2013-11-03
今回は再びドラマCD付き限定版を購入。ドラマCDと聞くと無条件に買ってしまう自分もどうかと思うのですが…聞いていないCDが溜まってきてるし。
銀の匙 Vol.9
著者:荒川弘
レーベル:少年サンデーコミックス
価格:419円(通常版)、1000円(限定版。いずれも税別)
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あらすじ
御影に勉強を教えることになった八軒は、兄が残した受験ノートを取りに行くため、久しぶりに札幌の実家に帰省する。再会した父親に「勉強で脱落した人間が人に勉強を教えるというのか」と厳しい言葉を投げかけられるが、八軒は生まれて初めて父親に自分の意見をぶつけ、実家をあとにするのだった。
その様子を見ていた母は、息子が高校で何をしているのか興味を持ち、単身エゾノーを訪問する。級友や先生達から息子の成長ぶりを聞かされた母は、八軒が成長していることを感じているようだった。
他方エゾノーでは、八軒のベーコン作りのノウハウを活かして、生徒達が共同でブタを購入して自らの手で加工・販売するという豚肉ファンドを立ち上げることになった。またもや中心に担ぎ上げられながらも、今度は全て一人で抱え込まず、信頼出来る仲間と苦労を分けあう八軒。しかし御影との距離はなかなか縮まらないまま、クリスマスの季節を迎えようとしていた―
感想
今回は全体的にシリアスな話が多かったですね。八軒の父親は言い方はきびしいけど、言っていることは結構正しいので余計胃に来るんだよなぁ。お母さんはもうちょっとフォローしてあげてよ!と思うんですけど、そのあとエゾノーに見学に来るシーンとかを見ると、母の愛を感じてジーンとします。さりげなく昆布できちんと出汁をとるなど、きちんと料理を作っていることが伺えますね。
あと八軒兄のノートなんですけど、わざわざ「過去問をとにかくやる」「長い文章題は先に問いを読む」みたいなことを書いていると言うことは、これ自分の為じゃなくて八軒のために作ったノートですよね(自分でわかりきったことはノートには書きませんから)。そこら辺は全く本編中で触れないんですけど、こういうところがなんかいいですね。でも文章題で先に問いを読むのは常識なんじゃないのかなぁ…
あ、今回の吉野さんは「八軒キモい。」(p.31)のコマが良かったです。
西川「あれ、あるじゃん。甘栗の皮がすでにむかれてるおやつ。あれ、パッケージに「私達がむいてます」って甘栗工場のめんこい女子の写真載せたらもっと売れるんじゃね?」
八軒たち「おまえ本当天才だな!!」
※98ページより引用
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2013-11-01
首を長くして待っていました!今一二を争うほど面白い漫画、「信長の忍び」最新刊です。
信長の忍び7
著者:重野なおき
レーベル:ジェッツコミックス
価格:571円(税別)
あらすじ
今作では信長包囲網の完成、比叡山焼討ち、武田家の進軍などが描かれています。信長が最も苦しかった時期ですね。日本史だと、信長はあっさり浅井・朝倉連合軍を倒すし、将軍も追放するし、信玄はあっさり死ぬしであまりピンチ!という感じではないんですけど、これを見るとすげーピンチだったのがよく分かります。歴史ってほんとドラマ。そして最後にはあの男がついに裏切りを…?
