2014-01-26
ようやく最新刊を入手出来ました。近くの本屋に入荷されるのを待っていたんですけど、埒が明かずAmazon様にお願いしました。そんなことだからネット本屋に負けるんだよ!(八つ当たり
前巻の感想はこちらから。→【小説】サモンナイトU:X 界境の異邦人 レビュー | Y.A.S.
サモンナイトU:X ―黄昏時の来訪者―
著者:都月景
レーベル:JUMP j BOOKS
価格:760円
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あらすじ
ハヤトの圧倒的な力には到底及ぶところではなかったが、その場に突如現れた飛竜によって難を逃れたミコト。ハヤトはシャリマからミコトの情報を得て、その後を追ってきたのだ。ミコトを取り逃がしたハヤトはシャリマと合流する。そして自分がミコトを追っている理由について話し始めた―
サモンナイト4で描かれた「浮遊城事件」が収まってしばらく後のこと。新たな誓約者となったハヤト、そのパートナーであるキールは、サイジェントで暮らしていた。しかし無色の派閥の生き残りであるキールの兄弟たちが、セルボルト家の当主の座を狙ってキールを襲撃する。キールの危機に駆けつけた仲間たちの活躍もあり戦闘は有利に展開していたが、そこに現れたのは制錬者の手により復活を遂げたオルドレイク、そして同じく復活後オルドレイクの操り人形となったバノッサだった。そしてオルドレイクの凶刃が、ハヤトをかばったキールに刺さり、キールは永劫の呪いの犠牲となってしまう。その悲劇に暴走したハヤトの攻撃も、その場に現れた「制錬者」により易々と受けとめられてしまう。そして制錬者は「友を救いたくば我を討て」と言い残して去っていった。ハヤトは、制錬者を探すために一人旅立ったのだった。
一方、逃げ出したミコトはマグナに助けられ、こちらの自分の過去について話をしていた。そこへ突如現れたハヤトは圧倒的な力でミコトを殺そうと迫る。しかしマグナたちとの出会いを経て、「制練石の器」としてではなく「制錬者」として生きることを決意したミコトは、バノッサの義弟カノンの魂を呼び戻し、その攻撃を打ち砕いた。ハヤトも正気を取り戻し、二人は和解することが出来た。
目覚めたカイロスも、リィンバウムに戻り、ゲックたちに保護されていた。事情を聞いたゲックたち、そして行動を共にしていたケンタロウたちの元に、突如敵が襲撃する。襲撃者は自らを「再誕の制錬者」と名乗り、新たなる「救世の英雄」だと宣言した。
感想
今回物語の大筋が見えてきましたね。制錬者が2人いること、「再誕の制錬者」が旧敵達を甦らせ、なにかをしようとしていること、ハヤトが暴走していた理由も明らかになりました。また再生怪人と言えば強くなった主人公に瞬殺されるのがお約束ですが、さすがシリーズを通じてのラスボス・オルドレイクだけあって、相変わらず圧倒的な存在感です。
3や4でもちょっとだけ言及があった、初代エルゴの王、派閥の始祖ゼノビス、そしてメイメイさんの関係も明らかになりましたし、1~4に登場したメインキャラクターたちの多くの「その後」が明確に描かれたのもファンにとってはうれしいですね(ただし3は現場から離れているので少なめですが…)。パッフェルさんもお元気そうで良かった。あとはクノンさんか。登場直後に死んでしまった可哀想なキャラもいますが…(あれは死んだというのとは違うか)
パートナーキャラですが、1はキール(ほかの3人も登場)、2はハサハとバルレル、3はベルフラウが正史のようです。
前巻の感想で、「主人公の能力が主人公向きじゃない」って言いましたけど、今回でその印象は一新されましたね。あそこであのカノンを出してくるのも渋い展開で僕好みでした。あとがきで「なるだけ多くのキャラクターたちに活躍する機会を用意出来るようにがんばります!」とあったので、パッフェルさんの再登場に期待したいと思います。今回は名前だけでしたから。
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2014-01-12
昨年の発売からしばらくして購入しすぐ読んだのですが、なぜかタイミングを逸して感想を書けませんでした。そうこうしているうちにあらすじを忘れてしまうという体たらく。
ガンパレード・マーチ 2K 西海岸編③
著者:榊涼介
レーベル:電撃ゲーム文庫
価格:600円(税別。今年から税別表記に統一します)
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あらすじ
