2013-06-05
旅行中に何冊か小説を読み終わったので、レビューを書いておこうと思います。
Steins;Gate 哀心迷図のバベル
著者:明時士栄
レーベル:富士見ドラゴンブック
価格:672円
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あらすじ
世界線変動率0.571046。2010年8月12日。タイムリープマシンはついに完成した。しかし、タイムリープしてきた岡部は紅莉栖とダルに事情を説明し、まゆりの死の原因となった最初のDメールを抹消する直前までこぎ着ける。しかし、岡部はまゆりを救うことが紅莉栖を見殺しにすることに気づいてしまう。そのことを聞かされ、放心状態で街をさまよう紅莉栖。そこで出会ったフェイリスという少女は、若き日の自分の父親と、紅莉栖の父親が会話しているテープを聞かせてくれた。タイムマシンに並々ならぬ情熱を持って取り組んでいた父を否定したことが、父を怒らせた原因だったことを知った紅莉栖は、フェイリスに励まされ父に電話をかけるが、父親からは罵られただけだった。
失意の紅莉栖は、皆が救われる方法を考えるが、いくら考えても答えは出なかった。そうであれば、自分がすべきことは岡部の背中を押すことであると決意を固めた紅莉栖は、ラジ館の屋上で優しくβ世界線へ行くよう促した。岡部は「誰よりも大切な女のことを忘れたりはしない」と気持ちを打ち明ける。紅莉栖はそれにキスで答えた。
8月17日。紅莉栖は岡部に見送られ、秋葉原に別れを告げる。しかしホームで1人たたずむ紅莉栖の元に、フェイリスがやってくる。フェイリスが渡したテープには、娘にひどい事を言ってしまった父の苦悩の言葉が吹き込まれていた。自分も父のように、岡部に本当の気持ちを伝えるべきであることに気づいた紅莉栖はラボへ走る。岡部が世界線を変動させるリターンキーを押した瞬間、ラボに飛び込んできた紅莉栖は―
感想
同名のドラマCDのノベライズですね。コミカライズの方もいい出来でしたけど、こちらの小説もするっと読めるいい出来でした(著者は変移空間のオクテットのノベライズを担当した方ですね)。フェノグラムのまゆりシナリオの裏側でもあるので、フェノグラムを楽しんだ方には是非読んでいただきたい作品です。普通のラノベの3分の2くらいの厚さしかないので、軽い気持ちで楽しんでみてはいかがでしょうか。特に紅莉栖のラボに対する想いがはっきりと描かれているのが良かったと思います。
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2013-05-24
メグとセロンの7巻感想です。いよいよ完結!そして…
※既刊感想はこちらから→メグとセロン | Y.A.S.
メグとセロンVII 婚約者は突然に
著者:時雨沢恵一
レーベル:電撃文庫
価格:619円
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あらすじ
メグの元に届いた一通の手紙。それは短期留学生だった新人君からのもので、「セロンの気持ちに気づいてあげてほしい」と書かれていた。メグはリリアに励まされ、セロンの真意を確かめようとするが、その際に「自分で告白できない人を好きになることはできない」と言ってしまったため、セロンは激しく落ち込む。
一方、新聞部には新たな依頼が来ていた。婚約者が浮気をしているかどうか調べてほしいというケネスの依頼を引き受けた新聞部の所に、当の婚約者が現れる。その女性、ブリジットは、婚約者からモラルハラスメントを受けているので、その証拠を掴んでほしいと依頼してきた。新聞部は双方の言い分が食い違っていることに疑問を抱き、双方の依頼を受けていることを隠したまま調査を続ける。
そんな中、メグはブリジットがセロンにキスしているところを目撃。自分の気持ちが分からないまま、セロンに冷たく当たってしまうメグ。そんな中、セロンは依頼者達の真意を確かめるため一つの場面を設定するが、事態は思わぬ方向に…
ケネスとブリジットの真意は。そしてメグとセロンの恋の行方は―
感想
最終巻でしたが、いつもどおり学園内で事件が解決したのは良かったですね。メグセロはこういうこぢんまりとした話がよく似合います、メグとセロンがどうなるかは、1巻の最初に書かれているので心配はしていなかったんですが、素晴らしい大団円でした。やっぱり恋に悩む女の子はいいですね。メグがセロンにヤキモチ焼いて冷たく当たったり、入院したセロンにストレートな感情をぶつけたり、最後にメグのかわいさ急上昇過ぎだろ。
あと最後のメグセロが全部持って行っちゃいましたけど、仲間たちのテンポの良い会話はこれまで以上に磨きが掛かっています。森岡先生の文章を読んでいるようでした。
(ナタリア)「なんでラリーがあんなに頭が悪いのか、調べてみて欲しいんだが」
「ラリーは、かなり頭が切れると、僕は思ってますよ?」
ニックが言うと、ナタリアは大仰に驚いて、
「おいおい! 二人だけでここにいた間に、どんだけの金銭の授受があったというんだい?」
ラリーが、いつもナタリアが使うカップをテーブルに用意しながら言う。
「人間がお金でしか動かないと思えてしまったら、お終いだな」
「人が動くのは”愛”か”お金”だろう? おっと、ラリーには二つともなかったっけか。すまんね」
「それはお互い様だな。俺は、ナータが愛を持っていたのを見たことがない」
「しょうがない、今度持ってくるか! 部室中に方向を振りまくあたしからの愛に備えろよ。踏むなよ」
「いいけど、店のタグはちゃんと切っておけよ」
※54~55ページより引用
メグセロはこれでおわりですが、「アリソン」「リリトレ」「メグセロ」シリーズはまだ続きますよ。時雨沢先生の次回作「アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロン」(仮)に御期待下さい!黒星先生の戦いはこれからだ!
