2022-03-21
【ゲーム】両手いっぱいに芋の花を レビュー
パーティ編成とダンジョン探索、どちらも面白いDRPGが名作でないわけない。
両手いっぱいに芋の花を
プラットフォーム | Steam / Nintendo Switch | |
ジャンル | RPG | |
価格 | 1.870円(税込) | |
公式 | なし | |
プレイ時間 | 16時間(1周目+実績コンプ) |
ストーリー
- 世界的な大災害により、土壌が汚染され、食糧危機が広がる時代。遺跡を探索し、遺物を発掘する調査隊の一員として、島の遺跡を探索し、その中にあると言われる植物の種を見つけましょう。汚染された土壌でも育つ芋なら、人類を救えるかも…
- DRPGですし、物語も短編なので、ストーリーもフレーバー程度かな…と思っていたのですが、しっかりとしたバックボーンが用意されていて、遺跡に潜るモチベーションになっていたのはよかったと思います。遺跡を探っても、出てくるのは昔の取引書類とかばっかりなんですが(なので盗掘にもあわずに残ってたんでしょうね)、その書類を元に、種がありそうなあたりをつけてどんどん奥に潜っていくのはなかなかに楽しい体験でした。自分たちの知らない所で、この調査プロジェクトが潰されそうになったりもするんですが、それも意外な方法で解決したりして、小気味いい短編小説を読んでいるような感がありましたね。エンディングも爽やかでした。
システム
- 基本的には迷宮に潜って探索し、拠点に戻って回復する、の繰り返しです。
- 最初のチュートリアルを除いてパーティにユニークキャラはおらず、全員キャラメイクをしていくことになります。キャラは「名前」「ビジュアル」「種族」「職業」などを自由に設定することが出来ます。特にビジュアルや種族はかなりのパターンが用意されていて、髪型や髪色、目の色など細かい所まで自由にすることができます。種族ごとに男性っぽい種族や女性っぽい種族など偏りがあったのがちょっと残念だったかな。せっかくならどの種族にも男性型と女性型2つ用意してもらえるとうれしかったです。ただそれを差し引いてもキャラ作成の自由度はかなりものもだと思います。ちなみに職業以外、攻略には一切影響しません。
- スキルは職業依存です。職業は8つあるのですが転職することはできません。どうしても違う職を使いたい場合は新しいキャラを作成することになります。ただこのゲームは取得経験値のレベル補正が大きいので、新規キャラでもレベリングはさくさくです。
- ダンジョンマップは、オートマッピングです。マップは明るい所(明かりの直下)でしか見られないのですが、手元のたいまつをともせばいつでも見られるので不便さを感じることはありませんでした。マップ自体もよく出来ていて、NPCやモンスターの配置、施錠扉の開閉状況などがすぐわかるようになっています。マップを呼び出すと最初は2Dで表示されるんですけど、これ実は3Dマップなんですよね。回転させれば段差もきちんと確認できてすごく見やすかったです。こういうDRPGは珍しい。
- 攻略には関係がないのですが、時折迷宮のなかで見つかるコレクションアイテムは拠点に自動的に飾られていきます。殺風景だった室内がどんどん賑やかになってくれるのもちょっとうれしいですね。
- 迷宮はオーソドックスな3Dダンジョンです。迷宮内にもあまり複雑な仕組みはなく、一方通行、鍵付扉、隠し扉のほかに、探索に役立つギミックが多少ある感じです。敵はシンボルエンカウントのみです。後述する仕様のため、あまり長く探索はできず、こまめに拠点に帰る必要があるのですが、数回バトルすれば、そこまで直行できるショートカットが解放される、の繰り返しなので、前回探索した所まで戻るのが面倒…ということはありませんでした。
- 迷宮内は全体的に薄暗いですが、持っているたいまつをともせば明るくなります。しかしたいまつには効果時間があり、それが切れると真っ暗になります。暗い所ではマップも読めません。迷宮には各所に灯台があり、そこに火をつけると永続的な明かりになってくれるので、見つけたらともかく火をつけましょう。たいまつも、こまめに付けたり消したりしていれば余裕で持つと思います。yukkun20自身、たいまつ切れで帰還したのは1回だけでした(それもつけっぱなしなのを忘れて歩き回ったのが原因)。そうやって迷宮の隅々を明るくしていくのも楽しい。
- ダンジョンの数もフロア数も少なめ(10を超えるくらい)ですけど、鍵やキーアイテムが手に入るたびに行動できる範囲が広がり、繰り返し同じフロアを探索することになるので、数字以上のボリュームがあるように感じました。
キャラクター
- 登場人物には、ダンジョンでいろんなお手伝いをしてくれるNPCが数人います。あまりセリフはないのですが、それぞれそれなりにいろんな思いがあって迷宮探索に来ていることがわかります。彼らは装備品を作ってくれたり、アイテムを売ってくれたりしてくれます。
- そして一番主人公がお世話になるNPC「チーフちゃん」のことを忘れてはいけないでしょう。彼女はこの調査隊のリーダーを務めるダークエルフの少女(年齢は知りませんけど、自分のことを「姉ちゃん」と一度呼んでいたので、見た目通りの年齢でない可能性もあるな…)です。彼女は主人公たちが迷宮に行くときはいつも入り口あたりまで来て見送ってくれますが、足手まといになるからと決して迷宮の奥には入りません。最初は、実働部隊でもない彼女が何でリーダー?と思ってました。しかし…
- そのほか見つけた文献の解読や、潰されそうなプロジェクトの新スポンサー探しなど、切った張ったしかしない実働部隊よりよほどお仕事しているのである。なのに仲間たちへの気遣いを忘れず、プロジェクトが成功した後も、可能ならこれからも一緒に探索がしたいな…なんて言ってくれるめちゃいい子なんです!
