2024-04-20
【ゲーム】ユニコーンオーバーロード レビュー
何でヴァニラウェアのゲームって例外なく面白いんですかね。
ユニコーンオーバーロード
プラットフォーム | Nintendo Switch™️ / PlayStation®4 / PlayStation®5 / Xbox Series X|S |
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ジャンル | シミュレーションRPG | |
価格 | 通常版8,778円(税込) 限定版17,578円(税込) ダウンロード豪華版13,178円(税込) |
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公式 | ユニコーンオーバーロード – 公式サイト | |
プレイ時間 | 1周目:99時間(トロコン) |
ストーリー
- フェブリス大陸を割拠する五つの国―そのうちの一つ、コルニア王国で突如クーデターが勃発する。王国を掌握した同王国軍のヴァルモア将軍は、新生ゼノイラ帝国の設立を宣言し、皇帝ガレリウスとして各国への進攻を開始する。城から落ち延びたコルニア王国の王太子アレインは、ガレリウスの手が届かないパレヴィア島で成長しながら牙を研ぐのだった。それから10年。大陸は全てゼノイラのものとなり、人々はその圧政にあえいでいた。成長したアレインは解放軍を率いて立ち上がる。人々を救い、故国を取り戻すために―
- 「十三機兵防衛圏」や「オーディンスフィア」などで知られるヴァニラウェアが開発したSRPGがついに発売されました。ストーリーは亡国の王子が国を取り戻すという王道パターンで、各国を回りながら仲間を増やして帝国を倒していきます。各国には帝国への抵抗勢力があり、彼らと合流しながら帝国軍を駆逐していく繰り返しであるにもかかわらず、各国の特色や個性豊かなキャラクター達、また濃い敵将などできちんと差別化されていて、最後までストーリーがだれることなく楽しむことが出来ました。
- 例えばドラケンガルドという国は元々コルニアとは仲が悪く、コルニアがゼノイラに征服された時にはアレインの従姉ヴァージニア(↑一番右)を保護してくれたのですが、元々は政略的な手駒にしようとしてたんですよね。しかしドラケンガルドがゼノイラに攻められると、第二王子ギルベルト(↑一番左)はヴァージニアと共に落ち延び、以来二人で協力しながらゼノイラへの抵抗を続けてきました。アレイン達解放軍がやってくると、ギルベルトはヴァージニアを介して援軍を要請し、アレインもヴァージニアを助けてくれたことに感謝して、過去の遺恨を越えて共闘するんですよね。死んだと思われていた第一王子なども絡んできて熱い友情や家族愛を楽しむことが出来ました。
- またヴァージニアは落ち延びる際、薔薇騎士団というヴァージニア警護を任されていた女性騎士団がその盾になって全滅してるんですよね。その想いに応えたいヴァージニアと、騎士団の生き残り(戦闘に出られない従騎士は数人生き延びている)が、単身薔薇騎士団の仇を討つため敵陣に乗り込んでいくシーンは(それを止めようとする解放軍陣営の動き含め)感動的でした。こういう騎士達の忠誠とか主従とかもかっこよく描かれていて刺さるんだよな。
- ストーリーは最後まで王道で、ヴァニラウェアの過去作のようにびっくりするようなどんでん返しはないんですけど、こういう王道ストーリーもちゃんと描けるのはさすがだと思いました。
システム
- 全体について
- SRPGなので、基本的にはADVパートとSLGパートを繰り返して進んでいきます。ADVパートはあまり特筆すべきことはないんですが、グラフィック、モーションともに安心して楽しめるレベルにまとまっていて、物語に十分没頭することが出来ました。背景とかもめっちゃキレイなんだよな…
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- 幕間ではワールドマップを自由に歩き回れるようになっており、移動先でイベントが発生します。発生したイベントは全てクエストとして管理され、特定のアイテムを集めたり、困っている人を助けたり、戦闘が発生したりといろいろです。メインストーリーもこのクエストの中に組み込まれ、基本的に好きな順番で攻略していけます。目安となる攻略レベルも表示されるので、順番に進めるも良し、ちょっと強い敵に挑んで一気にレベルを上げるも良しと、解放軍のリーダーとして主体的に進めている感じがありました。マップも隠し通路があったり、ミニゲームが出来たりと歩き回るのが面倒にならないようなしかけになっていましたし、ファストトラベルも充実していて移動のストレスは全然なかったです。
