2019-10-28
【ゲーム】ラングリッサーⅠ&Ⅱ レビュー
SRPGの楽しさの根幹について考えさせられる作品。
ラングリッサーⅠ&Ⅱ
プラットフォーム | PlayStation®4/Nintendo Switch™ | |
ジャンル | 戦術型シミュレーションRPG | |
価格 | 6,800円(通常版) 9,800円(限定版) 16,800円(豪華限定版) |
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公式 | ラングリッサーI&II 公式サイト | |
プレイ時間 | 1周目:35時間(Ⅰ)/54時間(Ⅱ) プラチナ:89時間 |
ストーリー
- はるか古より、手にした者に無限の力を与えるという聖剣ラングリッサー。大陸に戦乱の嵐が吹き荒れるこの時代、争いのない世界のために聖剣を求める者は後を絶たない。そしてまた、聖剣の力に魅せられた時の皇帝が動き始める―
- ということで、90年代に人気を博したSRPGのリメイク版です。ⅠとⅡ、2本分のゲームが収録されていますが、ストーリー的には聖剣と、その対になる魔剣をめぐる主人公たちと帝国、そして闇の勢力との三つ巴の戦いが描かれています。
- 90年代という性質上仕方ないのですが、ストーリーは結構淡泊です。ADVパートとSLGパートを繰り返すオーソドックスなスタイルなのですが、ADVパートが非常に短く、キャラごとの掘り下げもほぼありません。またADVパートも会話が洗練されていないというか…尺が短いのに「よし、準備ができ次第やつらを追うぞ!」「準備が出来ました!」「よし、やつらを追うぞ!」みたいな台詞回しがそこかしこに…
- ただ、面白くないかと言われるとそういうことはありません。Ⅰは8ルート、Ⅱは13ルートに分岐しますが、光輝の末裔として帝国を滅ぼす王道ストーリーあり、帝国と和解してかつての仲間と戦う話あり、闇と手を組んで人類を滅ぼす話ありと振れ幅がかなり大きく、先が気になるところも結構多かったです。人類絶滅エンド(文字通り)が本当に描かれるゲームは初めて見た。他方で、ルート差分があまりにわずかすぎて、「このルートは水増しにしかなってないんじゃ…」と思うところもありました。両方ともルートをもう半分くらい減らしてもいいはず。
システム
- 戦闘以外の部分は割とオーソドックスなADVになっていいます。全編フルボイスで、演技も良かったです。時折印象的なスチル絵も挿入されます。しかしキャラの立ち絵、もう一回り大きくてもよくないですか?
- ストーリー分岐はチャート貸されているのでわかりやすいです。しかしルート分岐条件は、一度そこを通過しないと分かりません。また読んだだけではよく分からない条件もあり、発売後しばらくは攻略サイトが少なかったこともあり、結構心配しながらプレイしてました。今は↓のサイトが非常に充実しているのでその不安はなくなってます。
- ただ、チャートは現在進行しているところしか見られない、過去には戻れるが未来には戻れない、最終マップをクリアすると1章からやり直しになる(最終マップを途中でリタイアし、ルート分岐点に戻ることで事実上続けてプレイできますが)など、周回前提なのにめんどくさい仕様になっています。
キャラクター
- 敵味方とも魅力的なキャラがそろっています。またルート分岐で敵味方が完全に入れ替わったりするので、敵だと思っていたキャラが味方になると意外な姿を見せたりして面白かったです。例えばⅡには悪の帝国の宰相を務めている闇魔道士という、「こいつ絶対黒幕だろ!」というキャラがいて、実際正史ルートではそんな感じで終わるんですが、帝国と協力するルートに進むと、そのキャラも世界平和について真剣に考えていることがわかり、力による統一に何の対案も示さず抵抗するだけの光輝の末裔の方がうっとうしくなってくるのは良くあること。
バトル
- 2Dマップでのスクエア制のSRPGです。高低差やユニットの向き、ZOCなどの概念はなく、SRPG界で言えばFEタイプです。
- 特徴的なシステムとして、キャラにはHPとMPが設定されていますが、HPはそのキャラの体力ではなく、そのキャラの率いる小隊の人数という扱いになっています。そのため互角のユニット同士が戦闘する場合でも、体力に差があると、戦闘前の体力の少ない方のキャラの方がダメージが大きくなります。またどんなに強力なキャラでも戦闘を繰り返していると次第にHPが削られてしまうので、それなりに戦略性もあります。
- また、主役級のキャラは、自分の直接率いる小隊の他に、雇った傭兵(モブキャラ)の率いる小隊をいくつか率いることになります。傭兵小隊もマップ上は一つの独立したユニットとして扱われて、個別に行動させることも可能ですが、面倒なら主役級キャラに追随するように自動で動かすことも可能です。傭兵キャラは主役級キャラの近くにいないと著しく戦闘力が落ちるという特徴がありますが、ほとんどのキャラは隣接マスにしか攻撃が出来ないため、ZOCはないものの、隘路を使って敵を封じ込めるなども可能です。
