2012-07-15
「STEINS;GATE4 六分儀のイディオム:前編」を読了しました。これまでに角川から出ていたReverseシリーズの続刊という位置づけですが、ストーリー的には続編ではなくスピンオフになっています(まぁReverseシリーズ自体が紅莉栖視点のスピンオフだという話はさておき)。既刊の感想はこちらから。
ちょっと内容についての軽いネタバレあるのでたたみます。
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- 淵源時流のパトス
鈴羽視点のスピンオフ。「失敗」しなかった鈴羽が、1975年に行って、何を見て、誰と出会い、どう生きて、どう死んだのかが描かれ、ドラマCDαともつながる話。
鈴羽は1975年でどうやって生活費を稼いだのか、どうやって大檜山ビルを手に入れたのか、どうしてフェイリスパパ・ドクター中鉢と出会ったのか、なぜ天王寺を助けたのか、天王寺の妻はどんな人だったのか、鈴羽はなぜ死んだのか、そしてなぜ鈴羽は自らの手でタイムマシンを作ることにこだわったのか。
原作・アニメと抵触しないように様々な複線を改修する手腕はお見事。そして再び未来ガジェット研究所の仲間と出会うことなく死んだ鈴羽の生は、決して虚しいものじゃなかったんだと再確認させてくれる名作。
- 虚数定理のアレーティア
綯の風船を拾おうとして噴水に落ち、風邪を引いてしまったオカリンを見舞うラボメン達。女子力のないラボメンガールズにひどい目に遭わされる岡部を見ながら、2人きりになってしまった紅莉栖は何を思うのか…。
まぁ一番女子力…というか常識がないのは紅莉栖なワケだが。こっちはコメディーです。
タイトルのとおり、後編が存在します。既に発売中ですので、そのうちレビューしたいとは思いますが…
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2012-05-22
榊ガンパレの最新刊が2ヶ月ぶりに来たよー。超待った。読みかけだった「リリアとトレイズ」を中断して読み始めた「STEINS;GATE 六分儀のイディオム」を中断して読み始めるくらい待ってた。
※既刊の感想はこちらから。
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表紙ほか
表紙は原さんと茜。この2人が肩を組んでるのはものっすごい違和感があるな…。なんでこの2人にしたのかはよく分かりませんけど、作中では茜は相変わらず原さんにひどい目に遭ってます。今回は見せ場があったからマシだけど。しかしこうやってみると原さん若いな。
帯は「戦闘への参加を許された5121小隊 しかし、敵は幻獣だけではない―友軍は海兵隊(USMC) アメリカ(USA)は敵」になってます。
巻頭付録は1巻同様戦局図と、新キャラが4名。マリア・サザーランド、中西健児、ラモン・フェルナンデス、デイヴィッド・プラッターと味方キャラが多めです。戦局図の「5121小隊進路→」の矢印の先がアパラチア山脈の印になっているのは誤植だろうなぁ。指さなきゃいけないのは左側にある青の矢印だろ。
あとがきやきむら先生のコメントは今回もありません。
あらすじ
レイクサイドヒル救出に向かうフェルナンデス大隊は、5121小隊のスタイルと衝突しながらも、次第にその活躍を認め、関係は改善していく。5121の活躍もあり、レイクサイドヒル手前のコートランド奪還に成功する。しかし、ブラックストーンとその上層組織である「五芒星」、そして国防長官は、誤爆を装って人型戦車を回収する作戦を進めていた。またコートランドを越えたところで幻獣共生派のテロが活発化し、大隊はやむなく迂回して進撃することに。五芒星からの攻撃も何とかかわし、レイクサイドビル直前のオーバーン到達に成功した。
一方その頃、レイクサイドヒルでのエンターポイント研究所では、産業スパイによるクーデターが発生。機密情報の囮として研究所を脱出したジョディは、町に潜伏していた浅井と行動を共にしていた。浅井は町の警官隊と合流するが、ジョディを追ってきた産業スパイの一団と戦闘になってしまう。幻獣を交えた三つ巴の戦いになるが、どうにかスパイを倒し、窮地を脱することが出来た。
