2014-04-20
シュタゲ小説なのですが、内容に触れないと非常に感想が書きにくい小説なので、今回はネタバレありになっています。
あらすじについては中盤あたりまで触れていますが、こちらは大きなネタバレではないです。感想の中では今回の小説に登場する「新しい」キャラに触れていますので、それすら知らずに読みたいという方はスルーしてください。個人的には、「おもしろい」というより「考えさせる」小説だったとだけ。あと、線形拘束のフェノグラムのノベライズだと思って読むと後悔するかも。
Steins;Gate 線形拘束のモザイシズム
筆者:海法紀光
レーベル:電撃ゲーム文庫
価格:600円
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あらすじ
電話レンジは完成したものの、その存在については秘密にすることを決めてからしばらくして。岡部の携帯電話に「鳳凰院凶真」からのメールが届く。「任務開始。メールの指示を厳守のこと」と短く書かれたメールを見て、岡部はこれがDメールであると気づく。早速その指示に従い、仲間達と共に、鈴羽に飯をおごったり、入院している少年に劇を見せたり、とよく分からない活動に身を投じるラボメンたち。その中で岡部はラボメンたちとの交友を深めていく。
しかし、ある日やってきたメールは、岡部を現実へ引き戻すのに十分すぎる内容だった。「三〇〇万円用意しろ」「失敗するとまゆりは死ぬDメール禁止」岡部は2通目のメールを隠し、ラボメンたちに協力を要請するのだが―
感想
一応「線形拘束のフェノグラム」のノベライズと銘打ってはいますが、ゲームからは「アルパカマン」「ダルの嫁」「3人の鈴羽」「シャ・ノワール」「ラボの火事」などのキーワードが断片的に使用されているだけで、特にゲームシナリオの要素はありません。
これは、絶望岡部ならぬ、絶望紅莉栖の視点から描いた、もうひとつの「Steins;Gate」です。SERNの築いたディストピアで、ただ一人生き残った紅莉栖が、その未来を改変するために血と泥にまみれながらあがく―という重いストーリー。そのあがきは成功するのか、それとも失敗に終わるのか。最後にものすごいオチが用意されているので、覚悟して読んでください。前半部分は岡部がラボメンたちとキャッキャウフフする明るいノリで進行するのですが、そのギャップがすごいよ。最後のエピローグがシュタインズ・ゲート世界線とは少し違う世界線のようなのでそこは気になるところでもあるんですが。
ストーリーはやや難解だったのですが、こちらのサイトのおかげですっきりしました。→steins;gate 設定考察のトートエクスペリメント モザイシズム考察1:世界線及び時間推移
余談ですけどこのサイトの考察、深いですね。一度腰を据えて読まねば。個人的にはウロボロス考察にマジ期待してます。あれは本当よく分からない話だったからな…
一つ気になるところがあるとすれば、最後の最後で「お前いくら何でも科学ADVでそれはねーべ」という展開があったことくらいですかね。
これまたシュタゲファンにはマストバイな小説だと思います。本編でもフェノグラムでも比翼恋理でも救済されなかったあのキャラが救済されているというところがちょっと笑える。あとオカリンとダルはほんと仲いいな。
「雷ネットは読み合いのゲームだろ。普通は揺れることのない平常心が必要だお」
「なるほど。この鳳凰院凶真が、機関の洗脳と戦うために編み出した精神統一法、虚空に一人(コールドクリエイション)が役に立つと」
「それだお! その何考えてるか、わからない感。全身から発する挙動不審オーラ! 痛々しくて直視できないから観察もできない! それこそがオカリンの武器だろ!」
「帰る」
「ぎゃ、逆に考えるんだ。挙動不審でもいい、と、考えるんだ!」
「ええい、わかった。わかったから、涙目で袖をつかむな!」
※115ページより引用。
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2014-04-15