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2013-05-10
メグとセロンの6巻感想です。前巻読んでから既に半年経っていることに戦慄。
※既刊感想はこちらから→メグとセロン | Y.A.S.
メグとセロンVI 第四上級学校な日々
著者:時雨沢恵一
レーベル:電撃文庫
価格:594円
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あらすじ
今回は短編2本と中編2本の4部構成になっています。
「リイナとクルト」…メグの弟クルトと、セロンの妹リイナの電話越しでの会話を描いた短編。クルトから見た主要メンバーの人物評が語られる。
「顧問」…正式な部活動として認められた新聞部に、顧問の先生が着くことになった。その人物はかつてセロンたちを殺そうとしたマードックだった。マードックの突き放すような物言いに怒る一同だが、セロンとジェニーは平然としていた。その訳は。
「どこへ行こうと、あなたはそこにいる」…第四上級学校主催の部活動対抗オリエンテーリングが開催されることになった。新聞部もこれに優勝してその存在を校内に知らしめようと考え、ラリー、セロン、メグの3人チームで参加。ラリーの身体能力とセロンの知力で順調に進む新聞部チームだったが、同じように優勝を狙う手強いスキー部チームが立ちはだかる。最後は泥臭い勝負になったのだが、それを救ったのはメグの…。なお残りの3人は、ジェニーの初恋話で盛り上がっていました。
「我々は新聞部だ」…「あなた」はラプトア共和国の生徒。1ヶ月の間首都にある第四上級学校へ留学生として派遣されることになった。カルチャーショックに戸惑いながらも、新聞部に入部したことからセロンたちとの交友を深めていく。首都の、それもお金持ちの友人たちとの生活は刺激に満ちて退屈しないものだった。そしてラプトア共和国に帰る日、ジェニーは「あなた」に、セロンとメグの関係を進展させるためひとつの頼み事をするのだが―
※今回のあとがきは「セグとメロン」というショートノベル風でした。シュール。
感想
今回は短い話が多いこともあり、あまり大きな事件も起こらず、キャラクターたちの人間関係に焦点が当てられていましたね。たしかに既刊ほどの盛り上がりはありませんでしたが、正直毎回毎回大冒険が巻き起こるとリアリティに疑問を感じるので(まぁ完全フィクションでリアリティとか行っても仕方ないんですが)、たまにはこういうノリもいいです。
個人的には最後の「我々は新聞部だ」が面白かったです。ボクもお金持ちになりたい。そしてお金持ちの友人が欲しい。というかどいつもこいつもお金持ちのくせにいい人達ばっかりで、読んでいて気持ちが良すぎるんだよチクショー!