シアトルのオルレイ代表から撤収を命じられた5121小隊は、小隊会議を開いていた。命令に従って撤収を主張する撤収派と、最後までシアトルの補助兵たちを守って闘うべきとする主戦派の意見は平行線をたどり、隊は険悪なムードに包まれる。善行は翌日まで各隊員がそれぞれなすべきことを考えるように告げ、一旦会議を散会した。
自由行動中、瀬戸口達は銀狼師団のリーランド司令と非公式に接触。意図的な膠着状態を演出することが難しくなったことを悟ったリーランドを焚きつけ、協力を引き出すことに成功する。しかし瀬戸口、そして善行の真の目的は、シアトル政府を幻獣との決戦に巻き込み、一気に幻獣を殲滅することにあった。補助兵総軍司令のグラントもその意図を汲み、優秀な補助兵を銀狼師団と協力して作戦行動に当たらせることを了承する。
6月12日午前4時、進撃を始めた幻獣軍に対し、人類側はシアトル戦線の濃密な火線網で応戦。戦闘は人類側に有利に展開していたが、幻獣共生派による地下陣地の一斉爆破により銀狼師団は壊滅的な被害を受ける。この危機に、ついにシアトル政府軍も参戦を決定。サンディエゴ市街戦は人類側の記録的大勝で幕を閉じた。
戦闘終了後、善行はシアトル政府からの責任追及の可能性に苦笑しながらも、シアトルに住む人々を守ろうと、次なる展開に思いを馳せるのだった。
感想
今回は幻獣の恐ろしさが見られるかも…と前巻感想で書きましたけど、やっぱりダメでしたね。今回は完全に5121の策が的中している上に、幻獣戦ですら最終目標のための手段としてしか使われていない関係で、完全なかませっぷりでした。最後に幻獣共生派が一矢報いましたが、結局5121反対派を吹き飛ばしてしまっただけなので戦略的には失敗としか…
ただ、今回の5121の行動は完全にまずいですよね。シアトル総軍のやったことは国家反逆罪の要件を満たすと思いますし、5121はそれを煽っている立場ですから(しかも日本国政府の命令も無視しているのでそっちもヤバイ)。これまでは「勝てば官軍」的なノリでここまで来てしまいましたけど、さすがに今回はまずいんじゃないのかなぁ。次回どういう風に収拾を付けるのかに注目です。
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2014-01-02
今年は小説をもっと読んでいきたいな…と思っています。去年も「面白そうだけど積ん読棚がいっぱいなのでスルー」した小説がどれほどあることか。
というわけで今年1つ目のレビューは、現在絶賛プレイ中の「ダンガンロンパ」の小説です。ネタバレほとんど無いので、これから読もうとしている人も安心です。ただし若干ゲーム本編の時系列に触れています。あとゲームをする前に小説を読もうとしている人は、小説自体が1のネタバレなのでやめた方がいいです(つまりこのレビュー自体がゲームのネタバレになっているということです)。
ダンガンロンパ/ゼロ 上/下
著者:小高和剛
レーベル:星海社FICTIONS
価格:上巻・1050円(税別)/下巻・1100円(税別)
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あらすじ
超高校級の才能を集めた私立希望ヶ峰学園―そこに、記憶を失い続ける一人の少女「音無涼子」がいた。音無涼子は見聞きしたことを何一つ記憶することができない病気にかかっていた。そんな彼女が覚えていることは2つだけ。自分の体験は「音無涼子の記憶ノート」というノートに自ら記録していることと、彼女の治療をしている「超高校級の神経学者・松田夜助」のことだった。しかしある日、彼女の部屋には「過去の記憶ノートを全ていただいた」という置き手紙が。手紙の主に呼び出された場所を訪ねると、そこには「希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件」について何か知っている風の少女と、事件について偏執的に調べ回るひとりの男が現れる。音無涼子は否応なく事件に巻き込まれていくのだが―
レビュー
ダンガンロンパ1の前に起きた「人類史上最大最悪の事件」、そしてその原因となった「私立希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件」、その間に何が起こったのかを、「超高校級の忘れん坊」音無涼子の視点で描いた小説です。作者はゲーム本編のシナリオライターさんなので、話自体非常に練られていますし、矛盾なくゲーム本編につながるようになっています。
音無涼子は記憶を失い続けるという設定なのですが、これが事件について何も知らず、一人の少女(1のラスボス)に振り回される読者の気持ちとうまくシンクロ出来ていて、なかなか感情移入がしやすかったです。そして最後には思いもよらぬ衝撃的な展開と真の絶望が待ち受けています。ネタバレすると面白さ半減どころではないので、是非ご自身で確かめてみてください。