ツンデレ!ツンデレ!な5巻です。
マグダラで眠れⅤ
著者:支倉凍砂
レーベル:電撃文庫
価格:590円(税別)
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あらすじ
クースラたちの活躍により、騎士団は包囲された火山の街から逃れることに成功。他の騎士団の根拠地となっている港町ニールベルクに逃げ込むことが出来た。ニールベルクも包囲はされているが、脱出の際に活躍し女神と祭り上げられたフェネシスが到着したこともあり、しばらくは持ちこたえられそうな雰囲気だった。クースラたちは早速街の文献の調査を行い、かつてこの街にいた異端審問官コレド・アブレアが、フェネシスの一族やクースラの求めるオリハルコンについての情報を持っている可能性が高いことを突き止める。
その頃、ニールベルクではひとつの問題が持ち上がっていた。戦士たちに神の祝福を告げる教会の鐘楼の製造がうまくいかず、何度作っても割れてしまうのだ。錬金術師として鐘の製造を命じられたクースラたちは失敗した場合の責任追及を恐れて及び腰だったが、ある事件をきっかけにそれから逃げることは出来なくなってしまう。そんな中、フェネシスは街の人々を納得させるため、自分が人柱になると言い出したのだが―
感想
3~4巻あたりは命の危機が迫りすぎていて、クースラの本来の目的についての進展があまりなかったのですが、ここへ来て大きく物語が進展しそうですね。
今回は前巻のような大スペクタクルはなく、おおむね街の中で話が進むのでちょっと地味でしたけど、その分クースラとフェネシスのいちゃいちゃに集中することが出来ました。だっこしたり膝枕したり、すっかり恋人関係じゃないですかーどうしてこうなった!
今回クースラたちは、知人を助けるために奇跡を起こし、それによって窮地に陥ります。
一度目の奇跡の後には二度目の奇跡を。二度目の奇跡の後には三度目の奇跡を。
そして、いつか応えきれなくなり、人々は身勝手にも思うのだ。
彼らは出し惜しみをしているのではないか?
いや、そもそも我々を騙していたのではないか? と。
※301~302ページより引用
という群集心理が危機を招くわけです。
しかしそれを救ったのは、これまでクースラたちを単なる便利な使い捨ての道具としてしか見ていなかったアイルゼンが、クースラたちの起こした奇跡を見て考え方を変えていたからだった、というのもちょっと考えさせられる展開でした。
次回からはさまざまなしがらみから解き放たれたクースラたちの新しい旅が始まります。支倉先生によると、全体構想の半分くらいまで来たとのこと。本当に存在するかも分からないものを探して旅を続ける、というのは、前作「狼と香辛料」と全く同じなので、うまく差別化していってほしいなぁと期待しています。しかしウェランドとイリーネとはここでお別れなんですかねぇ。特にウェランドはイリーネやフェネシスとの掛け合いがおもしろくなってきたところだったので残念です。しかし1巻のときと比べるとずいぶん人間として丸くなってるなぁ。
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2014-04-14
このマンガもっと頻繁に出ているような印象がありましたけど、半年以上ぶりですね…
いとしのムーコ⑤
著者:みずしな孝之
レーベル:イブニングKC
価格:562円(税別)
感想
「たばたちゃん派」がちょっとひねった萌えマンガなら、「いとしのムーコ」はストレートな動物ほんわかマンガ、ということでいとしのムーコ最新刊です。今回も表紙はお鼻つやつや仕様ですね(左の表紙からは分からないと思いますけど、ムーコの鼻の部分だけテカテカした素材になっています)。
前巻に引き続きうしこうさん大活躍です。うしこうさんとは→の右側に見切れているスキンヘッドのおっさんなんですけど、今回は意外な過去が明らかになりましたね。なんで小松さん(ムーコの飼い主。→の左側に描かれているタオル巻きのおっさん)とこんなに仲がいいのかと思っていたんですけど、そんな感動秘話があったとは…篠原さん(近所の美人お姉さん)との関係もちょっとだけ進展があってよかったっすね。まぁひどいオチが待っていたのは予想通りでした。
