2023-01-21
【アニメグッズ】ふしぎの海のナディア 公式記録集 レビュー
ナディアの30周年記念グッズもこれで一区切りかな。35周年でお会いしましょうね!(圧
ふしぎの海のナディア 公式記録集
価格:3,850円(税込)
レビュー
昨年から待ちに待っていた公式記録集が発売されました!A4サイズの大型本で、144ページ全カラーの豪華本です。内容は以下の通り。(「多分初出」とあるのは、書籍に収録されるのは初めてじゃないかな…とyukkun20が判断している内容です)
大見出し | 小見出し | 概略 | ページ |
30年目の「ふしぎの海のナディア」 | DVD-BOXの解説書に深く関わった氷川竜介氏のコメント。初出。 ナディアが生まれた時代背景や作品のパワーの源など、短いながらも深い内容。 |
002-003 | |
INTRODUCTION | 本書編集部のコメント。初出。 現在では入手が難しい設定資料や原画、スタッフインタビューなどを公式記録としてまとめ直そうという気概が伝わってきます。 |
004 | |
第一章 設定資料集 | 初期企画書 | 原点となった「海底世界一周」の企画書。多分初出。 発明好きの少年ジャンと、ミノア海上帝国の血を引く少女サリカが、「ファイアーレンズ」を巡って帝国復活を掲げる組織と戦うというプロット。「潜水艦エクスカリバー号」「南極点に到達するジャンたち」など、ナディアにつながるイメージは見え隠れするものの全くの別物といった印象。というか正統派の冒険譚。 |
006-007 |
庵野秀明アイデアメモ | 制作前に庵野監督によって作成されたアイデアメモ。 ネモとガーゴイル、バベルの塔、ネオアトランティス、ジャンとナディア、全体のストーリープロットなど、ほぼ作品の設定が完成していることが分かる。 |
008-011 | |
前田真宏イメージボード | 制作決定当初に前田氏によって描かれたストーリーボード。 厳密な意味での原作が存在しない本作で、全体のイメージをスタッフに共有するために作成されたもの。パリの少年、サーカスの少女、ノーチラス号、戦車ババア(後のグランディス)などのイメージが描かれているが、アニメとは大分雰囲気が異なる。 |
012-013 | |
貞本義行イメージボード | キャラデザを担当した貞本氏のイメージボード。 ジャン、マリーなどはアニメ本編に近いビジュアルになっているが、ナディアやネモはアフリカ人としての特徴が濃くなっている(二人はアイデアメモでアフリカのバンデルガンド王国出身ということになっていたため) |
014-015 | |
キャラクター設定 | キャラクター設定画の決定稿。一部は多分初出。 表情や服装の設定などキャラクターごとにしっかり整理されていて見やすい。またキャラクター設定が一言書き添えられているがそちらもきちんと作品全体を俯瞰した記述になっていて評価高い。 グランディスやハンソンの水着、ネモの上着を撮った立ち姿、エレクトラのジャケット、ノーチラス号クルーの年齢、ガーゴイルの表情集あたりは初出じゃないかな…。 |
016-032 | |
キャラ作画参考資料 | アニメーター間で設定を共有するための資料。 キャラクターを描く上での注意点や、身長対比表など。 |
033 | |
キャラクター表情集 | 表情が詳細に描かれている絵コンテなどの抜粋。 | 034-035 | |
Cast comments 2022 | 鷹森淑乃さん(ナディア)、日髙のり子さん(ジャン)、大塚明夫さん(ネモ)のインタビュー。初出。 非常に短いですが、当時の思い出話など貴重な話が聞けます。 |
036-037 | |
メカニック&プロップ設定 | 作中に登場するメカ群の設定資料。 ノーチラスや空中戦艦などももちろん、グラタン2号やジャンの発明品なども収録されています。簡単なメカ設定も添えられていますが、おまけ劇場の内容などもきちんと反映されていていい感じになっています。 |
038-059 | |
絵コンテ | 絵コンテの抜粋。全部で20ページ分。 全部読みたい人は「絵コンテ全集」買いましょうね。そろそろ電子化してほしいけど… |
060-063 | |
原画ギャラリー | 作中で使用された原画。そもそも「原画」とはどのようなもので、どのように使われているのかという解説もあってありがたい。悲しんだり怒ったりするナディアや、エアトンにブチギレするサンソンとハンソンなどシーンの選出も秀逸w | 064-081 | |
『ふしぎの海のナディア』スタッフリスト | キャストとスタッフの一覧表。アニメのEDでは「ノーチラス号乗組員」でひとくくりにされていた各キャストや、1話だけの兼役なども概ね網羅されているなどかなり細かい。 | 082-084 | |
隠された資料から読み解く『ふしぎの海のナディア』という作品 | ナディアの資料を管理しているATACの事務局長、研究員2名、ガイナックス代表の4名に対するインタビュー。初出。 資料をきちんと残していたガイナックスの特殊性とか、実際にどうやって資料を整理したのかとか、貞本氏や前田氏のデザインの優秀さとか、30周年展やこの書籍を完成させるため、様々な努力が払われたことが分かります。結構感動した。 |
085-088 | |
