第21回 さよなら…ノーチラス号

これまでのあらすじ

 時に西暦1889年、エレクトラはナディアに初めて自分の過去を語る。13年前、ひとりの男に両親と弟を殺されたと言うのだ。そして、ガーゴイルと彼の組織、ネオ・アトランティスに復讐するためにノーチラス号は作られたのである。しかし、そのノーチラス号は今まさにガーゴイルの罠にはまろうとしていた。

ストーリー

 ノーチラス号はケルマディック海溝でガーフィッシュ10隻と対峙していた。次々とガーフィッシュは魚雷を放つが、ノーチラスは防御兵装と見事な操艦でかわし、逆に飛行爆雷と誘導弾で敵を全滅させる。しかし、それはノーチラス号を新兵器の射程に追い込むための作戦であった。飛行戦艦の下部から出てきた巨大な電磁石の電源が入れられると、ノーチラス号はその磁力により水面へ引っ張られてしまう。必死で磁界からの脱出を試みるが、その力はあまりに強く、とうとうノーチラス号は空中へ吊り上げられてしまった。空中戦艦のあまりの大きさに驚く一同。
 続いて、ガーゴイルは新兵器「原子振動砲」の使用を命令する。そこから発する特殊な音波により、次々にひびが入っていくノーチラス号。必死に対空兵装で応戦するが、空中戦艦のバリアーを破ることはできない。船体は中破し、ついには主電源である対消滅エンジンも停止してしまう。万事休すか…さすがのノーチラスクルーにもあきらめの色が漂い始めたその時、エレクトラが立ち上がる。『勝つ方法が1つだけあります…自爆するのです』
 エレクトラは、この日のために自分たちは生きてきたのだ、と、ガーゴイルもろとも自爆することを進言する。しかし、ネモは答えない。昔のあなたはこんなことを躊躇する人ではなかったのに、ナディアのせいで変わってしまった、とネモに詰め寄るエレクトラ。しかし、3人組は起死回生の策を考えていた。それは、空中戦艦がとどめを刺すために大型誘導弾の射出口を開き、バリアーがなくなる瞬間に、こちらから弾を撃ちこむというもの。その囮として、グラタンは弾が飛び交う空中へ飛び出していった。
 弾丸の雨をかいくぐりながら、チャンスを待つグラタン。ナディアはそんな状況に耐えきれず、艦を飛び出すが、逆に光のリングで捉えられてしまう。しかし、空中戦艦がとどめの大型殲滅爆弾を投下しようとしたその時、サンソンの放った徹甲弾が爆弾を撃ちぬき、落下が止まる。その隙を逃さず、最後のミサイルを発射するノーチラス号。爆弾は打ち砕かれ、巨大磁石もろとも大爆発。ナディアもジャンのジェット機に助けられる。しかしグラタンは遠くの空へ吹き飛ばされていったのだった。
 ついにガーゴイルの手から逃れたノーチラス号。しかし、もはや反撃のすべはなく、満身創痍のまま海中へと沈んでいく…果たして彼らの運命は。