- ヴァニラウェアらしく、用語集が充実しているのも本当に嬉しい。キャラクターはもちろん、全ての町や砦についての設定や各クラスの立ち絵、背景などがいつでも見られるんですよね。yukkun20は設定が充実しているゲーム大好きなので。
- そしてエンディング後には、仲間達のその後が一人一人描かれるのも嬉しいですね。夢を叶えた人、国に忠義を尽くした人、研究に明け暮れた人、その後年は色々ですが、みなが解放軍で戦った経験を活かして幸せな人生を送ったというのはやはり感動するものです。
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- あとセーブ&ロードが爆速なのにもちょっとびっくりした。
キャラクター
- キャラクター同士には好感度があり、一緒のユニットで戦闘していると関係が深まっていきます。しかし好感度を手っ取り早く上げる方法、それは宿屋での食事です。一緒に食卓を囲めば背中を預けて戦う数倍の速さで仲良くなることができるでしょう(笑)
- こうやって仲良くなると、そのキャラクター同士で好感度会話が発生します。この好感度会話もすごくよく出来ていて、一つ一つは決して長くないんですけど、キャラクターの背景とか信念とか心情とかをのぞくことができるようになっています。後述の通りこのゲームはキャラごとの後日談があるんですが、好感度会話で語った夢が後日談で叶っていたりするとジーンとしますね。一般的なSRPGだと好感度会話は戦闘中に発生するものが多く、話の内容が限定されたり、戦闘中という場面にそぐわない会話になったりするものですが、本作では好感度会話は全てマップ上で発生するので、そういう制限がないのも良かったです。
- また関係がいい者同士を同じユニットに編成するとステータスにボーナスが付いたりするのも嬉しいですね。同じユニットになったらとりあえず宿屋で大食い大会開きましょうw
- アレインとの好感度を最高にすると、パートナーになる特別なイベントを起こすことが出来ます。そしてそのパートナーとエンディングでは…(※パートナーには男性も女性もなれます)
戦闘
- 兵種について
- このゲームは各キャラに兵種が設定されています。クラスチェンジは下級クラスから上級クラスに変化するだけで、自由にクラスを選べるわけではありません。例えばアレインなら最初はロードというクラスに就いており、途中でハイロードという上級クラスにクラスチェンジ出来ます。
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- 兵種ごとの相性もあり、騎馬系は歩兵系に威力2倍、飛行系は騎馬系に威力2倍、弓兵系は飛行系に威力2倍、獣人は夜になると能力上昇などいろいろです。クラスごとの強弱も確かにあるのですが、全然使えないクラスはなく、どのクラスも適切な編成や装備をしてあげることで輝かせられるようになっていました。
- 戦闘したキャラにしか経験値は入りませんが、レベル補正も大きく、またフリーバトルもあるので、気になったキャラを使いやすくなっていると思います。
- またこのクラスが使いやすいのに、該当するキャラが1人しかいない…みたいな場合は、汎用ユニットを導入出来ます。汎用ユニットも固有キャラと性能面では全く差がない(汎用キャラのみでも最終戦以外はクリア可能)ので、汎用ユニット好きでも安心ですよ。名前やカラーリングや成長傾向などをカスタマイズすることも可能です(名前以外は固有キャラも可能)。
- 編成について
- そうして育てたキャラですが、本作はSRPGのようにキャラが単独で出撃するのではなく、ユニットというパーティを組んで出撃します。最大で1ユニット5名×10ユニットを編成することが出来ます。
