2022-06-12
【ゲーム】トライアングルストラテジー レビュー
最近のSRPG界の充実ぶりには感謝しかない。
トライアングルストラテジー
プラットフォーム | Nintendo Switch™ | |
ジャンル | タクティクスRPG | |
価格 | パッケージ版 7,680円(税込) ダウンロード版 7,680円(税込) Collector’s PACK 16,500円(税込) |
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公式 | トライアングルストラテジー|SQUARE ENIX | |
プレイ時間 | 1周目:46時間(ノーマル・ノーデス) 2周目:28時間(ノーマル・ノーデス) 3周目:22時間(ハード) 4周目:12時間(ベリーイージー) 5周目:13時間(イージー) |
ストーリー
- 塩と鉄を巡り、人々が相争うノゼリア大陸―長き争いの果てに、大陸は、伝統を重視する「グリンブルク王国」、塩の女神教を国教とする「ハイサンド大教国」、革新的な政策を採用する「エスフロスト大公国」の三国にまとまっていた。三国は表向きには協調路線をとり、グリンブルク国内に新たに発見された新鉱山の共同採掘に取りかかろうとしていた。ある日グリンブルク王国に仕える武家・ウォルホートの当主セレノアは、王国の第二王子で親友のロランと共に鉱山の視察に出かける。そこで起きた一つの事件により、ノゼリアは再び塩と鉄を巡る戦いに巻き込まれていくのだった―
- ドット絵と3DCGを融合させたHD-2Dをつかった完全新規のSRPGです。HD-2Dの処女作であるオクトパストラベラーも楽しんだので、こちらも発売を楽しみにしていました。
- 人が生きてくために必要な鉄と塩を巡る戦争を描いている本作のストーリーは、非情に血なまぐさくシリアスです。主人公の率いるウォルホート家は、グリンブルク王国に仕えてはいるのですが、戦時情勢により、時にハイサンドに近づき、時にエスフロストに近づく綱渡りの外交をしながら、生き残りを模索し続ける運命にあります。過酷な選択を迫られ、勇気を持って信じた道を進むセレノアの姿は、「正義」とは何かを問いかけるのに十分な説得力を持って描かれていました。
- エンディングは4つ用意されているのですが、ルート分岐直前に、セレノアの仲間3人が進むべき道を巡って相争う展開になります。セレノアはそのうち一つを選ばなければなりません。場合によっては長年苦楽を共にした仲間と袂を分かたなければなりません。そうして進んだ先も、ハッピーエンドが待っているとは限りません。「塩」というリアルなアイテムを巡って争うというストーリーも相まって、結構リアリティがある話になっていたと思います(一応魔法が存在しているファンタジーですが、せいぜいちょっと便利な技術として描かれている感じです。オイル撒いて魔法で着火したりしているし)
システム
- RPGパート、シミュレーションパート、ストーリーパートを繰り返して勧めていくオーソドックスなSRPGです。
- RPGパートでは、HD-2Dで描かれたフィールドでセレノアを操作し、人々と会話したり、アイテムを購入したり、フィールド上に隠されたアイテムを回収したりします。アイテム探しは正直蛇足だったと思いますけど、そのパートがシミュレーションパートの下見を兼ねていて、戦闘が始まる前に地形とかギミックとかを把握できるようになっているのはいい試みだと思いました。
- RPGパートでは、ストーリーの節目で「信念の天秤」を用いたルート分岐が行われます。これは、対立する二つ(または三つ)の意見のどちらに進むべきか、関係者7人の投票で決めるというシステムです。当主のセレノアは投票権を持たず、決まったことにはセレノアといえど従わなければなりません(同数の場合はセレノアが決める)。しかし投票前に投票者に話しかけ、話し合うことで、意見を誘導することもできます(誘導は失敗することもある)。中世の世界観で多数決システムはどうなの?と最初は思っていましたが、これも「何でも主人公(プレイヤー)の思い通りになるわけではない」というこのゲームの特色をうまく描いていたのだと思います。(2周目からは誘導を強くかけられるので、未消化のルートを選択するのも楽になります。そういうバランスもいいですね)