新キャラとして、あらすじに書いた二人のほかに、謎の復讐者「斑井一式」と、超高校級のスパイ「神代優兎」が登場します。神代は007みたいなキャラかと思いきや、童顔の少年(顔があまりに平凡すぎて人々の印象に残らない、というのが能力)だったり、花村以上のセクハラキャラだったりと色々面白かったです。
またゲーム中ではあまり詳しく描かれなかった、ふたつの「最大最悪の事件」がどういうものだったのか明かされるのもファンにはうれしいところ。ラスボスの「超高校級の××」がどういうものなのかを骨の髄まで知ることが出来るでしょう。これゲームだったら間違いなくCERO:Zだと思いますので、それなりに覚悟して読んでみてください。ちょっと値段が高いんだけどね…
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2013-12-22
星界の戦旗DVD-BOX付属の小説「星界の断章 野営~ノールの場合」のレビューです。みんな大好きノール嬢が完全主役ですよ~
星界特設サイトの更新も終わっています。
なお前作・前々作のレビューはこちらから。
→【小説】星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~ レビュー | Y.A.S.
→【小説】星界の断章 野営~ペネージュの場合~ レビュー | Y.A.S.
星界の断章 野営~ノールの場合
著者:森岡浩之
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あらすじ
特に帝国暦952年。
ノールと、その幼なじみサガージュが衛旗士を務めていた晩のこと。仮眠を取っていたノールは不審な物音に目を覚ます。何者かが天幕に侵入しようとしていたのだ。ノールはサガージュに状況を報告。サガージュは侵入者を捕縛しようとするが、ノールは司令に報告することを優先すべきと主張し、二手に分かれることになった。
ノールが司令と共に現場に戻ると、そこには薬物で眠らされたサガージュの姿があった。サガージュが侵入者の捕縛に失敗したことを報告すると、司令は何者かに抗議の通信を送ったあと、「今夜のことは忘れるように」と二人に告げる。二人が説明を求めたところ、同じ惑星にいる空挺科修技生による、たちの悪い悪戯ということだった。
何となく納得のいかないサガージュに対し、ノールは飛翔科の訓練生で空挺修技館への殴り込みを提案。サガージュは嬉々としてその作戦を立案するのだった。
感想
これまでの2編で残されていた謎についての解法編という感じです。
まあ犯人自体はしょーもない感じでしたし(ストーリーがしょーもないという意味ではないですよ)、やはり今回はノール嬢のマイペースぶりを愛でるのが正しい楽しみ方ではないかと思います。ノールは正論を淡々と述べるところが面白いんですよね。今回はサガージュと司令がその被害に遭っているのですが、
司令は眉根に皺を寄せた。ノールと話していると、大抵の人間はこんな表情になる。
※7ページより引用
という表現には笑いました。
あと全く話には絡まないのに、サグゼールも流れ弾で可哀想な目に遭ってましたっけ。
でもサガージュは、ノールに対して「もう、これだから、エクリュアはっ」と怒ったりしているので(サガージュはノールのことは「ノール」と呼ぶ)、エクリュア一族は大体ノールみたいな感じなのかも知れませんね。
結局DVD-BOX全部買ってしまいましたけど、小説は面白かったので後悔はしていません。たぶん来年発売の「星界の断章Ⅲ」にきちんと収録されるだろうけど、後悔…してません…
「ひとりじゃ危ないよ」ノールは指摘した。
「じゃあ、一緒に捕まえてくれる?」
「ふたりでも危ない」零は、零を足そうと、二倍にしようと、零にちがいない。
「それじゃ、心配してくれているの? 意外ね、あなたがわたしを心配してくれるなんて」
「心配はしていない。客観的な事実を指摘しただけ」
※5ページより引用
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2013-12-21
サモンナイト小説買いに行ったけどやっぱり売ってなくて、代わりに「ダンガンロンパ/ゼロ」買ってきました。
それはさておき、先日紹介した「無限遠点のアルタイル」初回限定版に同梱されている冊子「次元階差のテスティモニー」に収録されている小説「遙遠のヴァルハラ」のレビューです。
…ってちょっと待ったー!この冊子正式名称は「多元階差のテスティモニー」ですよね(英題は”A Multiverse Testimony”)?なんで表紙のタイトルロゴが間違ってるんじゃい!