今回のカバー裏には、パソコンVSムーコ、トイレットペーパーVSムーコの2戦が載っています。今回はどちらも10秒以内での瞬殺劇でした。
2014-04-12
映画も見に行きたいけど行く暇なさそう。荒川先生、連載100回突破おめでとうございます!カバー裏の2コマ漫画も笑える。
銀の匙 Vol.11

著者:荒川弘
レーベル:少年サンデーコミックス
価格:429円
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あらすじ
そろそろエゾノーに来て1年。八軒も進路について考える時期になっていた。勇気を出して父親に以前から考えていたアイデアを伝えるが、父親からは「ハッキリした企画もビジョンもなしに電話してくるな」と厳しい言葉を返される。しかし逆に父親を説得しようと、友人や教師に励まされながら企画を煮詰めていく。
そんな中、寮を出て下宿することになった八軒のため、両親が帯広へやってくる。父親に「あと2年本気でやるから見ててほしい」と宣言する八軒。父親はやはり厳しかったが、八軒と分かれたあとの帰りのタクシーの中で「本気には本気で返す、それだけのことだ」と話すのだった。
感想
今回は再びシリアス路線に戻りました。相変わらず鈍感なヒロインのせいでバレンタインデーとかもラブコメにならないのはさすが。
しかし八軒父は厳しいなぁ。息子にそれだけ期待しているということなんでしょうけど、さすがにこれが自分の父親だったら折れてしまいそうだわ。しかし長男があんな感じになっちゃったのに、教育方針がぶれてないということは、やはり強い信念がある人なんでしょうね。それを温かく見守る母親とのバランスもいい感じ。
まぁしかし八軒は友人に恵まれていますね。企画書の作成につきあったり、煮え切らない御影との仲を進展させようとしたり、下宿を探してくれたり。2年目から寮を離れると、友人たちの出番も少なくなっちゃうのかなぁ。クラス替えとかどうなるんでしょうか。
戦場を共にした奴らの「国に帰ったらまた会おうぜ、俺たちマブダチだぜ」系のセリフ…実際の軍人は、国に帰った後億劫になって会わなくなるのがほとんどらしいぜ
※157ページより引用
でも馬術で160センチのバーとかを越えていけるっていうのに驚きました。あんなにでかい生き物が160センチとかものすげーな。僕も大学の頃乗馬をすべきだったかなぁ…一応検討したことはあったのですが、基本的に生き物が苦手なのであきらめたんですよね。あと早起きもつらいし。
あと吉野さんが完全にチーズキャラとしての地位を確立してしまいましたね。男たちが集まって闇鍋やっているところに「なんかいい匂いがする!!ロック・オン!!」でいきなり殴り込んだあげく、手持ちのチーズで素早く餌付けするところはさすが。
そんな彼女に12巻ではさらなる飛躍と悲劇がある…はず。
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2014-04-06

前巻読んで2年たっていることに驚愕ですが、宮部みゆき先生の「ここはボツコニアン」2巻を読みました。3巻もとうの昔に出ていますけどね。
前巻の感想はこちら。→ここはボツコニアン 感想 | Y.A.S.
ここはボツコニアン 2 魔王がいた街
著者:宮部みゆき
価格:1000円
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あらすじ
本物の世界の「ボツネタ」が集まってできた出来損ないの世界「ボツコニアン」。何者かによって勇者「長靴の戦士」に選ばれた双子の姉弟ピピとピノ(まとめてピノピ)は、かつて魔王が住んでいたという街アクアテクに到着。そこで出会った物知り少年・ポーレ君といっしょに住民の失踪事件を追いながら魔王の痕跡を探していたところ、ついに緩すぎる旅に終止符を打つべく中ボスが襲いかかってきた!