- 敵も傭兵小隊を使いますが、敵味方ともに、主役級キャラのHPが0になると、傭兵小隊は全滅します。なので主役級キャラを集中攻撃して敵を素早く倒すか、傭兵小隊から狙って経験値を稼ぐかというジレンマもあります。
- ただ、序盤をすぎると非常に退屈になります。理由はいくつかあります。
- 獲得経験値は敵とのレベル差で定まるが、敵のレベルは味方レベルにかかわらず固定なので、2周目以降ほとんど経験値が入らなくなる
- キャラクターはSPというポイントを消費することでクラスチェンジし、パラメーター上昇、新たな傭兵の雇用、パラメーターを上げる称号獲得などのメリットが得られるが、SPはレベルアップで獲得するしかない(あとは各マップで最も敵を倒したキャラにMVPとして1~5ポイント入るだけ)ため、後半になるとクラスチェンジもほとんど出来なくなる
- ⅠとⅡのシステムが全く同じ
- この状態で、ⅠとⅡ合わせて150ステージ以上をプレイするのは本当に辛かったです。プレイ時間90時間というのは、最近プレイしたゲームだと「ネルケのアトリエ」が近いですが、プレイ期間はネルケは1ヶ月なのにこれは半年ですからね…正直トロコンがなければⅠの途中で投げていたと思います。
- 結局SRPGの最大の敵は飽きなんですよ。飽きないように、キャラクターの成長が頻繁に起こるようにしたり(FEとか)、クラスチェンジを頻繁にしたり(TOとか)、マップギミックに趣向を凝らしたり(戦ヴァルとか)、ADVパートの配分を増やしたり(SNとか)しないとダメなんです。このゲームはそのどれも出来ていない。
- だったら彼我戦力差を強くして、2周目以降が消化試合にでもなってればいいんですが、前述した傭兵小隊は成長しないので、主役級キャラの戦力差が敵味方で開いても、傭兵の差はそれほどなんですよね…数で言うと傭兵ユニットの方が多いので、結局傭兵同士のがっぷり四つの戦いを見守らないといけない…これも痛かったです。
総評
- ⅠもⅡも1周目はかなり面白かったので、ゲームシステムとボリュームがうまくかみ合っていなかったのが敗因のような気がしますね…しかもそのあとに出たFE風花雪月がSRPGとしては異色の面白さなので完全に日陰者になってしまいました。傭兵ユニットとか、見るべき所もあったのですが残念な出来でしたね。今年プレイしたゲームの中では最下位ですかね…
- あと書くところがなかったのでここに書きます。メインストーリーは章立てになっていて、それぞれの章であらすじを読むことが出来るんですけど、あらすじの作者の日本語表現がどうにもこうにも気持ち悪すぎてすごく気になります(特にⅡ)。これ自分だけでしょうか。
禁断の地ヴェルゼリア。古の時代、この世界を闇に閉ざそうとした魔族が封じられたとされる土地である。その地下にある闇の神殿ではまがまがしい石像に囲まれ、松明の光に照らされた巨大な祭壇が、不気味に浮かび上がっていた。その祭壇には一振りの大剣と、左右にリアナに良く似た二人の少女が立ちつくしている。そして祭壇の前に立つ黒衣をまとった男の口から発せられる詠唱は、魔剣の復活が近いことを告げていた。
(ⅡGルート16章より)
光輝の末裔が現在拠点としているツインキャッスル……。その城は守りやすく攻め難い。まさに戦国の城と言えた。このツインキャッスルは、その昔ラングリッサーを手に入れるという野望にとりつかれた古の王が治めていた双塔の城であった。
交戦に意を決した光輝の軍勢。シェリーは内部への侵入者をここで防ぐため、兵を布陣して待ち構えていた。(同20章より)
なんで無生物ばかり主語にしたがるの?そのせいで修飾語の数が無駄に多くなってるんですけど?「一振りの大剣」に対応する述語がない!「立ちつくしている」っていう必要ある?立っているでよくない?「リアナに良く似た二人の少女」ってあるけど、「リアナと、彼女によく似たもう一人の少女」が正しいのでは?「治めていた双塔の城であった」って過去形を2つ重ねるのは止めれ。「交戦に意を決した」って「交戦を決意した」でよくない?「内部への侵入者」って外部への侵入者がいるか!「ここ」ってどこ?城門?玄関ホール?
エグベルトから和解についての話し合いを持ちかけられた一行は、無事に帝都へとたどり着くことが出来た。
しかし、話し合いの場所であるレイガルド城で目にしたものは、ボーゼルの裏切りに遭い、すでに事切れた皇帝ベルンハルトと、危機に陥っていた帝国軍であった。(同Dルート14章より)
一行が城で目にした時にはベルンハルトは普通に生きてましたし、話もしてます。そこにボーゼルが突然現れてベルンハルトを暗殺したので完全に嘘予告になってます。
…と一事が万事気になります。まあ本筋とは関係ないのですが。え?お前も誤字脱字多いだろうって?それを言うなよ。
※使用している画像は,いずれもPS4のスクリーンショット機能を利用してゲーム画面を撮影したものです。
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