2017-05-01
【ゲーム】フィリスのアトリエ~不思議な旅の錬金術士~ レビュー
この「ゲームのクリアタイミングがかぶる」現象に何か名前を付けるべきでは。
フィリスのアトリエ~不思議な旅の錬金術士~
プラットフォーム | PS4/PSV/Steam | |
ジャンル | 錬金術再生RPG | |
価格 | 【PS4】6800円(通常版/ダウンロード版) 【PSV】5800円(通常版/ダウンロード版) 【Steam】5800円(ダウンロード版) |
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公式 | フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~ | |
プレイ時間 | 1周目:140時間(プラチナ) |
ストーリー
- 岩山の中にある町エルトナ。そこに住む少女フィリスは、外の世界に憧れ、村と下界を隔てる大扉を眺める日々を送っていた。ある日、その大扉をいともたやすく壊して現れた女性・ソフィーから、錬金術という技術の手ほどきを受けた彼女は、その力を村のために使うことで外出許可を得る。しかし外出期間はわずか1年。1年後に開催される錬金術士公認試験に合格できなければ村に強制送還されてしまう。フィリスは受験に必要な実力を身につけるため、旅をしながら錬金術の腕を磨いていくのだが―
- 今作は時間制限のある前半部分と、時間制限のない後半部分とに別れています。前半は試験に合格するという明確な目標があるのですが、そのためにすべきことは試験が行われる町まで旅をすることと、その途中にいる5人の公認錬金術士のうち3人から推薦状をもらうことだけなので、ストーリー的な牽引力に欠ける感じがしました。
- 後半部分は主として仲間との絆を深めながら、フィリスがやりたいことを探していくという内容になっています。こちらはメインのストーリーがない代わりに、キャラごとのイベントが大量に用意されていて、むしろこちらの方が先が気になる展開でした。そういうわけで後半部分の評価は高いのですが、前半部分はそこそこ。この問題点(メインが弱くサブが強い)は前作ソフィーのアトリエにもあったのですが、前半と後半に分化されたことで余計問題点が引き立っちゃいましたね。
- あと明確なボスがいないのは好き嫌いが分かれるかも。アトリエらしいと言えばそれまでですけど。
システム
- アトリエと言えば調合。前作はやや複雑化しましたが、今作はシステム的に少々洗練された感があります。ボーナスラインも満たしやすくなりましたし、強力な特性(少なくともやりこみボス以外と互角に渡り合える程度)の入手難易度も低く、強力なアイテムも作りやすくなりました。反面量販店がなかったり、同じアイテムを何個も作らないと強力な特性を複数付けるのが難しいなど面倒なところもあります。ただ全体としては遊びやすくなりましたね。
- 戦闘は敵味方共にステが下がったのでやや地味に。今回も相変わらずアイテムゲーなので、やり込みを見据えてない(※プラチナまではやり込み不要です)のであれば、錬金術士(フィリス、ソフィー、プラフタ、イルメリア)で爆弾をばかすか投げるのが強いです。物理型は不遇…といいたいところですが、さらなるやり込みを目指すと物理型の方が強く育ちそう。自分はやってないので受け売りですが。
- 今回前半部分の評価が低いです。時間制限があるにもかかわらず、目的地までどれくらい時間がかかるのか、5人の公認錬金術士がどこにいるのか、その推薦状をもらうのにどのくらい時間がかかるのか、そもそも公認試験ってなんのテストなのか、全く分からないまま放り出されます。ある意味リアルなんですけど、試験に間に合わなければゲームオーバーなわけで、しかも調合も採取も移動も全て時間を消費するため、常に時間に追い立てられます。イベントやクエストをゆっくりこなすまもなく、とにかく急げ急げで息が詰まりそうでした。結局推薦状を無駄に5つ集めても120日くらい余ったので、かなり余裕はありそうなのですが…まさか100日寝て過ごすことになろうとは。
- とはいえ、今回は時限要素がほとんどなく、ほっぽりっぱなしになったイベントやクエストも後半部分に入ればでゆっくり回収できます。そういう意味ではよかったんですけど、だったらもう少し前半部分何とかならなかったのかなぁ。時間制限から解放された後半部分がかなり面白かっただけに残念です。
- それから細かい部分で気になったことが。
- まず致命的なバグが未だに(Ver.1.07)修復されていません。発売からかなり時間が経ってるのに…しかも普通にプレイしていると引っかかる可能性が高いので注意が必要。気になる人は「パルミラ 暗転」でググってください。
- マップが広いのにショートカットポイントが少ない。特に時間や天気の要素があるのに、移動している間に時間や天気がずれたりしてイラッとさせられることも多い。ダンジョンからの脱出アイテムがなかったり、マップ間移動の制限が大きい(特定のポイントから特定のポイントまでしか移動できない)、マップに隣のマップとの繋がりが表示されない、ミニマップに採取ポイントが表示されないなど、移動に関するストレスがマッハ。なぜこんな仕様にした?
