2014-04-06
前巻読んで2年たっていることに驚愕ですが、宮部みゆき先生の「ここはボツコニアン」2巻を読みました。3巻もとうの昔に出ていますけどね。
前巻の感想はこちら。→ここはボツコニアン 感想 | Y.A.S.
ここはボツコニアン 2 魔王がいた街
著者:宮部みゆき
価格:1000円
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あらすじ
本物の世界の「ボツネタ」が集まってできた出来損ないの世界「ボツコニアン」。何者かによって勇者「長靴の戦士」に選ばれた双子の姉弟ピピとピノ(まとめてピノピ)は、かつて魔王が住んでいたという街アクアテクに到着。そこで出会った物知り少年・ポーレ君といっしょに住民の失踪事件を追いながら魔王の痕跡を探していたところ、ついに緩すぎる旅に終止符を打つべく中ボスが襲いかかってきた!
感想
相変わらずメタネタ、パロネタのオンパレードのファンタジー小説です。書き出しからしていきなり
突然ですが、「小説すばる」の編集長が替わりました(※小説すばるはこの作品が連載されている雑誌)
※8ページより引用
だったり
今月の作者は、PSPで『タクティクスオウガ 運命の輪』をやりすぎて五十肩を発症しております
※96ページより引用
だったりとフリーダムすぎます。(ちなみに後書きでもまだTOプレイ中)
ストーリー的には、行方不明になった幼なじみを探したり(原因は両親の離婚)、連続少女失踪事件を捜査したり(モンスターを倒しても経験値やお金を落としてくれないので、生活のため)、氷属性の中ボス「氷の微笑」(当然ノーパン)と戦ったりと、普通にファンタジーしているはずなのに、なぜこんなに緊迫感がないのか。
そしてよく分からない旅の目的でしたが、ようやく「回廊図書館の鍵を7本集め、その鍵で開いた扉の先でそれぞれ伝道の書を合計7冊集め、魔王の居城にたどり着く」というわかりやすいフラグが立ちました。ただし現在主人公パーティは、文無し宿無しのところを救ってくれたポーレ君のお母さんに恩返しするため、あんまんの製造元を突き止めようとしたら二軍三国志(すでに死んでいるか、本編には声がかからないほどのマイナーキャラの集まった三国志)の世界に迷い込んだ状態なので、これからどうなるのかはまったくわかりませんね。自分であらすじ書いていても訳わからないし。
それから、主人公たちの案内役「トリセツ」もいまいちなにを考えているのかわかりませんね。裏切りフラグが立っているような気がしつつも、ギャグ小説で裏切りとか入れてもギャグにしかならないような気もするので…
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2012-04-11
宮部みゆき先生の最新作(だっけ)「ここはボツコニアン」を読みました。久々にラノベじゃない小説読んだなぁ。ラノベの定義はよく知りませんので、何をもって「ラノベじゃない」と言っているのかはつっこまないように。
さて宮部先生といえば知る人ぞ知るゲーマーで、ICOの小説とかも書かれている方ですよね。うちのサイト的なネタで言えば、TOAをプレイされていたという話を聞いています。僕は先生の熱烈なファン…というわけではないのですが、以前先生がRPG的な世界を舞台に書かれていた「ブレイブ・ストーリー」が面白かったので、ちょっと気にはしてました。
そんな時本屋で、「わたしもゲーム女のはしくれ。ずうっと書きたかったお話なんです」みたいな帯が付された本を見かけたら、それは買わないわけにはいかないでしょう。
あらすじ
本物の世界の「ボツネタ」が集まってできた出来損ないの世界「ボツコニアン」。そこに住む双子の姉弟ピピとピノ(まとめてピノピ)は、世界をよりよい世界に作り変えるため、何者かによって「長靴の戦士」に選ばれ旅に出る。RPG的でありながらどこか不条理なこの世界で二人は何を見るのだろうか――
感想
普通のファンタジー小説の様相ですが、実際にはRPGのプレイ日記的なものに近いかもしれません。作者が世界設定に突っ込んだり、登場人物が「本物の世界」(いわゆる現実の世界)のネタを電波によって受信したり、普通にファイナルファンタジーだのマリオだのといった名前が伏字にすることなく出てきたり、とメタ的なネタがそこかしこに出てきます。
世界もさすがボツネタを集めただけあって不条理の連続です。「敵が強すぎるチュートリアル」「使用者のSAN値をゴリゴリ削るエフェクトの魔法」「毒状態でもないのに移動するだけでHPが減少する仕様」(ちなみにお弁当は満腹度を回復させてくれるがHPは回復できない)など、クソゲーといわれても仕方ない内容がてんこ盛りです。主人公の二人は単に世界によって選ばれただけで、強力な特殊能力を持っているわけでもなく、そのたびに知恵と勇気とご都合主義で乗り越えて行きます。それがおもしろい。RPG好きならニヤニヤする展開もたくさんありますよ。
ちなみにヒロインのピピはなかなかにかわいらしく描かれているのですが、主人公たちは姉弟なのでラブロマンス的な要素は皆無です。あしからず。
タイトルを見て1冊完結かと思っていたのですが、どうやら現在でも好評連載中の模様。続きが気になるので、次巻も買ってみようと思います。しかしこの先生も速筆ですね。別に誰と比較しているわけではありませんが。