しかしその裏では、五芒星の1人である幻獣王クリームヒルトにより、5121抹殺計画が進行していたのだった。
感想
今回はいろいろ暗躍する人たちが出てきますが、まだ顔見せで戦争そのものは順調に進行しています。異端で邪魔者扱いされている5121が、その実力を持って信頼を勝ち得ていくというのはこの作品の王道パターンですよね。今回は森がひどい目に遭うこともあっちゃんの病気が出ることもなく、安心して読めました。
そして巻末は戦争から一時開放された5121の面々によるくすぐり大王がキタ――(゚∀゚)――!!せっかくコスプレメインのイベントなんだからもっと挿絵は多くてもいいと思うのよ。今回の挿絵は萌×ナースだけでした。萌も好きだからいいけど。
あと今回は茜がかなり参謀らしい活躍をしているんですけど、最後の最後で小隊の大ピンチを回避したのが、茜の作戦ではなく速水の推理だったというところに彼の限界を感じる。「絶望した!すごいのに陰に隠れてしまう社会に絶望した!」
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2012-05-16
海羽先生の「比翼恋理のだーりん」ノベライズ、「STEINS;GATE 比翼連理のアンダーリン」の2巻を購入してきました。相変わらず表紙イラストが素晴らしい。今回の帯は「まゆしぃ、マジ天使!?」ですが、相変わらず帯詐欺なのでご注意を。1巻とは別の意味でだが。
※1巻のレビューはこちら。
今回も完結には至っていません。激しくネタバレがあるので以下折りたたみます。今回から比翼恋理のだーりんともまったく違うストーリーが展開されるので、原作ゲームをプレイした人もご注意を。
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- intermission*2
前巻のintermission*1の続き。かなり抽象的な話なのでまだどういう意味かは分かりません。この風呂敷ちゃんとたたんでくださいよ…
- chapter06
前巻のラストでタイムリープした岡部の話。この世界でも岡部はリーディング・シュタイナーを持っていますが、今回のタイムリープではタイムリープにより遡行した時間帯の記憶を保持していない模様。どういうことなのか。ストーリーは「迷走螺旋のアルケー(鈴羽ルート1)ですが、鈴羽は最初から自分の正体を明かしてダルに近づいているので、増長ダルは登場しません。
- chapter07
ここからほぼ完全にオリジナル。鈴羽は世界線を保護するため、世界線を不確定に変動させようとしている正体不明の人物(タイムトラベラー)を探そうとしているらしい。その一環でIBN5100も探している。
- chapter08
岡部はIBN探し中。前述の通り岡部にはタイムリープの記憶はないが、ダルや紅莉栖は自信がタイムリープしているかのような挙動をしているのでだんだんストーリーが複雑に。
ちなみにわずかに「倒錯のアニマ(るかルート1)」を含んでいますが、ドラゴンについてはすぐに紅莉栖がネタばらしするので展開はしません。
- chapter09
IBN5100の所在は分かったものの、何者かが持ち去ったことが発覚。その犯人は意外な人物だった―これはマジで虚を突かれたので、ぜひ読んで確かめてください。
- chapter10
犯人を岡部が追っていくと、ストーリーは怒濤の展開を見せます。最後は血まみれの○が登場したところで紅莉栖が岡部を無理矢理タイムリープさせ、タイムリープの記憶を再び岡部が失ったところで幕。最後の紅莉栖(?)のセリフ「また失敗か」が怖い。
- intermission*3
2の続き。
1巻のドタバタラブコメの影はすっかりなりを潜め、シュタゲ本編の緊張感のある展開になっています。特に終盤の盛り上げはまさに予想外と言ってもいい話だったので、シュタゲファンにはぜひ読んで頂ければと思います。ちょっと分厚いけどな!