いよいよ次巻がメグセロの最終刊です。既に購入しているので近いうちに読めたらいいと思ってます。
本当は、あなたはこの写真がとても欲しい。(中略)でも、それを言うわけにもいかない。フィルムだって印画紙だって高いのだ。(中略)あなたがそう思いながらメモを書き終えたとき、ジェニーさんがこともなげに言う。
「(中略)その写真は全部あげる。(中略)新聞だけ持って帰っても、土産話には足りないでしょ?」
ジェニーさんが素っ気なく言ったが、(中略)
「でも……」
なおも言い淀んだあなたに、ソファーの向かいに座っていたセロンさんが言う。
「あった方がいい。写真があれば、忘れることがない。もし俺だったら、この写真は欲しい。だから、持っていくべきだと思う。ジェニーが持ってけと言ってなければ、俺がジェニーに頼んでいた」
そして、この日は来ていたニックさんが、あなたの隣から、
「そうですよ。せっかく僕たちがここまでいろいろ一緒に楽しんだんです。忘れられてしまうのは僕たちも辛いですね」
※286~287ページより引用
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2013-05-02
先月発売された、アーシャのアトリエの公式外伝小説の紹介です(ゲームのノベライズではありません)。
小説アーシャのアトリエ~ある錬金術士の旅の日記より~
著者:司月透
価格:1260円
あらすじ
アーシャのアトリエのトゥルーエンド後を描いた短編集。
ウィルベルが大婆様への贈り物を捜して奔走する「大婆様への贈り物」、キースとハリーの板挟みで苦労するメリエッタを描く「メリエッタさんも魔法使い?」、仲間達と騒ぎながら、世界を衰退させた錬金術に思いを馳せるアーシャを描く「空の星」、ホムンクルスとニオの交流を描く「あーしゃ、すき」、マリオンとリンカが温泉に行く「温泉に行こう」、オディーリアとキースの関係を描く「黄昏の弐番館」、アーシャのアトリエに集う仲間達を描く「千客万来」、アーシャの旅立ちを描く「アーシャのアトリエ」の8編です。
感想
公式だけあって、どの物語も本編とずれなく、キャラの特徴も十分に生かされたストーリーでした。本編のほんわかした雰囲気が好きな人には十分楽しんで貰えると思います。特にキースファン(その中でもツンデレのデレが足りないとお嘆きの皆様方)にはお勧めです。個人的には、キースがマスターらしいことをしてくれないと不満たらたらのオディーリアさんがよかったです。オディーリアさんは本当にキースが好きなのだなぁ。このコンビは次回作に出てきてもおかしくないので楽しみにしています。
でもウィルベルが魔法使いだってことをアーシャ以外の仲間にも内緒にしているのは初めて知りました。格好でバレバレだと思うんだけど。
価格はちょっと高めですが、装丁もしっかりしているし、晴瀬ひろき先生のきゅーとな挿絵も十分な数あるし、いいと思います。ゲームのストーリーを忘れてしまった方は、「アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~ シナリオコレクション」を一緒に買えばよいのではないかな。
2013-04-21
久々にロボノネタでも。そろそろレンタルDVDが1週間貸し出しになる…はず。
ROBOTICS;NOTES プロジェクト・プレアデス
著者:foca
レーベル:ファミ通文庫
価格:672円
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あらすじ
本編が始まる2年前。中学3年の日髙昴は、初めて出場したROBO-BANで3位入賞を果たす。準決勝で戦った少女天川碧衣に負けた悔しさからリベンジ宣言をしたものの、父親に大会出場のことがバレてしまい、ロボット製作を禁じられてしまった。進学した高校にあるロボット研究部の門を叩くも、そこにいたのはやる気のない部員達と、やる気だけしかない瀬乃宮先輩だけで、失望しか得られなかった。
一度は夢を諦めかけた昴だが、ある日ロボット雑誌に載っていた天川のインタビュー記事で、天川が昴のリベンジを楽しみにしていることを知る。それを見てふたたびROBO-BANに出場することを決意する昴。かつてともにロボットを作っていた親友の妹真帆、同級生のロボットオタク斗馬、従兄の直樹の助けを受けながらロボット開発を進める昴。大会の日が迫るが、昴の設計コンセプトを実現するには費用が足りず、また全国中継される大会に父親に知られずに出るための方法も思いつかない。そんな中、真帆は両方の問題を解決できる起死回生のアイデアを思いつくのだが―
感想
割とあっさりと読める内容でしたけど、面白かったです。
