2023-09-14
【ゲーム】ライザのアトリエ 3~終わりの錬金術士と秘密の鍵~ レビュー
紛れもない三部作完結編。ところでこのシリーズ名って「秘密シリーズ」でいいよね!?
ライザのアトリエ 3~終わりの錬金術士と秘密の鍵~
プラットフォーム | PlayStation®5, PlayStation®4, Nintendo Switch™, Steam® | |
ジャンル | 錬金術RPG | |
価格 |
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公式 | ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜 | |
プレイ時間 | 1周目:97時間(プラチナ+DLC) |
ストーリー
- 王都での冒険から1年。フィーとの別れに落ち込んでいたライザも少しずつ元気を取り戻していた頃、クーケン島の沖合に、突如謎の群島が出現したというニュースが飛び込んでくる。群島が錬金術と関係があると考えたライザが島の調査をしていると、そこには大きな門があった。そして門の前で謎の声がライザに、「万象の大典」へやってくるよう呼びかけてくる。扉の先に群島をコントロールする者があると考えたライザは、仲間達と共に、扉を開く方法を探して旅立つのだった―
- 前々作「ライザのアトリエ」および前作「ライザのアトリエ2」の続編で、三部作の完結編です。今作は主人公続投で、これまでのように続編が出る度に前作主人公の弟子が主人公を引き継ぐという流れにはなっていませんが、これはこれでシリーズの安定感を出すのに一役買っていたと思いますし、今作のエンディングで再びライザが旅立つ理由に説得力も持たせることができていて、よかったと思います。
- このシリーズは大体ストーリーラインが大味だと思うのですが、今作は三部作で広げた伏線を概ねうまく回収できていて、なかなか練られていた感じがあります。続投していたキャラクターの成長の描き方が前作ではやや不十分だと感じていたのですが、今作でもさらに成長したところを見ることが出来ました。特にライザは前作では錬金術士として、今作は人間として大きく成長していたところが描かれ、さらに好感が持てるようになりました新しい仲間もしっかりなじんでいました。今作は割と明確な「悪」が出てくるのでアトリエらしくないなと思いきや、最終的には錬金術の功罪というおなじみのテーマに落とし込まれていて、よかったと思います。個人的には前作のような考察のしがいがあるストーリーも好きですが、今作のように綺麗に収まるストーリーも好印象でした。
- またライザの師匠であるアンペルの、門を巡る旅も一段落が付いたのが良かったですね。アンペルは前々作でも前作でもある種完成された人間として描かれていましたが、今作は弟子のライザが立派になったこともあって人間的な弱さや過去についても話題に上るようになり、さらに人間としての魅力が増したと思います。
システム
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- 全体について
- ストーリーの良さに反して、システムについては言いたいことがいろいろあります。特に今作はこれまでのシステム全部のせ+新しい鍵システムのっけ盛りになっていて、非常に把握するのに苦労しました。そもそもアトリエシリーズは調合という太いシステムが特徴なので、そのほかのシステムは控えめにしないと胸焼けしちゃうんですよね。序盤は新しいシステムを呑み込むのに時間がかかり、ストーリーの牽引力も弱めだったことがあって先に進めるのにかなり苦戦しました。基本的にこのゲームは終盤の方が圧倒的に楽しいのですが、今作は序盤と終盤との差が看過できないくらい大きかったのは残念でした。「ぷに育成」「ラムロースト」「種栽培」「多彩なフィールドアクション」「料理」「霊獣」「見聞録」「ランダムクエスト」「ロール」「コアクリスタル」…本当に全部が必要ですか?
