2018-06-27
【ゲーム】リディー&スールのアトリエ~不思議な絵画の錬金術士~ レビュー
アトリエシリーズはまだ頑張れると思う!
リディー&スールのアトリエ~不思議な絵画の錬金術士~
プラットフォーム | PlayStation®4, PlayStation®Vita, Nintendo Switch™, Steam® | |
ジャンル | 錬金術再生RPG | |
価格 | 【PS4】 通常版 希望小売価格 7,300円 ダウンロード版 販売価格 7,300円 プレミアムボックス 希望小売価格 10,300円 アトリエ20周年ボックス 希望小売価格 25,600円 ほか |
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公式 | リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜 | |
プレイ時間 | 1周目:91時間(プラチナ) |
ストーリー
- アダレット王国の首都メルヴェイユに建つ、一軒の小さなアトリエ。そこには双子の錬金術士の少女が、「国一番のアトリエ」を目指して日々仕事に励んでいた。ある日地下室から聞こえる不思議な声に導かれた二人は、その絵の中の世界に引き込まれてしまう。そこには見たこともない素材が転がっており、双子はそれを使って自分たちの錬金術のレベルを上げようとするのだが―
- ソフィー、フィリスと続いてきた不思議シリーズ3部作の最終作です。定期的に行われるランクアップ試験をこなしてアトリエランクを上げつつストーリーを進めていく形式ですが、今作はソフィーと同様時間制限がありませんので全体としてはのんびりしています。
- 今回はシリーズ最終作なので、過去作で回収されなかった伏線がかなり回収されていて良かったです(特にプラフタ回り)。前作はキャライベントが後半に集中していましたが、今回は全体にバランス良く配置されていてこちらの方が良かったと思います。このシリーズは全部そうなんですが、サブイベントの充実は本当半端ないんですよね。
- しかし、今回はメインストーリーが本当に残念な出来でした。特に物語の根幹をなす「アトリエランク制度」がすごく引っかかります。(ここから愚痴長文)
そもそもアトリエランク制度は、アダレット王国が、腕の良い錬金術士を集めて、錬金術で国を発展させるために始めた制度です。ところが中盤で、王国がファルギオルというモンスターに襲われます。ファルギオルは過去にも王国を襲ったことがあり、その時国は滅亡寸前まで追い込まれましたが、一人の優秀な錬金術士によりどうにか封印することが出来ました。アトリエランク制度は、ファルギオル復活に備えて錬金術師を集めるのが真の目的だったのです!
…詐欺じゃん!ちなみに復活したファルギオルに立ち向かうために集まったのは全員双子の関係者です。明らかに戦力が足りていないので、後方で指揮を執るミレイユさん(この国の王女)が作戦を考えてくれるんですが、その作戦が「別働隊が足止めしている間に主力部隊が総攻撃をかける」というもの(僕が端折っているわけではなく、ほんとうにこのまんま)。
…作戦でもなんでもないじゃん!案の定全員まとめてボコられます。そこでようやく一行は対策が必要だと考え、かつてファルギオルを封印した錬金術士(の残留思念)に相談します。その子は人間不信になっていて、双子達の頼みも最初はあしらうのですが、双子達が友だちになろうと言葉をかけると、やがて心を開いてくれるようになります。ちなみにこの子がメインストーリーに絡むのはこの時だけで、これ以降最終章までサブイベントも全くない状態で放置されます(ちなみに最終章のサブイベントも、ある問題の解決するための方法を聞きに行くというもの)。
…友だちじゃないじゃん!利用してるだけじゃん!とにかく彼女の協力でファルギオルをぶちのめしました。するとミレイユさんは「アトリエランク制度の目的も果たしたし、制度を廃止するという話が出ている」と言い出します。
…本当に詐欺じゃん!国家の公認を得ようと考えて移住してきた錬金術士を用が済んだとばかりに放り出す最悪の政策です。結局ミレイユさんは最終的に制度存続に回り、アトリエランク制度は維持されます。しかしその理由が「これを目標に頑張っている錬金術師がいる」という非常に感情的な理由。アトリエランク制度は国家予算が投入されている(ランクに応じた資金援助がある)のに、それでいいのか。
それで、結局双子は国で初めて最高ランクに登りつめるんですけど、正直双子の錬金術の能力の高さについてのエピソードも少なく、作中には明らかに彼女たちより能力の高い錬金術士が登場する(彼女たちの師匠、その師匠のライバル、そのライバルの師匠、その師匠の師匠、その師匠の同僚など)ので、余計ご都合主義な感じが否めません(一応彼らはアトリエランク制度に興味が無くなったみたいな感じで脱落していますが)。
- フィリスのアトリエも、幼い少女が荒野を旅するという世界設定に馴染めませんでしたが、今回もやっぱりストーリーに馴染みきれませんでしたね。マリーやエリーみたいに、落ちこぼれなら落ちこぼれっぽいストーリー立てにすればいいし、黄昏シリーズみたいに世界を救うのなら、基礎能力は高く設定すべきだと思うんですよね。
システム
