2023-04-18
【ゲーム】OCTOPATH TRAVELER Ⅱ レビュー
名作の正統進化というべき名作。
OCTOPATH TRAVELER Ⅱ
プラットフォーム | Nintendo Switch™ / Steam® / PlayStation®5 / PlayStation®4 |
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ジャンル | RPG | |
価格 |
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公式 | オクトパストラベラーⅡ | SQUARE ENIX | |
プレイ時間 | 1周目:137時間 |
ストーリー
- ソリスティア大陸を旅する、生まれた場所も経歴も特技も異なる8人―あなたはその一人となって、世界を自由に巡ります。それぞれの旅の果てに待つものとは―
- ストーリーは基本的に、8人の主人公によるオムニバス形式になっています。それぞれのストーリーは章立てになっていて、基本的にはストーリー開始→主人公の特技を使ってストーリー進行→ダンジョン攻略→エピローグという感じの繰り返しになっています。ただ完全に画一化されていて前作とは異なり、今作はキャラクターによって章の数も違いますし、内容も戦闘が全くない章があったりしてバリエーションに富んでいました。8人の職業は前作の8人と同じですが、ストーリーは全く違う流れになっていました。
- 一人一人のストーリーは短編と言って差し支えない長さですが、それでもマンネリな感じは全くなく、主人公ごと、また各章ごとにバラエティーのある話が展開していくので全然飽きません。妻子を謀殺した相手に対する復讐、失った国を取り戻すための諸国漫遊、一流のスターになるための見聞、自分の失われた記憶探しなど、本当にバリエーションが広いですが、どのキャラにも感情移入出来てよかったです。
- 8つのストーリーは完全に独立していて、主人公同士が絡むことはありません。つまりある主人公のストーリー中には、他の主人公は基本的に登場しません(戦闘時のみ参加)。前作では合間合間にパーティにいるキャラクターとのチャットが発生して、一緒に旅をしている雰囲気を出そうとしていました。ただ発生タイミングが非常に短く、後から見直すことが出来ないのが不満でした。今作ではプレイ中には発生条件を満たさなくてもきちんとアーカイブに記録され、あとからいつでも内容を確認できるようになったのが良かったです。
- 8人の話が全員エンディングを迎えた後に、追加エピソードがあります。これは8人のストーリーで全て繋いでひとつにするものです。前作はこれが短かったのもちょっと不満だったのですが、今回は比較的尺があり、しかも作中ん?と思いつつもあまり深く突っ込まずに流してしまったことがうまく伏線としてきれいに回収されていてよかったです。一部唐突に思える展開もありましたが、あとで冷静に考えてみるとああ…となる点も多かったです(アグネア編に登場する○○○○とか。この世界には○○様はいないはずですからね)。
- 個人的には主人公に選んだオズバルドのエピソードが良かったです。復讐に身を焦がしながら、人生の研究テーマである「第7の根源」(火水雷風光闇のほかに存在するとされる根源元素のこと)を真剣に探している姿はかっこよかったです。最後に見つけた根源が愛だったというのも、ありがちと言えばそうなのですが、それまでの流れをきちんと描いていたのでストンと心に落ちました。仇役のハーヴェイがいい味出してるんだこれが。
システム
- 街から街へ移動しながら、ダンジョンを探索したりイベントを発生させたりして進んでいく、オーソドックスなRPGです。
- まず目を引くのはHD-2Dを利用した、ドット絵と3Dを融合した独特のグラフィックです。前作同様美しさについては文句なし。また奥行きも表現されているので、物陰に宝箱や隠し通路などが配置できるようになっていて、たんなる2Dゲーにはなっていません。キャラクターは職業ごとに12種類のグラフィックが準備されていたのも地味にすごい。
- またイベント時には斜めのアングルを利用したカメラワークが準備されていたりして、表現力も前作より上がっている感じがしました。
- それから「フィールドコマンド」というシステムがあります。各主人公はそれぞれ二つの特殊能力(昼と夜で異なる)を持っており、それをNPCに使うことが出来ます。例えば盗賊のソローネなら、昼間はNPCの持っているアイテムを「盗む」、夜間は「闇討ち」でNPCを気絶させる(道を塞いでいるNPCをどかせる)、学者のオズバルドなら、昼間はNPCの情報を「探る」、夜間はNPCの持っているアイテムを「強奪」する(学者とは…)、という感じです。
- 面白いのは同じ目的を達成するために、複数のコマンドが使えるってことですね。例えばNPCのアイテムを手に入れるには、「盗む」「強奪」以外にも、「おねだり」「買い取る」というコマンドも使えます。「盗む」はレベルが低いうちは成功率が低く、「強奪」はNPCをバトルで倒さなければならず、「おねだり」は一定レベルに達していないと成功せず、「買い取る」はお金を消費します。それぞれメリットデメリットがあるので、その場で最適なものを選択しましょう。前作では、盗む以外に入手方法がないアイテムを手に入れるため、成功率3%のコマンドを連打しないと行けないことが多かったですが、今作はそんな場面はほとんどありませんでした。とはいえ序盤で強力な装備を手に入れるためにそういうプレイをするのもありです。
- やはり一番面白かったのは前作同様、NPCのキャラクター設定をのぞけるコマンドでしょうか。前作のNPCは700人超でしたが、今作は1000人超に増えているNPC全員に短い設定が用意されていて、それを見ることが出来ます。意外な過去やどす黒い意志、表に出てない人間関係や血縁関係などが分かって楽しいです。全員分見ちゃった。