- 全体について
- 探索について
- 前作ではフィールドの時間の概念の使い方があまり良くないとか、ファストトラベルが不便すぎるとかいろいろ言いましたが、本作ではその点はかなり改善されていたと思います。時間も一部の敵やサブイベントの出現に影響するくらいで、あまり気にせずプレイすることができましたし、ファストトラベルのアクセスポイントも十分な数が用意されていたと思います。
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- ただ今回からオープンワールド制になったのですが、正直アトリエにオープンワールドはあってないと思います。そもそもアトリエは素材を採取できるフィールドは明確に決まっているので、フィールドの区切りはむしろはっきりしているべきなんですよね。そして例によって何の説明もなくオープンフィールドの真ん中に放り出され、行き先もあまり分からないまま探索範囲を広げていくというのは、好きな人は好きなのかもしれませんがyukkun20には合いませんでした。あとマップもいくつかのエリアに区切られていて、そのエリアに存在するランドマークに到達するとそのエリアの地図が全て見えるようになるというシステムなのですが、これもランドマークが見つかるまで地図のない道をうろうろしなければならず微妙にストレスの溜まる仕様でした。せめて通ったところは地図上でも見えるようになり、ランドマークを見つけたら全部見えるようになる、という古のシステムで良かったんじゃないですかね。アトリエのフィールドは探検の対象じゃなくて、アイテムを入手するための場所だって何度言えば分かるんだよ!(超個人的意見
- 鍵について
- 今作で導入された「鍵システム」は、様々な力を持つ鍵を生成して冒険を便利に進めるというものなのですが、鍵でできることが多すぎて、かなりわかりにくいです。そもそも鍵の生成は、フィールドアクションとして生成するか、戦闘中のアクションとして生成するかの2パターンあります。この全く違うパターンで同じ鍵ができる理由は一応あるのですが(DLCのサブイベント参照)、本編プレイヤーは知ったこっちゃないのでまずそこで混乱します。次に1本の鍵は最大で4種類の効果を持つことができますが、その効果も「キャラクターに装備させることでステータスを変化させる」「戦闘中に強力な効果を発揮する」「調合中に使用することでアイテムに有利な効果を与える」「フィールドで使用することで結界を解除したりアイテムを入手したり出現する敵を変化させたりできる」とバラバラで、しかもそれぞれについて実際にスキルは数十種類ありとても全部把握できない上に、どの効果が付くかはランダムということでもう何が何やら。きちんと理解できなくてもクリアに支障は無いんですけど、ちょっとモヤモヤします…
- 調合について
- 今回も前回のシステムを引き継いでいるので、とっつきやすく感じましたね。…鍵のことを除けばですが、通常の調合は基本的にこれまでと同じですが、投入する素材の種類が限定されたのと、投入できる素材の個数制限が緩くなったことで、割と新しいアイテムをガシガシ作っていけます。アイテムリビルドは一度調合したアイテムに追加で素材を入れることで、さらにアイテムを強化することが出来ますが、このときには品質は変化しません。ということは、高品質のアイテムでとりあえず高品質なアイテムを作成し、そこに低品質だけど強力な効果を持ったアイテムを入れてリビルドすることで、簡単に高品質・高効果のアイテムが作れるようになっています。特性の合成もない上に、最強の特性が簡単に手に入るのも○。ただし鍵やらリンクコールやら付随するシステムがその簡便さを損なっているのは否定できないというか、正直その辺なくても良かったんじゃないですかね…鍵、リンクコール、リビルド、超特性など完成品を強化するシステムが多すぎます(特にリンクコールは説明不足すぎるし正直ない方が良かったくらい)。
- とはいえ中毒性のある調合システムは健在ですね。終盤は賢者の石を番版複製してボンボン投入することで強力なアイテムをどんどん作れるのでリアルで数時間アトリエで釜をかき混ぜ続けるのもしょっちゅうでした。
キャラクター
- PCキャラは全部で11人と比較的多めですが三部作の最後だから仕方ないですね。今作も全員パーティに入れることが出来、そのうち3人を前衛(実際に戦闘を行う)、2人を後衛(途中で前衛と交代可能)、残りの6人は控えになります。今作も前衛後衛の区別はなく、編成は完全に自由です。
- 前々作からのキャラが6人、前作から1人、今作から4人。パーティももちろん仲がよく、前々作の悪役から前作でツンデレに変身していたボオスもすっかり常識人になって臭い台詞まで吐くようになってしまいました(笑)前作から引き続きタオへの恋心があふれて止まらないパティは相変わらず魅力的なキャラでした。
- 今作から登場したキャラだと、カラさんがよかったですね。いわゆるロリBBAですがお茶目であまり年長者っぽいところもなく、それでいて普段は飄々としていながら感情の起伏も大きくて、目が離せませんでした。終盤はパティとカラをパーティに入れて楽しませてもらいました。
- あと久々にサブキャラにはまってしまいました。アンナ・ミランダちゃんです。エクストラトークで「陰キャ」って言われてましたけど全然そんなことなくて、等身大で、フェデリーカのことを心配する素敵な女の子でした。今野宏美さんの声であんなしゃべり方されたらそりゃ惚れちゃうよね(yukkun20はサモンナイト2のミニス役以来今野さんのファンです)。ところでサブキャラと言えば今作パメラさん…じゃなくてパミラさんの扱いぞんざいすぎん!?