あらすじに書いたとおり、本編前の昴の様子を描いた小説です。友情・協力・勝利の王道を行く展開で、安心して読めました。いくら何でも一人で中学生がロボット大会で優勝するというのはすごすぎると思っていましたが、昴にも心を許せる仲間達がいたんですね。
そして、あのクールな昴が、いかにしてプレアデスを名乗り、あの恥ずかしいセリフを吐くようになったのか、なぜM45の武器はパイルバンカーなのか、という本編ではスルーされていた謎が明らかにもなりました。本編ネタバレはほぼないので、この小説を先に読んでもいいと思います。
でも登場人物はみんな魅力的なのに、本編では全く登場しなかったので後付け臭がプンプンするのだけが残念ですねぇ。
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2013-04-15
ようやく3巻が読めました。芝村先生の最新刊です。初夏からアフタヌーンでコミカライズされるそうですよ。
マージナル・オペレーション03
著者:芝村裕吏
レーベル:星海社FICTIONS
価格:1311円
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あらすじ
日本での戦いの後、アラタたちはタイに向かった。アラタはそこで、スラムの子供たちがやむを得ず傭兵になり、虐待されている現実を知る。そんな中、アラタはかつての同僚キシモトに再会する。その出会いから、今回の自分の敵は古巣―つまり以前勤務していた傭兵会社であることに気づくアラタ。かつての上司と連絡を取り、戦いを回避しようとするアラタだったが、アラタに個人的に恨みを抱くキシモトは会社を裏切り、アラタに私闘を挑む。手段を選ばないキシモトは、アラタの連れている子供に攻撃を仕掛けて―
感想
前回の予告通り、今回は人が死にます。しかもドラマチックな死に方ではなく、気がついたら死んでいたというあっさりした展開が、余計鬱にしてくれます。ソフィア(エルフ耳の少女)がかなり悲惨な目に遭ったりもするので、そう言うのが嫌いな人は要注意。
前回は割とアクションメインでしたが、今回は戦術・戦略メインのストーリーです。戦わなくていい相手とどう戦わないか、あるいは戦わざるを得ない相手とどう戦うか、という駆け引きが面白かったです。
またジブリールが自分の気持ちをハッキリ出すようになってきて可愛いんだこれが。とはいえ、三角関係を形成していたソフィアが戦線を離脱してしまったので、これから人間関係がどうなるかも気になります。またこれまでは小隊レベルだった戦闘描写も、次巻からは大規模になっていくような気もしますし、これからも楽しみです。
今後の展開ですが、6月に4巻、11月に5巻(最終巻)が出る予定だそうです。
ジブリールは少し考えたあと、憤然として僕の横を歩き出した。頭の位置が少し高い。数日で成長したのかと思ったら、背伸びをしている。
「普通に歩いてもいいんじゃないかな」
「よくわかりません」
「つま先で歩いているように見える」
ジブリールの背が縮んだ。なんだか不満そう。僕はジブリールの頭をなでて、背伸びなんかしないでいいんだよと言った。
※174~175ページより引用
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2013-03-25
前巻が出てから早8年余。ついに星界シリーズ最新作が発刊されました。シリーズを当初から(といっても2000年頃からですが)追ってきたyukkun20としても感無量です!ちなみに前巻のレビューも当時の僕がきちんとしてました。
→こちら
読むのが遅すぎるだろという批判は、全てきちんと早めに予約しておかなかった僕の不徳の致すところなので甘んじてお受けいたします。
そして偉大な作品を再び世に送り出してくださった森岡浩之先生に最大限の感謝を!
なお以下のレビューにはネタバレがありますが、ストーリー上の重要なネタバレはしていないつもりです。ですが全体的な流れには触れざるを得ないところなので、そういうのも駄目な人は回れ右。
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星界の戦旗V-宿命の調べ-
著者:森岡浩之
レーベル:ハヤカワ文庫JA
価格:651円
表紙など
表紙イラストはおなじみ赤井孝美先生によるラフィール、ジント、ドゥヒールの3人。ラフィールとジントは正装、ドゥヒールは軍衣ですが、この格好の意味は本文で明らかになります。
帯は「大人気スペース・オペラ、待望の最新刊!戦旗シリーズ第一部完結!!戦いの岐路に立つラフィールとジントの運命は?」となっています。
あらすじ
