2021-10-31
【ゲーム】新釈・剣の街の異邦人 レビュー
やっぱりDRPGはシステムだよな。
新釈・剣の街の異邦人
プラットフォーム | PlayStationⓇ Vita | |
ジャンル | 本格ファンタジー・ダンジョンRPG | |
価格 | 「蒼き翼のシュバリエ」同梱版 | |
公式 | 新釈・剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~ | |
プレイ時間 | 40時間(本編クリア) +12時間(トロコン) |
ストーリー
- 旅客機の事故に巻き込まれた「あなた」が目を覚ますと、そこは見知らぬ剣の街「エスカリオ」だった。「あなた」と同じようにこの世界に迷い込んだ人々の寄り合い所帯―異邦人ギルドに保護されたあなたは、街の人々を脅かすモンスター「血統種」を消滅させる特別な力を持つことを知る。そして、「血統種」が持つ神秘の結晶「純血晶」を巡る争いに巻き込まれていくのだった―
- いつも言っているとおりDRPGでストーリーは飾りですが、本作は結構話の筋がきっちりしていたと思います。純血晶を狙う三勢力の争いに巻き込まれながら、少しずつ世界の謎が明らかになっていく展開になっていましたし、殺伐とした世界観にふさわしいイベントもあったりしてよかったのではないでしょうか。
- エンディングは、光、闇、中立の3つが用意されています。…まあ2つはバッドエンドっぽくてもう1つもグッドエンドとは言いがたいのですが、この世界観なら仕方ない。ちなみに時系列敵には、「蒼き翼のシュバリエ」と「デモンゲイズ」の間の時間軸で、蒼き翼のシュバリエに登場したキャラもちょっとだけ登場しますが、些細なことです。
システム
- 上記の通りシナリオはほとんどなく、基本的には迷宮に潜って探索し、拠点に戻って回復する、の繰り返しです。いつものエクスペリエンスゲーですが、その中では難易度が高めになっています。
- 今回もパーティにユニークキャラはおらず、全員キャラメイクをしていくことになります。キャラは「名前」「ビジュアル」「種族」「職業」「ボーナスポイントの割り振り」「素性(初期スキル)」などを自由に設定することが出来ます。一度決めると名前以外は一度決めると変更出来ないので、最初から育成計画を立てていた方がいいかも。キャラクターの強さは、レベルで決まる能力値(初期ボーナスポイント+レベルアップごとにもらえるボーナスポイントは自由に割り振れる)と装備、それにスキルで決まります。
- スキルは職業依存です。転職は自由に出来、取得したスキルは他の職にも引き継ぐことが出来ます(個数制限あり)。ただ転職をするとレベルが半分に下がってしまいます。本作では一つの職のスキルを全部取得するにはレベルを28~35くらいまで上げないといけないのですが、クリア時のレベルがちょうどそのくらいなので、あまり多くの職をマスターする余裕はないでしょう。ただいくつか強力なシナジーを有するスキルもあるので、2つ3つの職は経験しておきたいところですね。
- キャラクターには、「生命点」という値が1~3の中で設定されています。迷宮探索中に死亡した場合、その生命点が1減少し、0になるとそのキャラはロストします(つまり生命点1のキャラは死亡=消滅)。また死亡した場合、拠点で蘇生させることが出来ますし、また生命点も休養で回復させることが出来るのですが、それにはすごく時間がかかります(一定回数戦闘しないと回復しない)。即時回復も可能ですが、びっくりするくらいのお金がかかります。なので基本はノーデスプレイをすることになるのではないでしょうか(サブパーティを作っておくことも考えられますが、このゲームではキャラクターを強化するアイテムはなかなか手に入らないので、戦力を分散するのはあまりオススメしません)。
ちなみに「生命点」は、キャラメイク時に設定した年齢で決まります。若いほど生命点は高くなります(その代わりボーナスポイントが低くなる)。1だと危なすぎますし、3は多すぎるので、2にしたいですよね?でも生命点が2になる年齢の中で、一番若いのは40歳なんだ…。つまりうちのパーティにいるかわいい女の子はみんな40代ってことだ。
- そんなわけでうちのパーティのキャラメイクについては、先日紹介しているのでそちらをご覧ください。
- このゲームに特徴的なシステムとしては、「待ち伏せ」があります。これは迷宮内の特定の場所で、モンスターの輸送隊を襲ってアイテムを稼ぐというシステムです(デモンゲイズにも似たようなシステムがありましたが)。出現するモンスターは迷宮内で通常エンカウントするモンスターより強かったりもしますが、倒すと必ず宝箱を落としますし、宝箱の中身もある程度はコントロール出来ます。経験値稼ぎも同時に出来るので、進行に詰まっても、そこでレベルと装備を強化して進められるようになっていました。DRPGの楽しみの一つであるハクスラを存分に楽しむことが出来ました(といっても、何度も繰り返さないとクリア出来ないという難易度ではありません)。
- 迷宮はオーソドックスな3Dダンジョンです。迷宮内にもあまり複雑な仕組みはなく、一方通行、鍵付扉、ダメージ床、毒床、転移床、隠し扉、落とし穴などわりとよく見られる感じになっています。敵は固定シンボルとランダムエンカウントの組み合わせです。脱出ポイントも余り多くないので、初回の探索は結構気を遣いますが、一度マップを描けば、オートパイロットが非常に優秀(敵シンボルは回避するし転移床以外の罠にも基本的に引っかからない)なので、探索の再開は結構楽です。
キャラクター
- 登場人物は、光、闇、中立の三勢力のボスとその腹心、あとキーパーソンが数人くらいです。それぞれいろんな秘密を抱えていて、また腹芸もお手の物なので、誰が味方なのかよく分からず、期せずして異世界に放り込まれた主人公の戸惑いに感情移入出来ましたね。
- 光勢力のボス「マリリス」は、多分蒼き翼のシュバリエに登場したあの人とは別人だと思うんですけど、中盤のイベントが悲しすぎます。そしてそんな彼女に同情して光勢力に肩入れしても、光エンディングがアレとか、エクスペリエンスには血も涙もないのか!
