2020-03-07
【ゲーム】十三機兵防衛圏 レビュー
ヴァニラウェアはファンタジーだけじゃないぞ!
十三機兵防衛圏
プラットフォーム | PlayStation®4 | |
ジャンル | ドラマチックアドベンチャー | |
価格 | 【通常版/DL版】8,980円 【限定版】14,980円 【DL豪華版】11,980円(いずれも税別) |
|
公式 | 『十三機兵防衛圏』公式サイト | |
プレイ時間 | 1周目:98時間(プラチナ) ※プレイ日記にかなりの時間を割いているので参考値です |
ストーリー
- 1985年5月27日。それまでの日常は突如終わりを告げた。空から降ってきた巨大な怪獣が、街を、人々を壊していく。恐れ逃げ惑う人々の流れに逆らい、怪獣たちの元へ向かう一人の少女と、その少女を追う一人の少年。少女は絶望を振り払うため、一体の巨大なロボットを呼び出す。それは人類の存亡をかけた、最後の戦いの始まりだった―
- というわけで、世界を滅ぼす謎の侵略者に、少年少女達が巨大ロボで戦うという、割とよくあるタイプのSFになっています。しかしストーリーは決して凡庸ではありません。面白いのは、物語が始まった時点で、少年少女達の中にこの世界が滅びかけているのを知っている人はほとんどいないんですよね。それぞれが独自の目的を持ち、2105年から1945年までの時間を行き来し、互いに時には協力し、時には敵対しながら動いています。しかしそのうちに、世界の謎に迫る大きな流れに絡み取られ、機兵に乗る宿命にたどり着き、そして最後の戦いに向かって行く―そんな群像劇になっています。
- SF要素の方も、当初は単純なタイムトラベルもの、あるいはタイムリープものだと思っていたのですが、プレイしているうちに段々それでは説明できない出来事が起こり始め、主人公達と同様に世界の謎を暴いていく楽しみがありました。13人も主人公がいるので、どこからプレイすればいいのか迷うかも知れませんが、要所要所でロックをかけて進行が調節されているので、適当にプレイしても大丈夫です。
- 物語は13人それぞれの視点で語られますが、あるものはミステリー調、あるものは記憶喪失もの、あるものはタイムリープ、あるものは少女マンガ風、と切り口がいずれも異なり、飽きさせない工夫がなされています。13人もいるので独り一人の物語は決して長いとは言えませんが、その中で彼らが背負うものがつまびらかにされ、最後に機兵に載って出撃する決意を固めるまでの流れが丁寧に描かれているので、話が駆け足だとか、端折っているとか感じることはありませんでした。総じてストーリーの評価は非常に高いです。
システム
- 本作は3つのパートに分かれています。
- 追想編(ADVパート)
- 上記の通り、13人それぞれの視点に立ったストーリーが展開されます。
- 物語は、2D画面で主人公を動かし、誰かに話しかけたり、何かを調べたり、あるいはキーワードを思い返したりして進行していきます。ただストーリーは基本的に一直線なので、行動によってストーリーが大きく変わることはありません。まあ当然ですが。
- 台詞がメッセージウィンドウではなく、各キャラの頭上に短く表示されるので、話しがテンポ良く進んでいく感じがありますね。台詞は横書きですが、バックログには縦書きで表示されるのも分かってる感じがします(1つの台詞が短いので、横書きにすると画面がスカスカになってしまう)。
- そして背景画が美しすぎます。どうやったらこんな表現が出来るんだ…
- 追想編(ADVパート)
この陽光の表現いいよね #十三機兵防衛圏 #PS4share pic.twitter.com/MPHNlxfuu7
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) December 1, 2019
-
- 崩壊編(バトルパート)
- 13人の現在(ADVパートで言うと最終盤)を舞台に、機兵に乗って怪獣と戦うバトルパートです。
- 全部で30+αのステージがあります。いつプレイするかは自由ですが、いくつかのステージはADVを進めるフラグにもなっているため、最終的には全てクリアする必要があります。難易度は3段階に調整できますが、慣れれば最高難度でも問題なくSクリアできました。難易度はトロフィーには影響しないので、RTSが苦手でも安心です。
- 詳しくは後述。
- 究明編
- 時系列がバラバラに進行するADVパートを時系列順に整理したイベントアーカイブと、作中で登場した人物や世界設定などの解説するミステリーファイルの2つがあります。
- イベントアーカイブはストーリーを見直すのにも役立ちますが、一部結構大事なシーンなのに収録されていないパートがあったのが残念。あと年表をまとめていて気付いたのですが、ミスもちらほらあるような気がします(まあ小さなものばかりですが)。