感想
相変わらずメタネタ、パロネタのオンパレードのファンタジー小説です。書き出しからしていきなり
突然ですが、「小説すばる」の編集長が替わりました(※小説すばるはこの作品が連載されている雑誌)
※8ページより引用
だったり
今月の作者は、PSPで『タクティクスオウガ 運命の輪』をやりすぎて五十肩を発症しております
※96ページより引用
だったりとフリーダムすぎます。(ちなみに後書きでもまだTOプレイ中)
ストーリー的には、行方不明になった幼なじみを探したり(原因は両親の離婚)、連続少女失踪事件を捜査したり(モンスターを倒しても経験値やお金を落としてくれないので、生活のため)、氷属性の中ボス「氷の微笑」(当然ノーパン)と戦ったりと、普通にファンタジーしているはずなのに、なぜこんなに緊迫感がないのか。
そしてよく分からない旅の目的でしたが、ようやく「回廊図書館の鍵を7本集め、その鍵で開いた扉の先でそれぞれ伝道の書を合計7冊集め、魔王の居城にたどり着く」というわかりやすいフラグが立ちました。ただし現在主人公パーティは、文無し宿無しのところを救ってくれたポーレ君のお母さんに恩返しするため、あんまんの製造元を突き止めようとしたら二軍三国志(すでに死んでいるか、本編には声がかからないほどのマイナーキャラの集まった三国志)の世界に迷い込んだ状態なので、これからどうなるのかはまったくわかりませんね。自分であらすじ書いていても訳わからないし。
それから、主人公たちの案内役「トリセツ」もいまいちなにを考えているのかわかりませんね。裏切りフラグが立っているような気がしつつも、ギャグ小説で裏切りとか入れてもギャグにしかならないような気もするので…
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2014-04-05
ケロロ軍曹の最新巻買ってきました。今回結構間が空いたな…と思ったら、24巻が出て1年以上たつのか。新しいアニメも始まってますね。
ケロロ軍曹 25
著者:吉崎観音
レーベル:角川コミックス・エース
価格:560円
あらすじ
一話完結のコミックにあらすじもなにもないのですが…
- ケロロ小隊の新たな敵・土佐国紅(とさくにもみ)初登場の「ゆくヘビくるヘビ!…の巻」
- 新たな敵の登場にケロロ小隊の神髄を見せつける!?「敵は甘いぞ すっぱいぞ!…の巻」
- 属性の相性って大事だよね?「こいつが我輩の…能力!!…の巻」
- ひさびさのケロロ小隊大型作戦「サクラ チル…?…の巻」
- 最近宇宙人のこと隠す気ないですよね!「ヒナタ、発進!…の巻」
- ほんとにほんとにほんとにほんとにドラゴンだ~「宇宙動物園開園!…の巻」
- 冬樹君をプールサイドまで連れてきたことに驚きです「強襲! プールサイド攻防戦…の巻」
- 前も似たようなことやったのに反省ないな…「幽霊がアイツであいつが幽霊で?…の巻」
- 久々にケロロのすごいところが見られる「ケロロVSケロロ…の巻」
- さりげなくコラボグッズのCMやってる「私の弟がこんなにカワイイわけがない。…の巻」
- 前々回のオチ完全に忘れてるだろ!「練習は大事!…の巻」
の11本でした。
感想
ここでまたまた新キャラ登場です。が、結局3話ほどしか登場せず。「火ノ原」「金阿弥」に続く「土佐国」なのでメインキャラになることを想定してるんだと思うけどなぁ。あと「水」「木」待ちですね。
個人的には「ケロロVSケロロ」がおもしろかったです。特に新ケロロが改名を言い出す下りが…内容を書くとぼくの品性が疑われそうなので伏せておきますけど、あのコマを読んだ…というより見たときには、ひさしぶりに大笑いしたわ。こういう絵というか間というかで笑わせられるところが子が吉崎先生のすごいところだと思います。
あとこの台詞は深いような気がする。地水火風はファンタジーの基本ですからね。
夏美「青は赤に強い 赤は緑に強い えーっと「ゾクセイ」っていうのかな?ゲームやってればだいたい同じだもんね♪」
ケロロ「ぞ…「ゾクセイ」だとおゥ…!?」(地球人の少年少女たちはそんな高度な戦闘訓練を(気軽に楽しみながら)受けているというのかああ!?)
