第29回 キング対キング
これまでのあらすじ
とある無人島に流れ着いたジャンたちは飢饉、干ばつ、腹下し、ファースト&セカンドキッスやナディアのワガママなど数々の困難を克服しながらその日暮らしの生活を始めました。しかし、突如上陸した台風によってこれまでの文明を破壊されてしまったのです。
ところが、捨てる神もあれば拾う神もあり。途方に暮れる彼らの前に巨大な島が現われ、再会した3人組やエアトンと一緒に新しい島での平和的な生活を始めたのでした。
しかし人が2人以上集まってなにも問題が起こらないはずもありません。果たしてこの平和は一体いつまで保つのでしょうか。
ストーリー
慣れない島の生活にストレスがたまったのか、サンソンとハンソンは大ゲンカ。あわや流血沙汰になりそうなそのとき、エアトンがレースを提案した。サンソンは自慢の体力でキングを調教し、ハンソンは自慢の頭脳で機械のキングを作り、競走させて雌雄を決するというのだ。
一方、ナディアは森でヤギを見つけ、ミルクをもらったりしてかわいがっていた。その姿を見たジャンとマリーに、ナディアは自分の過去を語る。サーカスでかわいがっていた牛が年をとって処分されることにショックを受け、動物の声が聞こえるようになったのだ。それをきっかけに動物の肉が食べられなくなったらしい。しゅんとなるジャンとマリー。
その頃、サンソンはキングの調教に励んでいた。ところが、キングはまったく言うことをきこうとしない。一方でハンソンも、メカキングの電源のことで悩んでいた。思い余ったサンソンは、ハンソンからメカキングの設計図を盗み出し、ジャンに作成を依頼する。ジャンは、小型電池をハンソンに渡すことを条件にそれを引き受けるのだった。
いよいよ勝負の日。海岸に登場したのはまったく同じ設計図から作られたメカキング二体。勝負方法は島一周のレース。スタートの合図ですごいスピードで走り出すメカキングたち。ところがメカキングにはカーブする機能がついていなかった。あわてて一同はメカキングを追いかけるが、先頭で追っていたジャンは勢い余って崖から海に落ちてしまった。ジャンは沈んだ海中で、海底が金属でできていることを発見する。が、それをゆっくり調べる時間はなかった。
ともあれ、ジャンが無事に戻ったことでサンソンとハンソンも仲直りし、島は束の間の平和を取り戻したのだった。
コメンタリー
- 【ストーリー】
初期プロットでは、ナディアを取りあうジャンとハンソン、グランディスを取りあうサンソンとエアトン、エアトンを巡ってグランディスにヤキモチを焼くマリー、ジャンを巡ってグランディスにヤキモチを焼くナディアたちが大げんかというかなりカオスな展開だった。 - 【作画】
作画の人たちの奮闘により、シリーズ通じてもかなりいい方の作画。 - 【サブタイトル】
絵コンテの段階では「楽園の対決」。 - 【エアトン『世の中には、2種類の人間が居るのです』】
世の中を強引に2種類に分けてしまうのは、エアトンお得意の話題。 - 【グランディス『あんた手相がわかるのかい?』 エアトン『いえ、全然分かりません』】
あんた手ぇ握りたかっただけだろ! - 【歯を磨いているジャン】
相変わらずのハミガキアニメっぷり。今回だけで二回。 - 【洗濯機】
洗濯機に備え付けてある2本のローラーが、洗濯物を絞って乾燥させるためのものだということを、最近の子供は知っているのだろうか。 - 【花園を駆けるネモ】
ハッキリ言ってキモいです。絵コンテにも「きもちわるい」と書いてある。 - 【ナディア『キングったらあんなにはしゃいじゃって…なにかいいことあったのかしら』】
…動物の心がわかるんですよね? - 【マリー『キング、カニを捕まえてきたのね』】
人間はわかってくれない。大人 - 【エアトン『かの偉大なる人類の祭典、オリンピックの起源もここに発します』】
近代オリンピックが始まったのは1896年なので、作中の時間軸(1889年)ではまだ開催されていないはずですが…ミス? - 【ナディアが菜食主義なわけ】
庵野総監督の経験をモチーフにしたエピソード。 - 【ハンソン『一晩でここまで完成させるとは、僕ってやっぱり天才かなぁ』】
わざわざ不安定な二足歩行を選んだにも拘わらずこの完成度。まごう事なき大天才。 - 【ジャン『小型電池を作ればそれを内蔵できるけど…』】
現在の乾電池の原形が出来たのは1868年。こちらも大天才。(cf.電池の知識:電池年表|一般社団法人 電池工業会) - 【レッドキングとブラックキング】
レッドキングは背中にエアクリーナー、尻尾の先は毛。
ブラックキングは背中にエアファンネル、尻尾の先はドリル。頭頂部に角。 - 【岩を砕いて疾走するメカキング】
レース用とは思えないこのパワー!このパワーが後々一同を救うことにもなるのだが、それは少し先の話。 - 【キングを追いかける一同】
軽いシーンですけど、それぞれの身長や体重に合わせて走り方に特徴が出ているのが見事。 - 【ナディア『やめてよ!まだ死んだわけじゃないわ!』】
誰も死んだなんて言ってないのに… - インターミッション的な回でしたけど、作画が良かったのと、各キャラのテンションが高かったので安心して見ていられましたね。次回からは島編最後のエピソードとなり、話もメインストーリーに戻ります。いよいよあと10回で最終回ですよ。
元ネタ
- ブラックキングの登場シーン
足のアップ→膝のアップ→回転する手のアップ→二の腕のマークのアップ→開閉する口のアップ→目のアップというカット割りは、特撮映画「ゴジラ対メカゴジラ」でメカゴジラが登場するシーンの演出から。 - エアトン『両雄並び立たず、双方共倒れ』
特撮映画「キングコング対ゴジラ」で、キングコングとゴジラの戦いについて科学者が述べた台詞から。 - ブラックキング
特撮テレビ映画「帰ってきたウルトラマン」に登場する、レッドキングの弟とも言われる怪獣。間接を磁石でコーティングしているのは、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」で、ガンダムのスピードアップのために行われたマグネットコーティングから。 - レッドキング
特撮テレビ映画「ウルトラマン」に登場する、多々良島に住むどくろ怪獣。 - 「お~い!」と叫びながら明後日の方から帰ってくる主人公
「帰ってきたウルトラマン」で、正体を隠して戦っている郷秀樹が帰還するシーンから。
次回予告
ジャン
グラタンの修理ができればこの流され島から脱出できるんだけど、突然蚊の大群が現われて仕事ができなくなっちゃったんだ。みんな蚊にくわれてかゆいかゆいって大騒ぎ。薬を作るために海に潜った僕は、海の底が鉄のようなものでできているのを発見した。この島は、やっぱり変な島なんだ。
次回『地底の迷路』見てね。
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