2021-05-09
【ゲーム】マグラムロード レビュー
マグナムロードじゃないので要注意。
マグラムロード
プラットフォーム | PlayStation®4, Nintendo Switch™ | |
ジャンル | 魔剣創造アクションRPG | |
価格 |
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公式 | MAGLAM LORD/マグラムロード | |
プレイ時間 | 1周目:33時間(トロコン) |
ストーリー
- 永遠不滅の上位存在たる神々と魔王が相争い続ける戦乱の世界・ユースディール。永遠不滅であるはずの上位存在を滅する魔剣を生み出し、振るう力を持つ「刃の魔王」キルリザークは、その能力を危険視され、世界の敵として神々からも魔王からも追われる身となっていた。封印寸前の窮地を逃れたキルリザークは、回復のため長き眠りにつくことになった。しかし眠りから目覚めた時、そこはかつて上位存在に虐げられていた下位存在たる人間が主役となり、神々も魔王もいなくなった世界だった。「政府」によって絶滅危惧種と指定されたキルリザークは、かつての力を取り戻そうとするのだが―
- サモンナイトシリーズなどのシナリオライターとしても知られる都月景先生が描いたストーリーは、期待通りのものでした。アクションRPGはあまりプレイしないyukkun20がプレイした第一の理由がこの点でしたので、そういう意味ではプレイしてよかったと思います。
- プレイ時間を見てもらえば分かるとおり、シナリオは短めですが、(都月先生のファンであると言うひいき目を抜きにしても)すごくきれいにまとまっていたと思います。この尺にしては仲間の数も多いのですが、話が散漫になることなく、それぞれのキャラに活躍は成長の物語があり、仲間の裏切りや世界構造における謎、最後のどんでん返しなど王道展開もきちんとありつつ、独特な世界観が描かれていて面白かったです。
- 設定大好きな都月先生らしく、用語集や設定資料集も充実していて読んでいるだけで面白かったです。世界設定的に、続編なども十分ありうると思いますので、その辺りも期待出来るのではないでしょうか。
- 特に終盤でとあるキャラが裏切るのですが、その裏切りから復帰に至る過程は本当に素晴らしく描かれていてよかったです。正直ここまで完成度の高い裏切りシナリオは読んだことがないと本気で思う内容で、裏切ったキャラも、それを受け入れた主人公も、そしてその二人の間に挟まれる某キャラも、すごくいい人間ドラマを見せてくれました。これを見るだけでもこのゲームをプレイする価値あります。
システム
- 会話で進むイベントシーンと、ダンジョンを攻略するアクションシーンを繰り返しつつ、キャラクターのレベルを上げたり武器を鍛造したりしながら進めるタイプのゲームです。ただ後述の通りアクションの出来があまり良くないので、アクション風味のあるADVゲームと考えるのが適当かと思います。
- イベントシーンは全て「リクエスト」という形で整理されています。リクエストには、メインシナリオが進行するもの、メインシナリオ上のダンジョンを攻略するもの、街の住民の依頼に応えるものなどが含まれていて、それを一つずつこなしていくことでシナリオを進めていきます。メインシナリオ関係以外のリクエスト(いわゆるクエスト)の中には、仲間たちにスポットを当てたものもあります。これらは進行に必須ではありませんが、プレイしておくとより深く世界やキャラのことを知れるでしょう。ただそれ以外のクエストは本当に単調で、同じマップをグルグル周回するだけだったので結構な苦行でした。
- また仲間たちにはそれぞれ好感度が設定されています。一緒に冒険したり、特定の選択肢を選んだりすると好感度が上がり、一定値に達するとデートイベントが発生します。1キャラにつき6~10回程度発生するのですが、2回を除いて汎用イベントで、相手が感想を一言述べてお終い、という感じだったので物足りなさを感じました。スチル絵も各キャラ1枚しかないし。なんでこうなったかは都月先生が説明してくださっているので、次回に期待ということにしたいと思います。
- それ以外に、魔剣という武器を鍛造するパートがあります。といっても、敵のドロップやフィールドの採取ポイントから回収出来るアイテムを集めて必要数揃えて制作するだけですが。一度作った武器はノーコストで素材に戻すことも可能なので、思ったほど素材集めに忙殺されることはありませんでした。
- 武器は全部で51種類あって、見た目がアクションシーンにも反映されます。またシールやアクセサリなどを付けて特殊能力を付加することも可能です。ただ、yukkun20みたいにドロップアイテムを全て埋めるプレイをしていると、つけるアクセサリは常に同じ(ドロップ率アップ。しかも1種類しかない)=武器を持ち替えてもいつも同じ外観になってしまうのでがっかりでした。もし次回作があるなら、性能と外観は切り離して自由に選べればいいと思います。
