2014-10-19
【小説】ガンパレード・マーチ 2K 未来へ① レビュー
11/13に、ガンパレ関係の書籍(小説、コミック、ファンブック)が電子書籍化されるとのこと。まだ読んだことがない方は、この機会にお買い求めください。
とりあえずBOOK☆WALKERで配信予定、その他のサイトにも広がるかも…とのこと。また2巻も11/10発売予定です。
ガンパレード・マーチ 2K 未来へ①
Yukkun20's Association Secrète
2014-10-19
11/13に、ガンパレ関係の書籍(小説、コミック、ファンブック)が電子書籍化されるとのこと。まだ読んだことがない方は、この機会にお買い求めください。
とりあえずBOOK☆WALKERで配信予定、その他のサイトにも広がるかも…とのこと。また2巻も11/10発売予定です。
ガンパレード・マーチ 2K 未来へ①
あらすじ
アメリカから無事帰国した5121小隊は、アメリカでの暴走の責任を問われ、待機状態にあった。解散か、はたまた絶界の孤島へ転属か…不安を抱える隊員たちに、内局から告げられた新たな派遣先は、熊本―5121小隊発祥の地であった。熊本は、九州戦役終戦以来封鎖状態にあったが、このたび特例として封鎖が解かれ、最初の派遣部隊として5121小隊が選ばれたのだ。
にわかに沸き立つ一同―しかし、熊本で彼らを出迎えたのは、九州戦で戦死した学兵たちの大量の遺骸、共生派による襲撃、そしてカーミラと敵対し、封鎖地域で孤独に生きていると主張する別の共生派グループだった。小隊員たちは、これは封鎖解除に名を借りた小隊への懲罰であることに気付くも、黙々と与えられた任務を果たそうとするのだが―
感想
とりあえず、アメリカ編で暴走しすぎた5121小隊に、一応きちんとした処分が下されたので安心しました。いくらうまくいったからってなあなあにはできないほどの暴走でしたからねあれは。
そして久々の熊本編です。作中の時間では熊本を撤退してから1年くらいしかたっていないのですが、現実時間ではその10倍の時間がたっているので、読者としても感慨深いものがあります。小隊員の喜ぶ気持ちもよくわかりますよ。
そして新たに登場した謎の集団が気になります。これまで共生派は大体、
の3グループに分かれていましたけど、今回登場したリリアたちはそのどれとも違うようです。意に反して第4世界(ざっくりいうと、第5世界(ガンパレード・マーチの世界)の平行世界。第4世界と第5世界は近い世界で、作中で「幻獣」と呼ばれているのは、第5世界へ侵攻している第4世界の人間、という設定)から流れ着いちゃった人たちとかですかねぇ。あまり無名世界観には詳しくないんですが、第4世界は内戦状態にあったのが割と近い時期に統一されたばかりなので、そのせいで第4世界にいづらくなった人なのかもしれません。そこまで言い出すと風呂敷広げすぎちゃうような気もしますが…
とりあえず今回は導入なので、続巻に期待です。
23:18 | レビュー > 小説 > 榊ガンパレ | ガンパレード・マーチ | (0)
2014-07-06
帯に「アメリカ編完結!」の文字といっしょに「「榊ガンパレ」終結に向け9・10、新シリーズ始動!!」の文字が。おお、ついに10年以上やっているこの作品も完結なのか…感慨深いものがあるなぁ。まぁ9月完結じゃなくて9月に終結に向けた新シリーズが始まるだけですから、どう転んでも1年以上は大丈夫そう。
ガンパレード・マーチ 2K 5121小隊帰還
あらすじ
継戦を主張する小隊の戦闘班と、帰国を主張する整備班との対立は深刻になり、善行は折衷案として、シアトルのオルレイ代表が幻獣による精神汚染を受けていないかをハッキリさせるまでアメリカにとどまることを決め、そのために日本政府を通じて野間集落の鈴原医師の派遣を要請した。