- ミステリーファイルも、ストーリーではほのめかす程度だったことがきちんと解説されていたりして、単なる用語集に留まらず、ADVパートを補完する役目も果たしています。
- 崩壊編(バトルパート)
キャラクター
- 主人公達は13人です。どのキャラも立場は違いますが、世界や大人達に翻弄されながらも生き延びるために必死で戦う姿は応援したくなりますね。緒方とか鷹宮とか、ヤンキーはちょっと…とプレイ前は思ってましたけど、みんないい子じゃないですか…2188年のこと思うとこれは奇跡ですよ。まあでも一番は彼女ですけど(台無し
南奈津乃編スタート! #十三機兵防衛圏 #PS4share pic.twitter.com/wI0UHWP7rI
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) December 2, 2019
- 13人以外にも、別の目的を持って動いている勢力がいくつかあります。少年少女達を利用したり騙したり、敵対したりすることもありますけど、彼らも彼らで人類と世界のことを考えていて、憎めないキャラになっていました。最終的に世界が救われたのも彼らがいてこそだったと言えるでしょうね。
戦闘
- ターミナルと呼ばれる施設を狙って押し寄せてくる敵からターミナルを守るタワーディフェンスになっています。最初は積極的に敵を殴りに言ってましたが、結局タワー周辺に引きこもって遠距離攻撃を撃ちまくってるのが最適解だと気付いた(笑)
- 出撃できるキャラは13人の中から最大で6人。その6人には固有の技を設定でき、マップ上を移動して敵にその技を当ててHPを削り、撃破していきます。出現する敵を全滅させれば(一部例外もありますが)クリアになります。
- それぞれの技には威力とウェイトターンと消費EPが設定されています。敵を撃破すると入手できるメタチップを使って技を強化することも出来、数ある技から自分で6つの技を組み合わせて出撃することになります。EPは戦闘中に回復することが出来ますが、それには時間がかかるので、そのあたりがうまくジレンマになってますね。
- 戦闘はRTSですが、コマンド選択中は時間が止まるので、あまり慌ただしい感じはありませんでした。画面もスッキリしていて見やすいのですが、情報量が多いため、リミッター解除中などの表示がややわかりにくい感じもしました。この辺りもう少し丁寧な説明があってもよかったような気がします。
見よ!この美しき戦場を!(ガチガチの引きこもり戦略 #十三機兵防衛圏 #PS4share pic.twitter.com/T845IawQHq
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) February 19, 2020
- ただこちらもプレイになれてくれば慣れてくるほどうまく立ち回れるようになり結構楽しめましたね。ヴァニラウェアのグリムグリモア(ファンタジーをベースにしたRTS)が好きな自分としては、同社のセンスが今でも輝いているのを実感できてうれしかったです。ちなみにクリア後には無限モード(全1000ステージ超。一説には9999ステージまであると言われている)もプレイできるので、これが好きな人も延々楽しめると思います。
総評
- このゲームが発表されたのが2015年。当初から面白そうな雰囲気がぎゅんぎゅんしていて、それ以来ずっと発売を待っていました。しかしそれ以降ほとんど続報もなく、PSV版の開発も中止され、もしかすると闇に葬られるのではないかと泣いて暮らした時期もありました。しかし!有料体験版が出て、そしてついに発売日を迎えた時は本当にうれしかったなぁ。そして待ったかいが十分にある名作だったと言えるでしょう。ADVもバトルも高レベルでまとまっており、世界設定も考察のしがいがある重厚なもので、yukkun20がすきなタイムトラベル要素やフローチャート要素もあり、本当にツボにはまる作品でした。yukkun20の中ではシュタゲに勝るとも劣らないADV作品になりましたね。今後も売れて関連商品やスピンオフなどが出ればいいなぁ。まずは設定資料集が熱望されますね。
- あとは限定版のペーパークラフトには度肝を抜かれました。あそこまで完成度の高い(そして大多数の人は作らないような)ものをおまけに付けるとは…ペーパークラフト好きの自分としてはうれしいの一言でしたので、今後もこういう作品が世に出るとありがたいです。
完成品はこんな感じです。#ペーパークラフト #十三機兵防衛圏 pic.twitter.com/S0RMAId4Ee
— yukkun20@Y.A.S.管理人 (@yukkun20_yas) February 6, 2020
- ネタバレプレイ日記も書きましたが、これからプレイする方にはぜひまっさらな気持ちでプレイして戴きたいですね。そしてこの感動を分かち合いましょう。次のプレイ日記はグランディアHDか、TOARISEの予定です。