2023-11-19
【ゲーム】超探偵事件簿 レインコード レビュー
ダンガンロンパよりは全体的にマイルドな感じでした。
超探偵事件簿 レインコード
プラットフォーム | Nintendo Switch | |
ジャンル | ダークファンタジー推理アクション | |
価格 | 通常版:6,345円(税別) デジタルデラックスエディション:9,073円(税別) |
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公式 | 超探偵事件簿 レインコード | スパイク・チュンソフト | |
プレイ時間 | 1周目:65時間(DLC含む) |
ストーリー
- 主人公である少年は、ある駅の倉庫で目を覚ます。気を失う前の記憶を失っていた少年は、持っていた手紙から、自分が「ユーマ」という名の探偵であり、所属する「世界探偵機構」の指令で「カナイ区」に向かうところだった事を知る。急いで乗り込んだ急行列車には、同じく世界探偵機構の指令でカナイ区に向かう探偵達が乗り込んでいた。彼らは皆、「超探偵」と呼ばれる超常能力を使って操作を行う「超探偵」だった。そしてユーマは、自分に取り憑く幽霊のような「死に神ちゃん」と出会う。彼女の話によると、ユーマは彼女と何らかの契約を交わし、その代償として記憶を失ったのだという。混乱するユーマの前で、怪事件が幕を開けようとしていた―
- ということで、ミステリーアドベンチャーです。プレイヤーは主人公の少年となり、次々と巻き起こる連続殺人事件を解決しながら、自分の過去に迫っていくという内容になっています。あの「ダンガンロンパ」シリーズのスタッフが再結集しただけあって、不気味で人間の奥底をえぐるシナリオは健在です。とはいえダンロンとは何の関係もないので、この作品から入っても楽しめますし、ダンロンよりはシナリオのエグさは抑え気味だったのでむしろこちらから入るのもいいかもしれません。ただ最終章では過去作をプレイしている方が余計に驚くちょっとしたしかけがあるので、そちらを楽しみたければダンロンからどうぞ。
- 主人公ユーマの正体とか、死に神ちゃんとの契約の内容、途中で登場する謎の仮面男「マコト」の正体、世界探偵機構の目的、カナイ区の存在理由など、物語を貫く謎も少しずつ解かれていき、最終章で一気に収束する美しい展開になっていたのはよかったです。エンディングも希望を持たせつつ、続編も十分あり得るような内容になっていてよかったと思います。
システム
- ゲームはマップを探索しながら会話劇で進めていく日常パート、事件現場で証拠を集めていく捜査パート、そして起きた事件の真相を暴いていく謎迷宮パートに分かれています。
- 日常パートでは、カナイ区を歩き回りながら、いろいろな人と会話したり、サブイベントをこなしたりして進めるオーソドックスなADVパートです。常に雨が降り続けていてうすくらいカナイ区は幻想的に描かれていますし、歩き回れるマップもかなり広めで単調な感じはありませんでしたが、ロード時間がかなり長くてテンポが削がれていた感じはありますね。ただサブイベントでは、事件の目撃者達がその後どうなったのかが語られたり、協力者となる他の探偵達との関係を深めるイベントを起こせたりして、数も多すぎず少なすぎずかなり良かったです。ただQTEの判定はちょっと厳しすぎませんかねぇ。
- 捜査パートでは、事件現場で事件の手がかりを探していきます。ここはダンロンとほぼ同じシステムで、必要な手がかりを集めない限り先には進まないようになっています(捜査が不十分なせいで迷宮入り、みたいなことにはならない)。また各章では超探偵が協力者となり、その探偵特殊能力という名の超能力で助けてくれます。例えば最初の協力者「ハララ=ナイトメア」には「過去視」という能力があり、殺人事件における死体の第一発見者が、死体を発見した状況を視る事が出来ます。それぞれの探偵特殊能力もバリエーションに富んでおり、強力な能力は数あれど無敵の能力にはなっておらず、うまく主人公をアシストする程度に抑えられていましたね。事件は殺人事件花理ですが、そのおかげで退屈には感じませんでした。