ところが、これまで幻獣汚染の調査団受け入れを拒否していたオルレイは突如態度を一変させ、受け入れを歓迎する旨を表明。鈴原医師の診断でも精神汚染の兆候は見られなかった。偶然から小隊に協力的な副代表のドナヒューが精神汚染を受け、時が来ればテロを起こすよう催眠を仕込まれていたことが判明したが、こちらも鈴原の治療により回復。事件がひとまず片付いた善行は帰国を考えるようになるが、突如ドナヒューが拉致されてしまう。ドナヒューの救出に向かった小隊だったが、それは招待を亡き者にしようと企む銀狼師団と、その糸を引くオルレイの仕掛けた罠だった。数で勝る銀狼師団は小隊を包囲し、民間人を人質にとって降伏を迫るが、小隊はどうにか脱出。オルレイの所行をマスコミを通じてさらすと共に、オルレイの退陣を求めるドナヒュー副代表と第一軍のジャクソン大将と協力して、何とか内戦を避けようと銀狼師団を引きつけながら逃走、新政府の樹立に成功した。
5121小隊の旅は終わりを告げ、大原首相から暴走についての嫌みを受けながらも帰国の途に就くことになった。しかしその頃、北米の幻獣を操る女王ハニエルは、次なる戦いの舞台を日本に定めていた―
感想
前巻の感想で、「次回どういう風に収拾を付けるのかに注目」って書きましたけど、まさか風呂敷をたたもうとするんじゃなくてそのままの路線で押し切ってしまうとは夢にも思いませんでした。これ民主主義国家でクーデターに外国の正規軍が力を貸したってことになるので相当まずいんじゃないのかな…と思いましたけど、別に現実世界でも普通にありますよね。米の国とか露の国とか。
とはいえ、最終的には火力で…ではなく、戦火を交えることなく事件が終結してよかったです。北海道での事件もそうでしたけど、小隊は決して人類には銃口を向けない、というポリシーを大事にしているので、どうにかこうにかお説教だけで大原首相も納めてくれたんでしょう。ただ(永続する効果は無いとはいえ)バイオ攻撃までしておいてその言いぐさはいいのかという気もしますが(もっとも文字通り一切攻撃することなく生き延びることは不可能だったでしょうから、自衛のため…と考えれば許されるか)。
そしてついにラスボスっぽいキャラが出てきましたね。ハニエル対カーミラの行方にも注目です。9月が本当に楽しみ。
12:01 | レビュー > 小説 > 榊ガンパレ | ガンパレード・マーチ | (0)
2014-06-14
状況を整理するために年表作ったりしてたら感想遅くなりました。「サモンナイトU:X」の最新刊です。
前巻までの感想はこちら。
→【小説】サモンナイトU:X 界境の異邦人 レビュー | Y.A.S.
→【小説】サモンナイトU:X ―黄昏時の来訪者― レビュー | Y.A.S.
サモンナイトU:X ―叛檄の救世主―
著者:都月景
レーベル:JUMP j BOOKS
価格:760円
あらすじ
ケンタロウはその身に宿す不死身の加護によって、襲ってきた「再誕の制錬者」相手に善戦していたが、敵の力は圧倒的だった。
時を同じくしてマグナたちを襲った暗殺者の少女トリスは、父親の元へマグナたちを誘導する。そこに現れたのは、かつて傀儡戦争を起こし、マグナたちが多大の犠牲を払って打ち倒した大悪魔メルギトスだった。メルギトスは、トリスがクレスメントの末裔の肉体を利用して自ら作り出した人造生命体であること、そしてマグナも、失敗作から偶然から生まれた人造人間であることをマグナたちに明かす。激しく打ちのめされるマグナ。しかし去って行ったメルギトスに対する善後策を協議するため、ハヤトは単身レルム村へ、マグナとミコトたちは派閥への報告へ向かうことになった。
ミコトと別れてすぐに、再びトリスがその護衛獣であるレオルドとレシィと共にマグナたちを襲撃してきた。トリスは自分と同じ出自を持ちながら、幸せに生きていることが許せないとマグナに激しい憎悪をたたきつける。一方再誕の制錬者に接触し仲間となったシャリマは、デュウと復活した召喚兵器を戦線に投入。戦いは激しかったが、マグナとミコトの切り札が上回った。召喚兵器も倒し、戦いは幕を閉じたかに見えたのだが、シャリマはさらなる切り札である憑依武装で抵抗。毒殺されそうになったミコトを救ったのは、一時はシャリマの操り人形になっていたものの、非情には徹しきれなかったデュウだった。デュウはその身をミコトの盾にし、自らの魔眼をミコトに継承して息を引き取った。一方マグナもトリスを退けたものの、トリスはシャリマと、なぜかトリスに味方したネスティと共に姿を消した。