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- 編成した5人のなからか一人リーダーを選び、そのリーダーに応じた効果をユニットは受けることが出来ます。例えば騎馬系をリーダーにすると移動速度が上がりますし、飛行系をリーダーにすると地形を無視して移動出来るようになります。
- SLGパートについて
- 編成がすんだら戦場です。戦場はRTSになっていますが、ユニットの行動を選択している最中は時間が止まるので、あまり慌ただしさはありません。選択が済んで時間を動かすと、各ユニットが選択したとおりに行動し、敵ユニットと接触すると戦闘になります。メインストーリーに絡むバトルは、敵のユニット数も進行ルートも多く、1マップ攻略に時間が掛かりますが、サブクエストの戦闘だと敵の数も4~5ユニットだったりしてメリハリもついてましたね。
- 敵ユニットと接触すると、↓のように双方のユニットが表示され、戦闘予測が示されます。この戦闘予測は非常に正確で、このまま戦闘に突入すると必ずこの通りの結果になるのですが、このタイミングでも編成を変えたりアイテムを使ったりすることは可能です。例えば大ダメージを受けそうなら防御力を上げるアイテムを使用したり、敵に弓兵がいるなら飛行系を後列に下げたりすることで戦闘結果を覆すこともできるでしょう。
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- 敵と接触すると戦闘自体はキャンセル出来ないのですが、例えば↑の画面で、接触しているアレイン隊(中央付近で5という印が付いているユニット)の周囲に、水色の円が描かれているのがおわかりでしょうか。敵と接触しても、この中にいる味方ユニットに戦闘を代わって貰うことが出来ます。例えばアレイン隊の左方にはフクロウのようなキャラがいるユニット(4という印が付いているユニット)がいますが、アレイン隊では勝てない敵と遭遇してしまった場合、左の隊に戦闘を代わってもらうことが出来るわけです。例えば騎馬系メインのユニットと弓兵系メインのユニットを同行させ、普段は騎馬系で戦闘しつつ、苦手な飛行系ユニットと接触してしまったら弓兵系ユニットにチェンジして矢の雨を降らせる―みたいなことも可能です。これがあるため(特に序盤は)ユニットの特色は特化させ、強い相手にはとことん強く、弱い相手には仲間のフォローで戦う、という戦術が採りやすくなっていました。これ割と画期的なアイデアだと思うんだよな…
- 戦うユニットが決まると、次は戦闘です。戦闘はなんとオートバトルです。戦闘が始まると、敵味方のうち行動速度が高いキャラから行動順が回ってきます。全てのキャラにはAP(アクティブポイント)という数字を持ち、行動順が来たキャラは、事前に設定した作戦に従い、APを消費して優先度が高い行動を取ります。全てのキャラが行動し、まだAPが残っているキャラがいれば、再び行動速度が高いキャラから2周目の行動をします。全員のAPがなくなるか、取れる行動がなくなるか、どちらかのユニットが全滅すると、戦闘が終了します。また各キャラはPP(パッシブポイント)という数字も持ちます。そして事前に設定した作戦に従い、行動順に関係なく、特定の条件を満たすと割り込んでPPを消費した行動をします。例えば「味方が攻撃を受けそうな時に攻撃をかばう」「自分が攻撃する時に必中効果をつける」などです。
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- 例えば↑のニーナというキャラを例にとって説明します。このキャラはAP/PPともに4つあります。
- ニーナの行動順が回ってくると、AP用作戦の優先順位(赤色)に従って行動が決まります。
- まず「優先順位1:グランドストライク」の発生条件を検討しますが、現在この作戦はオフにしている(なので表示が薄い)のでスルーされます。
- 次に「優先順位2:ランドバスター」は発生条件がないため、この作戦が採用され、ランドバスターが発動します。
- しかしランドバスターはAPを2消費するため、APが1しかないとランドバスターも発生しません。この場合「優先順位3:アサルトブロウ」の発生条件を検討します。これはHP50%以下の敵がいる時に、APの最も高い敵を狙って攻撃するようになっているので、HP50%以下の敵が1体でもいればアサルトブロウが発生します。
- 全ての敵がHP50%より高ければ「優先順位4:ヘヴィバスター」を検討します。これは重装系の敵がいれば発動します。