- そしてこの作品で一番特徴的なのは「謎迷宮」パートです。謎迷宮とは、真犯人が作り上げた「謎」その物が具現化した空間であり、そのなかで提示される謎を解きながら奥へ進んでいく事で、事件の全貌が明らかになるようになっています。とある章では謎迷宮の構造自体がトリックに結びつけられていて、上手い演出だなーと感心しきりでした。
- 謎迷宮では、事件を迷宮入りさせようとする関係者や真犯人達が具現化した「謎怪人」が立ちはだかり、(ダンロンでいる学級裁判のように)アクションを使って突破していくことも必要になります。
- 主人公が捜査パートで集めた情報は、死に神ちゃんがきちんと管理してくれて「解鍵」となり、迷宮を突破する文字通りの鍵となります。ただ肝心なところで鍵の内容を確認できなかったりするのでそのあたりはもう少し配慮して欲しかったところ。
- そしてこのゲームの構造的な問題なのですが、謎迷宮を解いても、主人公の脳内で犯人が特定されるだけで、普通の探偵もののように真犯人が逮捕されたりして事件が解決するわけではありません。特にカナイ区は警察機構がまともに機能していないので、犯人が分かったところで実際問題は何も解決せず、結局解決する為には外部からの助けが必要になるんですよね。真犯人は真相を明らかにする前に死んじゃうし。そういう意味でカタルシスが得られにくかったのは残念でした。そういう意味ではダンロンの学級裁判の方がよかった気がします。
キャラクター
- 相変わらずの濃い面々が登場しますが、ダンロンのように登場人物はライバルというわけではなく、むしろ協力者ということで、かなり魅力的な味付けがされていました。最初はいけ好かない感じのするキャラも多いですが、それぞれが探偵としてそれぞれ正義を持ち、また探偵特殊能力を使って事件に挑んでいく姿を見ていると自然と好きになりますね。ただデスヒコは、本編中では株がうなぎ登りだったんですが、DLCでとんでもないことをやらかしているので絶許w
- 「死に神ちゃん」はかなり好き嫌いの分かれるキャラだと思います。彼女は無邪気なんですが、無邪気すぎて逆に怖いんですよね。殺人事件をエンターテイメントとして楽しむ対象としてしか考えておらず、序盤は特にその無神経な言動はプレイヤーのかんに障るのではないでしょうか。中盤以降は徐々にそういう言動は減ってくるので、そこで彼女を受け入れられるかどうかで評価が決まりそうです。そういえば死に神ちゃんがなんであんな倫理観なのかとか、なぜ普段は幽霊みたいな姿なのかとか、結局最後どうなったのか、そのあたりの謎は全然解けませんでしたね。
- ちなみにyukkun20はプッチー派なので…。というか堀江さんのボイスはほんま中毒性があるわ。
戦闘
- ないよ。
- ただ謎迷宮での謎解きは失敗回数などによって章の最後に評価がされます。といってもお遊びに近いもので、成績が悪くても進めるのに支障は無いです。
総評
- ダンロンはいろいろな意味で衝撃的な作品でしたが、その正統な後継作品になっていて、ダンロンファンにはもちろん、普通の推理物が好きな人でも十分楽しめそうです。キャラクターはダンロンに比べると薄目の味付けですが、比較的長い付き合いになるキャラも多く、関わっている時間が長いので全体としてみるときちんとキャラ立てができていたと思います。
- ロードの長さなど気になるところはあったものの、プレイして公開しない作品でした。
- あとゲームその物の評価とは直結しないのですが、推理ものとしてはトリックにかなり気になるところがあったのも事実です。以下まとめておきますので、もし何か納得のいく回答をお持ちの方は教えてください。強度のネタバレなので注意!