その後。オルドレイク、メルギトス、シャリマと戦力を充実させた再誕の制錬者―レイは、現皇帝マリアスから皇位を奪い、エルゴの王の血を引く者として、新たな皇帝として即位。そして大陸を力で統一することを宣言する。後に6つの世界を破滅に陥れる狂界戦争は、こうして幕を開けたのだった―
感想
ようやくメインキャラがそろい、大事件が転がり出しましたので、これで第1部・完というところでしょうか。今回もとてもおもしろかった。戦闘シーンがメインでしたけど、ゲームで使われたシステムを上手に演出に反映させていてわくわくする展開になっていました。しかしネスティに再び裏切り者の役目を負わせるところはちょっとかわいそうでしたけど。しかし本編であれだけのことをしておきながら、今回も(おそらくレシィに説得されたんでしょうが)マグナを裏切ったような姿を見せたのはなんでなんでしょうか。これはちょっと納得出来る理由付けが必要ですよ。
その他、細かい伏線が回収されていましたね。やはりパッフェルさんの過去が明らかになったのは大きい。ていうかやめてー!これ以上パッフェルさんをかわいそうな目に遭わさないでー!という僕の心の叫びもむなしく不幸てんこ盛りでした。(ただパッフェルさんの○○はまだどこかで生きているんだよね?)。その他、スカーレルとパッフェル、スカーレルとローカス、シャリマとバルレルとデュウなどの意外なつながりもへーほーなるほどと感心しきりでした。
たしかにSN1のバルレル夜会話で、
前の主人ってのは、テメエの百倍はひでェヤツだったぜェ…
研究だかなんだかしらねェが、呼ぶたびオレの身体を切り刻みやがって…
悪魔だって、痛ェもんは痛ェんだぞッ!?
っていうやりとりありましたね。
それにSN1の最終決戦で、オルドレイクがサモナイトソードより強い「覇王の剣」を落としたりしたのも…
まぁとにかく、シリーズのファンでこの小説を読まないという選択肢は無いと思います。それくらいおすすめです。
2014-04-20
シュタゲ小説なのですが、内容に触れないと非常に感想が書きにくい小説なので、今回はネタバレありになっています。
あらすじについては中盤あたりまで触れていますが、こちらは大きなネタバレではないです。感想の中では今回の小説に登場する「新しい」キャラに触れていますので、それすら知らずに読みたいという方はスルーしてください。個人的には、「おもしろい」というより「考えさせる」小説だったとだけ。あと、線形拘束のフェノグラムのノベライズだと思って読むと後悔するかも。
Steins;Gate 線形拘束のモザイシズム
あらすじ
電話レンジは完成したものの、その存在については秘密にすることを決めてからしばらくして。岡部の携帯電話に「鳳凰院凶真」からのメールが届く。「任務開始。メールの指示を厳守のこと」と短く書かれたメールを見て、岡部はこれがDメールであると気づく。早速その指示に従い、仲間達と共に、鈴羽に飯をおごったり、入院している少年に劇を見せたり、とよく分からない活動に身を投じるラボメンたち。その中で岡部はラボメンたちとの交友を深めていく。
しかし、ある日やってきたメールは、岡部を現実へ引き戻すのに十分すぎる内容だった。「三〇〇万円用意しろ」「失敗するとまゆりは死ぬDメール禁止」岡部は2通目のメールを隠し、ラボメンたちに協力を要請するのだが―
感想
一応「線形拘束のフェノグラム」のノベライズと銘打ってはいますが、ゲームからは「アルパカマン」「ダルの嫁」「3人の鈴羽」「シャ・ノワール」「ラボの火事」などのキーワードが断片的に使用されているだけで、特にゲームシナリオの要素はありません。
