2013-03-25
前巻が出てから早8年余。ついに星界シリーズ最新作が発刊されました。シリーズを当初から(といっても2000年頃からですが)追ってきたyukkun20としても感無量です!ちなみに前巻のレビューも当時の僕がきちんとしてました。
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読むのが遅すぎるだろという批判は、全てきちんと早めに予約しておかなかった僕の不徳の致すところなので甘んじてお受けいたします。
そして偉大な作品を再び世に送り出してくださった森岡浩之先生に最大限の感謝を!
なお以下のレビューにはネタバレがありますが、ストーリー上の重要なネタバレはしていないつもりです。ですが全体的な流れには触れざるを得ないところなので、そういうのも駄目な人は回れ右。
続きを読む(ネタバレ注意) »
星界の戦旗V-宿命の調べ-
著者:森岡浩之
レーベル:ハヤカワ文庫JA
価格:651円
表紙など
表紙イラストはおなじみ赤井孝美先生によるラフィール、ジント、ドゥヒールの3人。ラフィールとジントは正装、ドゥヒールは軍衣ですが、この格好の意味は本文で明らかになります。
帯は「大人気スペース・オペラ、待望の最新刊!戦旗シリーズ第一部完結!!戦いの岐路に立つラフィールとジントの運命は?」となっています。
あらすじ
帝国はハニア連邦を併合するための雪晶作戦を発動させたが、その隙を縫うように、ハニア連邦、そして三ヵ国連合は突如帝都へむけての進撃を開始。戦線は崩壊し、分断された帝国軍はそれぞれ強大な敵と対峙せざるを得なくなった。ドゥヒールは乗艦を失い、ラフィールは新たな任務を負ってジントと共に帝都を去ることに。そして皇帝ラマージュは帝都防衛のための近衛艦隊を召集する。敵艦隊の帝都到達まであと7日。帝都、そして帝国に、過去最大の危機が迫ろうとしていた。
感想
さすが森岡先生としか言いようがない。こちらの予想を軽々と超えるすごい展開に、息もつけず一気に読み切ってしまいました。8年間心の中で高まり続けたハードルを、あっさり越えてくれるとは…待っていて本当によかった。このサイトを続けていて本当によかった。もう早くサイトを更新したくてたまらない状態です。
というかこの展開を予想できていた人はいるのでしょうか。あとコトポニーさんが裏切るとかなんとか言っていた人は腹を切って詫びて下さい。…僕だ。
森岡先生お得意の会話劇も相変わらずで、ベルソートとドゥヒール、サムソンとジント、ラマージュとドゥサーニュたちの軽快ながらも深い会話は、アーヴという種族の奥深さをしっかりと感じさせてくれました。ネタバレなので内容には触れませんが、ベルソートが巻の最後でドゥヒールに送った通信はなかなかカッコイイ。
そして緊迫した展開の中にあって、クファディスさんはほんま一服の清涼剤やでぇ。というか、クファディスの名前が出てくるだけでクスッとしてしまいました。もちろん本当に面白いのはクファディスさんではなくてその上司なのですが。
同感だな、とクファディスは思った。スポールの部下であるより上官であることのほうが、過酷な任務だと常々、考えていた。ましてや、スポールの教師などすれば、三分で胃に穴が空くにちがいない。いうまでもないことだが、もっとも楽なスポールとの関係は無関係でいることだ。
※267ページより引用
ところで想人(レー)と想人(ヨーフ)はどう違うんですか?性別?
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2011-06-07
Amazonで、星界の紋章の英訳版”Crest of the Stars”を買ってみました。久々にチェックしたら値下がりしていたので。続刊は品切れだったので、とりあえずこの1冊だけです。そんなわけで簡単なレビューを。
- 内容は「星界の紋章I」に相当する部分
- 直訳ではなくやや意訳的なところがある模様(全部読んでないので分かりませんけど)。例えば日本語版だと書き出しは「よく晴れた星空。見つめていると、満天の星に吸いこまれてしまいそうだ。」だが、英語版は「Wow.Jinto Linn marveled at the night sky.It’s incredible.」になっている。
- 場面が大きく転換する部分に、ガフトノーシュをかたどったアイコンが挟まれている…が、どう見ても首が7本しかない件について。
- アーヴ語のルビは括弧書きで近い音を当てている(純粋なアーヴ語のアルファベット表記ではない)。例えば「coffee(Surgu)」など。ただ文脈によってはいきなりアーヴ語が出てくるところもある。例えばラフィールが初めてジントに声をかける場面での呼称は、「Linn Syun-Rock Jarluk Dreu Haider Jinto Lonyu」と表記され、「ハイド伯爵公子」「閣下」は英訳されていない。
- 巻末には日本語版同様「帝国星界軍翔士位階」「あとがき」の英訳版が付属
- その他にNotesとして、翻訳者からの注意書きが付いている。内容は
- アーヴ語には大文字小文字の設定がないので、とりあえず先頭文字のみ大文字で表記している
- アーヴ語をアルファベットに直す際に、発音に近くなるよう修正をしている(例えばCはKに直したとか、アーヴ語にはWはないけど発音の都合で使っているところがあるとか)
- アーヴ語についてもっと知りたい人のためのファンサイトもあるよ(ほとんどが日本語のサイト)
- Notesのあとに、アーヴ語・英語の対照表も付いている。ただJarlukとか載っていない単語も一部ある。あとラルトネーの英訳が”Queen”になっているのは致命的ミスでは?
こんなところかな。それでは最後はあの名台詞で。
“You can call me Lafiel!”