- マップに町の名前が表示されない。たとえばこの「白霧ヶ森」には「ドナ」という町がありますが、このマップに実際に入らない限り、それを確認する術がない。しばらくプレイしていれば自然と覚えるが、イベントでいきなり「ドナにある○○を取って来て」といわれても、「ドナってどこだよ」となるのはどうなの。
- 天気と言えば、その時点での天気がイベント時にも反映される仕様なのだが、明るいイベントなのに天気が雷雨だったりしてテンションが下がることも多数。
- レシピ探しが面倒で、どう考えても作業が必要なものも多い。これもソフィーの頃からの問題。
- 移動は歩きと走りを切り替えられるが、走っているかどうかを確認するには立ち止まらなければいけないのでこれもけっこうなストレス。
- この辺りの不自由さは慣れればまあどうにかなりますけど、せっかくいいところも多いゲームなのにその良さが減殺されているのは残念。テストプレイで気づかないんですかね…
- とはいえ、ソフィーの時から評価の高い図鑑のコメントの充実ぶりや、グラフィックの美しさなど見るべきところもあります。また後半部分は次から次に新しいイベントが起きて、仲間達の新たな魅力に気づかされたりもします。僕はこういうたくさんのキャラがたくさんのイベントを起こすのをフラグを管理しながらプレイしていくことに喜びを感じる人間なので、とても面白かったです。最近はアトリエばっかりプレイする状態になってたくらいで、決して駄システムではないです。
キャラクター
- PCキャラは全部で9人+2人(DLC)。うちパーティに加入するのはフィリスを含めて7人で、さらにその中から戦闘メンバー(フィリスは固定)を4人選びます。今作は仲間に入れていないと経験値が入らない仕様になったのが残念。しかも仲間を入れ替える手順が面倒くさい(特定の場所でしか交替できないのに、その場所では装備品の入れ替えが出来ないため、まずアトリエで装備を引っぺがし、入れ替え場所(しかも2カ所に別れている)に行って該当キャラを加入させなければいけないという誰得仕様だったのが気になりました。
- ちょっと驚いたのですが、DLCの2人にも他のキャラに負けないレベルのイベントが用意されていますし、他のキャラとの絡みも少なくありません。2人とも加入させるとなんとOPムービーでも2人のカットが挿入されるなどしており、力が入っているのが分かりました。アトリエ好きならぜひDLCも楽しんでほしいですね。
- 今回のお気に入りキャラはイルメリアです。彼女はアトリエシリーズではよく見かける、「ちょっとおしゃまな主人公のライバルポジション」のキャラです。かわいい。でもそのポジションにはウィルベルさんという強力な先人がいるからなぁ。イルメリアも十分魅力的なキャラでしたし、フィリスとのイベントはなかなかにほんわかした展開で良かったのですが、やはりウィルベルさんには勝てなかったな!(個人的な意見です
あとは公認錬金術士の天才少女キルシェさんが良かったですけど、これはキルシェというより中の人(山本彩乃さん)に対する愛のような気がする。中の人と言えば谷井さんのパメラが再登場したのはうれしかったところ。もうちょっとイベントがあればなぁ。彼女の店がワープポイントから妙に遠いのは嫌がらせですか! - フィリスは前半部分はちょっと脳天気すぎて愛せなかったんですが(あと「お外」「お空」「お歌」など何にでも「お」をつけるのが結構耳ざわり)、後半からは突如ツッコミに目覚めたのか面白い反応もするようになって良かったと思います。
