東京にいるにもかかわらず、どうしても見たくなったので錦糸町の映画館に行ってきました。朝から。
劇場版「ペルソナ3」 #4 Winter of Rebirth
監督:田口智久
公式:劇場版「ペルソナ3」 公式サイト
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あらすじ
12月2日。理、アイギス、そして望月は、10年前の記憶を取り戻した。美鶴の祖父が集めたシャドウ、それは滅びをもたらす究極のシャドウ「デス」を召喚するためのものだった。しかしゆかりの父親の抵抗により事件は失敗。不完全な形で産み落とされたデスは12の大型シャドウに分散し、本体はアイギスと交戦して倒され、彼女の手によって、偶然現場にいた理の中に封印されていたのだった。そして理がこの街に戻ったことで大型シャドウが目覚め、それをS.E.E.S.が倒すたびに、デスは力を取り戻していたのだ。望月は、自分こそが理の中に眠っていた「デス」そのものであることを明かす。そして自分は死をもたらす「ニュクス」の到来を告げる宣告者であり、ニュクスが降臨すればこの世界の全ての命は死に絶えることを告げた。そして、理に、死の運命はもはや避けられないが、自分を殺せば、影時間に関する全ての記憶を忘れ、死を迎えるその日まで穏やかに過ごせるだろう、と告げて去って行った。
ニュクスは「死」の概念そのものであり、決して倒せないことを知って、絶望にうちひしがれる一同。終わりが近づくにつれ、世間を騒がせていた無気力症はますます蔓延し、世の中全てが不穏な空気に包まれていた。S.E.E.S.の面々も例外ではなく、次第に諦念が支配していく。理も、望月を倒すべきかそうでないのか、答えは見いだせずにいた。
12月25日。突然現れたエリザベスは、街を案内してくれるよう理に頼む。天真爛漫なエリザベスは理を振り回すが、最後の意味深な言葉に理は気づかされる。自分は10年前から本当の意味で生きてはいなかった、しかしこの街に来てようやく、仲間達との出会いを経て、生きることを始められたのだ、と。そして仲間達も、これまでの大切な人との思い出から、それぞれ生きる意味を再確認し、立ち上がろうとしていた。
12月31日。最後の決断を迫りに来た望月に、理は望月を殺すことなく、最後まで運命に抗っていくことを宣言する。S.E.E.S.の面々も皆同じ気持ちだった。しかし万が一ニュクスを倒すことに成功しても、影時間は消え、これまでの記憶は全て無くなってしまう―一同は、必ず記憶を取り戻せると信じ、卒業式の日に学校の屋上で再会して、満開の桜を見ようと誓うのだった。
1月31日、望月に教えられたニュクスの降臨場所―タルタロスの屋上へと一同は向かっていた。強力なシャドウやストレガの襲撃に苦しみ、足止めを買って出た仲間と別れながら、理は屋上にたどりつく。そこに待っていたのはニュクスに取り込まれた望月―ニュクス・アバターだった。圧倒的なその力の前に、ペルソナを覚醒して応戦する理。しかし仲間達の力を結集しても、ニュクスを倒すことはできなかった。ニュクスの本体である月が地上に迫り、次々と倒れる仲間達を見ながら、理は自分の全てと引き替えにしても、この世界を救いたいと強く願う。その願いが彼の中に眠る最後のペルソナ―ザ・ユニバースを呼び起こし、理はニュクスを封印するのだった。
3月5日。一同は卒業式に出席していた。記憶を失っていた彼らだったが、空に舞う桜の花びらをみた途端に、全てを取り戻す。そして屋上に向かうと、そこに待っていたのはアイギスと、自らの役割の終わりを知って眠る、結城理の姿だった。
感想
すばらしい映画でした。これまでの3作どれも全て良かったですけど、最後は本当良かった。1本の映画で、2回泣いて2回泣きそうになったのは初めてです。これまでの3作をBDで見ている人でも、最後だけは劇場に足を運んでみて下さい。