それからお知らせ。9/26発売予定のケロロ25.5巻には、新作アニメのDVDが同梱されるようです(全部で10話分収録で30分程度とのこと)。6/30までの受注生産なので、予約しておきましょう。Amazonでも予約始まってます。
2014-04-02
みずしな先生の最新作が単行本になりましたよ!作風は先生らしからぬ感じですけど、これはこれで…
たばたちゃん派 1
著者:みずしな孝之
レーベル:バンブーコミックス
価格:562円
レビュー
いろいろなものにきょうみしんしん、ちょっと変わったセンスを持つ「たばたちゃん」を主人公にしたほのぼの4コマです。
みずしな先生にしてはキャラクターに毒があまりなく、たばたちゃんのかわいさを愛でる…作品なのですが、とにかくたばたちゃんのキャラがたっているので独特の雰囲気を醸し出しています。うーん口で説明するのが非常に難しいので、→のリンク先にあるサンプルを読んでもらうのが一番いいかも。
たばたちゃんは吹き出しを使わずしゃべる(台詞が直接背景のうえに表示される)んですけど、思えばみずしな作品でそういうキャラは脇役としていい味出していることが多いです(ササ願の万永、サボキャンの里見、戦アナのイザムなど)。ボソッとボケともツッコミともつかない台詞を空気を読まずに発言するところが笑いを誘うんですけど、まさかそのキャラを主人公に据えるとは。
同時連載されているいとしのムーコもほのぼのですけど、あっちはマジほのぼのなのに対し、こちらはちょっとギャグ要素が強めなので個人的にはこちらの方が好きです。
今後も購入していくつもりです。
それはそうと、巻末にみずしな先生の既刊一覧が掲載されているのですが、自分が全部持っていることにちょっと引いた。でもチクチワワはなんでハブられてるん?
2014-03-25
COMICメテオさんのWebコミック「星界の紋章」が更新されましたよ。今回もきっちり2ヶ月でしたね。単行本第2巻も5/12発売決定だそうです。
星界の紋章
漫画:米村孝一郎
レーベル:コミックメテオ
第9話は新たにフェブダーシュ男爵領へ舞台が移ります。ん?まてよ、フェブダーシュ男爵領ということは殿下の○○シーンがあるのでは…?
←やっぱりありました。セールナイさんに完全同意。
他のキャラたちもおおむねアニメ版の設定を踏まえたキャラデザになっているようです。でもクロワールは肩幅に比べてちょっと頭が大きいような気がするなぁ(わかる人は笑ってください)
男爵と殿下の「和やかな」夕食が進み、最後にラフィール殿下の「アーヴの微笑」が炸裂して〆。
つーかクロワールさんは、スファグノーフ基地が警告なしの攻撃を受ける可能性は低いって言ってますけど、敵接近の知らせが早く届くかどうかはその後の対応にも大きく影響するので、これ言い訳になってないような気がするんだよなぁ。
今回の王女殿下ベストショット。
ラフィール殿下は嫉妬かわいい。
※画像は上からそれぞれ第9話24,37,24ページから引用
2014-03-22
更新が不安定で申し訳ありません。連休は再び帝都に出張しておりました。東京駅前にある八重洲ブックセンターでゲットしたのでレビューを。
星界の断章III
著者:森岡浩之
レーベル:ハヤカワ文庫
価格:620円
あらすじ
これまでに発表された短編6編+書き下ろし1編のオムニバス形式です。当サイトでも感想を書いているものもあるので、そちらも併せてどうぞ。
帯には「シリーズ累計190万部突破!星界の逸話第3弾 アブリアル(皇族)、スポール(貴族)、エクリュア(士族)。そのとき何が彼らをそうさせたか?/明かされる30番目の氏族の話、書き下ろし短篇「来遊」収録」とありました。
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野営
→【小説】星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~ レビュー | Y.A.S.
→【小説】星界の断章 野営~ペネージュの場合 レビュー | Y.A.S.
→【小説】星界の断章 野営~ノールの場合 レビュー | Y.A.S.
