2017-04-09
【ゲーム】英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Evolution レビュー
やっぱり王道とは良いものだ。
英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Evolution
ジャンル:ストーリーRPG
価格:5800円(パッケージ版)・4800円(ダウンロード版)
公式:英雄伝説 空の軌跡 the 3rd Evolution
ストーリー
- 前作で描かれた事件の収束から半年。秘密結社・身喰らう蛇の陰謀を潰し世界を救った一同も、元の生活に戻っていた。パーティの一人で教会神父でもあるケビンは、身喰らう蛇が残した遺物の調査のため、助手のリースと共に再びリベールを訪れる。しかし、ケビンとリースの前で遺物は突如光を放ち始め、二人は謎の異空間に転送されてしまう。同じくその世界に転送された仲間達と共に、ケビン達はこの事態の黒幕である「影の王」との決戦に挑むのだが―
というストーリー。 - 前作まででメインストーリーはひとまず終わり、今回はケビンを新たに主人公に据えたスピンオフ作品となっています。ストーリー立ては割とよくあるもので、RPG好きなら序盤でこの異空間の意味も、影の王の正体も当たりが付くのではないかと思いますが、だからといって陳腐な感じにはなっておらず、王道のストーリーを存分に楽しむことが出来ました。このシリーズについては毎回言っていますが、終盤の盛り上げ方が上手いですね。
またストーリー中にはミニエピソードとして、前作以降の仲間達のその後や、メインストーリーとは絡まない過去話などが描かれていて、シリーズファンにとっては必見です。お気に入りのキャラの新たな側面が見えると思います。 - もっとも、ストーリーはあくまでFC、SCありきのものですので、過去作をプレイしていないとおもしろさは半減どころではないと思います。ぜひFCからプレイしてください。前作のエンディングデータを引き継げますし、今作はSCとシステムがほぼ共通なため、SCでの戦略がそのまま流用できますから、スムーズに世界観に没入できます。またFCでレベル1から鍛え始めたキャラが、今作でレベル140にまで成長するのは感慨深いものが。
システム
- Evolution仕様になってますが、オリジナル版も十分システム的には洗練されていますので、特に問題はないと思います。
- 前作でも言いましたが、フィールドでもショートカットキーで、必要なデータベース(モンスター図鑑、依頼図鑑、料理レシピ、マップ)にアクセスできるところや、いつでもセーブができる仕様は本当にいいですね。
- あいかわらず会話ログが会話中にも見られないのはどうにかして欲しいです(会話イベントが終わらないとログは見られない仕様)。
- 戦闘バランス的には前作までよりは楽だった気がします。パーティの強化幅と敵の強化幅に違いがありますので…。特に1周目は全然レベル上げしなくても、いくつかのボス戦以外はほとんど苦戦しないレベルでした。しかしながら難易度ナイトメアの特定のボスは、どうやって勝てばいいのか想像も付かないほどの強敵でしたので、戦闘マニアの方も安心です。
- イベント時も、その時点でパーティに参加しているキャラによってかなり細かいセリフ差分があり驚かされます。
- あとクリア特典のイラストギャラリーの充実ぶりが半端ないです。FC、SC、3rdで立ち絵のあったキャラのイラスト集(表情差分はありませんが、服装差分はあり)があります。またスチル絵も3作すべての分が収録された充実ぶり。特に僕はFC Evoをプレイしていないため、イラストをここで見られたのは本当に嬉しかったです。
キャラクター
- PCキャラは全部で16人。前作の12人も大概でしたが、パーティは16人なのでさすがに多い感じがします。しかし散漫になるかと思っていましたけど、全然そんなことなかったですね。他のゲームにも見倣って欲しいところです―といいたいところですが、これはFCやSCで各キャラの背景がしっかり描かれていたのでそう感じるのでしょう。
- どのキャラも一芸に秀でたところがあり、特定のキャラが強すぎるということもなかったように思います(まあ大佐は若干あれですが)。仮に使用頻度が偏っても、獲得経験値が、それぞれのキャラと敵のレベル差によって増減するシステムなので、レベルの低いキャラでも何回か戦ううちに問題なくなります。好きなキャラを好きなように使いましょう。基本的に主人公のケビンが補助型なので、あとは物理キャラ、術士キャラ、回復キャラなどをバランス良く入れてあげればいいです。クォーツの組み合わせ方でどのキャラも大体複数の役割を持てるので、パーティの編成自由度はかなり高いかと。
