連続でしたし、別れのシーンは小説を忠実に映像化した感じでやっぱり感動しました。
ただ、島でファナが「踊ってよシャルル」と言ったことが、最後のサンタ・クルスの舞の伏線になっている、というのがスルーされていたのは残念でした。あれじゃただの酔っぱらいだよ。
それで懸念していたCVですが、こ れ は ひ ど い
シャルル役の神木さんは役者としては凄いんでしょうけど、ホント声の仕事は向いていないと思います。これまでも散々やってるんだからそろそろ気づいてもいい頃だと思います。
ただ、シャルルはあまり感情の起伏が大きいキャラではないのでまぁ我慢出来ます。が、ヒロインはだめ。ひどすぎる。そもそもファナは、序盤の無表情キャラ、中盤の普通の少女キャラ、終盤の王女キャラとまったく異なるキャラクターを出さないといけませんし、その上歌を歌うという映画オリジナルの設定が付け加えられているので歌もうまくないといけません。しかも喜怒哀楽が意外と大きいです。そのため非常に高度な技能が要求されるんですが、中の人はまったくその技量を持っていませんでした(歌も下手)。モブキャラとしても失格レベルの演技でヒロインをやるのは無理だろ。日本にはこういう役にも耐える優秀な声優さんがいっぱいいるのになぁ。水樹奈々とか。
あ、千々石役は悪くありませんでした。まぁあくまで比較の問題で、長尺のセリフはやっぱりだめでしたけど。
ということで、全体としてみればギリギリ及第くらいかな…小説が素晴らしかっただけに期待はずれでした。あと声優を選んだスタッフは二度とこの業界に関わらないでほしい。BDを購入するかどうかは微妙なレベル。特典次第かな…
10/28追記:すいません。キャラデザは貞本さんじゃなくて松原秀典さん(エヴァ新劇場版の作画監督)でした。確かにスタッフロールの中に貞本さんの名前を見た気がするんだけどな…おかしいな…
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