出奔
優秀な姉・ラフィールとくらべて劣等感を感じる弟・ドゥヒール。彼は家出をしようと思い立ち、叔母・ラムリューヌの船に密航する。ところが隠れていた区画ごと、謎の船に積み込まれてしまう。その船は平面宇宙航行能力を持っていないにもかかわらず、8.1光年離れたクテス星系へ向かうという。帝国を捨てたというアーヴたちの行く末は…
介入
ベリサリア星系は窮地に陥っていた。50年前にスーメイ人と交わした契約に従い、惑星モメンタの引き渡しを迫られていたのだ。そんな中、新たに星系を訪れたのは帝国創建を知らせに来たアーヴ艦隊だった。一介の公務員に過ぎないアルコ・アウゴは、急遽アーヴ艦隊との交渉役に任じられるのだが…
誘引
翔士修技生としての訓練を終え、列翼翔士に任じられた若き日のクファディス。彼は同期であり友人でもある、スポール一族のフェリーグからいっしょに交易に出るよう誘いを受ける。交易に興味のなかったクファディスはその誘いに悩み、そのせいで家族との関係も微妙になってしまうのだが、最後にはその誘いを受けることに決めた。しかし翌日それをフェリーグに告げたところ、思いもよらない返事が返ってきて―
海嘯
→【小説】星界の断章「海嘯」 レビュー | Y.A.S.
離合(「岐路」から改題)
→【小説】星界の断章「岐路」 レビュー | Y.A.S.
来遊
帝国創建前の時代。平面宇宙航法を研究するドゥムイ委員会の次席書記・ロビート・ボイガは、委員会への参加を希望して遠くの星系からやってきた地上人・エディの世話係となる。ついに平面宇宙航法が確立したとき、ボイガは帝国からエディにある贈り物を携えてきたのだが―
感想
収録作品については予想が外れてしまいましたが、初出が同人誌だったことから収録は絶望的かと思われていた「誘引」が収録されたのはうれしい誤算でした。これは本当にこれまで全く読んだことがない作品でしたので…今回の作品はいろんな人がひどい目に遭うという話が多いように思いますけど、一番ひどい目に遭ったのはやはり不幸体質ことセスピーさんだったというオチ。「誘引」の結びにある
フェリーグに限らず、ありとあらゆるスポールと関わりなく軍務を終えられますように―セスピーは心から願った。
という言葉がこれほどむなしく響くとは。
そのほかの作品についてですが、初出時から大きく変更されているのは「離合」ですね。タイトルも変わっていますが、ノールの音痴がだれ譲りか、というエピソードが追加されています。本編では父親譲りということになっていたのですが、「岐路」では遺伝子提供者のコンサ譲りとも取れる記載があったのでちょっと気になってたんですよね。すっきりしました。
「来遊」は帝国成立直前についてかなり濃いエピソードが書かれているので、年表の作りがいがありそうです。でもエディが30番目の氏族の創設者になったというのはこれまでの情報と完全に矛盾するんだよなぁ…。「帝国暦42年、アーヴたちは地上人が同胞に加わることを許容した」という記載の「アーヴ」が、「遺伝子的なアーヴである子を持つ地上世界出身のアーヴ」と解釈すれば何とか…ただちょっと無理がありすぎるかも。エディも遺伝子的なアーヴの子を持つことを禁止されているわけではなさそうですし。
なお断章なので、メインキャラはほぼ出てきません。殿下?出てきますけど台詞は10個もないのであきらめてください。ジント?誰だっけそれ。
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2014-03-19
ついに…ついに「テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック」に収録されている「テイルズ オブ シンフォニア」のプラチナトロフィーをゲットしましたー!いやぁ長かった。半年前にプレイを始め、総プレイ時間は221時間(ただしそのうち72時間程度はグレード稼ぎなどで放置しているので、実働は150時間程度)。モンスター図鑑コンプには2週、アイテム図鑑コンプに3週、称号コンプにほぼ4週必要という超重厚仕様でしたが、ついにやったよ!これほど達成感のあるトロフィーは久々です。
というわけでレビューを。しかし次はラタトスクの騎士が待って…
テイルズ オブ シンフォニア
価格:6980円(税込)