感想
本巻もメチャクチャ面白かったです。前巻も面白かったけどそれを上回る面白さでした。比叡山焼討ちとかかなり陰惨な出来事ですけど、その中で緊張感を失わせず、これだけの笑いを盛り込んでくるのは本当にすごいです。しかし信長と将軍の間に挟まれてしまい、その中で奮戦する歌人武将細川藤孝とか、あまりのアホさで城を失いながら、その件が元で覚醒し、執拗に信長を狙う斎藤龍興とか、日本史の授業ではほとんどスルーする人物達のエピソードてんこもりで、学術的観点からも、ギャグ4コマの観点からも、素晴らしい内容でした。
余談ですが、現在重野先生は、信長の若い頃を描く「尾張統一記」、黒田官兵衛の生涯を描く「軍師 黒田官兵衛伝」、伊達政宗の生涯を描く「政宗さまと景綱くん」などの歴史漫画も連載中です。こちらもよろしく。
こんな時まで
足利義昭「昨日の敵は今日の友など乱世によくある事なのだー♪」
細川藤孝「なんて事だ…ここまで節操のない御方だとは しかし私は将軍家に忠誠を誓った身…
立場上 従わなければ ならぬのか それとも止める? いや目をつぶる?
…油断すると五・七・五・七・七になってる歌人の性が憎いー!!」
※111ページより引用
2013-10-23
読んだのは結構前なんですけど、レビューを後回しにしていたらそのまますっかり忘れて…
いとしのムーコ④
著者:みずしな孝之
レーベル:イブニングKC
価格:562円(税別)
感想
みずしな先生の最新作、ムーコのアホさをひたすら愛でるマンガ「いとしのムーコ」の第4巻が出ました。いつの間にかアニメ化しているとか。けもチャがアニメ化した時は「これが最初で最後」と先生仰っていましたけど、本当良かったですね。サボキャンアニメ化まだですか?
今回はうしこうさん大活躍でしたね。コスプレしたり、怖い夢を見たムーコにガジガジされたり、ツンデレセリフを叫んで走り出したり、ムーコの毛をむしったりとやりたい放題でした。なおこの漫画を知らない人のために一言書いておきますが、うしこうさんというのはガタイのいいスキンヘッド+グラサンのオッサンです。
ところでこの人がウェブデザイナーだという設定を覚えている人はいるのだろうか。
今回のカバー裏には、付せんVSムーコ、うしこうゆきだるまVSムーコの2戦が載っています。ムーコ破竹の8連勝!
2013-10-21
TOS:Uと同時発売されたビジュアルファンブックです。Vジャン編集部はほかにやることがあると思うんですけどねぇ。
テイルズ オブ シンフォニア 10周年記念公式ビジュアルファンブック
シンフォニアノキセキ
編集:Vジャンプ編集部
価格:1238円(税別)
レビュー
- 第1章 CHARACTER
TOS/TOS-Rの主要登場人物についての紹介。
- メインキャラ…各2~3ページ。名シーン、名セリフ、PS3版の秘奥義カットイン、コス称号、設定画など。名シーン、セリフの選出は納得のいくものが多い。
中の人インタビューはごく簡単なものだが、小西氏、小野坂氏、下野氏、大塚芳忠氏についてはロングインタビューも掲載。
- サブキャラ…五星刃、マーテル、ユアン、セレス、アビシオン、コリン、アリス、デクス、ブルート、アクア、ホークなどについては1ページ~1/4ページで名シーンなどを紹介。なぜか五星刃はマグニスさまに1ページ割り当たっている辺り笑える(残り4人は1/4ずつ)。
- その他のキャラ…その他登場するサブキャラたちにも2~3行の解説あり。
- 第2章 STORY
人物関係図、ストーリーダイジェスト、用語集など。
ストーリーダイジェストは2作品に4ページずつなので、本当のダイジェスト。しかも肝心な部分を全てぼかしているためほとんど役に立たない感じ。用語集は普通。
- 第3章 MEDIA MIX
アニメ、関連グッズ、関連イベント、主題歌を歌うmisonoのインタビュー。
本当に紹介するだけ。
- 第4章 VISUAL WORKS
キャラ、乗り物、マップなどの設定画。多分初出のものはない。イベントシーンの絵コンテくらいかな。
- その他
描き下ろしポスター、吉積P×馬場P対談、実弥島・平松両シナリオライターへのインタビューなど。小西氏と下野氏のインタビューが動画で見られるプロダクトコードも付いています。
感想
完成度は低くないが、やはり中途半端な時期に中途半端な商品出しちゃったなぁという感じ。
発売直後というネタバレ厳禁な時期に資料集を出してどうする、という感じ。もう少し満を持して、きっちりしたものを作ってほしかったなぁ。