コメンタリー

  • 【これまでのあらすじ】
    絵コンテ段階では、演出の都合であらすじは入らない予定だった。
  • 【『ケルマディック海溝まで、あと2000』】
    初めて聞く声の人がいますが、航海長(ターバンの人)の台詞です。
  • 【飛行爆雷】
    これまでのバベルの塔への攻撃に使ったことがありますけど、わざわざ空中を通って攻撃を仕掛けるというアクションにしびれるし憧れます。
  •  【ガーゴイル『スーパーキャッチ作戦開始』】
    D-2計画という何だかカッコイイ作戦名のあとにこれ。さすがガー様。
  • 【側近『スーパーキャッチ光線砲用意』】
    そして兵器名称もコレ。ちなみに設定段階での名称は、「空中戦艦対チタニウム電磁石(笑)」。
  • 【巨大磁石登場】
    実際は磁石ではないのでN極・S極の表示は必要ないはず。つまりわざわざ塗り分けているのはガー様の趣味ということに…とはいえ、見ただけで作戦の概要が分かるという視聴者にもありがたい仕掛け。
  • 【ネモ『スーパーキャッチ光線だ』】
    …って一般名称だったのかよ!
  • 【空中に釣り上げられたノーチラス号】
    これ小細工せずにどこかの地面に落としとけば勝ってたよね。
  • 【エレクトラ『非戦闘員は待避してください!』】
    相変わらずブリッジの守りが緩いですね。
  • 【ジャン『でもあの船は、どうやって浮いてるんだろう』】
    マジレスすると火力発電による反重力推進。
  • 【原子振動砲及び超音波砲】
    中心から原子と原子の結びつく力を弱めるビームを出し、周辺のパラポナアンテナから揺さぶりをかける超音波を発生させることで、特定の物質のみを破壊する兵器。設定段階での名称は「殺人超音波光線砲(笑)」。
  • 【ジェリコの街】
    旧約聖書に出てくる街。強大な城壁を誇っていたが、イスラエル人が周囲を行進し角笛を吹き鳴らすと、城壁が崩れ去ったというエピソードがある。
  • 【ガーゴイル『13年前のチェスの勝負がまだ付いていなかったな…』】
    ガーゴイルのクーデターの前日、ガーゴイルとネモが打っていたチェスのこと。ネモが家族写真(ネモがホログラムで持っているもの)を撮るために中座し、そのまま勝負が付かなかった。詳しくは第22.5話で。
  • 【ガーゴイル『ではさらばだネモ君』】
    命乞いをさせるとか恨みつらみを聞かせるとかではなく、ただ勝利宣言をするためだけに通信をする浪漫の男、ガーゴイル。
  • 【グランディス『それがあんたの本音じゃないのかい?』 エレクトラ『―』】
    絵コンテには、思い当たる節もあると自分で気づくエレクトラ、と記載されている。
  • 【グラタンからつまみ出されるジャン】
    第10回の時とは違い潜入したジャンを見つけられたのは、さすがリーダーと言うところか。
  • 【ハンソン『気球にはテクタイトの膜を張ってある』】
    第20回でハンソンが発明していた液状硬化テクタイトのこと。間に合わせるのが大人ってものだよ。
  • 【ナディア『お願い!もう止めて!』】
    とヒロインが敵の前に飛び出していってもどうにもならないのは、監督によれば「ナウシカ」へのアンチテーゼ。
  • 【大型殲滅爆弾】
    大型誘導弾だと期待させておいて、とどめの一発が自由落下するだけの巨大爆弾というギャグ。ちなみに全長はノーチラスの半分程度ある。
    射出口をリボルバー式に回転させるギミックには意味がないと思うのだが、こういうところにもお遊びを入れているのがこのアニメのいいところ。ちなみにリボルバー部分にも秘密が。→第36回へ
  • 【艦首大破】
    一瞬だけ映る破壊された部屋は、おなじみの食堂。
  • 【トラクタービームを破壊するパルスジェット】
    第20回で ジャンが2本目の矢として作っていたもの。液状硬化テクタイトも含め伏線うまい。
  • 【スタッフロール】
    絵コンテ樋口真嗣氏、作画監督貞本義行氏、原画鶴巻和哉氏など豪華すぎるメンバー。
  • アニメ史上に燦然と輝く素晴らしいエピソードでした。コレと次の第22回を超えるアニメは今後も出てこないのではなかろーか。僕は全台詞を暗記するほどこの2話は見ていますけど、何度見ても面白かったです。

元ネタ

  • D-2計画
    特撮映画「日本沈没」で、日本人が日本列島から脱出するための計画「D2計画」から。
  • スーパーキャッチ光線
    特撮映画「ガメラ対バイラス」で登場した、地上の物質をなんでも円盤まで転送できる、同名の兵器から。
  • サンソン『アジャパー!』
    1951年の映画「吃七捕物帖」で伴淳三郎が使いブームになった一発ギャグ。
  • 原子振動砲
    特殊音波を発射する光線砲は、特撮映画「怪獣大戦争」で登場したAサイクル光線砲から。
  • 超音波砲
    パラボラ状になっているのは、特撮映画「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」のメーサー殺獣光線砲から。
  • サンソン『反撃の機会をつかむにはそれしかないと思います』
    テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」第24話「死闘!! 神よガミラスのために泣け!!」での沖田艦長の台詞「反撃の機会をつかむには、それしかないと思うのだ」から。
  • ノーチラスクルー『わからん、いやもうだめかもしれない』
    同じく「宇宙戦艦ヤマト」第24話での古代進の台詞から。

次回予告

ネモ
 入りたまえ。
ナディア
 ここは…船長室?
ネモ
 そうだ。この部屋をメインブロックから切り離す。
ナディア
 えっ!?
ネモ
 君たちは、この船から脱出するんだ。ジャンくん、ナディアとマリーを守ってやってくれ。
ナディア
 第22回『裏切りのエレクトラ』。きっと見てね。

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