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遙遠のヴァルハラ 世界線変動率 0.334581%
著者:林直孝
口絵:文倉十
あらすじ
世界線変動率0.334581%。鈴羽のタイムトラベルが「失敗」した世界線。岡部の必死の努力も虚しく世界を変えることは出来ず、岡部、ダル、紅莉栖の3人はSERNに軟禁状態にあった。
事件から立ち直った岡部は、ダル、そして謎の協力者「疾風迅雷のナイトハルト」と組み、SERNからの脱出を企てる。作戦名は―”天国へ至る道(ヴァルハラ)”。
感想
α世界線の岡部とダルは、SERNから脱走してタイムマシン開発することが確定しているのですが、どうやってあの強大なSERNから脱走したのか、なぜ紅莉栖は脱出出来なかったのかが結構謎でした。今回の小説ではその謎についての納得出来る解説があるので嬉しいところです。逆に言えば結末は読めているので全体的にもの悲しい雰囲気が漂っています。紅莉栖が岡部の「根拠のない約束」を「信じる」、といったシーンは涙を誘いました。また「オーキードーキー」という鈴羽の口癖が、ダルに、そして由季に伝わっていくシーンは、作品全体のループ性を象徴しているようで、明るいシーンなのにちょっとしんみりです。
著者はシュタゲ脚本の林氏なので安心。あと「狼と香辛料」でおなじみの文倉先生がイラストを描いてくれているのも嬉しいところです。しかし拘束されて1年半。紅莉栖もオカリンも同じ服を着てたのかよ。
「橋田は? 今どこに?」
「案ずるな。ヤツは相変わらずのHENTAIだよ。この作戦の言い出しっぺも、ダルだからな」
「あいつが岡部よりやる気見せるなんて、意外ね」
「今年の冬コミマになんとしても行きたい、というのが動機だ」
「あえて言おう。カスであると」
※36ページより引用
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2013-12-15
シュタゲのオリジナル小説最終刊「無限遠点のアルタイル」をようやく読了しました。500ページという分厚さに腰が引けていたんですが、なんとか年内に読めて良かったです。今回もシュタゲなので深刻なネタバレ無しレビューです。
既刊感想はこちら(どちらも深刻なネタバレなし)。
Steins;Gate 閉時曲線のエピグラフ レビュー | Y.A.S.
【小説】Steins;Gate 永劫回帰のパンドラ レビュー | Y.A.S.