岡部「では訊くが、ドクペの他にどのようなドリンクであればマッドサイエンティストっぽいというのだ?」
紅莉栖「JOLT。あのコーラだったらギークっぽいんじゃない?」
マッドサイエンティストというよりは、どう考えてもダルの領域である。却下。
まゆり「んーと…じゃあカレーなんて、どうかなー☆」
がっつりメシだろうそれ。
※小説173~174ページより抜粋引用
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2012-04-11
宮部みゆき先生の最新作(だっけ)「ここはボツコニアン」を読みました。久々にラノベじゃない小説読んだなぁ。ラノベの定義はよく知りませんので、何をもって「ラノベじゃない」と言っているのかはつっこまないように。
さて宮部先生といえば知る人ぞ知るゲーマーで、ICOの小説とかも書かれている方ですよね。うちのサイト的なネタで言えば、TOAをプレイされていたという話を聞いています。僕は先生の熱烈なファン…というわけではないのですが、以前先生がRPG的な世界を舞台に書かれていた「ブレイブ・ストーリー」が面白かったので、ちょっと気にはしてました。
そんな時本屋で、「わたしもゲーム女のはしくれ。ずうっと書きたかったお話なんです」みたいな帯が付された本を見かけたら、それは買わないわけにはいかないでしょう。
あらすじ
本物の世界の「ボツネタ」が集まってできた出来損ないの世界「ボツコニアン」。そこに住む双子の姉弟ピピとピノ(まとめてピノピ)は、世界をよりよい世界に作り変えるため、何者かによって「長靴の戦士」に選ばれ旅に出る。RPG的でありながらどこか不条理なこの世界で二人は何を見るのだろうか――
感想
普通のファンタジー小説の様相ですが、実際にはRPGのプレイ日記的なものに近いかもしれません。作者が世界設定に突っ込んだり、登場人物が「本物の世界」(いわゆる現実の世界)のネタを電波によって受信したり、普通にファイナルファンタジーだのマリオだのといった名前が伏字にすることなく出てきたり、とメタ的なネタがそこかしこに出てきます。
世界もさすがボツネタを集めただけあって不条理の連続です。「敵が強すぎるチュートリアル」「使用者のSAN値をゴリゴリ削るエフェクトの魔法」「毒状態でもないのに移動するだけでHPが減少する仕様」(ちなみにお弁当は満腹度を回復させてくれるがHPは回復できない)など、クソゲーといわれても仕方ない内容がてんこ盛りです。主人公の二人は単に世界によって選ばれただけで、強力な特殊能力を持っているわけでもなく、そのたびに知恵と勇気とご都合主義で乗り越えて行きます。それがおもしろい。RPG好きならニヤニヤする展開もたくさんありますよ。
ちなみにヒロインのピピはなかなかにかわいらしく描かれているのですが、主人公たちは姉弟なのでラブロマンス的な要素は皆無です。あしからず。
タイトルを見て1冊完結かと思っていたのですが、どうやら現在でも好評連載中の模様。続きが気になるので、次巻も買ってみようと思います。しかしこの先生も速筆ですね。別に誰と比較しているわけではありませんが。
2012-03-17
「ガンパレード・マーチ2K 新大陸編①」を購入してきました。
今回の表紙は速水と萌、それに士魂号複座型です。あっちゃんの顔が無表情でちょっと怖いです。初版の帯には「5121小隊海を渡る。招待客としてアメリカを訪れた5121小隊。しかしそこは、悪夢のような場所だった―」のアオリが。それから裏表紙のイラストはなくなってます。なにゆえ。
あと作者あとがきやきむら先生のラフイラストも今回はありません。なにゆえ。
以下ネタバレあり。
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あらすじ
北海道の動乱より2ヶ月。ようやく国内は平穏を取り戻しつつあり、5121小隊の面々も平和なひとときを楽しんでいた。そんな折、アメリカは人型戦車の技術を得るため、日本政府に5121を軍事顧問として派遣するよう要請する。先の戦争でアメリカから資金援助を受けていた政府はこれを断ることが出来なかった。5121小隊とその護衛役の箕田小隊は、ワシントン近くのフォレストウッド空軍基地へ送られるが、そこにいた米兵たちは5121に対しあからさまな敵意を見せ、政府間の協定を無視して人型戦車の引き渡しを求める。それに反発した5121は格納庫を占拠し抵抗。膠着状態を嫌った基地司令官のブラックストーンは、基地からの退去を認める代わりに、国境を越えて侵入してきた幻獣に襲われたレイクサイドヒルから住民を避難させるための作戦への参加を求める。5121はフェルナンデス大隊の指揮下に入り、レイクサイドヒルへ向かうが、それは小隊を弱体化させ人型戦車を奪おうとするブラックストーンの罠だった。