戦闘
- モンスターはすべてシンボルエンカウントです。シンボルは迷宮の特定の位置に見える形で存在していて、こちらが接触する前に敵の名前とレベルを確認することができます。前述の通り暗闇の中を探索することもありますが、そのときもモンスターは確認できるので、不意打ちされる心配はありません。また迷宮の構造によりますが、敵の横や背後から接触すると先制攻撃が可能なので、あえて強敵を避けて迂回路を探すのも手です。一度倒したモンスターは、拠点に戻るまで復活しないので、道に迷ってもイライラ度は低めでした。
- 戦闘では、まず味方キャラの行動を決定します。このとき、敵がとろうとしている行動は事前に完全に開示されているため、それを見て、こちらの動きを決めることができます。
- 全員の行動を決定し終えると、味方前列→中列→後列→敵1列目→2列目…という順番で、0.3秒刻みで行動が始まります。しかしスキルの中には、予定時間より早く行動できるもの、遅くなるもの、行動から効果発動までに時間がかかるものなどがありますし、また敵の行動をキャンセルさせるスキルがあったり、大ダメージを与えると敵の行動を遅延させたりもできるので、それを計算に入れて行動する必要があります。敵が強力な攻撃を放とうとしているとき、先に殴って倒してしまうか、それとも守りを固めるかという選択を常に迫られることになります。
- 敵にも味方にも、「体力」(赤いゲージ)、スタミナ(緑のゲージ)、精神(青のゲージ)が存在します。
- 「体力」はいわゆるHPで、これがなくなると0になります。このゲームは敵の火力が非常に高く、適正レベルだとタンクですら敵の攻撃を数回受けると死にます。全員体力が0になるとゲームオーバーです(といっても拠点に戻される以上のペナルティはないので、強そうな敵でもとりあえず戦ってみるの精神は大事)。
- そこで、狙われているキャラは防御をするのが重要です。このゲームの防御は非常に優秀で、ダメージをほとんどカットすることができます。じゃ狙われているキャラは防御、狙われていないキャラが攻撃すればいいのでは?と思うかもしれませんが、そうはいきません。キャラは行動するたびに「スタミナ」を消費します。スタミナが不足しているとガードしても割られてしまいます。スタミナを回復させるには、構えなおすというコマンドを使います。これでスタミナは全快しますが、構えなおし中は完全に無防備になるので大変危険です。調子に乗ってガードを連発したり、狙われてないからといって攻撃ばかりしていると、いざ攻撃が飛んできたときにガードできず命に関わります。なので敵の隙を見て構え直すことも必要です。パーティ3人で、攻撃、防御、構えなおしといろいろ忙しく、戦闘には緊張感がありました。
- また各キャラは職業に応じたスキルを修得しますが、それを使うには「精神」(いわゆるMP)を消費します。「体力」「スタミナ」は戦闘が終了すると全快しますが、「精神」は探索中にはほぼ回復する手段がないので、基本的にはMPが尽きたら帰還という事になるでしょう。このゲームはショートカットが豊富なので探索中は精神不足はあまり気にならないのですが、ボス戦では精神をどう節約するかが結構重要になります。
- 戦闘中でも、いわゆるモンスター図鑑は自由に見られる(Xボタン(NSWはYボタン)長押し)ので、弱点を忘れたときも安心。攻撃は、「斬撃・風」「打撃・地」「刺突・氷」「火炎」「薬毒」の5種類あるので、敵に合わせて弱点を狙っていきましょう。このゲームは弱点補正やバフデバフ補正が非常に大きいので、うまくかみ合えば格上の敵でも余裕で食えます。
総評
- 最初は雰囲気だけで体験版をDLして始めたのですが、1時間経つ頃にはすっかりこの世界にはまって抜け出せなくなっていました。
- ストーリーも結構面白く、戦闘も独特で楽しく、レトロ風でありながらもシステムは最新のものが搭載されています。ストレスに感じそうなところも意識的に排除されていて、これまでプレイしたコンシューマーのDRPGに勝るとも劣らない名作だったと思います。これが2000円を切る値段で遊べるのは破格だと思いますので、DRPG好きにはぜひプレイしてほしいですね。
- 製品版にデータを引き継ぐことのできる体験版も無料配信されていますので、気になる方はそちらを。体験版と言いつつも、がっつり5時間くらい、つまり全体の1/3くらいはプレイできるので、十分このゲームの楽しさは伝わると思います。実績コンプも容易なので、そちらのコレクターにも安心です。
- 近いうちに、「ぼくのかんがえたさいきょうのぱーてぃ」の企画をやるつもりです。(まあ↑のとおりですけど)
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シンプルそうだけど yukkun20さんがここまで褒めてるってことは
かなり凝ったゲームみたいですね 値段以上に遊べるゲームとは気になります
2022.03.22 19:58 | by sasa (@qzcn82k7xcp8pe3)
とても個人ベースで開発したとは思えないレベルの名作でした。DRPGが好きならプレイして損なしだと思いますね。
2022.03.23 23:59 | by yukkun20