2017-01-08
【ゲーム】テイルズ オブ ベルセリア レビュー
ゼスティリアよりはコンプが楽だった気がする。
テイルズ オブ ベルセリア
ジャンル:君が君らしく生きるためのRPG
価格:8200円
公式:テイルズ オブ ベルセリア|バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
プレイ時間:121時間
ストーリー
- 人を魔物へと変える謎の病気・業魔病。人々は業魔病と、それによって生じる業魔の被害におびえながら暮らしていた。しかし3年前の「降臨の日」、業魔と戦う使命を持つ対魔士アルトリウスは、とある儀式によりこの世界に「聖隷」と呼ばれる存在を呼び出し、その力を利用して業魔に対抗する組織「聖寮」を立ち上げた。
3年後。聖寮の長であるアルトリウスは救世主として祭り上げられていた。彼は人々に感情を抑え、理性的に振る舞うよう徹底させ、それにより世界は仮初の安定を見せている。しかしこの3年、監獄島に幽閉されていた少女ベルベットは、復讐心に燃えていた。3年前、アルトリウスが行ったのは、彼女の弟ライフィセットを生け贄に捧げる儀式だったのだ。最愛の姉の夫であるアルトリウスに裏切られ、業魔の取り憑いた姿になりながらも、ベルベットはアルトリウスの復讐だけを糧に地下牢で生き延びていた。ある日、アルトリウスの聖隷シアリーズが現れ、彼女を牢から連れ出す。それは彼女の復讐の旅の始まりだった―
というストーリー。世界観はいわゆる中世ファンタジーで、ゼスティリア(以下Z)の1000年ほど前の時代を描いた物語になっています。 - Zはストーリーがかなり叩かれていましたし、ぼく自身もかなり厳しい評価をしましたが、今回は全体的によかったと思います。復讐がテーマで、目的のためには手段を選ばないというダークヒロインものでしたが、結局のところ仲間との協力や辛い現実と挫折、仲間の裏切り、本当に大切なものは何か、因縁の対決など、普通のヒーローものと同じ要素を、上手に裏返して描いてくれていました。並行してプレイしていたペルソナ5もダークヒーローものですが、あれは「(普遍的な意味での)正義」を「(社会的な意味での)悪」のフィルターを通じて描いているのに対し、こちらは「(普遍的な意味での)悪」を「(社会的な意味での)正義」のフィルターを通して描いているように思えました(わかりにくくてすみません)。
- また、前作との整合性が上手に取られている印象を受けました。おそらくZの時点ではBを作ることは考えてなかったように思いますが、後付け設定とは思えないほどの完成度でした。特にアイゼンとザビーダ回りのエピソードはよくできていたと思います。
- ただ、尖ったストーリー展開であることは間違いないですし、エンディングも最近おなじみのアレなので、やや人を選ぶ作品だと思います。自分の個人的な好みに合致するストーリーではなかったです。
システム
- Zはシステム的にも問題がありましたが、今回は割とオーソドックスなシステムに戻っていたと思います。
- 今回の装備品強化は、縛りの大きかったZ(同名の装備がないと強化できない)よりは改善され、同じランク同士の装備品は種類が違っても強化に使えるようになりました。装備品ドロップ率も大きく改善されており、よかったと思います。その代わりランダムスキルの選択をコントロールできなくなったため、全体として装備品の重要性が下がった感がありましたね。
- あとは料理でしょうか。今回は戦闘後に料理を作ることで、HPが全快する仕様になりました。戦闘バランスは結構シビアだったりするので、これはありがたいですね。といっても食材のコストの関係上、ひたすら一番安い料理を作ることになりかねませんが…
- 移動はワープポイントと、ホバーボードでの移動を組み合わせてます。ホバーボードは各マップでフラグを立てるまでは使えず、ちょっと面倒くさい仕様でしたね。せめて2周目からは即時解放にした方が良かったのでは。
キャラクター
- PCキャラは6人で、ほぼ入れ替わりはありません。
- ベルベット…序盤は彼女の身勝手なところ(というか復讐中心主義なところ)が鼻につきますが、彼女がそうなるに至った事情を前もってかなり丁寧に描いてくれているので不愉快ということはないです。ただ中盤を越えたあたりでアルトリウスの真意が明かされ、そこで彼女が一度折れてしまってからの展開は個人的にはちょっと引っかかるものを感じました。レビューでも何度か触れていますけど、心変わりが大きすぎるんですよね。最後まで悪役寄り(もう少しソフトに言えばツンデレ)な感じで終わってもよかったのではないかと思います。多分ベルベットの本質は純粋な村娘だということを示したかったんだと思いますけど、プロローグを見てもベルベットはそういうキャラとはちょっと違う気がする。
