2022-09-23
【ゲーム】Xenoblade3 レビュー
ところで結局DEの霧乃王ってなんだったん?
Xenoblade3
プラットフォーム | Nintendo Switch | |
ジャンル | コンピュータRPG | |
価格 |
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公式 | Xenoblade3(ゼノブレイド3) | Nintendo Switch | 任天堂 | |
プレイ時間 | 1周目:157時間(本編クリアまで) |
ストーリー
- アイオニオンと呼ばれるこの世界では、ケヴェスとアグヌスという二つの国の果てしない戦争が続いていた。この世界に生まれた人々はわずか10年という寿命を、ひたすら訓練と戦争に費やし、死んでいく。ケヴェス軍の兵士ノアは、仲間のランツ、ユーニと共に謎の物体の破壊任務に就き、そこでアグヌス軍の兵士ミオ、セナ、タイオンと運命の出会いを果たす。両軍を襲う謎の巨人との戦いを経て、彼ら6人は世界の謎を知るため、遙か彼方にそびえる「大剣」を目指す旅に出るのだった―
- 今回は特に世界設定の異質さが目を引きます。10年で人々が戦争の末に死んでいくという非常に暗い設定です。こういう設定を組み込んだ場合に大事なのは、キャラクターたちが世界の暗さに気づかない(生まれた時から暗い部屋にいる者は、その部屋が「暗い」という認識を持たない)ことだと思うのですが、今作もそこがきちんとしていました。ノア達は10年という寿命に抗いながらも、ある意味それを受け入れている視点も常に持っていて、そのバランスが上手く表現されていたと思います。
- また1や2との繋がりもうまくに追わせていたと思います。世界設定の随所に過去作との繋がりをうかがわせるものが出てきていましたし、また終盤には過去作の重要キャラが登場したりして、ファンサービスとしても上々でした。
- ただ、1や2に比べると、ストーリーはやや残念な感じもあります。個人的には3つ大きな問題があると思います。
- ストーリー的などんでん返しが少ない
1も2も、中盤で世界の重要な秘密が明かされて、それまでの価値観がひっくり返るような展開がありましたが、今回はそういうのが少なかったと思います。ニア様の世界についての説明が一応それに当たると思うのですが、あれは説明としての情報量は多くなく、説明の意味を考える方が大変で、説明自体に衝撃を受ける暇がなかった感じでした。 - 敵の行動原理がわかりにくい
敵のしていることは主人公サイドから見ると許せないことなのですが、彼らにも彼らなりの事情があります。しかし出てくるメビウスはほとんどが下衆なので、主人公達ですらメビウス=倒すべき敵としか見ていません。両者の話し合いの機会もなかったため、彼らがどうしてこのようになってしまったのか分からないままでした。 - エンディングの位置づけがわかりにくい
改めてムービーを見直してみたのですが、おそらくエンディングではオリジンによって世界は再生され、再び二つの世界として存在するようになったのでしょう。これ、アイオニオンの多くの人たちが望んだ結末なのかということも疑問なのですが、それ以前にノア達が目指していたものなのかというところも疑問です。ゼットは概念存在ですから倒したことにあまり意味はなく、再び二つの世界が邂逅し、そこでまたゼットが登場することもあるでしょう。また同じ事の繰り返しになることも十分あり得るのではないでしょうか。ノア達の活躍によりメビウスから解放されたアイオニオンは、寿命の点を除けば一つの理想郷となったわけですから、そのデータをオリジンにフィードバックして、融合世界を再生することは出来なかったのかな…と思ってしまいました。それを模索するだけの時間はあったと思うんだよね。
- ストーリー的などんでん返しが少ない
- 上記の通り気になった点は決して小さくはないのですが、それでも全体としてみると、明るく、前向きで、感動させるストーリーだったと思います。特に第5話終盤からの展開は近年プレイしたゲームの中でも一二を争うほど衝撃的でしたし、エンディングの別れのシーンは号泣せずにはいられませんでした。戦争の暗い側面を描きつつ、戦争から解放された人々が、新しい生活基盤を作り出し、それに順応しようと懸命にあがく姿とか、人間関係に悩みながらも一致協力して頑張る姿とか、いろいろぐっとくるシーンもあり、全体的には高水準の物語だったと思います。