スタッフインタビューとかは新しい情報もあったりして結構面白かったです。
なお言うまでもなくネタバレ上等なので、未プレイの方はスルー推奨。
2013-10-16
久しぶりのポケモンはやっぱりポケモンだった、の最新作。3DS同梱版を買いましたが、これは損なし。
というわけでファーストインプレッションです。まだプレイ時間は7時間ほど、ストーリーで言うとジムバッジは1つ、育て屋が解禁された辺りですので、あくまで簡単に。
良い点
- 映像がキレイ(と言っても比較対象がないのですが)。フィールドも綺麗で見やすいですし、キャラクターもうまく立体化されています。
- 3D表現が出しゃばりすぎていない。全体が3Dになっていますが、立体は戦闘と一部のイベントくらい。正直目が疲れるのは事実なので、これくらいでちょうどいいと思います。
- 対戦・交換の敷居が下がりました。マスクデータの解禁、技やキャラのバランス調整、ネットを介した交換・対戦が簡単にできるなど。12月には旧作からもポケモンが連れてこれるようになるので、本格的にはそれからかな。
- セーブが早い。DSに移ってからセーブにかかる時間がむちゃくちゃ長くなって辟易でしたが、今作は全く問題がないレベル。
- ポケモンを愛でやすい。なでたり遊んだりとお気に入りのポケモンと戯れることが可能。ピカチュウが大谷ボイスなのもうれしいところ。
微妙な点
- やれることが多すぎる。RPGやらミニゲームやら育成やら収集やらとにかく出来ることが多い。もちろんこれはメリットでもあるんですけど、正直なところ手が回りませぬ。とはいえどの要素も押しつけがましくないので、スルーすればいいだけなのだが。
- 追加された新ポケモンのデザインがちょっと微妙な気が…(感じ方には個人差があります)
- エンカウント率が高い。ただポケモンはエンカウント率が低いことの方の弊害が大きいので、これは仕方がないかな。エンカウントするフィールドは限定されているのでそこをよければいいだけだし。
というわけで、楽しんでプレイ出来ています。初代御三家が手に入ったり、所々に初代のオマージュ的なものが見られる(最初の森でピカチュウが出るとか、中央に巨大な街があるとか)のもシリーズファンには嬉しいところ。
2013-10-14
支倉先生、ネットで色々言われていますけど気にせず頑張ってくださいね!の最新刊。ちなみに読んだのは旅行中だから…
マグダラで眠れⅣ
著者:支倉凍砂
レーベル:電撃文庫
価格:570円(税別)
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あらすじ
クラジウス騎士団と共にカザンの街に到着したクースラたち。直前にカザンを治めるラトリア女王が改宗したとの知らせがあり、異教徒討伐を建前にしている騎士団には同様があったものの、入植は順調に進んでいた。クースラたちも異教徒の技術を探して、町に残る文献を読みあさることにする。そこにあったのは竜の伝説と、その存在を彷彿とさせる神殿だった。
クースラたちは新しい工房も手に入れ、すべてが順調に思えた。しかし突如、街は敵軍に取り囲まれる。カザンを追い出された者の反撃と思いきや、これは権力を得すぎた騎士団を潰そうとする、教会の差し金だった。クースラは全員が生き残るため、フェネシスたちを街に残し、自らは騎士団と共に街を脱出することに賭けることにするのだが―
感想
3巻も面白かったですけど、4巻はさらに面白かったですね。ようやく支倉節全開という感じです。かなり切迫したシチュエーションももちろん引き込まれましたけど、それと並行して、竜の伝説、フェネシスの一族の行方、そしてクースラのフェネシスたちに向ける思いの変化などのストーリーが同時並行的に進んでいき、最後に全てがひとつに収束する物語運びはさすがでした。僕の中ではこれで、この作品は「狼と香辛料」に匹敵するものになったと思っています。
次巻は厳しい逃避行が描かれるのかな。イリーネさんもすっかり一行に馴染んで、会話の掛け合いも面白くなってきました。数ヶ月先が楽しみです。
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2013-10-07
既に更新作業は終わっていますが、星界の戦旗DVD-BOX付属の小説「星界の断章 野営~ペネージュの場合」のレビューです。
なお前作のレビューはこちらから。
→【小説】星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~ レビュー | Y.A.S.
