第20回 ジャンの失敗
これまでのあらすじ
時に西暦1889年。南極の秘密基地に着いたジャンとナディアはネモ船長に鯨のイリオンを紹介される。彼はナディアに、父と兄に再会するだろうと予言し、去ってしまった。
そして、今日もネオ・アトランティスを追って、ノーチラス号の航海は続く!
ストーリー
海上を飛行する巨大な空中戦艦―そのブリッジで、ガーゴイルは定時報告を受けていた。通商破壊、兵器の建造は順調。残る懸案は前回の作戦後(第15回)行方不明となったネモのノーチラス号だけである。あれから生存は確認されていないものの、ガーゴイルにはネモが生きているという確信めいたものがあった。
一方、洋上のノーチラス号。ジャンはジェット噴射で飛ぶ飛行機の発明に取り組んでいた。無事試作機が完成し、飛行実験に入る。みんなが見守る中、順調に大空を翔けていた…のだが、いつものように故障し、空中で大爆発。ところが、その爆発音がガーフィッシュに見つかってしまう。なんとか撃退には成功したものの、行方不明だったことを利用して奇襲をかけるつもりだったノーチラス号にとっては痛手だ。
ジャンはみんなに叱られてしまう。しかし、ナディアは「わざとやったんじゃないのに、一言も言い返せないなんて意気地なし!」と単身ネモに抗議に向かう。しかし、ネモは取り合わない。「大人なんて、大っ嫌い!」と叫ぶナディアだったが、逆にネモに平手で打たれ、「悲しいことを言うものではない」と諭されてしまう。言い返すことが出来ないナディア。
その頃、ジャンはエレクトラに散髪をしてもらっていた。ナディアはジャンがエレクトラとばかり仲良くしているのが気に入らない。今度はエレクトラのところへ乗りこむが、彼女に誘われ、いっしょにお風呂に入ることになった。
お風呂の中でエレクトラは、自分の過去を語り出す。13年前、一人の男に住んでいた国を滅ぼされ、両親と弟を失ったという。そして、ガーゴイルとネオ・アトランティスに復讐するため、ネモとともに戦っているのだ、と。
エレクトラは、ネモに子供たちを船から下ろすようにと進言する。この船は、いつ自沈する運命にあるとも知れないのだ。結論に迷うネモ。そのとき、エレクトラの言葉を証明するように、ガーフィッシュの艦隊が現われた。いつもとは違うその雰囲気は、この戦いがまぎれもなく、ガーゴイルとの最終決戦になることを示していた―――
みどころ
- 【ストーリー構成】
案の段階では、ガーゴイルとの戦闘中にマリーが冷却器の中に迷い込んでしまい、水位が上がって大ピンチ、という話だった。ネモは見殺しにしようとするが、エレクトラが命令違反を犯して助ける、というちょっと驚きの展開が用意されていたが没になった。 - 【サブタイトル】
絵コンテ段階ではそのままズバリ「決戦前夜」だった。 - 【バベルの塔の第2号炉】
作中では結局登場しなかったが、おまけ劇場で登場し、悲惨な末路をたどってます。詳しくはそのうち。 - 【タライで洗濯をする3人組】
食洗機はあるけど洗濯機はない潜水艦、ノーチラス。 - 【ジャンの発明した飛行機】
正式名称はパルスジェット機。空気の吸入口が自動開閉式になっているのが特徴。無線機(プロポ)で操縦する。 - 【ネモの見ているホログラフ】
奥の列右からガーゴイル、ネモ、ネモの妻、ネモの妻に抱かれたナディア、前列はナディアの兄。 - 【ネモ『ナディア…悲しいことをいうものではない』】
昔は、「そうそう、大人って勝手だよね~」とナディアに肩入れしながら見てたけど、自分が男だからか大人になったからなのか、最近はネモ船長の気持ちも少しわかるんですよね…父親かもしれないと思いながら、尋ねることが出来ない娘もかわいそうだけど、娘と分かっているのに、名乗り出ることは出来ない父親もそりゃかわいそうですよ。そんな葛藤の中で、少しは父親らしい姿を見せることが出来たんではないでしょうか。 - 【ジャン『エーテル理論の分からないところを聞いてたんだよ』】
完全に口から出任せ。 - 【エレクトラの部屋】
机の上に飾っているのは、第17回でハンソンがプレゼントした造花。 - 【風呂】
大事な話をする時に風呂に入るのはガイナックスの伝統。これはガイナックスの兄弟会社ゼネプロの武田社長の習慣から。
ちなみに水の中が透けないのは入浴剤が入っているから。なおスペースが限られている潜水艦にバスタブがあることはあり得ないので、このシチュエーション自体がギャグです。 - 【エレクトラ…『そうね、本当にひどい男』】
この「男」はガーゴイルのことではなくて… - 【エレクトラ『生き残った人は他にもいるわ』】
これは絵コンテによればナディアのこと。 - 今回の見所はなんと行ってもエレクトラさんの入浴シーン…じゃなくて、エレクトラさんの女王様姿!…はおいといて、エレクトラさんの寝起き姿!…ってエレクトラさんばっかりかよ。まぁ20~22話の主役は彼女だし、仕方ないよね(言い訳)。この3話は作画も全力ですし。
- ジャンの2本目の矢やハンソンが発明している液状硬化テクタイトは次の話への伏線ですので覚えておきましょう。
元ネタ
- ネオ・アトランティス幹部『現在、ネオ・アトランティスは世界の通貨の80分の1を動かすに至っております』
マンガ「青の6号」に登場するマックス首領の台詞「マックスは今世界の通貨の80分の1を動かすことが出来る」から。 - パルスジェット機のプロポ
マンガ「鉄人28号」に出てくる操縦機。筐体に2本の突起とスイッチ数個が付いているのが特徴。 - サンソン『2本目の矢があると思ってるから、1本目に気を抜いてこんな失敗をしちまうんだ』
おそらく徒然草の第九十二段「初心の人、二つの矢を持つ事なかれ。後の矢を頼みて、始めの矢に等閑の心あり。毎度、たゞ、得失なく、この一矢に定むべしと思へ」から。 - マリー『ハァ~ビバノンノン』
ドリフターズの「いい湯だな」に登場する合いの手。 - ケルマディック海溝
南太平洋・ケルマデック諸島の東にある海溝。トンガ諸島の南からケルマデック諸島の東を経て、ニュージーランド北島の北東まで至る海溝であり、長さは約1,100km。主に北北東から南南西方向に伸びている。最大水深は1万mを超え、北はトンガ海溝に連なる。(cf.Wikipedia)
次回予告
ナディア
空と海からガーゴイルに攻撃されて、ノーチラス号は最後の時を迎えようとしていたの。
ジャン
この大事なときに、グランディスさん、サンソン、ハンソンの三人組は、グラタンで逃げ出しちまったんだ。
ナディア
ガーゴイル、ブルーウォーターはあげるわ!殺し合いはもうやめて!
ジャン&ナディア
ふしぎの海のナディア第21回『さよなら…ノーチラス号』見てね~
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