一方、仕事でレイクサイドヒルに来ていた浅井は、幻獣の襲撃によりホテルに閉じ込められていた。警察に情報提供しながら市民の救出を図るが、共生派の魔の手はすぐ側まで迫っていた。
感想
半年ぶりに刊行された2Kシリーズの最新作です。時間軸的には「北海道独立」から2ヶ月、「5121暗殺」から1ヶ月後と言うことになります。ストーリー的には導入部分ですし、5121はもともと参戦する予定はなかったので、戦闘シーンも割と控えめです。
渡米したことで、5121以外のほとんどのキャラは登場しません。人間関係もスッキリしていますので、ここから読み始めても良いのではないかと思います。浅井さんは元々、落合という名の自衛軍の軍人でしたが、陰謀に巻き込まれて重傷を負い、死んだ事にされて今は芝村のエージェント的なことをしているという事だけ理解していれば大丈夫でしょう。
今回は派手なアクションよりも、腹の探り合いというか陰々滅々としたやり取りが中心になっています。あっちゃんはいつもの病気が出てしまっていますけど。そしてまたもや森が不幸な目に…。善行さんは居残り組なのであまり出番はないですが、5121に任務を告げる場面で、いかに小隊を信頼しているかがはっきり示されており、ちょっと感動しました。
次巻の予定は特に記載されていませんでしたが、いつもどおりなら来月かな。
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2012-03-09
「学園キノ」5巻のレビューです。他の巻のレビューはこちらからどうぞ。
初版の帯には、「もし高校野球の女子マネージャーが茶子先生の「すぐやる部」を呼んだら」というアオリ文句が書かれています。某ベストセラー本とは関係ありません。ただある意味その通りのストーリーなのですが。
今回で現在までの既刊の感想はひとまず終わりですね。
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- 第8話 もし高校野球の女子マネージャーが茶子先生の「すぐやる部」を呼んだら
最近はすっかり定着した、一巻まるまるの長編です。
あらすじ
日曜だというのに朝から校庭に駆り出された「すぐやる部」の面々。茶子先生によればその日の午後に予定されている野球の試合に出場することが今日の部活動らしい。いつもどおり食事に釣られたキノは、ルールすらおぼつかないのになぜかバツグンのボールコントロールを見せ、ピッチャーを務めることに。
午後になるとやってきたのは学園の野球部。部のレベルアップになればと、野球部のマネージャーが茶子先生に依頼していたのだ。そしていよいよ試合開始。序盤は互角に進んだ試合も、中盤、相手ピッチャー戸津川が精神的に崩れ始めたことをきっかけに、すぐやる部が大量リード。戸津川は責任を感じて凹むが、マネージャーの愛の告白で何とか立ち直る。だがそのマネージャーは実は魔物が変身した姿だった。戸津川は魔物と化すも、そのまま試合は続行。すぐやる部は魔物チームに勝てるのか、そして勘違いした戸津川の恋の行方は!?
感想
個人的にはこのシリーズで一番面白かったです。前半の妙にリアルな練習風景、中盤の白熱したゲーム展開、そして終盤のアストロ球団。次から次へと巻き起こる珍事件に息もつかず最後まで読み切ってしまいました。
「この私が助っ人に入れば、優勝間違いなし!」「やったことあるの?野球」「まさか。でも同じタマを使う運動だから射撃とそっくりでしょ?楽勝よ」「いや、そのりくつはおかしい」
- 第8.5話 かなりピンぼけ
珍しく次回への伏線だけの短いお話。
あらすじ
学園でただ一人、写真愛好会に所属する女学生。偶然遭遇した魔物の襲撃(8話参照)をカメラに収めたけど、帰宅して現像したらそこに写っていたのは木乃が謎の(中略)木乃に変身する姿だった!これってスクープ!?