無限遠点のアルタイル
著者:たきもとまさし
価格:4200円(税込)
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レビュー
最終作にふさわしい話でした。涙でページがシワシワです。
序盤はオカリンがフブキとフラグを立てたり、真帆から「ひとりに…しないで…」なんて言われちゃったり、まゆりと新婚生活したり、とキャッキャウフフしていたせいで、本当に最終巻なのか…?ここから風呂敷どう畳むんだ…?と思いながら読み進めていましたけど、オカリンが最後に覚醒してからの怒濤の展開は、本当に涙無しには読めませんでした。ゲーム本編では、最後にチラッとしか出てこない「β世界線上のオカリン」がどれほどの辛酸をなめ、どれほどの熱い思いで計画を実行したのか、そしてその原動力になったのは何だったのか、骨の髄まで思い知りましたよ。これはもう原作ファンみんなが読むべき。そしてサブタイトル「無限遠点のアルタイル」と、ドラマCDβ「無限遠点のアークライト」の繋がりを見届けるべき。
そしてそれを取り巻くラボメンたちも今回は名セリフ多いです。ダル、まゆり、真帆、そして「紅莉栖」。いつかこの話も、ドラマCD化してくれるといいなぁ。
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2013-12-06
久々の時雨沢成分補充!ということで毎年恒例のキノの旅最新刊です。今回はちょっと厚め。理由は後ほど。
キノの旅XVII the Beautiful World
著者:時雨沢恵一
レーベル:電撃文庫
価格:630円(税別)
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レビュー
今回は2013年4月から、各地の地方紙で連載されていた話が主として収録されています。良い子も読んでいる新聞連載だけあってさすがに流血騒ぎとかは控えめにされていましたが、その分ほかの話ではっちゃけている感じでした。
17巻に収録されているのは、キノがメインの「旅人達の話」「自然破壊の国」「時計の国」「左利きの国」「割れた国」「貧乏旅行の国」「恋愛禁止の国」「料理の国」「広告の国」「鉄道の国」「旅の終わり」「神のいない国」「私達の国」、シズがメインの「渡す国」、師匠がメインの「遊んでいる国」「楽園の話」、誰がメインでもない「ファッションの国」の17編でした。短編が多めとはいえいつもの倍ありますね。本も既刊より分厚いです。
一番面白かったのはやっぱり「鉄道の国」かな。ほぼオチは予想どおりだったんですけど、人が人のために働ける動機付けは何かということを考えさせられましたね。あとは新聞連載で大人しくしていたキノの反動が思いっきりあふれてしまった「神のいない国」かな。キノの暴れっぷりを隠蓑にさりげなくホラーを突っ込まれると恐怖が2倍ということに気づいた。
そして最後の「渡す国」。これまでシズがどれほど苦労をしてきたかを知っているだけに、彼の最後の決断には心を打たれました。今回は脇役だったフォトもいい味出しているんだこれが。
あとは恒例のあとがきで、「学園キノ」についてもまだまだ執筆するつもりであるということが聞けて嬉しかったです。
あなたが誰かの手を握って
暖かく感じているとき
その誰かは冷たく感じている
※口絵イラストより引用
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2013-12-02
元々購入予定はなかったのですが、テイルズオブマガジンで序盤が掲載されていたのを試しに読んでみたらおもしろかったので即購入。踊らされてるなぁ。
テイルズ オブ シンフォニア 贖罪のクラトス
著者:実弥島巧
レーベル:電撃ゲーム文庫
価格:600円(税別)
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あらすじ
クラトスはとある森でロイドと仲間たちがやってくるのを待ち受けていた。彼らの目指す「救済」―それを完成させるために。
以下TOS本編の盛大なネタバレになるので割愛。
感想
TOS本編を、クラトスの視線から追ったスピンオフ作品です。著者の実弥島先生はTOSのシナリオライターでもあるので、伏線回収とかもバッチリでしたね。こういう作品って、尺の都合とかでシナリオが書き換えられていることもよくあるんですけど(yukkun20はそれがキライです)、この作品はゲームシナリオを忠実に再現している(セリフ回しも同じ)ので良かったです。TOS本編、できればクラトスルートをクリアしてから読んで頂きたいですね。
そして本編の裏側ということで、ゲームでは分からなかった(あるいはサブイベントを起こさないと分からなかった)各キャラたちの行動や思惑がかなりはっきり示されています。
- クラトスやユアンはどうしてラスボスと袂を分かったのか
- ディザイアン五星刃はあの時何をしていたのか
- ロディルがマグニスを騙したのはなぜか
- クヴァルとプロネーマはなぜ仲が悪いのか
- ミトスはどうしてジーニアスに出会ったのか
などなど。特にドジっ子扱いされているユアンの影の活躍は涙無くして読めませんので。この人肝心なところで詰めが甘いんだけど、本質的には超優秀なんですよね…
というわけで、TOSを楽しんだ方には文句なくオススメです。
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2013-11-27
S-Fマガジン 2014年1月号に掲載された森岡浩之先生の最新作、星界の断章のレビューです。大いにネタバレあり(若干戦旗5の話も含みます)。
そしてうれしいお知らせも。「たぶん来年は『星界の断章』の新刊をお届け出来るのではないかと考えております」という編集部コメントが!