戦闘
- シンボルエンカウント制です。敵の動きは鈍いので意図としない戦闘に巻き込まれることは少ないです。そもそも今作は戦闘の比重が下がっていますし、必殺技もかなり出しにくくなってました。アトリエの戦闘はいつも単純ながら奥が深いんですけど、その奥の深さについてチュートリアルをきちんと組まないせいで損している感があります。特に今回は敵が全体的に弱く、戦闘に深入りしなくてもプラチナまで行けてしまいますので。
- 戦闘はオーソドックスなコマンドタイプ。キャラを強化するにはイベントをこなすしかなく、どうしても強化は後半部分に偏るので、前半はとにかく爆弾を錬成して投げる、これに尽きます。
- 最終的にはこのグナーデリングを装備させておけば、装備は拾ったのを適当に装備させてもほぼ全てのボスを倒せました(※難易度EASYの場合)。
- 作ったアイテムはこんな感じ。特にノックバックが強く、プラチナ獲得のために闘わなければいけない敵の弱点を突きやすいブリッツクリスタル、耐性に関係なく大ダメージが入るブリッツコア・無には助けられました。
総評
- 全体的に批判的な論調になりました。確かにダメな部分もあるんですけど、しかし後半部分はそれをカバーするだけのおもしろさがあり、全体としてみれば良作に仕上がっていると思います。
- プレイ時間もなかなかになってますが、強力なアイテムを調合しようとするとすぐに時間がたってしまうこともあり、プレイ時間が長すぎたという感じはしないです。
- 次回作ももちろん購入する予定ですが、移動に関するストレスだけはどうにかしてほしいですね。せめてワープポイントを増やすか、ホウキ(高速移動のアイテム)に一瞬で乗れるようにするかするだけでもだいぶ印象変わると思うんですよ…。
- 毎度おなじみのキャストコメントもあるよ!
まずマップ移動が面倒になってるのは今回のテーマが旅だからです
だからマップも広くしているのでしょう
ピンポイントを増やせば旅をしている感がなくなり
今回のテーマとは根本的にズレるからです
たまにはこういうアトリエがあってもいいじゃないですか
2017.05.02 22:33 | by sasa
> マップ移動が面倒になってるのは今回のテーマが旅だからです
おっしゃるとおりですね。アトリエにしては珍しくマップ埋めが必要なシステムになってましたし。ただアトリエシリーズの基本は採取と調合だと思うので、それを移動システムが邪魔する感じになってるのがちょっと残念なんですよね。せめてホウキにエンカウントキャンセルの効果があればまたちょっと違ったんですけど。
2017.05.03 11:13 | by yukkun20
あとルフラン買いました
なんでも百騎兵シリーズと根本的に繋がってるらしく
楽しみです
ただ私は複数のゲームを一辺にはしない主義なので
スターオーシャン3クリア後になりそうです
2017.05.02 22:38 | by sasa
> なんでも百騎兵シリーズと根本的に繋がってるらしく
そうらしいですね。僕はプレイしたことがないので分かりませんが、確かに外に広げていけそうな世界設定だと感じました。ストーリーも面白かったですし、ぜひ楽しんでください。
2017.05.03 11:14 | by yukkun20