今作は、エンディング以外はすごく王道のストーリーなんですよね。友の裏切り、主人公に委ねられる重大な選択、死者の言葉や思い出が救いとなる展開、ここは俺に任せて先に行け、ピンチに真の力が覚醒、ロボの涙、記憶の喪失と復活などなど。悪く言えばどこかで見た展開が目白押しです。でもそれが圧倒的な説得力をもって描かれているため、「陳腐」ではなく、堂々たる「王道」として楽しむことが出来ました。
特に仲間達が絶望から復活するシーンは本当に良かったです。ああいうシーンは、あまり描きすぎると主人公がかすむし、かといってあっさりすませると盛り上がらないしでさじ加減が難しいところだと思うんですが、その辺りのバランスもすばらしかったです。前3作で、彼らと大切な人達との思い出を描くのに十分な尺をとっていたからこそ、このシーンが胸に迫るんですよね…美鶴のシーンは泣いたよ…
また理復活のシーンでエリザベスを持ってくるのも憎いところです。あそこで理が自力で立ち直っちゃうと興ざめですが、かといって助けに来られる仲間もおらず(全員絶望に沈んでいるので)、どうするかなーとおもっていたのですが、超然としていて、それでいて理のことを本当は想っている彼女はまさに適任だったと思います。
そしてラストのアルカナバトルを省略なく描いたところもすごい。あれはゲーム的な演出で、実際に映像化すると地味な絵面になるのは分かっていたのに、きっちりやってくれましたね。それに仲間のペルソナの覚醒を被せてきたりするのもわかっているとしか。エンディングもゲームのテイストを生かしたよい終わり方だったと思います。あのシーンの解釈については、是非劇場でパンフレットを購入してみて下さい。まぁ最後にエリザベスがワンカットだけ登場するので、わかる人には分かると思います。
そんなわけで、1年半待ったかいのある、すばらしい映像化でした。P3はP4に比べてストーリーが暗いし、人間関係もぎすぎすしているのでどうなることかと思っていたのですが、P4に並ぶ名作になったと思います。今作のBDが出たら、全4作を通して視聴してみるつもりです。その前に第3作のBD買わなきゃ。
オーディオコメンタリー感想(2017-07-17追記)
今回の参加者は、理役の石田彰氏、アイギス役の坂本真綾氏、第4章監督の田口智久氏、アニプレックスの足立Pという、「最終回だから真面目なコメントを期待されている」メンバーでした。(ところで坂本真綾さんの名前を今まで「↓ま↑あ→や」というアクセントで読んでいたんですけど、「↑ま↓あ→や」が正しいみたいですね)
面白かった話としては、「オーディオコメンタリーのメンバーはその時々でホットなメンバーを選んでいる」「上映後にやった舞台挨拶は(観客が泣いていたりして)正直でづらかった」「(石田)脚本家の人はこういうシーン(理と綾時の一人二役シーン)を避けて書こうとか思ってくれないんですかね」「(坂本)ひさしぶりにシリアスで人間のアイギスを演じたけどやはり難しい」「声優の演技を聞いて絵の表情を変えたりすることはよくあった」「(田口)ゲームと映画を同じ印象にしたいと思って作った」「(田口)スタッフから(作画が大変なので)この雪はいつ止むんだと言われた」「(石田)P3をプレイしていると中の人の顔が脳裏に入ってくるので、メインの人たちは外してコミュを進めていた」「(坂本)それ声優あるあるですよね」「(石田)コロマルの人気が高すぎて嫉妬」「コロマルの声優が秘密なのは大人の事情。きちんと中の人はいる」「(石田)一番好きな台詞は、エリザベスのデートの最後に言う『そう 満足?』」「屋上で再会を誓うシーン、空の色が常にグラデーションで変化していっているところに注目してほしい」「ラストシーンはキャラクターの主線の色を変えているので明るい雰囲気になっている。監督ではなく色彩設定さんのこだわり」「(田口)業界入るまでP3のことは知らなかった。今年31歳。」「ラストシーンの解釈はそれぞれしてほしい」「ラストシーンのエリザベスのその後をアトラスさんに描いてほしい」などでした。
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