- それからyukkun20大好きのジョブシステムがあります。メインキャラはそれぞれ別のベースジョブに就いており、途中から他のキャラの職+隠し職4つの中から選んで、好きなバトルジョブに就くことが出来ます。しかしそれぞれのキャラは、ベースジョブにちなんだ非常に強力な能力を2つ持っているので、例えばベースジョブが「学者」のオズバルドがバトルジョブを「神官」にした場合と、ベースジョブが神官のテメノスが「学者」をバトルジョブにした場合とでは、使用感が全く違います。前作は優遇されているとしか思えない職業や、あまりに強力なベースジョブなど偏りもありましたが、今作では強力な職業はやや弱体化されていて、バランスも良くなっていたと思います。
- 戦闘に勝利すると取得出来るJPというポイントを使って、ジョブを強化することが出来ます。「アビリティ」と呼ばれるコマンドスキルと、「サポートアビリティ」と呼ばれるパッシブスキルを取得出来ます。アビリティはそのジョブに就いていないと使えませんが、サポートアビリティは別のジョブになっても使えます。ただしサポアビは4つしか装備出来ないので、有効な組み合わせを探す楽しみもありました。JPはジョブにではなくキャラに蓄積されるので、有効なアビリティを取るために、使いたくないジョブを使わないといけない、ということがなかったのもよかったです。
- UIもスッキリまとまっていてつかいやすかったです。
キャラクター
- PCキャラは全部で8人です。一人目だけは強制加入ですが、残りの7人は加入させるかどうかも、加入させる順番も自由です(まあ全員加入させた方が絶対面白いですけど)。
- 今作は各キャラが主人公のストーリー内での描写が充実しているので、前作よりもキャラ付けが濃いめでした。8人とも確たる「信念」を持っていて、命の危機でもそれを曲げようとせず、持ち前の機転と能力で道を切り開いていくので、非常に魅力を感じるところは前作と同じ。特に危険であることは分かっていながら連続殺人事件の真相を暴くため進んでいくテメノスや、母と同じく世界一のスターを目指すという元気なアグネアはお気に入りです。
戦闘
- ランダムエンカウント制で、戦闘はターン制のコマンドバトルです。ターンごとに敵味方が行動速度(にランダム値を加えた数値)に応じた順番で行動順が回ってきます(ボスなどは1ターンに複数回行動することもある)。「通常攻撃」「アビリティの使用」「防御」「アイテム」などから行動を選択します。
- 今作も戦闘時、主人公達はSDドット絵なのに、敵はリアル調のドット絵でしたね。これがこだわりかw
- 味方の攻撃には、武器6種、属性6種の合計12種の属性が設定されています。敵にはそのうち2~5つ程度の弱点と、シールド値が設定されています。弱点を突く攻撃をするとシールド値が減り、0になると、敵はそのターンと次のターン、シールドブレイク状態になります。シールドブレイク状態だと、敵は行動出来ず、どの属性で攻撃してもダメージが2倍に増加します。
- また味方はターンが回ってくる旅に、BPというポイントが1つずつ加算されます。行動時にBPを最大3つ消費することで、行動の効果(攻撃行動なら与ダメージ、回復行動なら回復量、バフデバフなら継続ターン数)を大きく増加することが出来ます。よって、シールドブレイクとBP消費行動のタイミングを合わせることで、敵のHPをごっそり削ることが出来ます。とはいえそれぞれのキャラが扱える属性は限られていますし、行動順もランダム要素があるので、思った通りにいくとは限りません。攻撃力は低いが多段ヒットするアビリティを持つキャラでシールドを削り、その間にサポートキャラでアタッカーを強化し、ブレイクしたところでアタッカーが全火力を集中して削る、これがうまく決まると本当に気持ちよかったです。エンカウント率も高めですし、RPGとしては1戦闘が長めなのですが、戦闘自体が面白かったので全然だれませんでした。
- さらに味方には「底力」という特殊なゲージがあります。これはダメージを受けたり、敵をブレイクしたりすると増加し、上限まで溜まるとキャラクターごとに設定された強力な能力を使うことが出来ます。例えばオズバルドの場合、全体攻撃を敵1人に収束させて威力を上げる底力を使えます。ゲージが溜まっても底力を発揮するかどうかは自由なので、ボスの取り巻きが多いときは底力を使わず、ボスだけになってから底力を使って大ダメージという感じで頼りになっていました。
総評
- 前作のシステムを踏襲しつつ、ボリューム、グラフィック、ゲームバランスなどが見事に進化した、期待通りの名作でした。前作同様全てのNPCから全ての持ち物を盗み、全ての情報を探ったりしていて、結局100時間以上余裕でした(前作は90時間)。
- 前作はサブエピソードの難易度や隠しボス戦の発生条件がわかりにくいという問題もありましたが、その辺も丁寧な導線が準備されていてよかったですね。
- そんなわけで、前作を楽しめた人には間違いなくお勧め。またストーリー上の繋がりはないので、前作をプレイして無くても、オーソドックスでありながら快適なRPGがプレイしたい人、ドット絵が好きな人、NPC大好きな人にもお勧めします。
- あと裏ボスめっちゃ強くて心折られました。こちらの攻略動画を参考にしてなんとかクリア。マジ感謝しかないです。
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21:39 | レビュー > ゲーム > その他のゲーム | OCTOPATH TRAVELER | (2)
お疲れ様でした オズバルド氏のエピソード 重かったですね・・
PTキャラもですがサブキャラクターも魅力的でした
近年であまりなくなった2D RPGですが 懐かしくも古臭さを感じない 高水準なRPGですよね
2023.04.19 20:21 | by sasa (@qzcn82k7xcp8pe3)
今回はサブキャラのその後が結構描かれていたのもよかったです。オズバルドは理不尽すぎでしたが、最後に希望が残ったのだけが救いでした。彼が主人公だと、ラスボス戦でのセリフがめっちゃ響くんだよな…
2023.04.20 01:25 | by yukkun20