帝国はハニア連邦を併合するための雪晶作戦を発動させたが、その隙を縫うように、ハニア連邦、そして三ヵ国連合は突如帝都へむけての進撃を開始。戦線は崩壊し、分断された帝国軍はそれぞれ強大な敵と対峙せざるを得なくなった。ドゥヒールは乗艦を失い、ラフィールは新たな任務を負ってジントと共に帝都を去ることに。そして皇帝ラマージュは帝都防衛のための近衛艦隊を召集する。敵艦隊の帝都到達まであと7日。帝都、そして帝国に、過去最大の危機が迫ろうとしていた。
感想
さすが森岡先生としか言いようがない。こちらの予想を軽々と超えるすごい展開に、息もつけず一気に読み切ってしまいました。8年間心の中で高まり続けたハードルを、あっさり越えてくれるとは…待っていて本当によかった。このサイトを続けていて本当によかった。もう早くサイトを更新したくてたまらない状態です。
というかこの展開を予想できていた人はいるのでしょうか。あとコトポニーさんが裏切るとかなんとか言っていた人は腹を切って詫びて下さい。…僕だ。
森岡先生お得意の会話劇も相変わらずで、ベルソートとドゥヒール、サムソンとジント、ラマージュとドゥサーニュたちの軽快ながらも深い会話は、アーヴという種族の奥深さをしっかりと感じさせてくれました。ネタバレなので内容には触れませんが、ベルソートが巻の最後でドゥヒールに送った通信はなかなかカッコイイ。
そして緊迫した展開の中にあって、クファディスさんはほんま一服の清涼剤やでぇ。というか、クファディスの名前が出てくるだけでクスッとしてしまいました。もちろん本当に面白いのはクファディスさんではなくてその上司なのですが。
同感だな、とクファディスは思った。スポールの部下であるより上官であることのほうが、過酷な任務だと常々、考えていた。ましてや、スポールの教師などすれば、三分で胃に穴が空くにちがいない。いうまでもないことだが、もっとも楽なスポールとの関係は無関係でいることだ。
※267ページより引用
ところで想人(レー)と想人(ヨーフ)はどう違うんですか?性別?
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2013-03-20
風邪で休んでいる間に読み終わりました。榊ガンパレ4ヶ月ぶりの新刊です。
ガンパレード・マーチ 2K 5121小隊の日常III
著者:榊涼介
レーベル:電撃文庫
価格:630円
表紙など
表紙は速水、舞、中村、遠坂、ののみ、田辺の6人。遠坂が星条旗を持ち、中村はおそらく隊旗を持っています。帯は「7年の沈黙を破って”日常”シリーズ復活です♪♪♪舞台はアメリカだ~」とハイテンション。
巻頭付録はなし。作者、絵師あとがきもありませんでした。つうかきむら女史のイラストは表紙だけじゃん。なんで挿絵ないの?
あらすじ
アメリカでの過酷な戦いの日々は終わり、5121正体は日本艦隊が待つ西海岸のシアトルにたどり着いた。すぐに帰国できるものと思っていた小隊に、シアトルでの長期休暇が命じられる。隊員たちは思い思いの休日を過ごすのだが―
久しぶりに5121に合流した善行の決意を描く「善行忠孝の困惑」、暴走した森が引き起こした滑稽な逃走劇を描く「森精華の抵抗」、小学校で武道を教える壬生屋を描く「壬生屋未央の憧れ」、完璧主義の狩谷がひどい目に遭う「狩谷夏樹の献身」、休暇の過ごし方が分からない舞を描く「芝村舞の孤独」、看護師になって帰ってきた田代と茜が再会する「茜大介の試練」、そしてソックスハンター達の変な友情を描く「遠坂圭吾の不思議な愛情」の短編7本におなじみ原日記6本を収録した短編集。
感想
今回は久々の日常シリーズということで、戦場以外の隊員たちの様子を描いた短編集になっています。ただ国外にいるということでI、IIとはやや趣が異なり、全体的にシリアスな物語が多いです。
ここんところ不安定な森や壬生屋がかなり回復したのはファンにはうれしい展開でしたが、逆に平時には舞や速水の不安定さが異常に目立つな…普段それをフォローする瀬戸口やののみ、無理矢理ギャグ展開に持ち込める岩田や若宮の出番が少なかったせいで余計にそう感じました。
久々に田代の勇姿が見られたのもオススメポイントですね。つーか茜は完全に飼い慣らされてるし。原、ヨーコ、森に続いてまた頭が上がらない女性が増えたな…
罪悪感は残る。しかし、かつて自分が指揮を執った学兵たちの不屈とも言えるたくましさを誇りに思えた。(中略)
懐かしい家族。まるで家出息子が久しぶりに実家に戻ったような気分だな、と隊員たちと離れていた時間に思いを馳せた。
※37、40ページより引用
2013-03-15
「永劫回帰のパンドラ」初回限定版に付属のドラマCD「人工械機のパンデミア」をようやく視聴しました。「永劫回帰のパンドラ」の感想はこちらで。