- ストーリーパートは会話ウィンドウによって進んでいきます。登場人物が多いのですが、バックログもきちんとしていますし、発言者の簡単なグラフィックとプロフィールをいつでも見ることができる(しかも回想話の時はグラフィックも若返っているなど結構よく出来てます)し、あらすじを振り返ることもできるので、話が分からなくなることはありませんでした。
キャラクター
- 主人公セレノアはもちろん、それぞれのキャラが自分の立場でなすべきことを貫き通していて、矛盾のあるキャラがいなかったのはよかったと思います。戦時下という事もありますが、うじうじと悩んだり、情に流されすぎたりするキャラもおらず、敵も味方も行動原理がわかりやすかったです。
- ユニットとして使用できるキャラは30人、同時出撃できるキャラは概ね9~12人です。出撃しないと経験値が入らないのですが、出撃すれば移動以外の行動をする(例えばアイテムを使う)だけでも経験値が入ります。入る経験値は、そのキャラとマップの推奨レベルの差で決まるのですが、推奨レベルよりレベルが低いキャラはかなり高い経験値補正がかかるので、全く使ってないキャラでもすぐレベルを上げて実戦に投入することが可能です。後述の通り、本作はピンポイントで輝くキャラが多いので、この仕様はぴったり合っていたと思います。
- このゲームのユニットは基本的に一芸特化キャラばかりで、一人で無双できるキャラはいません(キャラを強化するシステムもありますが、完全に強化しても難易度イージーですら無双はできません)。フィールドのギミックや敵の構成を考えて、有効な構成を毎回考えることになります(お勧めキャラも教えてくれるので安心)。メインキャラだけ見ても、多彩な攻撃アビリティで柔軟に戦うセレノア、馬に乗り槍で貫通攻撃ができるロラン、バフや行動順を操作できるベネディクト、高い火力を持つ火術師フレデリカ、回復特化のジーラ、火力はほかのキャラの半分しかないが2回行動ができるアンナ、移動力と状態異常に特化した弓使いヒューエット、敵の攻撃を引きつけるタンクのエラドールなど多彩です。その後も、トラップで敵を足止めするキャラ、地面を凍らせて命中率を低下させるキャラ、はしごをかけて段差を乗り越えられるキャラ、1ターンにアイテムを複数使えるキャラなどいろいろなキャラがいて、シナジーを考えているだけでも楽しかったですし、マップ次第でどのキャラにも輝く場面が回ってきます。
- またセレノア以外のキャラは、一定回数戦闘に出撃させるとそのキャラを中心とするサブエピソード「深掘り」を見ることができます。短めの話ですが、そのキャラの過去や信念などが垣間見える話になっていて面白かったです。じいさんとばあさんのロマンスとかなかなかですよ。
戦闘
- バトルパートは、スクエア制シミュレーションになっています。高低差、キャラの向き、地形の影響などもありますが、ZOCはありません。
- 行動順はキャラの速度によって決まり、敵味方入り乱れて行動します。行動順は画面の下にキャラグラフィックと共に表示されるのですが、敵のモブキャラは同じ顔だったりするので、いまいち使いにくかったです。ここは本作の明確な欠点なので、次回作があるなら直してほしいです。
- このゲームに特徴的なシステムとして、「追撃」があります。これは敵のキャラを他の味方と挟み込むように攻撃すると、挟み込んだ味方が敵に追い打ちをかけてくれるというシステムです。とはいえ敵も積極的に追撃を狙ってきますし、追撃ができる=敵と接触している=こちらも殴られやすいということもあり、無意味に狙えばいいというものではないです。
- 各キャラにはTPというポイントがあり、自分のターンが回ってくるたびに+1されます。TPを消費すると強力な術技を使用することができます。2や3使う術技は非常に強力なのですが、毎ターン使い続けることはできないので、使いどころを見極める必要があります。TPを増やしたり減らしたり出来るキャラもいますし、特定の条件を満たすことでTPを増加させられるキャラもいるので、そういうキャラを組み合わせて火力を維持するのも作戦です。