第二章 ストーリー紹介編 | エピソードガイド | 全39話について1話ずつあらすじ、エピソードのポイント、スクリーンショット(1話あたり6枚)を紹介するページ。1話あたり1/3ページ(第1回、第21回、第38回、第39回は少し長め)とかなりゆったりとした構成で、エピソードのポイント(みどころ)も的を射たものになっています。 | 090-105 |
ナディアおまけ劇場 | LD-BOXなどに収録されたおまけ短編のエピソード紹介。もともとLDの余った容量に入れるために作られたのは知りませんでした。絵コンテ第9集に収録されていた鶴巻氏のコメントも同時に収録されています。 | 106-110 | |
Special メッセージ&座談会 | Staff comments 2022 | 庵野監督と貞本氏が30周年に寄せて新規に作成した色紙。初出。 貞本氏が新たに書き下ろしたナディアのイラスト2点は必見。新規グッズはよ。 |
112-113 |
『ナディア』という幼年期の終わり『ふしぎの海のナディア』スタッフ座談会 | 原画の鶴巻和哉氏・松原秀典氏、設定の前田真宏氏へのインタビュー。初出。 3人のガイナックスやナディアに対する関わり方や、当時の制作状況(韓国スタジオとの関係とか)、前田様のデザイン画のすごさとか、とにかく深い話が満載です。ボリュームも十分。 「ナディアは全国で見ることができたから…けっこうな数の子供を沼にハメてるんじゃないかと思うんですよね」は至言。 |
114-120 | |
当時のメインスタッフが語る30年目の『ふしぎの海のナディア』 | コンテの窪岡俊之氏、原画の摩砂雪氏、演出のもりたけし氏へのインタビューと、樋口真嗣監督のコメント。初出。 あのマリーが語るエピローグは当時批判も受けたそうです。あれ好きだったですけどね。 |
121-122 | |
第三章 証言集 | 庵野監督、ナディアを語るBefore | アニメージュ1990/4、ロマンアルバムに掲載された庵野監督への放送開始直前インタビュー。「途中から物語は重くなるんですけど、雰囲気は暗くしたくないですね」っていいこと言うなぁ。 | 124-125 |
庵野監督、ナディアを語るDirectly After | ロマンアルバムに掲載された庵野監督への放映終了直後インタビュー。 ナディアはネモが父親だと言うことにいつから気づいていたのかとか、最後のナディアとガーゴイルのやりとりに込められた想いとか、あまり作品の解釈について語らないイメージの庵野監督としては珍しい内容。 |
126-129 | |
庵野監督、ナディアを語るOne Year After | LD-BOXのライナーノートに掲載された庵野監督の寄稿文。 ナディア第1回のアバンタイトルが2種類ある理由が明かされています。 |
130-131 | |
庵野監督、ナディアを語る2001 | DVD-BOXの解説書に収録された庵野監督へのインタビュー。 NHKに無茶を通した時のエピソードは相変わらず面白い。 |
132-134 | |
樋口真嗣監督 「南の島編」を語る |
同じく樋口監督へのインタビュー。 切迫した制作状況の中で生まれた印象的なエピソードなど。 |
135 | |
摩砂雪監督 NADIA MECHANIC ANTHOLOGY―という作品……。 |
DVD-BOXの特典として制作されたNADIA MECHANIC ANTHOLOGYの政策に関する摩砂雪監督へのインタビュー。 ガイナックスはこういう再編集ものも上手いですよね。 |
136 | |
久保田弘 ナディアを語る |
アニメプロデューサーだった久保田氏へのインタビュー。 NHKが最初つくろうとしていたものがどういう雰囲気のものだったのかとか、ナディアのモデルになった少女がいるとか興味深い話。というかこの人NHKサイドの人で庵野監督の犠牲者だ。 |
137 | |
グループ・タック田代敦巳/川人憲治郎 | 企画制作を担当したグループ・タックスタッフへのインタビュー。 ガイナックススタッフの素晴らしさについて語られています。 |
138 | |
氷川竜介 一期一会のアニメ体験 |
アニメ評論家の氷川氏のコメント。 ナディアというアニメの独自性について。ちりばめられたパロディや、ナディアという特異なヒロインなど分析的に語られています。 |
139-140 | |
ナディア in 1990 | ナディアが放映された1990年という時代の背景について。 | 141 | |
ナディア in 2001-2011 | ナディア後10年のメインクリエイターたちの動向について。 | 142-143 |
この手の企画本にありがちな雑多な資料集にはなっておらず、残された資料を丁寧に厳選し、分析的に配置して、少しでもナディアの魅力が伝わるように腐心されていることがよく分かる、まさに「公式記録集」と言って差し支えないものだったと思います。
yukkun20はナディア関連の書籍にはほぼすべて目を通していると思うのですが、そんな自分が読んでも新たな発見や面白さがあって、これはもう永久保存ですね。ナディアが好きな人はぜひご一読を。
記録集もすごいらしいですが それを細かく解説しているのに あなたのナディアへの情熱を感じるぜ・・
2023.01.22 22:35 | by sasa (@qzcn82k7xcp8pe3)
一応ナディアブログなので頑張りましたw
思った以上に書く量が多すぎて、完成前に眠気に負けたので公開が遅くなってしまった。
2023.01.23 00:27 | by yukkun20