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あらすじ
珍しくダルと真帆しかいないラボ。真帆は二人きりのチャンスに、自分の気持ちをダルに打ち明ける。思いがけない告白に舞い上がるダル。そこへやってきた紅莉栖は、自分も橋田のことが好きなことを知ってるくせに…とプチ修羅場。
そこへやってきたまゆりは、ダルが一人でパソコンに向かっているのを見つける。真帆と紅莉栖の声はPCのスピーカーから聞こえてきていた。続々とラボメンガールズが集まってきてダルの異様な姿にやや引き気味だったが、ダルがハーレムルートに入ろうとしたところで、紅莉栖によりプレイは中断することに。
紅莉栖によると、ダルが遊んでいたのは、真帆がアメリカから持ってきた人工知能「アマデウス」だった。人間の記憶そのものをデータ化し、会話させる事ができるこのソフトが岡部に見つからないよう、ラボメン達に箝口令を敷こうとする紅莉栖だったが、時すでに遅く最後にやってきた岡部に全て聞かれてしまった。
岡部はそのソフトを使って、真帆の弱みを握り、東京見物を理由に円卓会議を欠席した真帆にお仕置きしようと企むが―
感想
あらすじを読んでもらえば分かるとおり、やはり完全なギャグパートです。とりあえずダルと一緒にラボメンガールズ(ひとりはだが男だ)の告白ボイスを楽しむのが正しい使い方です。しかしダルの行為には今回はさすがの僕もドン引きでしたけどね…
でも、脳をスキャンして人工知能を作るのはともかく、声を本人そっくり出力するのは無理だと思うんですけどね…声を決定するのはソフト(精神)じゃなくてハード(声帯とか)だし。
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2013-03-12
とても処女作とは思えない名ノベライズでした。オクテットプレイした人は是非読むべき。
Steins;Gate 変移空間のオクテット②
著者:明時士栄
レーベル:富士見ドラゴンブック
価格:714円
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あらすじ
岡部がIBN5100を入手する直前、突如世界線変動が起こったかと思うと、そこにはIBN5100はなく、代わりに未来からやって来た鈴羽がいた。この世界線では、IBN5100は既に「機関」の手に渡っており、機関の敵と認定された岡部は失踪。2025年にようやく橋田と連絡を取り、その後に起こる世界恐慌を止めるため、岡部の指示に従って鈴羽が現在の秋葉原にやってきたというのだ。そしてその「機関」とは、岡部の妄想に頻繁に登場するあの「機関」らしい。にわかに信じがたい状況ながら、今日一日に起きた不可解な出来事から納得せざるを得ない岡部。IBN5100を取り戻すため、自分一人で戦おうとする岡部だが、彼の危機を知ったラボメンたちが、岡部の妄想通りの特殊能力を引っさげて次々に協力する。そしてついに「機関」に対抗する一大作戦が幕を開ける。この世界線で起こる怪異の正体は。IBN5100は無事取り戻せるのか、そして機関の刺客「黄昏の人形遣い」の正体は―
感想
いやーおもしろかった。まさかこういう形で風呂敷をたたむとは思いませんでした。ゲームではやや説明不足だった、オクテットにおけるカオヘとシュタゲのつながりを1巻かけてきっちり描いていたのはお見事でした。またシュタゲ小説に新たな名作が加わりましたね。ラボメンたちの厚い友情と、妄想が実現化した世界でノリノリの岡部↓(とダル)が話を存分に盛り上げてくれました。まゆりの特殊能力にはフイタ。
そしてなんと言っても素晴らしかったのは、β世界線の助手(オカリンと出会って数日しか経っていない)とオカリンとの関係が目に見える形で一歩前進したことですね。これは原作で登場した台詞を非常にうまくつなげていて感動しました。オカリンやる時はやるじゃん。何の話か気になる人は141ページの挿絵を見ればいいんじゃないのかな。ただネタバレなしで読んだ方が衝撃はでかいと思います。
巻末にはおまけで1巻・2巻双方に収録された挿絵のラフスケッチが掲載されています。
「うそ、あの化け物を一撃で?」
「清心斬魔流が操るのは浄化の力だ。穢れに塗れた黄昏騎士団にとっては、まさに天敵ということだな!」
……はっ、いつの間にやら俺が”解説者”っぽいポジションになっている!(中略)
「漆原るか……剣術の使い手だとは聞いてたけど、まさかこれほどだったなんて……」
ゴクリと鈴羽が息を呑む。しっかりしろ鈴羽、おまえまで背景キャラっぽくなってきているぞ!
※112~114ページより引用
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