- プロローグ
- 真犯人が死体に火を付けてからベッドの下に隠れると、ユーマの介入が遅かった場合に焼死するリスクがある
- 1号車を切り離すタイミングがトンネル進入直前でなければならず、ユーマの気絶から回復するタイミングがシビアすぎる。
- トンネル外に複線を設置する意味が無い
- 車両プレートは燃やすのではなく交換用のものを用意しておけばよかった
- ユーマが4号車を検め終わる前に車両入れ替えを完了しなければならずタイミングがシビアすぎる
- 真犯人以外に、エイフェックスが真犯人だとしても成り立つ
- エイフェックスをナイフによって殺害すると(もしくは遺体にナイフを刺すと)遺体すり替えに気づかれる可能性が高まるだけで意味がない
- 第1章
- 縄ばしごを全段人力で切断するのは無理がある
- 2番目の密室で鍵を投げ入れるのは、1回しか試行できないのにリスクが高すぎる。テグスを通して滑らせればよかったし、それならシスターにも犯行可能になる
- 1番目の密室で足場にした釘が、真ん中付近で折れるのは不自然。根元が折れるはず
- 1番目の密室で外した通気口のふたをはめ直すのは体勢的に無理のはず
- 3番目の殺人は最初から絞殺すればよかったのでは。女性を人気の無い場所におびき出すことはできた(遺体を運搬した形跡がないので呼び出したはず)のだから可能だったはず
- 第2章
- 開封30分で全部が無毒化する物質をあんなでかい瓶に入れるわけない
- クラネがグラスを追えたのなら、同じ照明係にもグラスのすり替えのシーンを目撃される可能性がある
- 第3章
- 屋上へ通じるドアが外鍵式なのはおかしい
- 3回目の爆弾解除ゲームに正解が2つある
- 街の中でも下層に位置するマルノモン地区に雨水を集めて水力発電は効率が悪いような気がする
- 犯人は凶器に装弾するときに、銃の特殊仕様に気づいているはず
- 犯人が銃を被害者に持たせ、屋上のドアのノブに鍵を挿し、屋上から脱出するのを十数秒でこなすのは無理な気がする(そもそも保安部突入までに脱出すればいいので、犯人は急いで脱出しようという意識が少ないはず)
- 銀行の金庫は普通床面に固定されているのでは
- プロローグ
-
- 第4章
- ユーマ、フブキ、デスヒコ身代わりにするのはいくら死体を焼いてもすぐばれそう
- 耳が聞こえない人の部屋に設置されたセキュリティが解除されたことを、音で知らせる仕組みになっているわけがない
- 第5章
- 黒幕がユーマを抹殺したいなら、権力を使ってなんとでもなったはずで、謎迷宮に追い込む必要は無い
- 第4章
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21:53 | レビュー > ゲーム > ダンガンロンパシリーズ | 超探偵事件簿レインコード | (2)
謎迷宮は学級裁判をうまくアレンジした要素でしたね 現実世界では何も解決していなくもやっとくるのは同意
>>彼女は無邪気なんですが、無邪気すぎて逆に怖いんですよね。
こういうキャラクターはyukkun20さんって苦手そうだなと思いました
いわば毒気のないモノクマといったところ
でも相棒としてはかなりよいキャラクターだったのではないでしょうか
しかし小高さんってキャラづくりの天才ですよね
>>それぞれが探偵としてそれぞれ正義を持ち、また探偵特殊能力を使って事件に挑んでいく
能力がチートすぎるだろと思ったけど それぞれの個性が出てましたね
しかしせっかくなんだから敵キャラについても触れてよくない?
2023.11.20 20:32 | by sasa
> 相棒としてはかなりよいキャラクターだったのではないでしょうか
あまり前に出るタイプではなく、それでいて人当たりがマイルドなユーマは死に神ちゃんといいコンビだったと思いますね。
> 敵キャラについても触れてよくない?
スワロ以外ほぼ投げっぱなしで終わったのであんまりコメントする事が…
2023.11.21 00:11 | by yukkun20