- また作れる武器には剣、斧、槍の3種類があり、それぞれ攻撃モーションが異なります。武器には属性や状態異常を追加発生させられるものなど豊富にあり、いろいろな組み合わせを試してみたくなる…のですが、敵には全て剣、斧、槍のどれか一つが弱点として設定されていて、その武器以外では極端に与ダメージが落ちるため、事実上剣斧槍をひとつ装備する以外の選択肢はないです。これもいまいちシステムがかみ合ってない感じがしました。
キャラクター
- 顔つきのキャラクターは全部で11人です。そのうち5人(+隠し2人)はパートナーキャラで、デートイベントやエンディングが用意されています。
- 主人公のキルリザークは、最初に男性と女性を最初に選ぶことが可能です(途中では変更不可)。暴虐を尽くしたキャラとして設定されているのでどんなキャラかと思いましたが、仲間たちには頼れる兄貴分(姉貴分)として接しており、懐も深く、魅力的な主人公になっていたと思います。
- そんな主人公は、この世界に対しては倦怠感を持っており、それを埋め合わせるために「コンカツ」に励み、「魂の伴侶」を見つける、という目的もあります。一応絶滅危惧種扱いですし魔王でもあるので、世継ぎを作るという目的もあるはずなのですが、本人がその辺にこだわりがないのか、パートナーキャラ(男性3、女性3、性別不明1)であれば誰とでも結ばれることが可能です(全員に、絆エンド(友人エンド)と愛エンド(恋人エンド)がある)。
- 他のキャラクターたちも、最初は概ね主人公と敵対するのですが、成り行きから共に過ごすようになり、次第に仲を深めていくようすが短いストーリーの中できちんと描かれていて、全員に好印象をもてるようになっていました。キャラも生意気少年、お姉ちゃん勇者、ロボ、獣娘、うさんくさいやつ、ハイテンションガール、ショタっ子(もしくはボクっ子)と幅広くてよかったです。
- ただどのキャラも、設定画から立ち絵になる時に微妙にかわいさがオミットされている気がしました。特にシャルムは立ち絵がちょっと微妙に感じる…この辺は好みかも知れませんが。
戦闘
- シンボルエンカウント制です。フィールドはいくつかのマップがつなぎ合わされた形になっているのですが、移動速度も速く、敵を振り切るのも容易です。敵に接触すると、サイドビューの2D戦闘画面に切り替わります。
- 戦闘システムですけど、コレ本当に2021年のゲームか?と言いたくなるくらいお粗末なものでした。操作は移動とジャンプとコンボ、それに溜め攻撃だけ。ガードすらなく、溜め攻撃は発動中無敵なので、ひたすら溜め攻撃を当てていくことになります。敵の種類も少なくコンパチキャラばかり(ボスですら雑魚敵が巨大化しただけ)で単調です。
- 操作出来るキャラは7人いるのですが、なんと驚くべきことに全員攻撃モーションが同じです。もちろんパラメーターやスキルでキャラごとの違いは表現されていますが、これも単調さに拍車を掛けているのは否めません。
- よく言えば、アクションが苦手でも全然おすすめ出来る難易度と言えなくもないですが、本当もうちょっとどうにかならなかったのでしょうか。予算の都合というのが透けて見える気がして非常に残念でした。まあメインストーリーだけ王のであれば、戦闘回数がそこまで多いわけではないのでなんとかなるかも知れませんが、yukkun20みたいにドロップアイテムをコンプしようとすると(なおトロコンにもドロップアイテムコンプは不要)辛いかも知れません。最終的にはスキルが優秀なアクラオ頼みになる。
- ということで、戦闘については及第点はつけられません。2003年に発売された「サモンナイト クラフトソード物語」(GBA用ソフト)の方がよっぽど2D戦闘としてよく出来てると思います。
総評
- 購入前には、独特な世界観が面白そうだけど、戦闘がちょっとつまらなさそうだな…と思っていたのですが、思った以上に戦闘がつまらなく、そして思った以上にシナリオと世界設定が面白かったという印象です。ただ、このご時世、新規IPに予算の厳しい縛りがあったのは想像に難くないところ。不満点は予算が増えれば解消されると思われるところばかりなので、このゲームが売れればいいんじゃないかな。
- 前述のとおり、アクションRPGとして評価すると残念な感じですけど、アクションがおまけについてるADVと考えれば全然いけると思います。yukkun20としては続編が出るのを期待していますし、出たらまた買うと思います。
- というわけで、素材集めが好きな人、一風変わったファンタジーが読みたい人、都月先生のシナリオが好きな人にはおすすめです。