- また「切札」といって、味方キャラの行動中であれば任意のタイミングで発動できる特殊なシステムがあります。好きなキャラの体力を回復させる、任意のキャラの位置を移動させる、戦闘不能になったキャラを復活させる、特定のキャラをすぐに行動させるなど、戦局を一変する力がありますが、どれも一度しか使用できない(全体でも最大で5回)ので、文字通り切るタイミングはよく考える必要があります。
- ちなみに戦闘中は一定ターンごとに自動でセーブされ、任意セーブはありません(中断セーブは可能)。しかし自動セーブも中断セーブも一度ロードするとセーブデータは消滅しますし、そこから一定ターンたたないと再度の自動セーブされないので、セーブ&ロードで無理矢理突破することはできません。
- キャラの最大レベルは敵味方とも50です。周回プレイではレベルを引き継げますが、敵のレベルも上がり、2周目の中盤で敵もカンストします。よって難易度を上げておけば、2周目以降も緊張感のあるバトルが楽しめたのはよかったです。このゲームはユニットのHP0になっても、その戦闘からは離脱するだけで、ストーリー上死亡したりすることは一切ないのですが、敵の方が頭数は多いため、あまり味方がやられると戦闘自体に勝てなくなります。大事に育てましょう。難易度ノーマルでも、推奨レベルでノーデスプレイは結構大変でした。
総評
- 一つのユニットに愛を注いで無双させるSRPGも楽しいですけど、こんな風に一芸に特化したキャラを組み合わせて戦うSRPGも面白いですね。思えばうたわれもそんな感じでした。難易度の高さとストーリーのシリアスさが相乗効果を発揮して、どんどんのめり込んでいきました。
- HD-2Dは思った以上にSRPGと相性が良かったです。このご時世にドット絵SRPGが楽しめるとは思っていなかったので本当にうれしかったです。
- 人間の業みたいなものも赤裸々に描かれていましたが、かといってそれだけではなく、正義とか信念とか友情とか倫理とか、人間の美しさもきちんと描かれていて、決して重苦しいだけの作品ではありませんでした。本作はきれいに終わったので続編とかはちょっと考えにくいと思いますが、このシステムを流用した別世界の新作も見てみたいと思わせる名作でした。
- 難易度の高いSRPGをプレイしたい人、運命のいたずらに翻弄されたい人、自分の正義を貫きたい人にお勧めです。
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23:05 | レビュー > ゲーム > その他のゲーム | トライアングルストラテジー | (2)
長文レビュー すげぇww
よほどこのゲームが楽しかったと思われます でもまだまだ語りたいことがありそうだよな
>>人が生きてくために必要な鉄と塩を巡る戦争を描いている本作のストーリー
こういうのって綺麗ごとで済まされないからなぁ・・私は体験版のみでしたが
あの投票って重いよな・・
>>基本的に一芸特化キャラばかりで、一人で無双できるキャラはいません
なかなかシビアな使用ですが ほぼ全員レベル上げをやりこんだんですよね?
お気に入りのキャラクターはいますか(キャラじゃなくて戦闘的な意味で)
>>2D-HDは思った以上にSRPGと相性が良かったです
そうですね このスタッフは今ドラクエ3リメイクを作ってるらしいですが
早く続報がくるといいですね しかしグラフィックの美しいですね
>>、運命のいたずらに翻弄されたい人
ごめんなさい 正直そういうの苦手なんだ・・
2022.06.13 19:14 | by sasa (@qzcn82k7xcp8pe3)
> お気に入りのキャラクターはいますか(キャラじゃなくて戦闘的な意味で)
yukkun20的には、①2回行動とステルスが出来るアンナ、②最大火力のフレデリカ、③TPをばらまけるメディナの3人が好きでよく使ってました。アンナは火力が低い、フレデリカは行動が遅い、メディナは金がかかると欠点もあるんですけど、そこを補いながら戦うのが楽しいです。
> 早く続報がくるといいですね
ライブアライブが先に来ますよ。
2022.06.14 00:25 | by yukkun20