- アトリエと言えば調合。今作は前作、前々作の正統進化で、良くなったと思います。強力な特性(少なくともやりこみボス以外と互角に渡り合える程度)の入手難易度も低く、強力なアイテムも作りやすくなりました。量販店も復活しましたし、一度に複数個錬成することも比較的容易に出来るようになりました。アイテムを全部作っていれば、ほとんど錬金レベルもカンスト出来るのも手軽で良かったです。
- 今回は戦闘難易度が高くて、途中でアイテムか装備を作り込まないと攻略が難しくなっています。ただ今回はスールとフィリスが強すぎて、ある程度強力なアイテムと武器を準備すれば隠しボスもほとんど倒せるので、ちょっとバランス悪かったかも。せっかくDLCキャラを2人追加したのにうまく使いこなせませんでした(これはyukkun20の責任です)
- フィールドでは時間の概念がありますが、これはちょっとうっとうしかったです。時間はアトリエで自由に進めることが出来ますが、出先では時間を調節する手段がありません。特定の時間しか出現しないモンスター、採取出来ない素材、開いていない店などがあるのに、一々時間を調整するのは煩雑で、没入感より面倒くささが先に立ちました。時間制限がないのに、時間の概念をこんな不自由な形で残す意味はないと思うんだけどなぁ。
- あと、街のグラフィックがダメダメ。キャラモデリングの等身が高いので、それに合わせて建物とかも構築されているんですが、街の住民の数がそれに見合う人数いないので、ものすごく人口が少ない感じがします。しかもモブキャラの会話内容が非常に適当なのも気になりました。この程度ならモブキャラに会話させなくていいから、もっと適当にキャラを並べておけばいいと思うよ。このあたりテイルズは上手だと思う。
- それから細かい部分で気になったことが。
- 相変わらずマップが使いにくい。前作は全体マップの情報が足りずに使いにくい!と愚痴を言いましたが、まさか全体マップを廃止する対策を取るとは。逆転の発想過ぎる。天気が悪い日は視界も狭くなるので最悪です。
- マップは相変わらず広いのに、ワープポイントが少なくて面倒くさいです。特にこのゲームはザコ敵もこちらを発見すると襲いかかってくるのですが、これを回避するシステムがないので、よそ見しながら適当に歩くわけにも行かず…
- ただ、前作で気になった、レシピ獲得が作業だという欠点はだいぶ解消されていました。
- とはいえ、ソフィーの時から評価の高い図鑑のコメントの充実ぶりや、豊富なキャストインタビュー、声優達の熱演など見るべきところもたくさんあります。終盤で調合の自由度が解放されてからは調合も面白く、最後はうたわれそっちのけでこればっかりプレイしていました。そういう意味でシステム的には決して悪くないです。
キャラクター
- PCキャラは全部で6人+2人(DLC)。今作は全員パーティに入れることが出来、そのうち6人を戦闘メンバーにします。戦闘メンバーは前衛と後衛のペア3組を作る形式で、その組み合わせにより戦術が大きく変わるので、そこを工夫するのが面白かったですね。…といっても、その面白さがわかるのは終盤に調合がガンガン出来るようになってからなのですが。アトリエシリーズはいつも思うのですが、チュートリアルをもっと充実させた方がいいと思うんですよね。全然説明がなかったり、ごく簡単な説明しかないシステムが多すぎる。
- 今回のお気に入りキャラはやはりルーシャです。彼女はアトリエシリーズではよく見かける、「ちょっとおしゃまな主人公のライバルポジション」のキャラです。yukkun20はいつもこのポジションにいるキャラを推すことが多いですが、今作も例に漏れず。ルーシャはかまってちゃんなところとややポンコツなところが見ていて楽しかったですし、それでいて双子のことを従姉として見守っているというギャップが良かったですね。でもやはりこのポジションにいるキャラの中ではウィルベルさんが最高!(個人的な意見です
スライドショーには JavaScript が必要です。
- 前作・前々作キャラも多数登場しますが、リアーネさんだけはシスコンがかなり重症化してましたね(前作は「妹が好きなんですね」というレベルでしたが、今作は完全に病気)。どうしてこうなった。
戦闘
- シンボルエンカウント制です。敵の動きは鈍いのですが、視界が悪かったり足下が見づらいことも多く、意図しない戦闘に巻き込まれることが少々ありました。
- 戦闘はオーソドックスなコマンドタイプ。今作は装備の比重が上がりましたので、錬金術士でないキャラにも活躍の機会があります。
- 最終的には、前衛にスール、後衛にフィリスを置き、それぞれ↓のアクセを持たせて、
他のキャラで↓のアイテムを順番に投げ、
最後にスールが↓のアイテムを投げると、フィリスが8連続追撃を繰り出してどんな敵でも葬ってくれます。(難易度NORMAL。ただしトロコンに関係ない一部の強力なボスは除く)
総評
- 今回もシステムは良作でしたけど、メインストーリーの出来の悪さがかなり足を引っ張りました。最近はいつもプレミアムボックスを購入していますけど、次回作はちょっと考えます。え、次回作はお祭りゲー?だったらやっぱり買うか…
- とはいえ、3部作の集大成になっているので、前2作をプレイした方には問題なくおすすめ出来ます。いきなりここから入っても大丈夫ですけど、やはりソフィーのアトリエからプレイしてもらいたいですね。
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