ジャンル:RPG
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ストーリー
村を追放された主人公が、仲間達と協力しながら全国を行脚していくうちに、大きな事件に巻き込まれ、やがて世界を救う―という、王道ど真ん中のストーリーです。だがそれがいい!親友との友情、幼なじみとのほのかな恋、子供達の意思を尊重しながら見守る大人たち、仲間の裏切りと別れ、親子の絆、暗躍する謎の組織、対立する世界など、魅力的なエピソードがたっぷりです。すでにPS2版を会わせれば7回以上プレイしていますが、未だにRPGの中でも最高峰のストーリー展開だと思っています。
好感度システムを採用していて、選択肢によって仲間との関係が微妙に変化するんですが、それによってメインストーリーやサブイベントの微妙なところが変わっていったりするので飽きが来にくくなっています。特定のキャラを好感度一位にするとストーリーライン自体が変わったりもしますし。
システム
料理、称号、アイテム・モンスター図鑑、スキットなどのテイルズおなじみの要素に加え、戦闘スキルの習得やグレード(戦闘評価)による追加要素の購入、秘奥義など、これ以降のテイルズを特色づけるシステムも多く搭載されており、シリーズのメルクマールとなった作品です。
イベントスキップがない、フィールドでのカメラや航空機の移動速度が遅くてイラッとする、ものをつかむときのあたり判定が不可解など荒削りな部分もなきにしもあらずですが、10年たった現在でも問題なくプレイできるレベルです。単に古いというだけで敬遠する必要はないと思います。
ただプラチナトロフィーのためにコンプリートを目指そうとするとかなり大変です。時限イベントやアイテムが多いうえに、攻略本も結構間違いが多いので…攻略サイトなどを参考にした方がいいと思います。特に今回新たに発売されたファミ通の攻略本ははっきり言って役に立たないどころか有害なレベルでしたので、オリジナル版のバンナム攻略本を古本屋で買った方が絶対いいと思います。
キャラクター
PCは9人、そのいずれもかなり重い設定を負っていますが、それぞれがそれを仲間の力をお借りながら乗り越えていくところが描かれています。特にヒロインのコレットは作中でもかなり不幸な目にあうのですが、鬱になりすぎることなく、かといって悩まないわけでもなく、その心情が丁寧に描かれているのでよかったです。それ以外にはゼロスももちろんいいキャラなのですが、彼についてはあまり語るとネタバレになってしまうので、詳しくは本編で。
好感度システムを採用しているため、主人公とキャラをくっつけることが可能です。
ただ個人的にはキャラ萌はしませんでした。あえて言うならリフィル先生が大人の恋っぽい展開になるので好きです。
戦闘
シリーズ初の3D戦闘です。といっても自由にフィールドを走り回るフリーランは搭載されておらず、操作キャラとターゲットを結んだ直線上で動き回ります。とはいえ、術の範囲は3Dですし、ボスを複数の味方で囲んでフルボッコにしたりと、3Dの意味がないわけではないです。3D戦闘はバランス調整が難しく、少し気を抜くとボスでも袋だたきにされて反撃できないまま死亡、みたいな事態が起こりがちなのですが、システムが荒削りなせいで不自由な部分も多少あり、それがうまい具合にバランス調整の役割を果たしているように思います。最新作のTOX2までプレイしているyukkun20ですが、戦闘でいらつくことはほとんどありませんでした。エフェクトも十分きれいですよ。
ただ秘奥義の発動条件が厳しすぎるのが唯一の残念ポイントでした。
というわけで、10年たっても名作と言われるだけのことはある作品でした。
トロフィーが苦行、オリジナル版から追加された要素がほとんどないなどの問題点はあるものの、おすすめできます。シリーズの中でもひねりの少ないファンタジー世界が構築されているので、「ライトファンタジーが好き」「精霊や召喚術が好き」「マナとか世界樹という単語に燃える」という方は全力でプレイするべし!
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おお、本当ですね。新ハードの情報ももちろん楽しみですけど、ローンチタイトルがどう…