2014-04-20
シュタゲ小説なのですが、内容に触れないと非常に感想が書きにくい小説なので、今回はネタバレありになっています。
あらすじについては中盤あたりまで触れていますが、こちらは大きなネタバレではないです。感想の中では今回の小説に登場する「新しい」キャラに触れていますので、それすら知らずに読みたいという方はスルーしてください。個人的には、「おもしろい」というより「考えさせる」小説だったとだけ。あと、線形拘束のフェノグラムのノベライズだと思って読むと後悔するかも。
Steins;Gate 線形拘束のモザイシズム
筆者:海法紀光
レーベル:電撃ゲーム文庫
価格:600円
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あらすじ
電話レンジは完成したものの、その存在については秘密にすることを決めてからしばらくして。岡部の携帯電話に「鳳凰院凶真」からのメールが届く。「任務開始。メールの指示を厳守のこと」と短く書かれたメールを見て、岡部はこれがDメールであると気づく。早速その指示に従い、仲間達と共に、鈴羽に飯をおごったり、入院している少年に劇を見せたり、とよく分からない活動に身を投じるラボメンたち。その中で岡部はラボメンたちとの交友を深めていく。
しかし、ある日やってきたメールは、岡部を現実へ引き戻すのに十分すぎる内容だった。「三〇〇万円用意しろ」「失敗するとまゆりは死ぬDメール禁止」岡部は2通目のメールを隠し、ラボメンたちに協力を要請するのだが―
感想
一応「線形拘束のフェノグラム」のノベライズと銘打ってはいますが、ゲームからは「アルパカマン」「ダルの嫁」「3人の鈴羽」「シャ・ノワール」「ラボの火事」などのキーワードが断片的に使用されているだけで、特にゲームシナリオの要素はありません。
これは、絶望岡部ならぬ、絶望紅莉栖の視点から描いた、もうひとつの「Steins;Gate」です。SERNの築いたディストピアで、ただ一人生き残った紅莉栖が、その未来を改変するために血と泥にまみれながらあがく―という重いストーリー。そのあがきは成功するのか、それとも失敗に終わるのか。最後にものすごいオチが用意されているので、覚悟して読んでください。前半部分は岡部がラボメンたちとキャッキャウフフする明るいノリで進行するのですが、そのギャップがすごいよ。最後のエピローグがシュタインズ・ゲート世界線とは少し違う世界線のようなのでそこは気になるところでもあるんですが。
ストーリーはやや難解だったのですが、こちらのサイトのおかげですっきりしました。→steins;gate 設定考察のトートエクスペリメント モザイシズム考察1:世界線及び時間推移
余談ですけどこのサイトの考察、深いですね。一度腰を据えて読まねば。個人的にはウロボロス考察にマジ期待してます。あれは本当よく分からない話だったからな…
一つ気になるところがあるとすれば、最後の最後で「お前いくら何でも科学ADVでそれはねーべ」という展開があったことくらいですかね。
これまたシュタゲファンにはマストバイな小説だと思います。本編でもフェノグラムでも比翼恋理でも救済されなかったあのキャラが救済されているというところがちょっと笑える。あとオカリンとダルはほんと仲いいな。
「雷ネットは読み合いのゲームだろ。普通は揺れることのない平常心が必要だお」
「なるほど。この鳳凰院凶真が、機関の洗脳と戦うために編み出した精神統一法、虚空に一人(コールドクリエイション)が役に立つと」
「それだお! その何考えてるか、わからない感。全身から発する挙動不審オーラ! 痛々しくて直視できないから観察もできない! それこそがオカリンの武器だろ!」
「帰る」
「ぎゃ、逆に考えるんだ。挙動不審でもいい、と、考えるんだ!」
「ええい、わかった。わかったから、涙目で袖をつかむな!」
※115ページより引用。
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ごめん、フェノグラムのノベライズじゃないって時点でダメだわー。
2014.04.22 04:41 | by Ivan
この作品はフェノグラムのノベライズと銘打つべきでなかったのではと思います。普通に外伝小説としてやっていける内容なのに…
でもレビューにも書きましたが、読まず嫌いはちょっともったいないかもですよ。
2014.04.22 23:17 | by yukkun20
>読まず嫌いはちょっともったいないかもですよ
ごもっともですが、それ言っちゃうと買いたい作品がいくらでも出てきてしまいます。
2014.04.23 00:08 | by Ivan
たしかに。全部買ってるとお金も時間も足りないですからね…
2014.04.24 23:48 | by yukkun20