星界の断章 野営~ペネージュの場合
著者:森岡浩之
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あらすじ
ペネージュが翔士修技館の訓練生だった時―
ペネージュと、同級生であるスファグノーフ侯爵公子リュトレーが衛旗士を務めていた晩のこと。先番のリュトレーが見張りを終えて天幕に戻ってくると、何者かにより帝国旗は盗み出され、「アセージュ山頂に来るべし」という文が残されていた。ペネージュは犯人は教官達の内部にいると目星を付ける。リュトレーは単身アセージュ山に向かうことを主張するが、当然のように同級生達を(叩き起こして)召集したペネージュは、倉庫から(無断で)必要な武器道具を持ち出して山に向かうべきと主張。意見は平行線をたどり、二人はそれぞれの方法で旗を追うことになった。
先行したリュトレーは、アセージュ山頂で無事帝国旗を発見した。しかし準備万端で現れたペネージュは、あくまで犯人確保が必要と言う。周囲を捜索するが、かなり念入りな隠蔽が行われており、結局その足取りは掴めない。あっという間に掲揚式の時刻になってしまう。
するとその時、教官達が残りの訓練生達を連れてアセージュ山に現れ、その場で掲揚式が執り行われることに。事態が飲み込めず教官に事情の説明を求めるリュトレーだったが、教官は何事もなかったように掲揚式を行い、旗をリュトレーに預けて帰って行ったのだった。
感想
ごく短い小説です。こうやってあらすじにするとペネージュさんの傍若無人ぶりがあまり分からないなぁ…。たった10ページそこそこの小説の中で彼女は、
- 地上訓練についてアブリアルを罵倒
- 2人交代で見張りをしないといけないのに、リュトレーに押しつける気満々で寝る
- 旗を盗まれたのはペネージュにも責任があるのだが、それを追求されて逆ギレ
- 真夜中には他を捜索するため同級生を叩き起こして召集
- 倉庫を襲撃して武器道具を持ち出す
- 犯人逮捕に熱心だと思ったら、怒っているのは寝室に侵入されたことだった
- 熱心でないリュトレーを見て、「あたくしの寝姿に全く興味がないとでも仰るの」と逆ギレ
- 旗を旗竿ごと麓に持ち帰るという任務を当然のようにリュトレーに押しつける
など、クファディスが幸せに見えるくらいの無茶振りをしています。さすがだ…
結局犯人はやはりはっきりしなかったので、これは「野営~ノールの場合」を読まないとダメなんでしょうね。バンダイビジュアルの商売上手め。
「いっておくけれども、あたくしは帝国を愛しているわよ。皇族がいなければ、だれをからかえばいいの」
「目についた人間、だれでも好きなのをからかえばいいと思おうが。ただしぼくは除けてくれ」
「安心なさい」ペネージュは哀れむような目をした。「スポールの揶揄を受けるには資格が要るのよ」
ぼくにはないのか―リュトレーは傷つき、そして傷ついてしまったことに理不尽な思いを感じた。
※6ページより引用
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2013-10-05
行こう行こうと思いながら後回しになっていたジブリ映画最新作にして宮崎監督の引退作品(?)ですが、仕事の合間に時間があったのでようやく見ることが出来ました。
風立ちぬ
原作・脚本・監督:宮崎駿
上映時間:126分
レビュー
最初に言っておきますが、僕はジブリのファンです。ナウシカ、魔女の宅急便、紅の豚あたりは本当に傑作だと思っています。…が、最近の作品にはちょっとがっかりさせられることが多く、実は今回の映画も、最初は期待していたのですがだんだん情報が出てくるに従って期待がしぼみ、映画館にもなかなか足を運べませんでした。