- ロクロウ…剣への執着が強すぎて半分業魔になっているキャラ。普通こういうキャラの場合、業魔に侵食されていることへの葛藤をネタにするのがお約束ですが、彼は超絶ポジティブなので全くそういうシーンがないです。むしろ兄・シグレをいかにして越えるかということに自分の全てを費やしています。しかしベルベットに恩義を感じ、ともすればぎすぎすしがちなパーティを上手く取り持つお兄さん的な面もあったりして、気持ちのいいキャラでしたね。彼がなぜこんなに兄に執着しているのかは、限定版の特典小説を読むとよく分かります。
- ライフィセット…本作のヒロイン、もといパートナー。中盤まではベルベットに庇護され…というか利用されているキャラでしたけど、中盤からは彼女を引っ張っていく存在になります。基本的にベルベット全肯定なので、ベルベットに感情移入できない自分としては?と思うこともないではないでしたが、この世界では珍しい純粋な存在として描かれていて、スタッフが彼を愛しているのはよく分かりました。
- アイゼン…周囲に不幸を振りまく死神の業を背負った聖隷。厨二病なのはそのせいなのでしょうか。非常にシリアスなキャラで、いつも渋い声でしゃべっているのに、なぜか無意味に意味深な表現をしたり、こだわりポイントがちょっとおかしかったり、重度のシスコンだったりで、全体としては天然ボケ要員です。彼は自身の目的のためにベルベットと行動を共にしているだけで、途中で多分一時離脱するんだろうなぁ…と思いましたが、結局最後までほぼ離脱しませんでしたね。憎まれ役を買って出ることも多かったですけど、壮大なツンデレだった気がしてきた。
- マギルゥ…自称魔女。序盤から旅に同行し、時に辛辣な、遠きに意味深な言葉をベルベットに投げかけるんですが、それ以外の時は概ねボケ倒しているので、完全にギャグキャラになっています。さらなるボケ要員ビエンフーと組んでいる時はツッコミも出来る万能キャラ。しかしベルベットに勝るとも劣らない重い過去を抱えており、それでいて明るい彼女は今回のお気に入りキャラです。久々の魔女っ子ということで、初代魔女っ子のアーチェさん衣装が着られるのはなんという俺得。
- エレノア…パーティ唯一の常識人。天然のライフィセットとアイゼン、ボケのマギルゥとビエンフー、リアクションの薄いベルベットにまんべんなく突っ込んでくれるパーティの要です。彼女とモアナのイベントは涙なくしては見られませんでした。彼女は聖寮の裏切り者なのですが、それについていつまでもうじうじ悩まず、自分の信念に従って行動することをきっちり決めて邁進するキャラで、世が世なら彼女が主人公だったと思います。
- 敵キャラについてですが、今作は設定がよく練ってましたね。敵と言っても、ほとんどは、市民を守るという信念を持って戦いを挑んできます。しかしそれが陳腐なものにはなっておらず、それぞれ微妙に異なる事情を抱えながら、因縁のあるPCキャラとしっかり絡みを見せてくれて概ね満足でした。ラスボスもカタルシスが得られる展開だったと思いますよ。
個人的にはテレサが好きでしたね。
戦闘
- シンボルエンカウント制。複数のシンボルに接触すると、敵のレベルが味方と同じレベルにまで引き上げられるので危険ですが、それを除けば概ね走って逃げられるのであまり面倒くさいところはないです。ボードに載っていれば弱い敵は粉砕できますしね。
- 戦闘はいつものLMBSで、6人から4人を選んで戦います。戦闘中にキャラを入れ替えることもできます。TOGと同じく、通常攻撃がなく、攻撃は全て術技になる戦闘システムですが、ソウル、SG、BGなど管理しなければならない数値が多く、慣れるのに時間がかかると思います。特にキャラクターによってできることが全く異なるため、いろんなキャラを使いたい方は苦労されたのではないでしょうか。ここは好みの問題なのですが。
- 戦闘バランスはよくできていたと思います。Zのように大味な感じはありませんでした。弱点連携(敵の弱点を突く術技を組み合わせることで飛躍的にダメージが増える)という要素が、戦闘に工夫を促す要素になっていて良かったです。SGが2の時はものすごいジリ貧感があるのに、4とか5になると無双状態になるというのもうまくできていたと思います。ボスとかだとSGを増やす機会が少ないので、序盤は耐えて、終盤に一気に爆発させるという戦いは僕好みですね。
- ガードをするとカメラ視点がリセットされるという仕様は非常に良かったですね。戦闘の都合上、頻繁にガードをした方が効率的に戦えるので、そのたびに視点をリセットしてくれるというのは思った以上に使いやすかったです。術技のエフェクトも少々抑え気味になり、全体的に見やすくなったと思います。