これは、絶望岡部ならぬ、絶望紅莉栖の視点から描いた、もうひとつの「Steins;Gate」です。SERNの築いたディストピアで、ただ一人生き残った紅莉栖が、その未来を改変するために血と泥にまみれながらあがく―という重いストーリー。そのあがきは成功するのか、それとも失敗に終わるのか。最後にものすごいオチが用意されているので、覚悟して読んでください。前半部分は岡部がラボメンたちとキャッキャウフフする明るいノリで進行するのですが、そのギャップがすごいよ。最後のエピローグがシュタインズ・ゲート世界線とは少し違う世界線のようなのでそこは気になるところでもあるんですが。
ストーリーはやや難解だったのですが、こちらのサイトのおかげですっきりしました。→steins;gate 設定考察のトートエクスペリメント モザイシズム考察1:世界線及び時間推移
余談ですけどこのサイトの考察、深いですね。一度腰を据えて読まねば。個人的にはウロボロス考察にマジ期待してます。あれは本当よく分からない話だったからな…
一つ気になるところがあるとすれば、最後の最後で「お前いくら何でも科学ADVでそれはねーべ」という展開があったことくらいですかね。
これまたシュタゲファンにはマストバイな小説だと思います。本編でもフェノグラムでも比翼恋理でも救済されなかったあのキャラが救済されているというところがちょっと笑える。あとオカリンとダルはほんと仲いいな。
「雷ネットは読み合いのゲームだろ。普通は揺れることのない平常心が必要だお」
「なるほど。この鳳凰院凶真が、機関の洗脳と戦うために編み出した精神統一法、虚空に一人(コールドクリエイション)が役に立つと」
「それだお! その何考えてるか、わからない感。全身から発する挙動不審オーラ! 痛々しくて直視できないから観察もできない! それこそがオカリンの武器だろ!」
「帰る」
「ぎゃ、逆に考えるんだ。挙動不審でもいい、と、考えるんだ!」
「ええい、わかった。わかったから、涙目で袖をつかむな!」
※115ページより引用。
23:03 | レビュー > 小説 > その他の小説 | STEINS;GATE, 線形拘束のフェノグラム | (4)
2014-04-15
ツンデレ!ツンデレ!な5巻です。
マグダラで眠れⅤ
クースラたちの活躍により、騎士団は包囲された火山の街から逃れることに成功。他の騎士団の根拠地となっている港町ニールベルクに逃げ込むことが出来た。ニールベルクも包囲はされているが、脱出の際に活躍し女神と祭り上げられたフェネシスが到着したこともあり、しばらくは持ちこたえられそうな雰囲気だった。クースラたちは早速街の文献の調査を行い、かつてこの街にいた異端審問官コレド・アブレアが、フェネシスの一族やクースラの求めるオリハルコンについての情報を持っている可能性が高いことを突き止める。
その頃、ニールベルクではひとつの問題が持ち上がっていた。戦士たちに神の祝福を告げる教会の鐘楼の製造がうまくいかず、何度作っても割れてしまうのだ。錬金術師として鐘の製造を命じられたクースラたちは失敗した場合の責任追及を恐れて及び腰だったが、ある事件をきっかけにそれから逃げることは出来なくなってしまう。そんな中、フェネシスは街の人々を納得させるため、自分が人柱になると言い出したのだが―
感想
3~4巻あたりは命の危機が迫りすぎていて、クースラの本来の目的についての進展があまりなかったのですが、ここへ来て大きく物語が進展しそうですね。
今回は前巻のような大スペクタクルはなく、おおむね街の中で話が進むのでちょっと地味でしたけど、その分クースラとフェネシスのいちゃいちゃに集中することが出来ました。だっこしたり膝枕したり、すっかり恋人関係じゃないですかーどうしてこうなった!
今回クースラたちは、知人を助けるために奇跡を起こし、それによって窮地に陥ります。
一度目の奇跡の後には二度目の奇跡を。二度目の奇跡の後には三度目の奇跡を。
そして、いつか応えきれなくなり、人々は身勝手にも思うのだ。
彼らは出し惜しみをしているのではないか?