ストーリーはあまり複雑なものではなく、若き日の堀越二郎が、素晴らしい仲間と、上司と、家族と、最愛の妻に囲まれて、飛行機の設計に打ち込むというものです。娯楽映画の割に、大きな事件やカタルシスを得られるような展開はあまり多くなく、淡々と物語が進んでいく(と言っても、個々のエピソードの質が高く、単調な感じは与えない)のが印象的でした。
映画にしては比較的長めの尺ですが、扱う内容の量が多く、場面転換が頻繁に入ります。が、その説明をナレーションや台詞などではなく、風景や印象的な1枚絵に説明させてテンポ良く進んでいくのが良かったです。この辺りはさすが宮崎監督といった感じ。
ストーリー自体は、飛行機開発と、二郎と菜穂子の恋物語という2本の柱を軸に進んでいきます。飛行機開発についてはあくまで写実的に(紅の豚ほどデフォルメもされていない)、恋物語についてはややファンタジック(少女漫画的とでも言うのでしょうか)に描かれていますが、その上にさらにカプローニの夢の世界という幻想がかぶせられているので、一つのまとまった作品になっていたように思います。またここは批判もあるところのようですが、個人的には2本の軸のバランスは均衡が取れていたように感じました。後半は恋物語の方が前面に出てますけど、いいんだよ、男の動機はいつだって女に格好つけたいなんだから(あくまで私見です)。
とはいえ残念なところも。
まずこれはさんざん言われていることですが、やはり主人公の声は技量不足と言わざるを得ないでしょう。別に本職の声優を使わないのはいいのですが(今回も黒川課長役の西村雅彦さんや、カプローニ役の野村萬斎さんは良かったです)、あまりに感情が込められてなさすぎました。二郎はあまり感情を表に出すタイプではないので、通常の場面はまぁ我慢出来るのですが、だからこそ感情が表に出るシーンの演技は大切だと思うんですよね…。本当にオーディションの結果、庵野さんが最高だと思ったのであれば何も言うことはありませんが。
あと、全体としてみればやはり大人向けの映画だったように思います。これは一概に悪いというより好みの問題だと思いますけど、僕がアニメ映画に求めているものとは違ったかな…。最後も予想どおりだったとはいえ、やや悲しい結末でしたし(とはいえ悲劇というわけではない)。
ただ、この映画が左翼的右翼的だとか、戦争賛美だとか言われているのは全然当たらないと思います。むしろ、戦争の是非に関する論議が意識的に排除されているように思いました。敗戦についても、零戦のゆくえについても、たった一言のセリフで語られているだけですし、戦闘シーンもほとんど登場しません。世界から10年単位で遅れる日本が、技術という武器で強大な敵に戦いを挑み、そして負ける、というごく当たり前の事実を当たり前に描いています。あくまで前述した2本の軸から離れることなく、また宮崎監督のいつものような説教臭さもなく、このテーマを描ききったことには拍手を送りたいと思いました。
そのようなわけで、個人的には、「小粒の良作」という評価です。期待していたものよりはるかに上質なエンターテインメントでした。ユーミンの歌も心に残りましたね。
余談ですが、劇場CMで流れていた「清洲会議」はちょっと面白そうだった。
2013-10-01
毎年1度の楽しみ、みずしな先生の大人気連載「いいでん!」の最新刊です。
いいでん!2
著者:みずしな孝之
レーベル:BEAM COMICS
価格:950円(税別)
感想
みずしな先生が週刊ファミ通に連載している2ページ漫画の単行本です。今年も無事出ましたね。
ゲーム雑誌に載っているのにゲームしないという新たなジャンルを切り開いたこの漫画も、「いい電子」時代から考えると単行本も13冊なわけで、連載初期からの読者としては感慨深いものがあります。ていうか最近は結構ゲームしてますけどね。
