2020-08-01
【ゲーム】ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ レビュー
P5の続編であってP5Rの続編ではないので要注意。
ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ
プラットフォーム | PlayStation®4 Nintendo Switch™ |
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ジャンル | アクションRPG | |
価格 | 通常版:8,800円(税別) 限定版:13,800円(税別) |
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公式 | ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ | 公式サイト | |
プレイ時間 | 1周目:54時間 |
ストーリー
- あの事件から半年後。それぞれの道を歩み始めた怪盗団の面々は再びルブランに集まり、夏休みの計画を立てていた。そんな折、一同は見知らぬ異世界に入り込んでしまう。そこはかつてのパレスと似ているものの、キングと呼ばれる存在が、人々の願いを奪い取って洗脳するための世界―ジェイルだった。その事件の実行犯として警察から追われる身となった怪盗団は、自らの潔白を存在し、事件を解決するため、各地のジェイルを巡る旅に出かけるのだが
というストーリー。
- 個人的には、今回の全体的なストーリーはちょっと気になる内容でした。前回はモルガナがパレスのことについて一通りの知識を持っていて、そこでの立ち振る舞いがどういう結果を引き起こすのか事前に予測が立てられていたのですが、今回のジェイルは一行にとって未知の世界なので、行動には慎重さが求められるはずです。それなのに、よく分からないまま手探りで他人の精神世界をいじったり、人々から熱狂的な支持を得ている作家や政治家をすぐ洗脳によるものだと断定してつるし上げにかかったりと、怪盗団の行動が雑というかなんというか。
- また表のラスボスの思想は(以下ネタバレなので反転)、改心のシステム化で、あくまで目に付いた人間を一人ずつしか改心できない怪盗団の活動の規模を拡大しようとしています。その場合の「改心」はあくまで表のラスボスの善悪基準に基づいているので、怪盗団は、それは洗脳であり独裁だと言うんですけど、ラスボスからはお前らのやってることと何が違うのかって当然言われるんですよね。それに対する答えを怪盗団側は出せていなかったと思います。てっきりここで「全会一致」という怪盗団の掟がスポットライトを浴びると思ったんですが。あとこのラスボス、やっていることがP5Rの追加ボスの焼き直しのような。
- それからそのあとに登場する黒幕なんですけど、(同前)その目的は人々の洗脳ではなく、あくまで人々の望みをAIというシステムを介してかなえることが目的になってます。まあその手段を明らかにせず人々を引き込んでいるので、それが正義だとは思えませんが、少なくとも「他人が望まないことを押しつけている」という理由でパレスの主やジェイルの王を断罪してきた怪盗団は、その正義のよりどころを失っているんですよね。そこに対するフォローがなかったのも気になりました。今回は全体的に、怪盗団の独善的…とは言いすぎですが、高校生という若者の人生経験の延長で行動しているところが目立っていたように思います。
- それに細かいところもちょっと気になります。怪盗団がどういう手段で改心行為を行っていたかは警察サイドには把握されているはずです(獅童が改心した状態で逮捕されてますからね)。それなのにその怪盗団のお目付役としてきた善吉が、認知世界について無知っていくら何でも人選ミスでしょ。
- ただ、じゃあストーリーはダメかと言われるとそんなことはないです。東京を離れ、各地をキャンピングカーで回りながら青春を謳歌する怪盗団の面々は見ていてとても楽しかったですし、後述しますが個々素晴らしい出来のエピソードもありました。P5では雨で流れた花火大会や、春がいなかった海遊びなどのイベントもあり、また風光明媚な観光地を眺められるアドベンチャーパートも悪くなかったです。コロナ騒ぎが収まったらぜひ聖地巡礼してみたいですね。
システム
- 今回はストーリーは一本道です。ADVパートはフラグを立てながらストーリーを進めるオーソドックスなADV方式で、P5のように行動の選択肢が多いタイプのゲームではありません。本作はアクションゲーなのでこれでいいと思います。
- またP5同様、ペルソナの合体・収集が出来るのもうれしいところ。今回はラヴェンツァが優しく手ほどきしてくれるのでありがたいですね(まあ双子も可愛いんですけど、今回は出番ありません)。合体システムはP5に比べると大分簡略化されていますが、そこも本筋とは関係がないので別に問題ないと思います。作中ではあまり説明がないんですが、力の継承を使えばALL99のペルソナを作るのもさほど難しくはないので、育成好きも安心ですね。ただALL99のペルソナを作っても、戦闘が劇的に楽になることはありませんけどね。
