2012-01-28
最近になって、「学園キノ」を読み始めました。
「学園キノ」は、時雨沢恵一先生の代表作である「キノの旅 the beautiful world」のパロディ作品です。一応設定上は「キノの旅」の134巻(宇宙編・第2部)の続きという建前になっていますが、これももちろんネタで、「キノの旅」のキャラクターだけを使った「おバカ全開のアホ話」(あとがきより)になっています。
「キノの旅」はストーリー的に笑いをはさむところはあるものの、基本的にはシリアス調で話が進み、人が死んだり殺されたり、重要な決定を迫られたり、答えのでない問題を問いかけたりと重めの話が多いんですが、こちらは完全に作者の趣味が大暴走した、シリアスの欠片もない展開になっています。そのギャップについて行けず、1巻を買って読んでから5年ほど放置していたんですが、最近黒星紅白(表紙や口絵を書いているイラストレーター。サモンナイトのキャラデザの人)分が足りていないので、久しぶりに読み返してみました。
以下ネタバレ。
続きを読む(ネタバレ注意) »
- 第1話「キノ颯爽登場!」
木乃はどこにでもいる高校一年生の少女。だけどその正体は、人の心の闇に取り付く魔物と戦う、「謎の美少女ガンファイターライダー・キノ(通称「謎のキノ」)」。しゃべるストラップ「エルメス」と一緒に、今日も今日とて魔物退治。そして彼女とちょっといい雰囲気の美形先輩・静。
ところが突然現れた「純白の正義の騎士・サモエド仮面」の乱入で魔物には逃げられてしまう。「あの変態、どこの誰よ?」
…なんかあらすじを書いているだけで変になりそうだ。
- 第2話「気になるあいつは転校生だワン!」
新しくクラスにやってきた変な転校生「犬山・ワンワン・陸太郎(本名)」。編入するなり木乃にまとわりつくため、あっという間に木乃から嫌われることに。木乃以外のクラスメートには人気のある彼だが、なぜか静にだけは激しい敵意を見せる。
そんな中魔物が出現。木乃も変身して後を追う。今回もサモエド仮面の邪魔が入るかと思われたが、助っ人として現れた「ワンワン刑事」。ワンワン刑事がサモエド仮面を抑えておいてくれたおかげで事件は無事解決。高い戦闘力を持つ頼れる男だが、なぜかサモエド仮面にだけは激しい殺意を見せている。彼の正体は?
作者自身が作者として作中の地の文に登場し、絶対の権限を持つはずなのに登場人物に瞬殺されるシーンが見物。
- 第3話「夏休みはロマンスと火薬の香り」
夏休み、北海道の祖母の家に帰省した木乃。ところがなぜか静と犬山もこっそり同行し、家に上がり込む。祖母の計らいでどちらが木乃の婿にふさわしいか勝負することに。ちなみにどっちも木乃に興味はないのだが、互いに対する対抗心から勝負(クイズ大会)を受けることに。
しかしまたもや空気を読まない魔物が登場。偶然駆けつけたサモエド仮面とワンワン刑事と共に魔物と戦うが、今回の敵は牛乳を毎日飲んでいるのでやたら強い。「タイトルに名前が入っている主役が、こんなにも弱いなんて…」とキノが諦めかけたところに、謎の「美老婆銃士・ヴァヴァア・ザ・スーパー」が助けに現れ、いちご牛乳の圧倒的な強さで敵を蹴散らす。そして「もっと強くなって、世界の人々の安らぎを守れ」と言い残して去っていった。
翌朝、静と犬山は自らの力不足を感じ、木乃の祖母に挨拶をして旅立ったのだった。
キノが「もっと強くなりたい…」と涙まで流すのに、オチはヴァヴァア無双。いいのか。
- その他
時雨沢作品ではおなじみの無駄に充実した「あとがき」。今回も各話ごとのあとがきと文庫本全体のあとがきで4本収録されています。ホント作者はこの作品が好きなんだなぁ。
« 続きを隠す