2012-02-02
「地獄で見る夢」 作品紹介&レビュー
以下ネタバレ。
今作の感想ですが、良くも悪くも普通の作品だったかなぁ。今回のストーリーはあまり世界設定を生かせてないような気がするんですよね。別にこの世界でやらんでもという感じ。しかもオチがいまいちしっくり来ない感じだったのが個人的には残念でした。とはいえ、森岡先生らしい流れるようなセリフ回しは健在でしたし、これだけ長い間断続的に続いているのに、キャラがぶれていないところは素晴らしいと思います。
で、今作から読み始めた方のために少し世界観設定を復習しようと思います。やや説明不足に感じられるところがあったので。ちなみにはっきりとは書かれていませんが、この作品は「優しい煉獄」「騒がしい死者の街」の続きなので、両者を読んでいるとより一層楽しめます。
- 主人公たちがいる世界VRNWS(略称ではなく正式名称)は、いわゆる仮想現実である
- VRNWSは現実世界に存在するウィップ社が運営している
- この時代の人間は、専用の施設(クリニック)で自分の人格のバックアップを取ることができる
- ウィップ社と契約することで、自分の死後、そのバックアップをVRNWSに投影することができる。よってVRNWSは「死後の世界」ということができる(最も投影できるのはバックアップ時の人格なので、住民のほとんどは死の瞬間の記憶を持たない)
- 生きている人間でもVRNWSを利用することができる。利用後にバックアップを再度本人と統合することで、あたかも自分自身がVRNWSを体験したかのように感じることもできる
- VRNWSに存在し続けるには、料金を支払う必要がある。料金を支払えなくなるとウィップ社との契約は終了し、VRNWSから消滅する
- 死者には年金等はないので、支払いを続けるには、生前の財産を食いつぶすか、VRNWS内で何か商売をして現金を稼ぐ必要がある。よってこの世界では正に「金=寿命」である
- 主人公の本体は脳卒中で死亡している。そのため主人公はVRNWS内での探偵業で収入を得ている
- 主人公はVRNWSの中にある「昭和末期の世界」(昭和60年をモチーフにした世界)に住んでいる。仮想現実でありながら不便な時代をモチーフにしたこの町の住民には変わり者が多い
知っておいた方がいいのはこんなところでしょうか。本当は過去作に出て来た登場人物の紹介もしたいんですけど、それはそのうち気が向いたらということで。
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