- 今作では、過去作で強い強いと言われていたあのキャラとついに戦うことが出来、自重しないファルコムオヤジの恐ろしさを思い知ることが出来ます。若者が世界を救うストーリーももちろんいいんですけど、こういう大人の世代がビシッと上を締めてくれているとやっぱり安心感やリアリティがありますね。
- 新キャラのリースも最初は食いしん坊なコメディエンヌかと思いましたが、仲間も姉も思いやれる素敵なヒロインでした。桑島法子さんもベテランらしい安定した演技で盛り上げてくださいましたね。
戦闘
- シンボルエンカウント制。前記の経験値システムから、ある程度レベルが上がるとザコ戦は時間の無駄になるので、この仕様は助かります。こちらのレベルがある程度高いと、敵シンボルの方から逃げてくれるようになるため、さらに楽になります。ただし一つ問題があって、こちらが敵に近づく→敵がこちらに気づく→敵がこちらの方を向く→向いている方向に前進しながら方向転換してこちらから遠ざかっていく、と言う挙動を取るため、逃げ出し初めは必ずこっちに突っ込んでくることになるんですよね…。
- 戦闘画面はマス目上のフィールドになっていて、行動順が回ってきた順番に、「移動」「攻撃」などのコマンドを選択して戦います。選んだコマンドによって次の行動順が回ってくるまでの時間も変わる、変則的なコマンド制+ターン制です。
- 攻撃には、威力が低く射程も狭いが連発しやすい「通常攻撃」、威力が高く射程もほぼ無制限だが発動まで時間がかかり、回復しにくいEPを消費する「アーツ」(テイルズでいうと術)、威力が高く即時発動するがCPを消費する「クラフト」、CPを全消費するが極めて威力が高く、ターンに関係なく割り込んで使用できる「Sクラフト」を使い分けて戦います。特にアーツは発動までに時間がかかり、その間に敵が動いてしまったり、あるいは詠唱をキャンセルする技を使われたりといいアクセントになっています。クラフトはキャラクター依存ですが、アーツはかなり自由に覚えさせることができるので、育成の自由度はまあまあ。この辺りは前作とほぼ同じですね。
- 戦闘回数が多くなりがちなので、早送りやオートバトルが使えるのはありがたいです。ただし早送りはボタン長押しなので、そろそろボタンを長押ししなくても早送りできるようなシステムにして欲しいですね。
- 今作はボスが軒並み状態異常無効になっているので、ステータス低下の術技が輝きます。ただ終盤になるとそれすら効かないボスが結構います。前述の通り雑魚戦はあまり苦戦しないバランスのため、今作は物理で殴る方が楽な感じがしました。ただ終盤になると術士キャラも詠唱破棄のクォーツなどでかなり強くなりますし、ボス戦は補助や回復を入れないとどうにもならないバランスなので、戦略性は十分あると思います。
総評
- 4人パーティのゲームでPC16人というあまり見ない仕様ですけど、過去作で使用したキャラをそのまま使いたい!というファンの気持ちに答えた思い切った仕様になっていることは高く評価したいと思います。
- 続編ものなので単体での評価はやや下方修正すると思いますが、間違いなく名作だと思いますので、FC、SCをプレイした方にはぜひ楽しんでもらいたいと思います。
- またEvolutionになるにあたり、オリジナル版では若干弱かったアネラスが装備により救済されているのはうれしいところ。特に中盤のアネラス無双はすばらしいので、彼女のファンはぜひプレイしてみてください。
- 今回は過去作に比べればトロコンは楽(取り逃し要素が少なめ)ですが、相変わらず宝箱コンプは辛いです。そろそろ開封宝箱の個数だけでも確認できるようにしてほしいんですけど…
- 相変わらずプレイ人数は少ない(PSNProfileによれば現在334名)のが悲しい…。ただこれほどプラチナ取得が大変なゲームにもかかわらず、達成率が3割超というのは、やはり熱心なファンが多いんでしょうね。1年前はSCのプレイ人数も400人以下でしたが現在は倍増してますし、今後も布教を続けていきたいと思います。王道RPG大好きな方、一緒にプレイしましょう!
- ということで次回は零の軌跡ですね!あれもトロコンまで3周必要な上に取り逃し要素満載と言うことですので、プレイ時期は未定です!(え