第22回 裏切りのエレクトラ
これまでのあらすじ
1889年。謎の組織、ネオ・アトランティスの罠にはまったノーチラス号は、待ち構えていた空中戦艦の攻撃により、南太平洋の海に沈没した。
だが、万能潜水艦ノーチラス号は、まだ死に絶えてはいない。
ストーリー
戦いに敗れたノーチラス号に、ガーフィッシュが追い討ちをかけるように爆雷を投下してきた。ネモは最後の手段として、乗組員をメインブロックに集め、戦闘ブロックを最後の浮力でガーフィッシュにぶつける決断をする。作戦は成功し、ガーフィッシュ艦隊は全滅するものの、ノーチラス号も最後の圧搾空気を失って海底に沈んでいった。
それを見たガーゴイルは、ノーチラス号の沈没をネオ皇帝に報告する。ネモとナディアが死んだことを聞き、ブルーウォーターを巡る悠久の争いに思いをはせるネオ皇帝。その姿は少年であった。
一方、ネモは乗組員をサブブリッジに集めたあと、ジャンたちを船長室へ連れて行く。この部屋だけ切り離して、子供たちを脱出させようと言うのだ。ネモはジャンにナディアたちと自分の帽子を託し、船長室から出ていく。感極まったナディアはネモの後を追おうとするが、その前で扉は閉まってしまう。
メインブリッジに戻ったネモ。そこに待っていたのはエレクトラだった。驚くネモに、エレクトラは銃を向ける。銃声が響いた―
エレクトラは、ネモに銃を向けたまま独白を始める。彼女の故郷と家族を滅ぼしたのは、ネモだったのだ。13年前のタルテソス王国。その日、平和なその国で突如としてクーデターが勃発。ネモの妻であった王妃は殺害され、ネモも重傷を負う。首謀者は自らをガーゴイルと名乗り、ブルーウォーターを奪い、太古から封印されていたバベルの塔の復活を図ったのだ。しかし、その起動実験は何らかの理由により失敗、暴走したバベルの塔により国は一夜にして滅び、エレクトラの家族も死んでしまう。
もはや生きていく気力も失いかけた彼女の前に、助けの手を差し伸べたのがネモだった。彼と共に旅をするうち、いつしかその感謝の気持ちは愛に育っていった。しかし、8年前のある日、彼女は偶然知ってしまう。起動実験の失敗は事故などではなく、ネモがガーゴイルの企みを阻止するために仕掛けたものだと。それは仕方のないことだったが、それ以来エレクトラの心にはネモに対する憎悪が生まれてしまう。二つの相反する気持ちの間で揺れるエレクトラ。しかし、ネモの娘ナディアが現れたことで、危ういところで保たれていた気持ちが崩れてしまう。彼女にはネモが目的よりもナディアの命を優先したのが許せなかったのだ。
ネモに銃口を向け、別れを告げるエレクトラ。伝声管から必死で止めようとするナディア。ネモはエレクトラに自分を撃つよう言うが、エレクトラは最後に、なぜガーゴイルと共に自爆しなかったか問い詰める。「娘のように思っている君を巻き添えにはできなかった…エレクトラ、君がいたからだ」と答えるネモ。それを聞いたエレクトラにはネモを撃つ事ができなかった。「あなたにもらった命…返します」と銃口を自分のこめかみに当てるエレクトラ。しかし、ネモはエレクトラの頬を叩き、彼女を叱る。「命を粗末にするな…生きて、自分のすることを考えろ!」そしてナディアに「生きろ」とだけ言い残して、船長室を分離。ナディアたちはメインブロックを離れ、浮上していった。
船長室の中。そこにある小型ホログラムの中で微笑む父と母、そして幼い日の自分。ナディアはせっかく会えた父親と別れてしまったことに涙を流すのだった。
コメンタリー
- 【ネモ『ケルマディック海溝の水深は?』 航海長『約10000メートルです』】
実際のケルマディック海溝の最深部は10000メートル超なので大体合ってます。
ちなみに今回の航海長はCV:小野健一。 - 【エレクトラ『艦尾の内郭も破損!』】
もしかしてグラタンがハッチを破壊したからでは… - 【ガーゴイル『早くガーフィッシュを散開させたまえ』】
もっと早く教えてやれよ。 - 【ネオ皇帝】
CV:故塩沢兼人。やっぱこの人の声は素敵です。 - 【メインブリッジに戻るネモ】
船長室を切り離すために戻りました。 - 【エレクトラの独白】
ここから井上喜久子さんの演技が素晴らしい。この人当時はデビューしてまだ間もなかったんですよね。
エレクトラさんの表情の作画も非常に力入ってます。 - 【タルテソス王国】
設定段階ではバンデルガンド王国という名前だった。 - 【エレクトラ『反乱者達の勝利に終わったわ…』】
分かりにくいですが、ガーゴイルに撃たれたヒゲで長髪のおじさんが13年前のネモ。 - 【エレクトラ『そこにもう、街はなかった…』】
スルーされがちですけど、ガーゴイルもよく生きてたな…ネオが頑張ったのでしょうか。 - 【嗚咽するエレクトラ】
光っているのは涙ではなく吐瀉物。 - 【エレクトラ『二度眠って…生きた人に初めて会った…』】
ここで出てくる3人は、ネモ、機関長、科学部長。 - 【ネモ『エレクトラ…君がいたからだ』】
オリジナルの本放送でもDVDでも、『…』の部分で水音が一瞬途切れます。変な演出だと思ってたんですが、今回の放送では途切れてませんでしたね。 - 【エレクトラを止めるネモ】
あの距離で間に合うとはさすがです。足元あんなに水たまってたのに。 - 【ホログラフィー】
クーデターの前日、ナディアが生まれた時に撮影されたもの。ここで注目しないといけないのは、ネモの髪が短いこと。あんたクーデターの時は長髪になってたじゃないですか!
ノイズが走るのは、媒体自体が損傷しているからという設定。というかタルテソスの崩壊をもろに喰らっているから当然なのですが。 なおキングが入れたスイッチが勝手に切れたのは、電地が無くなったから。 - いい~話だ。いや、いい話と形容するのはちょっと違うか。なんていうか、深い話。明らかに対象年齢が今までと違います。NHK7時にする内容じゃないだろ…とはいえ僕はこの話、大好きです。ネモはやっぱりナディアのために自爆できなかったと思ってたんですが、そう来るとは。声優さんもいい仕事してます。「あなたにもらった命~」のくだりでは鳥肌が立ちました。マジで。でもこれって裏切りじゃなくて…なんて言うか、痴話ゲンカですよね。
- そういうわけでネモたちノーチラスクルーとはお別れです。次回から第31回までは南の島編です。たしかに作画はどんどん崩壊していくけど、島には島のよさがある…はず。初めての人は先入観を持たずに楽しんでください。
元ネタ
- ネオ皇帝の玉座の背後にある絵
フランシスコ・デ・ゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」の絵。 - タルテソス
現在のスペイン南部アンダルシア地方に存在したとされる古代王国(cf.Wikipedia)。
次回予告
マリー
ナディアぁ、どうして泣いてるのぉ?キング、みんなのところへ行こう!
ジャン
ダメだ、マリー!その向こうは…海の中なんだ…
マリー
あぁっ!お水よ!水が、あっちからも、こっちからも!!
ジャン
よぉし!僕が何とかしてやるよ。えっと…
ジャン&マリー
ふしぎの海のナディア第23回『小さな漂流者』見てね~
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