- その他
今回のあとがきは約8ページと比較的常識的な長さでした。
イラストレーターの黒星センセが、絵描きになったきっかけをコメントしています。まさかセンセが高校球児だったなんて…(笑
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2012-03-02
「ガンパレード・マーチ」でおなじみの芝村裕吏氏初の描き下ろし長編小説「マージナル・オペレーション」の1巻が発売されたので買ってきました。…芝村裕子名義で書いていた「頂点のレムーリア」はどうした。
さて、芝村氏と言えば、ガンパレ、精霊機導弾、絢爛舞踏祭などの舞台となっている世界観の発案者として知られています。いろいろ問題発言も多く話題には事欠かない人ですが、やはりガンパレにはまった身としては小説を出すと言えばそりゃ買わせてもらいますよ。レムーリアも面白かったですし、アナザー・プリンセス(芝村氏が原案)もチェックしてますしね。
んで芝村氏と言えばもちろん戦争物です。今回はガンパレのようなややファンタジーではなく、完全に現代戦を描いた物語です。無名世界観とは関係ないかな…とも思えますけど、第7世界(無名世界観では世界は大雑把に7つの並行世界からなっている。数字が若いほどファンタジー性が強くなり、第7世界は現実世界とほぼ変わらない世界)だと言えばそれまでだしな…。著者もあとがきでそれをにおわすようなことを行っていますし。
興味のある方はこちらのサイトをどうぞ。
4Gamer.net ― “ガンパレ”芝村裕吏氏,初の書き下ろし長編小説「マージナル・オペレーション 01」が刊行。芝村的世界観の原点に迫るロングインタビュー
以下あらすじと感想。ネタバレあり。
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あらすじ
30歳のニート、アラタはひょんなことから民間軍事会社に就職。ゲームの延長のようなオペレーティングの訓練を繰り返す日々を送る。ある日点数稼ぎを優先させた判断で一つの村を滅ぼしてしまう。しかし、それは訓練ではなく、生身の戦争のオペレーティングだった。そのことに恐怖しながらも、軍事的才能を次第に開花させていくアラタ。優秀な現場指揮官で友人となるオマル、自らの耳をエルフのように改造手術している少女ソフィア、戦場で出会う少女ジブリール、彼らとの出会いがアラタにもたらすものは―
感想
戦争物ですけど、はでなドンパチはありません。主人公はオペレーター(作中ではOOと呼ばれる)なので、事実上の指揮を執っているとはいえその仕事はモニタを見ながら指示を下すのがメインです。
むしろ戦争の合間に構築されていく人間関係が面白いです。当初はすぐに自分か相手がいなくなってしまう場所で、人間関係を構築するなんて意味がないと考えていた主人公が、自分の仕事や趣味や人生を考えながら揺れ動くさまが淡々と描かれていて、戦争物としては少し異質な感じがしました。終盤の展開はちょっとどっきりした。
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2012-02-23
「学園キノ」4巻のレビューです。他の巻のレビューはこちらからどうぞ。
今回の新キャラはエリアスと沙羅という「すぐやる部」の新入部員です。これも元ネタは忘れていたんですけど、最後まで読んだらさすがに思い出しました。何巻に出て来たキャラだったっけ…
あと今回の感想から少しネタバレ成分減らしてます。
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- 7話
今回もまるまる1巻使った長編です。
あらすじ
最近日本中で人気の13歳の歌手、「アネッテ・原見」。その歌に聞き惚れながらも、微妙な違和感を感じるキノ。それはそうと茶子先生は、新たな「すぐやる部」の活動として、バンドを組んで新人バンドコンテストに出場することを(勝手に)決定。キノもいつもどおり食い物に釣られ、ギター&ボーカルとして参加することに。
いよいよコンサート当日。茶子は新入部員として中学生のエリアスという少年と、沙羅という少女を連れてくる。その頃、舞台裏ではコンサートを中止させようとする何者かが暗躍していた。そんなことはつゆ知らずバンドコンテストはスタートするも、会場を襲撃していた謎の集団が魔物化してしまう。変身して立ち向かうキノ(残りの二人はバンド演奏中)だが、キノは変身1回で1体の魔物しか倒せないため、多勢に無勢の大ピンチに。それを助けたのは、魔物化したエリアスだった。エリアスは元に戻れるのか、コンサートの中止を目論む謎の集団の目的は、そして再び登場の美老婆銃士ヴァヴァア・ザ・スーパーの正体は!?
