2019-09-09
【ゲーム】Project LUX レビュー
PSVR久々に使いましたが、Oculus Questと比べると視野角の狭さと画質の荒さが気になる。
Project LUX
プラットフォーム | PlayStation VR | |
ジャンル | アドベンチャー | |
価格 | 2,480円(税込) | |
公式 | Project LUX | 公式PlayStation™Store 日本 | |
プレイ時間 | 1周目:1時間 2周目:1時間 |
ストーリー
- 人類の99%以上が電脳化している世界。人々は人生の大部分を電脳世界で過ごすようになっていた。そこで、一件の刑事裁判が開かれる。被告人であるエージェントは、とあるアーティストの少女ルクスを殺害した罪で起訴されていた。陪審員である貴方は、彼の記憶を追体験することで、何が起きたのかを確かめなければならない。ルクスはなぜ死んだのか―
- 本作は、小説「狼と香辛料」で知られる支倉凍砂氏が率いるサークル「Spicy Tails」が制作したVRゲームです。ストーリーは短く、登場人物も少なく(基本的にエージェントとルクスのみ)、一番重要な目的はルクスときゃっきゃうふふすることなのですが、それだけには留まらない、しっかりとしたメインストーリーが用意されています。
- (ごく簡単なメインストーリーのネタバレあり)この時代に人々の娯楽は全てAIが自動生成しているんですが、ルクスは昔ながらの方法(つまりアーティストの経験と感性)で娯楽を作り、電脳化した人類向けに配信しているアーティストです。記憶データを他人の間で自由にやりとりでき、芸術家(もっともAIですが)の感性を余すことなく人に伝えることが出来る時代に、彼女の作品はあまり人気がありません。そんな彼女に役所のエージェントが作品制作を依頼するところから物語は始まります。これまで一人で作品作りをしていた彼女の作品は、エージェントの関わりの中で少しずつ変化を見せ、それを見た人たちからも好意的な反応が返ってきます。果たして彼女はなんのために作品を作り、そして作らされているのでしょうか。
- ほかのサイトの感想だと、SFものとしては割とよくある展開だそうですが、個人的にはあまりSFには縁がない(星界サイトを運営しているのに何を言ってるんだと思われるかも知れませんが、yukkun20はそれ以外のSFはほとんど読んだことがありません)ため、新鮮な気持ちで楽しめました。最後の展開も十分驚きました。
システム
- アドベンチャーというくくりにはなっていますが、プレイヤーが介入できる余地は最後のルート分岐選択肢以外にはほとんどなく、どちらかというとVRアニメーションと考えるのがいいと思います。プレイヤーがエージェントの記憶を追体験しているという設定との親和性もあり、これはこれで特に不満は無いです。
- もっとも全くインタラクティブ性がないわけでもなく、いくつかの場面では視線を向けて部屋のオブジェクトを選択することで、展開に多少の差異(といっても話の順番程度ですが)が見られるようにはなっています。
- また全5話構成で、1話終わるたびにスタッフロールとエンディング曲が流れるようになっていて、短編アニメっぽい構成になっていました。場面はルクスの自宅なのですが、エージェントはほとんど椅子に座ったままで動かないため、若干単純な感は否めませんでしたが(建物自体は3Dモデルで作られているので、もう少し動けても良かったような)、エンディングを挟んで一息入れることで、その緩和にもなっていたと思います。
- また最後は支倉先生らしいオチになっていました。VRゲームで叙述トリックを見せられるとは。思い返せば序盤から、というか世界観設定の時からうまく伏線が張られていたと言うしかなく、こういう所はさすがでしたね。購入を検討されている方には、ぜひ前情報無くプレイしていただきたいと思います。
- セリフはフルボイスです。字幕表示をすることも可能ですが、ウィンドウが透過率0%なので、1周目はウィンドウを消してプレイすることをおすすめします。
キャラクター
- 画面上に登場するキャラは、エージェントとルクスだけです。
- 主観視点なのですが、エージェントにはクビのない人間のモデルが用意されています(通常は、プレイヤーの首から上がそのモデルに乗っかっている視点)。当初はこれいるか?と思いましたが、プレイしているうちになぜこういう設定になっているのかは納得できました。
- ルクスは予想通り可愛かったですね。田中あいみさんの声もすごく合っていて、うまるちゃんとはまた違う感じのキャラクターに仕上がっていました。何より最近のゲームキャラクターがここまでリアルな動きをするようになっていたというのは、個人的にはかなり驚きました。田中あいみさんの動きをモーションキャプチャーして作ったそうなのですが、もう普通の人間と変わらない速度で様々なアクションをしていて見ていて飽きなかったです。数パターンの動きを組み合わせているのではなく、本当の人間のように同じ動きをすることがないというのは新鮮な体験でした。狼と香辛料VRにも期待できますね。
- ただ、ルクスとの距離が非常に近くなる場面が何度かあるのですが、髪の毛の表現が残念なレベルで(これはVRゲームとして低レベルという意味ではなく、現実と比べると…という意味です)ちょっと気になりました。まあ技術上の制約だと思います。
戦闘
- ないよ。
総評
- 質のいい短編小説をVRゲームにしましたという感じで、十分満足のいく出来でした。ストーリーも明快で、それでいて単純すぎることはなかったですし、何よりVRゲームの特性を生かした展開になっていたことも評価したいです。
- 反面、アニメを見ているだけなので、ヒロインのルクスとのふれあい感は少なめです。まあエージェントとルクスは別に友人というわけではなくビジネス上の付き合いなので仕方ないんですが、クリア後特典とかで何かあったらなお良かったかな。
- トロフィーは6つあります(プラチナなし)。最後のトロフィーは2周しないと取れないのですが、早送り機能はありませんので普通に2周しましょう。エンディングを見た上でする2周目は1周目と少し趣が違いますし、何より1周が短いので、特に作業感はなかったです。
- ということで良作でした。次回作「狼と香辛料VR」はOQ版が出るまでじっと我慢します…