いや、そもそも我々を騙していたのではないか? と。
※301~302ページより引用
という群集心理が危機を招くわけです。
しかしそれを救ったのは、これまでクースラたちを単なる便利な使い捨ての道具としてしか見ていなかったアイルゼンが、クースラたちの起こした奇跡を見て考え方を変えていたからだった、というのもちょっと考えさせられる展開でした。
次回からはさまざまなしがらみから解き放たれたクースラたちの新しい旅が始まります。支倉先生によると、全体構想の半分くらいまで来たとのこと。本当に存在するかも分からないものを探して旅を続ける、というのは、前作「狼と香辛料」と全く同じなので、うまく差別化していってほしいなぁと期待しています。しかしウェランドとイリーネとはここでお別れなんですかねぇ。特にウェランドはイリーネやフェネシスとの掛け合いがおもしろくなってきたところだったので残念です。しかし1巻のときと比べるとずいぶん人間として丸くなってるなぁ。
2014-04-06
前巻読んで2年たっていることに驚愕ですが、宮部みゆき先生の「ここはボツコニアン」2巻を読みました。3巻もとうの昔に出ていますけどね。
前巻の感想はこちら。→ここはボツコニアン 感想 | Y.A.S.
ここはボツコニアン 2 魔王がいた街
あらすじ
本物の世界の「ボツネタ」が集まってできた出来損ないの世界「ボツコニアン」。何者かによって勇者「長靴の戦士」に選ばれた双子の姉弟ピピとピノ(まとめてピノピ)は、かつて魔王が住んでいたという街アクアテクに到着。そこで出会った物知り少年・ポーレ君といっしょに住民の失踪事件を追いながら魔王の痕跡を探していたところ、ついに緩すぎる旅に終止符を打つべく中ボスが襲いかかってきた!
感想
相変わらずメタネタ、パロネタのオンパレードのファンタジー小説です。書き出しからしていきなり
突然ですが、「小説すばる」の編集長が替わりました(※小説すばるはこの作品が連載されている雑誌)
※8ページより引用
だったり
今月の作者は、PSPで『タクティクスオウガ 運命の輪』をやりすぎて五十肩を発症しております
※96ページより引用
だったりとフリーダムすぎます。(ちなみに後書きでもまだTOプレイ中)
ストーリー的には、行方不明になった幼なじみを探したり(原因は両親の離婚)、連続少女失踪事件を捜査したり(モンスターを倒しても経験値やお金を落としてくれないので、生活のため)、氷属性の中ボス「氷の微笑」(当然ノーパン)と戦ったりと、普通にファンタジーしているはずなのに、なぜこんなに緊迫感がないのか。
そしてよく分からない旅の目的でしたが、ようやく「回廊図書館の鍵を7本集め、その鍵で開いた扉の先でそれぞれ伝道の書を合計7冊集め、魔王の居城にたどり着く」というわかりやすいフラグが立ちました。ただし現在主人公パーティは、文無し宿無しのところを救ってくれたポーレ君のお母さんに恩返しするため、あんまんの製造元を突き止めようとしたら二軍三国志(すでに死んでいるか、本編には声がかからないほどのマイナーキャラの集まった三国志)の世界に迷い込んだ状態なので、これからどうなるのかはまったくわかりませんね。自分であらすじ書いていても訳わからないし。
それから、主人公たちの案内役「トリセツ」もいまいちなにを考えているのかわかりませんね。裏切りフラグが立っているような気がしつつも、ギャグ小説で裏切りとか入れてもギャグにしかならないような気もするので…
2014-03-22
更新が不安定で申し訳ありません。連休は再び帝都に出張しておりました。東京駅前にある八重洲ブックセンターでゲットしたのでレビューを。
星界の断章III
あらすじ
これまでに発表された短編6編+書き下ろし1編のオムニバス形式です。当サイトでも感想を書いているものもあるので、そちらも併せてどうぞ。
帯には「シリーズ累計190万部突破!星界の逸話第3弾 アブリアル(皇族)、スポール(貴族)、エクリュア(士族)。そのとき何が彼らをそうさせたか?/明かされる30番目の氏族の話、書き下ろし短篇「来遊」収録」とありました。
野営
→【小説】星界の断章 野営~ドゥサーニュの場合~ レビュー | Y.A.S.
→【小説】星界の断章 野営~ペネージュの場合 レビュー | Y.A.S.
