2019-07-22
Yukkun20's Association Secrète
2019-07-22
約2年弱ぶりの新刊。やっぱりキノの旅は面白いです。
キノの旅XXI the Beautiful World
著者:時雨沢恵一
レーベル:電撃文庫
価格:630円(税別)
レビュー
今回の帯名言は「誰もが幸せになれる方法はない。誰にも幸せになれた方法はある。」です。希望を持たせるような、絶望を招くような、どちらとも取れる言葉になってますね。
22巻に収録されているのは、キノがメインの「川の畔で」「誕生日の国」「退いた国」「議論の国」「餌の国」、シズがメインの「知らない話」「届ける話」、師匠がメインの「取り替える国」、フォトがメインの「来年の予定」、キノ・師匠・シズがそれぞれ登場する「仮面の国」でした。後書きは連載開始20周年ということで、旅に出て20年経ち、32歳になったキノが登場します。
今回印象深かったのは「仮面の国」と「川の畔で」ですね。どっちもなかなかにホラーな、そしてキノらしい展開でした。「仮面の国」とかページをめくった瞬間ビクッとしてしまいました。師匠本当にろくなことしねーな(笑)「川の畔で」なんて、川を鮭が遡上してくるだけの話なのに、あまりに救われない絶望的なオチが待っていて、さすが時雨沢先生…とうなってしまいました。また「届ける話」は、シズの愛犬・陸がシズに拾われた時の話でしたk。今では考えられない陸の駄犬ぶりが拝めます。
また「議論の国」は政治風刺的な話でしたね。議論と全会一致でしかものを決められない国の話でした。民主主義をとことん突き詰めるとこういう形態になるんでしょうが、結局何も決められない=現状維持(というか放置)という選択をしたことになるので、何も決めなくても実は決められているという教訓的な話ですね。多数決は数の暴力だって言われることありますけど、世の中を転がすには必要なんですよね…
「久しぶりの国ですので、売る物を売ってしまいましょう」
「それには大賛成です。お金持ちだらけの国だといいですねえ」
「逆、ですね」
「とは?」
「金持ちだけの国では駄目です。貧富の差がはっきり分かれている方が、裕福層の金遣いが荒くなります」※第三話「取り替える国」より引用
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>「議論の国」は政治風刺的な話でしたね
タイムリーなネタ。「全会一致こそヤバいのだ」と、反対票がなかった場合、議決しない国もあります。
このエントリ読んで、少し反省しました。今回の選挙で台頭した新政党、彼らも民意であり、国民の代表には違いないので、「話にならん」「相手にしない」なんて態度取っては、いけません。
2019.07.23 08:51 | by Ivan
> 「全会一致こそヤバいのだ」と、反対票がなかった場合、議決しない国もあります。
こういうリスクを「全会一致の幻想」って言うらしいですね(Wikipedia調べ)。議論も大事だけど、政治とは決断することだとはよく言ったもんだ。
2019.07.24 00:23 | by yukkun20
>こういうリスクを「全会一致の幻想」って言うらしいですね(Wikipedia調べ)
概念知らなかったですが、なるほど。同調圧力とは怖いです。
>議論も大事だけど、政治とは決断することだとはよく言ったもんだ
たとえ間違っていても、「決めること」は大事。ただ今はむしろ、決め過ぎて議論を軽視してるきらいがあると思うんです。どうも近年は、「決断」や「熟議」と、極端にブレすぎるんですよね…。
2019.07.24 06:43 | by Ivan