最近旧巻を読み直していたんですが、いい電子1巻ではドリキャスやGBAが全盛期で、PS2すらまだ登場していないことに驚愕しました。あと長期連載だけあって、先生の絵の変遷とか気分の浮き沈みがダイレクトに反映されていて面白いです。
前も言ったような気がしますが、僕はみずしな先生とは全くゲームの嗜好が合わず、みずしな先生が漫画にしているゲームはほとんどプレイしたことがなく、逆に僕のプレイしたゲームが先生にネタとして取り上げられることもほとんどないのに、なんでこんなにこの漫画が好きなのかわかりません(みずしな作品の中ではサボキャンの次くらいに好き)。
とはいえ、2巻では先生がダンガンロンパにはまったことがかなりのスペースを割いて描かれており、ついにいいでん!で紹介されたゲームを僕がプレイする日が…多分来るんじゃないのかな…
いつかサイン会に行ってみたい作家さんの一人なのですが、なかなか地元に来て下さらないのが残念です。
この作品とは直接関係ないのですが、最近気になったエントリ。
「誰かが語らないとそろそろ整理がつかなくなる。」みずしな孝之を振り返ろう、1991-2013。 – 素晴らしい日々
ターニングポイントになったのが「けものとチャット」だったというのは、今までは全く感じていませんでしたが、たしかにな…という感じ。僕は先生お得意の自虐ネタも結構好きなんですけど、たしかに時々度が過ぎてるな…と思う時もありますしね(いいでん!も10巻辺りの暴力描写はちょっと…)。でもやっぱり明るいだけの作風では物足りないので、そこら辺のバランスが取れている「いいでん!」が好きです。
このエントリでは取り上げられていませんが、「うわの空チュートリアル」「ミズシネマ」も面白いですよ!
2013-09-30
久々に小説レビュー。旅行中に読んだ、アナザー・プリンセスのノベライズです。
ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス
著者:芝村裕吏
レーベル:電撃ゲーム文庫
価格:650円(税別)
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あらすじ
熊本で戦っていた戦車随伴歩兵小隊小隊長の小山美千代は、廃墟にたたずむ丸腰の少年、秋草一郎技術万翼長に出会う。わけのわからないままその指揮下に入った小山は、どこか浮世離れした秋草に連れられて辛くも敵の侵攻阻止に成功する。
その翌日小山小隊の属する戦車部隊は、戦いで失った戦車の代わりに人型戦車を受領することになった。秋草の所属する情報分析専門の部隊、通称二度寝天国小隊と共に戦う内に、秋草に惹かれていく小山。そんな中、5121小隊の異常なまでの強さを目の当たりにした二度寝天国の実質的指揮官、神楽はその強さの理由を探るため秋草を5121に潜り込ませる。しかし敵の大規模攻勢が予想されるにも拘わらず、小隊の強さの理由は判明しない。焦る神楽は舞と取引をし、熊本城に敵を集めて一掃するという作戦を立てるが、その目的は敵もろとも一族を裏切った舞を抹殺することにあった。それと知らない秋草は、戦いの中で速水を舞と共に死なせるか、神楽に背いて小山を助けるかの二者択一を迫られるのだが―
感想
意外と漫画のシナリオそのままでビックリしました。漫画版では中途半端に終わった、小山と秋草の恋物語もはっきりした形で進展していて安心です。漫画版ではよく分からなかった結末部分もはっきりしましたし…。榊ガンパレではあまり登場しない、参謀部の活躍ぶりに焦点が当てられていて、個人的には面白く読めました。芝村節が好きな人には十分お勧めします。
ただ神楽がほぼ完全な悪役で終わってしまったのはちょっと残念だったかな。
解説