→【小説】星界の断章 野営~ノールの場合 レビュー | Y.A.S.
出奔
優秀な姉・ラフィールとくらべて劣等感を感じる弟・ドゥヒール。彼は家出をしようと思い立ち、叔母・ラムリューヌの船に密航する。ところが隠れていた区画ごと、謎の船に積み込まれてしまう。その船は平面宇宙航行能力を持っていないにもかかわらず、8.1光年離れたクテス星系へ向かうという。帝国を捨てたというアーヴたちの行く末は…
介入
ベリサリア星系は窮地に陥っていた。50年前にスーメイ人と交わした契約に従い、惑星モメンタの引き渡しを迫られていたのだ。そんな中、新たに星系を訪れたのは帝国創建を知らせに来たアーヴ艦隊だった。一介の公務員に過ぎないアルコ・アウゴは、急遽アーヴ艦隊との交渉役に任じられるのだが…
誘引
翔士修技生としての訓練を終え、列翼翔士に任じられた若き日のクファディス。彼は同期であり友人でもある、スポール一族のフェリーグからいっしょに交易に出るよう誘いを受ける。交易に興味のなかったクファディスはその誘いに悩み、そのせいで家族との関係も微妙になってしまうのだが、最後にはその誘いを受けることに決めた。しかし翌日それをフェリーグに告げたところ、思いもよらない返事が返ってきて―
海嘯
離合(「岐路」から改題)
来遊
帝国創建前の時代。平面宇宙航法を研究するドゥムイ委員会の次席書記・ロビート・ボイガは、委員会への参加を希望して遠くの星系からやってきた地上人・エディの世話係となる。ついに平面宇宙航法が確立したとき、ボイガは帝国からエディにある贈り物を携えてきたのだが―
感想
収録作品については予想が外れてしまいましたが、初出が同人誌だったことから収録は絶望的かと思われていた「誘引」が収録されたのはうれしい誤算でした。これは本当にこれまで全く読んだことがない作品でしたので…今回の作品はいろんな人がひどい目に遭うという話が多いように思いますけど、一番ひどい目に遭ったのはやはり不幸体質ことセスピーさんだったというオチ。「誘引」の結びにある
フェリーグに限らず、ありとあらゆるスポールと関わりなく軍務を終えられますように―セスピーは心から願った。
という言葉がこれほどむなしく響くとは。
そのほかの作品についてですが、初出時から大きく変更されているのは「離合」ですね。タイトルも変わっていますが、ノールの音痴がだれ譲りか、というエピソードが追加されています。本編では父親譲りということになっていたのですが、「岐路」では遺伝子提供者のコンサ譲りとも取れる記載があったのでちょっと気になってたんですよね。すっきりしました。
「来遊」は帝国成立直前についてかなり濃いエピソードが書かれているので、年表の作りがいがありそうです。でもエディが30番目の氏族の創設者になったというのはこれまでの情報と完全に矛盾するんだよなぁ…。「帝国暦42年、アーヴたちは地上人が同胞に加わることを許容した」という記載の「アーヴ」が、「遺伝子的なアーヴである子を持つ地上世界出身のアーヴ」と解釈すれば何とか…ただちょっと無理がありすぎるかも。エディも遺伝子的なアーヴの子を持つことを禁止されているわけではなさそうですし。
なお断章なので、メインキャラはほぼ出てきません。殿下?出てきますけど台詞は10個もないのであきらめてください。ジント?誰だっけそれ。
2014-03-10
ハヤカワ文庫なので、電車の中でカバーなしに読んでも恥ずかしくないやい!