- いなければ最後に「優先順位5:アサルトブロウ」です。これはHPが最も低い敵を狙って優先して攻撃しますが、それ以外の条件はないので、ここまで来るとアサルトブロウが必ず発動するということになります。
- またニーナはPP用の作戦(青色)で「優先順位1:ホークアイ」をセットしています。これは自身がAPを消費して攻撃する時に発動し、PPを2消費してその攻撃を必中・会心にします。
- すると、ニーナにAPが2以上、PPが2以上の状態で行動順が回ってくると、必中・会心のラインバスター(列攻撃)が発動するわけです。敵の前列は吹き飛ぶ。
- 例えば↑のニーナというキャラを例にとって説明します。このキャラはAP/PPともに4つあります。
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- こんな感じの作戦を全キャラに設定することが出来ます。とはいえこれは大変なので、デフォルトの作戦もちゃんと準備されており、低難易度で遊んでいる場合はこのあたりは気にしなくても問題無いと思います。しかし高難易度だと作戦を適切に設定することで格上の相手も倒していけるようになるので、ゲームに慣れたら是非こだわってほしいですね。いずれyukkun20のパーティ編成も紹介しようと思います。
- 戦闘が終了すると、(全滅していなければ)勝敗にかかわらずスタミナが1減少し、0になると移動出来なくなります。基本的にこちらは侵攻側なので、移動出来ないと前線において行かれます。ユニットは一定時間休息することでスタミナを最大値に回復出来ます。しかし休息中は何の行動も出来ない上に、敵に接触されると先制攻撃(行動順にかかわらず敵が先に行動する)を受けるため、非常に弱くなります(同レベル帯の敵には基本的にボコられる)。従って強いユニット一つで敵を全滅させるということは基本的には出来ず、複数のユニットを得意な相手にうまくぶつけて戦闘の負担を分担するという戦術的な楽しさもありました。
- その他、各キャラはブレイブスキルという、全軍共通のBP(ブレイブポイント)を消費することで強力な効果を得るコマンドを持っています。障害物を破壊したり、移動速度を上げたり、敵に発見されなくしたり、取得経験値を増やしたり。これも戦力に深みがありました。
総評
- yukkun20もいろいろSRPGプレイしましたが、システム、ストーリー、キャラどれも一級品だったと思います。ストーリーは王道でありながら、SLGパートはターン制RPGとヘクス制シミュレーションとRTSを足して3で割らない独自性のある素晴らしいものでした。できることは非常に多いのですが、それを極めて高難易度に挑むも良し、難易度上げずなんとなくプレイしてもよし、UIも洗練されていて、間口は広く、奥行きは深いゲームでした。
- 欠点はほぼ見当たらないのですが、一応重箱の隅をつついておきます。本当これくらいしか批判するところがないんだ。
- 用語集の日本語が結構怪しいところがある
- NPCの名前を自由に決められない(候補からの選択制)
- メリザンドたんのクラスソードマスターの強さが微妙(言うな
- ヴァニラウェアの過去作で言うと、グリムグリモアが一番近いと思いますが、それを更に洗練させプレイヤーの介入の幅を大きく物語も重厚長大にした感じでした。つまり最高である。
- そのうちうちのパーティ構成と、強いパーティの組み方論みたいなのをやるつもりです。
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23:06 | レビュー > ゲーム > その他のゲーム | ユニコーンオーバーロード | (2)
お疲れ様でした またヴァニラのコラボカフェにメニューが増えますね(え
システム面を読ませてもらいましたが 本格的に作り込まれてるようで
ネットの高評価も納得しました
残念なのは今回はプレイ日記を書けるゲーム性ではなかったことでしょうか
2024.04.22 18:52 | by sasa
システム的にはむしろプレイ日記を書きやすいゲームだと思いますが、ストーリーは基本的に終始シリアスなので、yukkun20の腕ではあまり面白いものにはならなかったと思います。
2024.04.22 23:19 | by yukkun20