感想
これまではほとんど無双だったキノの意外な弱点が明らかになった7話でした。アネッテ・原見の秘密はエリアスと沙羅の元ネタを知っていれば容易に分かるので、もし忘れているなら忘れたまま読むことをオススメします。珍しく自作への伏線を残した話でした。まぁ美味しいところはいつもどおりヴァヴァアがもってっちゃったわけだが。
- 6.5話「あるばくだんしょうじょのおはなし」
7話のプロローグに当たるお話です。ティーが長くしゃべるときは物語が大きく動くとき。
- その他
今回もあとがき25ページ。しかも浅野真澄さんが登場するとは思わんかった。
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2012-02-15
「学園キノ」3巻のレビューです。今回から1巻まるまるを使った長編スタイルにシフトしています。新キャラも出て来ますけど今作はゲストキャラクターですね。
新キャラ「イーニッド」はキノの旅3巻「終わってしまった話」に出て来た海賊の少女ですね。正直忘れていました。こんなキャラだったかなぁ。3巻とか読んだの何年前なんだよ。
ちなみに1巻/2巻のレビューもしています。
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- 5.5話「チャコズ・レポート」
いきなり実在の政治家がほぼフルネームで出てくるんですけど、よくこれ通ったな…
話自体は6話のプロローグです。正義の味方が地球外生命体と好き勝手戦っていても、政治家はそれをスルーするわけにいかないという悲しい世界の理が描かれた問題作。
- 6話
ここからは6章を使って1つのストーリーが展開します。
アメリカからやってきたちょっとアニメオタクの転校生、イーニッド。茶子先生は次のすぐやる部の活動として、イーニッドに日本のいいところを紹介する、という活動を提案。乗り気でなかったキノも、部費で各地の名物を食べまくれるという話を聞いて快く参加。秋葉原を観光する一同を、影から見つめるあやしい男たち。彼らはイーニッドを狙う一団だったが、罠にはまり魔物化。いつもの3人は変身して迎撃に向かうが、今回の魔物は妙に賢く苦戦してしまう。しかし戦いに巻き込まれたイーニッドの勇気ある活躍と、三者三様の全力バトルで見事に勝利。彼女は幼い頃から命を狙われており、それから逃れるために日本に来たのだった。無事犯人を捕まえ問題が解決したことで、イーニッドは学園を立つ。キノたちは空港に駆けつけ、たくさんのプレゼントを渡してイーニッドに別れを告げたのだった。
今回はサモエド仮面かっこよかったなぁ。ティーが出てくるまでの間に限られますけど。ティーでオチを付けるためだけに必要以上にかっこいいシーンが多かったんだなきっと。あと入浴シーンがあるんですけど、挿絵の1枚もないにも拘わらず「不自然な湯気」が文章中にちりばめられているのに笑いました。「DVDにおいて全て外れます」って書いてあるけど、DVDいつ出るんだよ!
- その他
あとがき30ページ。この人どうなってるんだ。あと武器の描写についての作者ならではのこだわりが描かれています。確かに「アリソン」とかでも指や手の動きを細かく描写してたもんなぁ。
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2012-02-08
紅莉栖主観のシュタゲ小説がついに完結です。今回も軽いネタバレあります。サブタイがReverseからRebirthになっているのは気づきましたか?
※1巻/2巻の感想はこちらへ。
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紅莉栖のデレぶりが素晴らしいこの小説もついに最終刊です。…って分厚っ!1~2巻が約270ページだったのに、3巻だけ400ページ超とか予想外すぎる。
前回の続きでオカリンによる事情説明から入ります。さすがに転換点になる鈴羽のエピソードはしっかり語られていましたけど、その他のヒロインの話はざっくりカットされていました。まぁコレは仕方ない。それ全部書いちゃったら何のための紅莉栖視点か分からないですから。その代わりに「ドラマCDα 哀心迷図のバベル」がほぼ丸ごと織り込まれていました。この話はドクター中鉢とフェイリスパパ、鈴羽の繋がりを描いた重要度の高いエピソードなので良かったと思います。
原作では救われなかった紅莉栖と中鉢との関係も、少し希望を残す形で終わっています。
しかしそれよりも大事な点として、シュタインズ・ゲートの紅莉栖がどうして他の世界線の記憶を持っていたのかについて、かなり大胆なオリジナルの理論構成がなされています。ある意味非常にシュタゲらしいストーリーではあるのですが、その反面、理論的な裏付けを与えてしまうと、想像の余地(端的に言えば「愛の奇跡」のことだが)が少なくなってしまうのでここは難しいところですね。ぜひご自身で読んで、その結末を確かめてください。個人的には好きですよこういうの。
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