富士学校まめたん研究分室
あらすじ
陸上自衛隊富士学校勤務の藤崎綾乃は、自分でも認める「めんどくさい女」。セクハラ騒動に巻き込まれて閑職に飛ばされた彼女は、辞めさせられるまえに自分の価値を周囲に分からせることが最大の復讐になると考え、得意とするロボット戦車の研究開発を開始する。なぜか彼女に親切な同僚・伊藤信士が、自分の苦手とする部分を引き受けたこともあり、上層部に承認されたロボット戦車の研究はいよいよ目標に向けて進み始める。しかしその頃、朝鮮半島の情勢が緊迫化。まめたんと名付けられた新型ロボット戦車の開発が急がれる中、突如富士学校に謎の組織が攻撃を仕掛けてきた!―
感想
芝村氏の最新作です。前作(といっても特につながりはない)の「この空のまもり」(yukkun20の感想はこちら)と同じような感じで(というより氏の作品は大体そんな感じなんですけど)、戦闘シーンは割と淡泊で、むしろ戦闘に至るまでの流れを非常に丁寧に描いた作品です。
後書きで書かれているとおり、一応自衛隊が舞台でロボットも現代科学の枠に収まっている代物(といっても多分現実世界よりはちょっと発展している)なのでリアルに近い世界観なのですが、物語の盛り上がりを重視するためにフィクションも大量に投入しているそうです。といってもぼくにはその境目はわからず、普通に楽しめました。
主人公の藤崎さんは、技師としては非常に優秀な方なんですけど、作中でも「この人頭よさそうだなー」というシーンが随所にちりばめられていて、読んでいて勉強になります。たとえば彼女は退職までの期間になにかの研究をしようと思い立つんですが、その後の検討順序が、
大まかなスケジュールを決める→得意なことを生かしてロボット戦車を考えてみようと決める→現在までのロボット開発の歴史を振り返り、現時点でのトレンドを考える→現場、上層部、政治のどれが求めているものをつくるかを決める→上層部が求めているものを分析する→それに沿ったロボット戦車の基本コンセプトを決める→その分野の先行研究を学び、それを発展させるアイデアを模索する
みたいな感じで、しっかりしているんですよね。その後も大砲を搭載するのか、足回りはどうするのか、操縦はどうするのかなど細かい点を考えて、今度は上司を説得し、上層部を説得してもらってプロジェクトとして立ち上げて…みたいなことが延々描かれています。自分はサラリーマンをした経験がなく、企画を立てるというのが極端に苦手でもあるので、非常におもしろく読めました。
主要な登場人物は、主人公の藤崎さんと同僚の伊藤氏くらいしか登場しないのですが、このふたりの人間模様も実におもしろい。これについては語ってしまうと興がそがれると思うので、是非読んで確認してみてください。いつもの芝村作品が好きな方なら(特に「この空のまもり」を楽しめたのなら)、これも肌に合うと思います。
しかし芝村氏はめんどくさい女の人を書かせたら天下一品だなぁ。
「それと、外では名前で呼んでくれ」
彼はドアを開けながらいった。
「お願いですか、命令ですか」
「要請だ」
私は10秒考えた。右下を見る。
「いいですけど、私は何か貰えるんですか。それで」
我ながらひねくれた回答だった。言った後で赤面した。彼は頷いた。
「分かった。僕も君を名前で呼ぼう」
「力いっぱいやめてください」
※58ページより引用
23:24 | レビュー > 小説 > 芝村作品 | 富士学校まめたん研究分室 | (0)
2014-03-05
ようやく最終巻まで到達。次回作もすでに購入していますが、読むのはいつになることやら。
マージナル・オペレーション 05
著者:芝村裕吏
レーベル:星海社FICTIONS
価格:1250円
あらすじ
アラタたちに煮え湯を飲まされ続けた中国軍は、ついに4万規模の陸軍をミャンマー国境に派兵。アラタは敵が大軍であることに着目し、輸送路を攻撃し敵を食料切れで撤退に追い込もうとする。それと同時にスポンサーに資金援助を求める。当初はアラタたちを強化することで中国に本気を出させ、ミャンマー軍を戦争に引っ張り出すことで中国の戦力をそごうと考えていたスポンサーたちはそれに協力するが、やがてミャンマー軍が中国軍を恐れて停戦交渉を始めると、あっさりと手を引いてしまう。