システム
- システム的にはオーソドックなRPGですが、相変わらずフィールドは美しくそして広大で、歩き回るだけでも楽しめるようになっています。フィールドには時々場違いなモンスターも徘徊しているんですが、抜け道を使ったりダッシュで逃げたりしながら突破し、その向こうに絶景ポイントが広がっていた時はたまりません。経験値ももらえて一石二鳥。
- メインストーリーもかなりボリュームがありますが、それにプラスしてサブストーリーも多く用意されています。そのほとんどがメインストーリーや他のストーリーと密接に関係していて、キャラクター達の掘り下げも十分なされていて非常に良かったです。過去作のクエストはお遣いクエストが大部分を占めていて飽きが来ることもありましたが、今作はほとんどそういうことはなかったです。単純なアイテムを集めるだけのクエストは、コレペディアカードという受注を必要としないおまけクエストに位置づけられ、心理的にも達成を強制されないのもよかったですね。
- クエストをクリアすることでNPCたちの人間関係が変化し、それが「キズナグラム」という人間関係相関図にダイレクトに反映され、知り合いの知り合いが知り合いみたいな感じで増えていくので、街にいる多くのNPCたちにも個別に愛着が湧いてきます。
- ただなぁ…もう諦めているんですけど、今作もUIは本当ひどかったです。
- 他のマップ画面に移動できない「マップ」と、移動できる「エリアマップ」が併存
- マップにロケーションが表示されない
- マップの高低差や別マップとの接続ポイントが分からない
- キズナグラムの全体を一覧できない
- アクセサリの数が多い上にソートしにくい
- クラスを変更するたびに装備し直し
- 船の操縦性が最悪
- ただ、クエストの目的地にボタン一つで移動できるとか、1ボタンでそれなりに適当な装備に出来るとか、フィールドアイテムのリポップが簡単とか、戦闘時のクィックムーブとか、以上に充実したチュートリアルとか、とにかく何とかしようという姿勢は見えましたし、少なくとも2とかに比べるとかなり改善されてたので(20点が50点くらいにはなってました)、もうこれはモノリスソフトの味と思うしかないのかな…
キャラクター
- 今作のPCは6人ですが、みんな非常に魅力的なキャラでした。個人的には特にユーニとタイオンのコンビが好きでしたね。ユーニは口が悪く、初登場時は「ああ…この子yukkun20が苦手なキャラだ…」と思いながらプレイし始めたのですが、仲間たちの機微に敏感で、さりげなく気をつかい、それでいて言うことは言ってくれるツッコミタイプのキャラであることがわかってきて、どんどん好きになっていきました。タイオンも最初は嫌味なメガネで、心を開いてくれるまで時間かかりそうだな…と思っていましたが、あっという間にデレて、仲間達からの信頼も勝ち取っていてすごくかっこいいキャラでした。トライデンに煽られたりマフラーをいじられたりして即ギレというコミカルなところもありましたし。
- 6人それぞれが主人公として扱われ、過去の経験やトラウマを含め、かなりの尺を使ってそのキャラクター像をじっくり描いてくれていました。PC同士の関係が薄いという過去作の欠点も解消されて、仲の良いエピソードがたくさん見られたので、安心して旅を見守ることが出来ました。
- 特にミオ関係のエピソードの出来は素晴らしかったです。詳しいことはここでは語りませんけど、第5話から第6話にかけての展開は神がかっていました。中の人の演技も相まって強く心に残りました。
- また6人に加え、NPCとしてヒーローと呼ばれるキャラクターがパーティには加入するのですが、そのキャラクター達も、ヒーロークエストやサブクエストなどで背景がきちんと描かれていて愛着がわくようになっていました。個人的には、部下との関係や新しく始めた農業で四苦八苦していたゼオンや、仲間のために手を血で染めながら、同じ失敗を繰り返さないよう人間らしくあがきつつ、それを人に見せないニイナ、「男に二言はないが、男はおかわりをする」など迷言の宝庫だったトライデンなどが好きでしたね。
- そしてプレイ日記でも触れましたが、やはり2のさいかわヒロインニア様でしょう、最初登場した時は、「ニア様も長い年を経て大人になっちゃったんだなぁ」と感慨深く見守っていたのですが、一皮むければ昔のままのニア様で改めて惚れ直しました(´∀`*)
