2014-04-15
【小説】マグダラで眠れⅤ レビュー
ツンデレ!ツンデレ!な5巻です。
マグダラで眠れⅤ
クースラたちの活躍により、騎士団は包囲された火山の街から逃れることに成功。他の騎士団の根拠地となっている港町ニールベルクに逃げ込むことが出来た。ニールベルクも包囲はされているが、脱出の際に活躍し女神と祭り上げられたフェネシスが到着したこともあり、しばらくは持ちこたえられそうな雰囲気だった。クースラたちは早速街の文献の調査を行い、かつてこの街にいた異端審問官コレド・アブレアが、フェネシスの一族やクースラの求めるオリハルコンについての情報を持っている可能性が高いことを突き止める。
その頃、ニールベルクではひとつの問題が持ち上がっていた。戦士たちに神の祝福を告げる教会の鐘楼の製造がうまくいかず、何度作っても割れてしまうのだ。錬金術師として鐘の製造を命じられたクースラたちは失敗した場合の責任追及を恐れて及び腰だったが、ある事件をきっかけにそれから逃げることは出来なくなってしまう。そんな中、フェネシスは街の人々を納得させるため、自分が人柱になると言い出したのだが―
感想
3~4巻あたりは命の危機が迫りすぎていて、クースラの本来の目的についての進展があまりなかったのですが、ここへ来て大きく物語が進展しそうですね。
今回は前巻のような大スペクタクルはなく、おおむね街の中で話が進むのでちょっと地味でしたけど、その分クースラとフェネシスのいちゃいちゃに集中することが出来ました。だっこしたり膝枕したり、すっかり恋人関係じゃないですかーどうしてこうなった!
今回クースラたちは、知人を助けるために奇跡を起こし、それによって窮地に陥ります。
一度目の奇跡の後には二度目の奇跡を。二度目の奇跡の後には三度目の奇跡を。
そして、いつか応えきれなくなり、人々は身勝手にも思うのだ。
彼らは出し惜しみをしているのではないか?
いや、そもそも我々を騙していたのではないか? と。
※301~302ページより引用
という群集心理が危機を招くわけです。
しかしそれを救ったのは、これまでクースラたちを単なる便利な使い捨ての道具としてしか見ていなかったアイルゼンが、クースラたちの起こした奇跡を見て考え方を変えていたからだった、というのもちょっと考えさせられる展開でした。
次回からはさまざまなしがらみから解き放たれたクースラたちの新しい旅が始まります。支倉先生によると、全体構想の半分くらいまで来たとのこと。本当に存在するかも分からないものを探して旅を続ける、というのは、前作「狼と香辛料」と全く同じなので、うまく差別化していってほしいなぁと期待しています。しかしウェランドとイリーネとはここでお別れなんですかねぇ。特にウェランドはイリーネやフェネシスとの掛け合いがおもしろくなってきたところだったので残念です。しかし1巻のときと比べるとずいぶん人間として丸くなってるなぁ。
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