そんな中でもアラタが率いる少年兵は中国軍へ連戦連勝。逆恨みしたキシモトによる襲撃もあっさりと退ける。そんなアラタの悩みは、スポンサーが逃げてしまったせいで子供達の生活を維持できなくなるかもしれないということ。ミャンマー軍の裏切りを防ぎ、中国軍の南下を阻止し、ついでに再就職を保証してもらうため、ついに最後の戦いが幕を開ける―
感想
というわけでいよいよ最終巻になりました。前回鍛えに鍛えた子供たちを、アラタが見事なオペレーションで導きながら連勝を重ねていくところは、ややご都合主義的な展開(味方側の損耗が極端に少ない)ながらもおもしろく読めました。今回も登場人物たちがそれぞれの思惑に従って動いていて、結果的に敵になったり味方になったりと人間関係がめまぐるしく変わるのが楽しかったですね。最終的にこの戦いが元で、中国の評価が下がり、世界の勢力関係が大きく変化した、というオチ(つまり架空戦記なわけですが)もすっと飲み込めたように思います。そういえば最後に名前が出てくるイーヴァ・クロダはガン・ブラッド・デイズに登場したキャラですね。
そしてすっかり忘れられた(訳ではないのですが)ソフィに代わり、今回もジブリールのかわいさはとどまるところを知りません。ようやくアラタもジブリールの気持ちに真剣に向き合うようになってくれて一安心でした。今回はカラーイラストが3枚ありますけど、そのすべてに絡んでいるというヒロインぶり。特に序盤の少しすねたジブリールがよかったです。
「ジブリール」
「……なに?」
目が点になった。ジブリールは恥ずかしそうに目をそらした。
「なんでしょうか」
「あ、ああ、そうか、言い間違いか、ははは」
(中略)
「タメ口を、きいてみたかっただけです。すみません。もう絶対一生しません」
※46~47ページより引用
というわけで、派手なドンパチはなく、戦闘描写は淡々と進められる感じでしたけど、オペレーターが少年兵を操って戦うという変わった視点での戦記として楽しめました。コミカライズもされているようなので、興味のある方は一度目を通して見てはいかがでしょうか。
23:40 | レビュー > 小説 > 芝村作品 | マージナル・オペレーション | (0)
2014-02-09
既にだいぶ前に最終巻(5巻)が出ているというのに今さら。
マージナル・オペレーション 04
著者:芝村裕吏
レーベル:星海社FICTIONS
価格:1250円
あらすじ
2000人の少年少女兵を率いるアラタは、ミャンマー北部の国境地帯で、ミャンマー軍に雇われて中国軍と戦っていた。子供たちを養うために、子供たちに命を懸けさせることに矛盾を感じるアラタ。しかしそんな矛盾を押し流すように現実は進んでいく。アラタの指揮は水際だったものだったが、ついに中国は正規軍である人民解放軍と投入し、豊富な兵器であっという間に戦局を硬直状態に戻してしまう。先の戦いで精神を病んでしまったソフィアの治療、懐かしい女性との再会、そして思春期まっただ中のジブリールとの関係。問題は山積みながらも、一つずつ解決していこうとするアラタ。敵の作戦意図を挫くための強襲作戦の成功後、ついに中国軍の本格的な進行が幕を開ける。
感想
今回は戦争物というよりはその合間にアラタたちが何をやっているか、という話がメインですね。廃村を前線基地にして子供たちを訓練したり、友軍のはずのベトナム軍の蛮行に怒って勝手に追い払ったり、スポンサー様のご機嫌伺いしたり。もちろんフィクションだと思うんだけど、単に「戦争に勝てばいいよね」という話になっていないところにリアリティがあります。アラタは戦争をどう上手に終わらせるかを常に考えて動いているのが面白いし、単純な英雄譚にならなくて面白いんです。
そして言うまでもなく今回はジブリール大活躍です。主にヒロイン的な意味で。アラタがいくら何でも色恋沙汰に鈍すぎるので逆にジブリールの方がかわいそうになってきました。ジブリールが不機嫌だから一緒に食事をしてあげてくれとほかの子供たちに頼まれて、なんとかジブリールを誘ったものの、なぜかほかの女の子にも同席を勧め、そして内心で
ジブリールは心優しい子なので、まあきっとサキにも優しくするだろう。サキがいれば変な雰囲気にもならないだろうし、これは僕の作戦勝ちというものだな。
※263ページより引用
なんて思っているヤツは石を投げられて当然です(もちろんジブリールの機嫌は直りませんでした)。
次巻はついに最終巻ですね。既に入手はしているので、来週までに読もうと思います。
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