- 今回一番気になったのは、ロードの長さです。NSWだからかと思ったのですが、他のレビューを見てるとPS4でも似たようなものみたいですね…。まさか令和の時代になって、ロードの長さにやきもきするとは思いませんでした。特にゲーム起動時、ジェイル進入時、ベルベットルームからの帰還時はひどかったですよ。あとダンジョンを脱出するとアジトではなくアジトの前に飛ばされるのもなんとかしてほしかったです。
- UIも、P5に寄せているのは分かるんですけど、残念ながらあの独特なセンスを再現できていません(これ同じUI担当の人が作ったんじゃないですよね?)。残念ながら劣化しているように見えます(yukkun20のようなセンスのない人間が何を言ってるのか)。そしてそれを再現するために、ロード時間が犠牲になっている気さえします。例えばアジトでセーブする場合、セーブ画面の呼び出しは一瞬なんですよね。でもメニューからセーブ画面を呼び出す場合、双葉とネクロノミコンの簡単なアニメーションが表示されるんですけど、そのアニメが中途半端に長いんだよな…。上記の通り一瞬で呼び出す事が技術的に可能なはずなのに、わざわざアニメを見せたいがためにテンポを損なっている感じがします。これも主観かも知れませんが。
キャラクター
- PCキャラは全部で10人。これまでの怪盗団の面々8人(ただしナビは操作できない)に加え、善吉とソフィアという新しい仲間が加入しました。各キャラもP5のときから学年が上がり、進学した人もいますが、基本的には高校生だった時のノリを引き継いでいるので、怪盗団のその後を見たい人には十分満足がいくと思います。
- そして新キャラですが、このふたりのキャラクターも、その周りのストーリーも、どちらも素晴らしかったです。
- ソフィアは自身の存在意義について悩むという、お馴染みのポジションのキャラです。その展開上、最後は悲しい別れになると覚悟しながらプレイしていたのですが、素晴らしいエンディングで大満足です。あと個人的には、存在意義についてうだうだと悩むことなく、自分なりの答えを見出して前向きに歩むソフィアのキャラクターは結構刺さりましたね。こういうキャラに人生を導いてほしいものです(このゲームから何の教訓も得てない人のセリフ
- 善吉も人間くさくて良かったなぁ。ザ・三木眞一郎氏って感じのキャラで、大人のダメなところと頼れるところを一心に併せ持ったキャラでした。娘と組織と仲間と、いろんなしがらみに絡まれながら、自分なりの正義を模索していく彼の姿には一番感情移入できましたね。彼と怪盗団の絡みをもっと見ていたかったです。
- P5のコミュキャラが惣次郎と冴以外登場しなかったのは泣ける。千早…べっきぃ…
戦闘
- 4人パーティで大量に出現する敵をバッタバッタと倒しながら進んでいくということで、無双系と思われているかも知れませんが、全然違いました。むしろ数の暴力に押し流される系です。難易度NORMALでプレイしているのに、めちゃくちゃ戦闘不能になります。TPを派手につかうとすぐガス欠になってアジトに戻らないと行けなくなります(幸い今作は一日に何度でも潜れるので問題ないですけど)。特にゲーム操作に慣れるまではかなり大変でした。そういう意味で、ペルソナのハラハラするターン制バトルをうまくアクションに落とし込んでいるな、と感心しました。
- 戦闘はこの手のアクションゲームの中ではかなり面白かったです(yukkun20はアクションをほとんどプレイしませんが、少なくともこれまでプレイしたどの無双系よりも面白かった)。中盤以降それなりに堅実に立ち回れるようになったり、ジョーカー以外のキャラの操作もできるようになると面白さがじんわりと分かってきました。ただボスはHPが非常に高いので、若干単調な感じは否めませんでしたけど。補助スキルをもっとガンガン使えば良かったのだろうか。ラスボス戦で初めてその有用性に気付いたあたりが、yukkun20のアクションゲームの苦手さを物語っている気がします。
- ジョーカーはこれまで通りたくさんのペルソナを切り替えながら戦うことになります。ただ戦闘での操作はあまり複雑すぎることはありませんし、ペルソナのスキルを発動する時やアイテムを使用する時は時間が止まるので、あまりせわしない感じはありませんでしたね。
総評
- そんなわけで、yukkun20が苦手な分野のゲームではありましたが、十分楽しませてもらいました。ただ、ストーリー、システム、バトルのいずれも賛否両論な感じで、ペルソナ信者のyukkun20でも手放しで褒められる出来ではなかったです。
- 一方で、続編から加入したキャラと、前作からの続投キャラの両方がうまく扱えていたのは高く評価したいです。新加入キャラは続投キャラを食うほど目立つこともなく、それでいてしっかり存在感を示し、そしてそれまでのキャラとはまったく違った立ち位置を確立してくれました。かすみとの絡みが見られなかったのはとても残念ですね。
- そんなわけで、ペルソナが好きでアクションも好きならおすすめできるゲームです。アクションが苦手でも、EASYでさくさく進めることも出来るので、P5のその後が気になる方はぜひプレイしてみてください。トロコンまで行けるか心配?NSW版をプレイすればいいんじゃないかな(放り投げ