- 今作はいろんなキャラクターの成長が描かれていましたが、中でもライザの成長がちゃんと描かれたのが良かったと思います。正直1や2のライザは錬金術士の才能は超一流ですが、人間的にはまだまだ未熟で、思うがままに突っ走っていく感じがあったのですが、今作では自分のことを心配してくれる家族や、島の発展のことを考えている指導者層の心情にも思い至ってきちんと配慮ができるようになっていましたし、仲間達のことを心配するだけではなく的確なアドバイスができるようになりましたし、新しく加入した仲間達には先輩そしてきちんと頼りがいのあるところを見せてくれるようになって好感度がぐっと上がりました。そりゃディアンも「ライザ姉」って呼ぶわ。
- あと1のキロが再登場したのも嬉しかったです。…セリとクリフォードさんも出してあげてほしかった(笑)DLCで出ると思ったのに。そういえばフォウレのトレジャーハンターが昔組んでた相手ってクリフォードさんのことですかね。
戦闘
- シンボルエンカウント制です。今作はレベル差に関係なく敵はこちらを見つけると寄ってきますが、霊獣に乗っていると逃げていってくれるようになっていたのはよかったと思います。最も霊獣の移動速度はもっと速くてもいいと思いますが。また前作ではフィールドの解像度が上がったせいでキャラと背景の密度が近づいてしまい、敵を見落とすことも多くなったと言いましたが、今作はそのあたりの問題は改善されていました。
- 今作も一応ウェイトターンバトルですが、コマンド選択中に時間が止まらないため、リアルタイムバトルに近いです。しかも前作ですらやることが多くて忙しかったのに、今作もタイミング良く通常攻撃やスキルを繰り出してつなげなければならず、できることも通常攻撃、スキル、フェイタルドライブ、オーダードライブ、シフトスキル、アイテム使用、キーチェンジ、キーメイクなどやれることも多岐に及んでいて慣れるまでかなり時間がかかりました。しかも相変わらずチュートリアルも不十分だった気がします。そして戦闘に慣れても結局やることは強力な爆弾を投げつけるだけなので…
- 前作同様、雑魚戦が非常に冗長です。戦闘の流れは概ね、戦闘開始→通常攻撃でAPをためる→APを消費してスキルを使い、CCをためる→CCを使ってアイテムを使う→通常攻撃で…、というサイクルになっています。そのため開幕即爆破というわけにもいかず、特に序盤は戦闘が面倒くさくなりがちです。
- ただ戦闘時演出は相変わらずスキップできないものの、演出自体はかなりコンパクトにまとまっていて、前作ほどリアルタイムバトルのサクサク感が阻害されているとは思いませんでした。総じて戦闘はまあまあだったと思います。
総評
- そんなわけで、前作のまずいところは大きく改善されたものの、改善されれば全部盛ってもいいって訳じゃないんだよなぁという感じでした。特に序盤はかなり面白みが少なく、本当にどこが面白いんだ…と思いながら進めていました。その反面中盤以降は毎日数時間プレイするくらい面白かったので、全体としてみれば十分合格点なのですが。
- それはさておき、結局アトリエシリーズで一番大事なのは調合ですが、今作でもその中毒性は健在です。必要もないのにアトリエにこもって賢者の石を大量に錬成したり、巨大な竜を一撃で爆殺するやばい爆弾を開発したり、敵から受けるダメージより自動回復するHPの方が多い防具を開発したりしているとあっという間に時間が過ぎていきました。これがある限り、次回作以降もプレイする予定です。…次回作?次々回作か。
>>正直アトリエにオープンワールドはあってないと思います
これフィリスの時にも散々言ったような気もしましけど 全く改善されていなかったので本当にアトリエと相性悪いんだなと感じます
はっきり言うが二度とやらないで
>>今作は三部作で広げた伏線を概ねうまく回収できていて、なかなか練られていた感じがあります
主要人物が変わってこなかったこともあり他の3部作とは EDの感傷深さが違ったんだよな・・本当にライザのお話終わったんだなって
まあライザの弟子のお話も観たいきもしますけどね
>>鍵でできることが多すぎて、かなりわかりにくいです
やはり鍵システムは刺さらなかったか・・
個人的は前作のyukkun20さんの遺跡考察がそこまで3では触れられなかったのがショックでしたね・・
>>次回作以降もプレイする予定です。…次回作?次々回作か
いったいいつになることやら・・
2023.09.15 11:46 | by sasa
まあオープンワールドに対応できない自分の感性が鈍ってきている…とは思いたくないものです。
考察も今回多少メモを取りながら進めたんですが、あまり形にはなりませんでしたね。
2023.09.15 23:41 | by yukkun20