- 秘奥義カットインが各キャラ1枚しかなかったのが残念。あと協力秘奥義がちょっと操作しにくい。
総評
- ストーリーはちょっと好みからは外れましたが、全体としては手堅くまとめられた良策でした。ただこれをプレイするとなると、Zをプレイしないわけにはいかないわけで、そういう意味でシリーズ未経験者にはちょっと勧めづらいところはありますね。でもZの汚名は返上してくださったのではないでしょうか。TOZXはシナリオも改善されていましたし、シリーズが上向きになってきている感じを受けました。
- 次回作にも期待したいと思います。Bの続編になるのか、TOT-Rになるのか、それとも完全新作かは分かりませんが、来年にはプレイできるとうれしいです。
- 次回は闘技場を復活させてほしいです。歴代キャラとがっつり戦う場所がほしいですね。
- 最後に。そろそろスクショ機能を使えるように戻してください。
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23:16 | レビュー > ゲーム > テイルズ オブ シリーズ | テイルズ オブ ベルセリア | (7)
前作がなぜ不評を買ったのか スタッフもきちんと真剣に受け止めていたと感じる作品でした
このゲームゼスティリアに繋がるに不満を抱く方もいますが
単独作品として見るなら十分だと思いまず
ただ過去という設定のせいでカノヌシの鎮魂化の恐怖が薄れてしまうのは
なっとくせざるえないですね
どんなにベルベット達が追い込まれても結局スレイの生きている時代と矛盾するので
どうにかなるんだろうと思ってしまいました
余談ですが発表から半年も続報がないのは
あんまりじゃないかと
2017.01.09 02:57 | by sasa
> 発表から半年も続報がないのはあんまりじゃないかと
テイルズに限らず最近そういうことが結構あるような気がします。しょうもない情報でもいいので小出しにしてくれた方がモチベーションを維持しやすいですよね。
2017.01.11 08:55 | by yukkun20
ポジティブな結論になってなによりです。
TOZX、第2期もいいですよ!テイルズファンではない私も楽しく観てます。13話からはあのキャラをきちんと描こうとの意図を感じますが、気のせいじゃないといいな。
2017.01.09 17:30 | by Ivan
> TOZX、第2期もいいですよ!
こちらは本日配信予定。早く見てぇー!
2017.01.11 09:00 | by yukkun20
うーんベルセリアを単独作品としてなら満点なんですが
やはりこれがゼスティリアに繋がるのはマイナスだと思いますよ
まず未来でも結局人間は天界の呪いに苦しめられていることですし
解決したわけでもありません
やはりライフィセットとアイゼンのその後がね
アイゼンですが本当に死ぬのは惜しいキャラクターだと感じました
死神の呪いなんか解いてエドナと暮らしてほしかったと思う
それで殺すのが前作の主人公ってあんまりじゃないですか
ライフィセットも彼がマオテラスとすればカムランの悲劇がありますよね
人間を守るようにとベルベットに託されたのにその人間のエゴで彼も
穢れてしまうことになります
まるでベルセリアの感動のラストを踏みにじられたような気分です
あとどんなにカノヌシの鎮魂化の恐怖を描いても 過去という設定のせいで
結局どうにかなるだろうと萎えてしまった
2017.02.03 00:15 | by アフターコミック
確かにアイゼンとライフィセットの結末は残念でした…けど、Zでエドナが3000歳、アイゼンがエドナに慕われるいい兄貴という設定を作ってしまった以上、Bではアイゼンについてもこういう形にするしかなかったと思うんですよね…。もしBの方が先に発売されていたら本当Zふざけんな!ですけど、逆だったので仕方ないかなと。ライフィセットの方も、彼がいたから人類はその後1000年生き延びたと考えれば、無駄な犠牲ではなかったと思います。PとかDとかGとかの主人公も世界を救ってますけど、その後結構短期間で再び世界の危機を迎えてますからね。それに比べれば1000年世界を守ったのはすごいのではないでしょうか。
> あとどんなにカノヌシの鎮魂化の恐怖を描いても 過去という設定のせいで結局どうにかなるだろうと萎えてしまった
これはその通りですね。前日譚の宿命か。
2017.02.04 09:21 | by yukkun20
TOZXの今後に期待しましょう(アイゼンがどんな最期を辿るか、知りませんが(…))。
2017.02.05 18:43 | by Ivan