この小説は、ガンパレのゲームとも、榊ガンパレともやや乖離した設定が使用されています。ガンパレの世界をある程度深く知っているとわかるネタなども含まれているので、僭越ながら簡単な解説を。ただし僕もさほど世界観に詳しいわけではないので、より詳しい方からの突っ込みもお待ちしています。
- 深澤(正俊)(28ページ)
ガンパレード・マーチ 緑の章に登場する同名の人物と同一人物。彼のセリフに登場する「金城のアネゴ」(189ページ)とは同じく緑の章の登場人物「金城美姫」、「源さん」(171ページ)とは「源健司」のこと。
- 宮石忠光(86ページ)
ゲーム版や榊ガンパレでは「若宮康光」に当たる人物。
元々この世界の人間は全てクローン(なので人体組成からして異なる。「骨の材料」に「プラスチック」というルビが振られている(146ページ)もそのため)。クローンは人間同様赤ちゃんの姿で生まれ、成長するが、中には成体クローンという、はじめから大人の姿で作られたクローンが存在する(主として戦闘用のため)。
宮石は若宮型と言われる成体クローンで、善行の家令。他の同型との区別のため「善行忠孝」と「石津萌」(石津は善行に一時保護されていたため)から一字ずつを取って、宮石忠光と改名している。
- 騎魂号(91ページ)
ゲームや榊ガンパレでは士魂号複座型といわれている機体のこと。騎魂号は愛称。
- 速水厚志(110ページ)
本当の速水厚志は秋草の友人。彼は徴兵された後に、何らかの理由により死亡している。
ゲームや榊ガンパレに登場する速水厚志は、両親が幻獣共生派だったため、ラボに送られ人体実験のモルモットにされていた。しかし研究員などを殺害して逃亡。その途中で死んだ本当の速水の学籍を乗っ取って、速水厚志を名乗るようになった。秋草が怒っているのはその事。
- 菊池「明日には子供の申請とか出す勢いじゃ?」(112ページ)
上記の通り人間は全てクローンのため、自然生殖能力は無い。そのため子供は申請することで交付される。余談だが、舞だけはクローンではなく、本当の人間である。
- 對馬「秋草一郎は竜になる運命だ」(128ページ)
竜とは最強の幻獣に対抗するための最強の兵器。愛する者を失うなどの強い絶望によって竜になると言われており、秋草はその候補で、小山はその餌。速水と舞も「竜と餌」とされている(つまり、「舞の手元にある”人中の竜”」(214ページ)とは速水のこと。ただし舞は自分が餌だとは知らない)。榊ガンパレでは登場しない。ゲーム版はラスボスとして登場する。
- 「背が二乗になると重量は三乗になる」(176ページ)
やや不正確な表現。背の高さがx倍になると、筋肉が生むことの出来るパワー(筋肉の断面積に比例)はx2倍になるのに対し、重量はx3倍になるため、負荷はx3/x2=x倍になる、という意味。
- 「ウサギの名はストライダー」(227ページ)
おそらく「式神の城」に登場するストライダー兎から。
- 東原ののみ(252ページ)
瀬戸口は戦争孤児であると説明しているが、彼女も速水同様のラボの被験者。瀬戸口も竜候補であり、彼女はその餌として小隊に配属されている(もっと詳しく言うと、ののみは瀬戸口が好きだった女性のクローンで、壬生屋はその女性の生まれ変わり)。
- 大木妹人(254ページ)
「絢爛舞踏祭」に登場するオーキ・マイト、「男子の本懐」に登場する同名の人物と同一人物。簡単に言うとガンパレの世界とこれらの世界は並行世界(厳密に言うと違うのだがその辺りは長くなるので省略)の関係にある。通常世界間を移動することはできないが、登場人物の中にはなんらかの方法で世界間を移動している者がおり、大木もその一人。ゲームや榊ガンパレには登場しない。
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