星界の断章「岐路」
著者:森岡浩之
価格:895円(税別。S-Fマガジン本体)
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あらすじ
敵艦隊が迫るラクファカール。エクリュア(ノール)の遺伝子提供者でもあるコリュア・ウェフ=ボーザク・コンサ千翔長は、独立戦隊の司令官として、民間人をソトリュール鎮守府へ避難させようとしていた。その下に集められた近隣軌道館の責任者達―その中に、コンサのかつての想人エクリュア・ウェフ=トリュズ・ナースの姿もあった。しばしナースとの思い出に浸るコンサ。コンサは民間人を避難させ、残されたコリュア館を要塞に改装しようとしてたが、ナースはエクリュア館を要塞に改造してほしいと提案する。そこにはコンサには思いもよらない意図があって―
感想
エクリュアたんキタ――(゚∀゚)――!!と思ったらエクリュアパパの話だった件について。しかし表紙のイラストにはバッチリノールたんのイラストもあったので無問題。登場人物は少ないですが、設定にまつわる記述も多かったので、読み応えもありました。
時間軸は戦旗5と同じということになります。主人公はエクリュアパパとママ。パパは存在だけは示されていましたが、分かっているのは子供と猫を連れて宇宙をさすらうというかなり変わった人物だということと音痴だということだけで、生死すら判明していませんでした。今回そこら辺が描かれたのは良かったですね。まぁこの親にしてこの子あり…という気もしますけど。しかしノールの生い立ちは結構ドラマチックだったのだな。
そして今回登場した巡察艦「トルークビルジュ」。巡察艦は「~ビュルシュ」と「~ビルシュ」の二大勢力が存在していたんですけど、ここに「~ビルジュ」が参戦!ってこれ誤植だろ!
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2013-10-14
支倉先生、ネットで色々言われていますけど気にせず頑張ってくださいね!の最新刊。ちなみに読んだのは旅行中だから…
マグダラで眠れⅣ
著者:支倉凍砂
レーベル:電撃文庫
価格:570円(税別)
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あらすじ
クラジウス騎士団と共にカザンの街に到着したクースラたち。直前にカザンを治めるラトリア女王が改宗したとの知らせがあり、異教徒討伐を建前にしている騎士団には同様があったものの、入植は順調に進んでいた。クースラたちも異教徒の技術を探して、町に残る文献を読みあさることにする。そこにあったのは竜の伝説と、その存在を彷彿とさせる神殿だった。
クースラたちは新しい工房も手に入れ、すべてが順調に思えた。しかし突如、街は敵軍に取り囲まれる。カザンを追い出された者の反撃と思いきや、これは権力を得すぎた騎士団を潰そうとする、教会の差し金だった。クースラは全員が生き残るため、フェネシスたちを街に残し、自らは騎士団と共に街を脱出することに賭けることにするのだが―
感想
3巻も面白かったですけど、4巻はさらに面白かったですね。ようやく支倉節全開という感じです。かなり切迫したシチュエーションももちろん引き込まれましたけど、それと並行して、竜の伝説、フェネシスの一族の行方、そしてクースラのフェネシスたちに向ける思いの変化などのストーリーが同時並行的に進んでいき、最後に全てがひとつに収束する物語運びはさすがでした。僕の中ではこれで、この作品は「狼と香辛料」に匹敵するものになったと思っています。
次巻は厳しい逃避行が描かれるのかな。イリーネさんもすっかり一行に馴染んで、会話の掛け合いも面白くなってきました。数ヶ月先が楽しみです。
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