2017-11-05
Yukkun20's Association Secrète
2017-11-05
今年もこの季節が来ましたね。榊ガンパレが終わったらキノの旅をまとめようとだいぶ前から思っているのですが、榊ガンパレ関係の更新はあと何年も終わりそうにないなぁ。
キノの旅XXI the Beautiful World
著者:時雨沢恵一
レーベル:電撃文庫
価格:590円(税別)
レビュー
今回の帯はアニメ化の告知なので名言は書かれていませんが、口絵に「極限状態で起こったことを―そこにいなかった人間は理解できない。そこにいた人間もまた、理解できない。」という言葉が書かれています。
21巻に収録されているのは、キノがメインの「巨人の国」「有名になれる国」「Nの国」「読書が許されない国」「満員電車が走っている国」「消えた国」「完璧な国」「鍵の国」「毎日死ぬ国」、シズがメインの「美男美女の国」、レジーという女性がメインの「女の国」、フォトがメインの「見える真実」でした。今回は後書き2つと作者略歴の枠を使って、時雨沢先生がアニメ化について熱く語っておられましたね。自分が書いている小説がアニメ化とかどういう気持ちなんでしょうか。表現者ではない自分には全然分かりませんけど、きっとめっちゃ嬉しいんだろうなぁ。
今回面白かったのは「女の国」ですね。はっきりとは述べられていませんが、この話が「鍵の国」のすぐあとに配置されていること、また登場する車から考えるに、レジーとはキノの師匠のことなんでしょう(まあこの作品の場合それも引っかけの可能性がありますけど。実は師匠の師匠とか)。この作品に出てくる主人公たちは、キノもシズもフォトも重い過去を抱えていますが、師匠もやっぱり…という感じでしたね。
また「有名になれる国」も風刺が効いていて興味深かったです。誰もがラジオで自分の情報を発信でき、それを聴取している人の数で人気が計られるという国の話。これYouTuber的なものを描いているんでしょうね。時雨沢先生らしく自業自得的なオチになっていますが、かといってあまりかわいそうなオチにはなっていないので、その辺りから時雨沢先生の見方が読み取れそうです。
「一番迷惑でタチが悪いのは、有名人に絡む奴らだ。…遠慮もなく突撃して話しかけ、その様子をラジオで勝手に流す。普通に質問していては普通の反応が引き出せないと分かると、法律ギリギリ、時に超えてまで失礼なことをして、その怒りの反応などを伝えて有名になりたがる。これ以上のゲスな人間を、私は知らん」
※第一話「有名になれる国」より引用
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