戦闘
- 戦闘は、フィールド画面との完全シームレスを実現しています。
- 戦闘では、敵の近くにキャラを立たせるだけで、オートで攻撃をしてくれます。プレイヤーは、必殺技(アーツ)の発動時にコマンドを入力するのが仕事です。
- うまく戦闘を運ぶのに必要なのがヘイトです。このゲームは敵に攻撃を当てたり味方を回復したりするとヘイトが溜まり、敵はヘイトが高いキャラを狙って攻撃してきます。敵の火力は高く、普通のキャラが攻撃を受けると雑魚相手でもすぐ死ぬため、まずはタンク役のキャラにヘイトを稼がせ、敵の攻撃をそちらに向けます。その隙にアタッカーが攻撃をするわけです。例えば主人公のノアのアーツには、敵の側面や背面から攻撃すると有利な特殊効果が付いたりするんですけど、敵の回頭速度はメチャクチャ速いので、移動だけでは側面は背後は取れません。仲間にヘイトをかせいでもらってそちらをターゲッティングしている間に回り込むわけです。ヘイトを調節したり、コンボで敵を転倒させたり、仲間とインタリンクして攻撃したり、パーティアタックを繰り出したりと、やることがかなり多いので、通常攻撃はオートでちょうどいいですね。
- パーティアタックは過去作に比べると運の要素が増えましたが、与えられるダメージも飛躍的に伸び、テンションアゲアゲの曲も相まって毎回発動が楽しかったです。
- 各キャラは一応パラメータの偏りがありますが、それよりもついているロールで役回りが決まります。ダメージディーラーとなる「アタッカー」、バフやデバフ、回復を担当する「ヒーラー」、兵とを稼いで敵の攻撃を引きつける「ディフェンダー」の3職があり、バランス良く編成することで安定した戦闘が出来ます。ただ終盤になるとアタッカーの火力が高くなりすぎ、ディフェンダーがあまり役に立たなくなる(敵にダメージを与えることでアタッカーが稼ぐヘイトの方が、ディフェンダーがアーツで稼ぐヘイトを上回るようになる)のはちょっとアンバランスでしたね。DLCでディフェンダーが来るみたいなのでそっちに期待。
- 敵はレベルが決まっていて、レベルが離れるとほとんど攻撃が当たらなくなるので、プレイヤーのテクニックだけでごり押しすることは出来ません。レベル上げは必須になりますが、戦闘勝利時はもちろん、ランドマーク発見、サブクエストクリアなどでもどんどん経験値が入るので、まったく苦になりません。サブイベント優先で進めるとクリア直前でレベル90くらいにはなります(最高レベルは99)。またモンスターは必ずアイテムを落とすので、それも戦闘を作業にしない要因になっています。難易度も自由に変更できます。ただ今作はクリアするまでレベルを下げることが出来ないので、サブイベントを優先するとヌルゲーになりますけど。
- あっさりゲームオーバーになることも多いのですが、直前のランドマークに戻されるだけで、アイテムもお金もなくなりません。だからと言って緊張感が削がれることはありません。フィールドをうろつく強力な雑魚・ボスモンスターに挑んでなんどぶっ飛ばされたり、ひょいっと柵を跳び越えたら奈落が広がっていて墜落死とか普通にありますから。でもそれがいい。オートセーブもあるし、ゲームオーバーになってもわざわざロードしなくていいので、こまめなセーブは不要です。これで世界にどっぷりつかっている思考を中断しなくていいって訳なんですよ。
総評
- いろいろ気になることはあったのですが、それでも全体としてみれば名作と言えると思います(正直このゲームに対する評価は現時点でも揺れているので、DLCとかによってはまた評価が変わるかもしれませんが)。少なくとも、1、2、DEとプレイしてきたyukkun20の期待は裏切られませんでしたし、プレイ日記を付けて良かったと思っています。
- ただ、まだいろいろ謎も残っていますよね。その辺DLCですっきりしてもらえるといいのですが。
- リクとラッキーセブン関係
- シティーの始祖関係
- メビウスA関係
- 登場しなかった「モナド」と「トリニティプロセッサー」
- ということで、2ヶ月間プレイ日記にお付き合いくださりありがとうございました。唐突ですが明日あたりから「グリムグリモア OnceMore」のプレイ日記始めますので、そちらもよろしくお願いします。