- 闇勢力のボス「アルム」は最初、闇というだけで警戒してましたが、意外と爽やかな若者で安心しました。そんな彼との友情に引かれて闇勢力に肩入れしたところ、闇エンディングがアレとか、真の闇はエクスペリエンスの方だよ!
- 中立勢力(異邦人ギルドのこと)のボス「理羽」は、異邦人達が元の世界に戻れるよう色々心を砕いているいい子なんです。でも光と闇にいいように使われている感もいなめないな…。そんな彼女と一緒に元の世界に戻ろうと中立勢力に肩入れしたところ、中立エンディングがアレとか、エクスペリエンスは自分さえ幸せならそれでいいのか!(でも新釈でのアンナの追加イベントはよかった)
戦闘
- 前述の通り、迷宮の固定位置に存在するシンボルとのシンボルエンカウントと、ランダムエンカウントを組み合わせた方式になっています。ただレベルが低い敵との戦闘を抑制するスキルがあれば、いずれのエンカウントも回避出来ます。
- 敵の強さ自体は理不尽なものではありませんが、割と致命攻撃がメジャーで、前述した死亡によるリスクの高さも合って、慎重な探索が要求されます。装備やスキルで致命攻撃を防止するのは難しいので、致命攻撃を持つ敵は覚えておいて、出現したら神気スキル(パーティ全体の共通スキル。ストーリー進行で習得)の「精霊の壁」を惜しまず使いましょう。
- ボスは火力が高かったり、致命攻撃をしてきたり、隊列を破壊したり、士気を下げたり、大量のザコを召喚したり、一度受けた攻撃を見切ったりとうっとうしいキャラが目白押しです。しかしこちらには「ガードカウンター」があります。これは敵の攻撃を防御した時、一定の条件を満たしていると反撃し、敵を気絶させるというものです。気絶した敵は1ターンの間動けませんし、防御力は下がり、こちらの攻撃も必中になり、見切りも発動しなくなります。なのでまずはキャラクターを強化し、ガード、カウンターが決まったら高火力低命中の攻撃で敵のHPを一気に削る、というのが鉄板戦術になります。決まると気持ちいいですよ。
- 戦闘はターン制のコマンドバトルで、ターンごとに敵味方が速度の順に行動します。戦闘は通常戦闘と高速戦闘があり、高速戦闘なら1ターンを一瞬で終わらせられるのでストレスフリーです。ログも保存されるので、突然死した場合も死亡原因が特定出来るようになっています(※ただしログを見るとフリーズが起こるバグが未だに修正されていないようなので要注意。yukkun20も大分気をつけていたのですが、1回遭遇しました)。
総評
- ストーリーも結構面白く、戦闘とシステムはいつも通り安定しているので、これまでプレイしたエクスペリエンスのDRPGの中でも高評価でした。ただ一つ言いたいことがあるとすれば、キャラグラがかわいくない…。キャラメイクをシステムに入れる場合、外見も結構重要なので、そこにはもう少し力を入れてもらいたかったですね。
- ただグラフィックが苦手だからとこのゲームを避けるのは(yukku20のことですが)少々もったいないです。DRPGの面白さがぎゅっと凝縮された作品なので、ちょっと難易度の高いDRPGをプレイしたいという方には強くオススメ出来ると思います。
- トロコンの難易度もそれほど高くありません。今回も「大村正」などを入手するというリアルラック次第のトロフィーがありますが、ほとんど苦労せずに全部集められました。またトロコンに必要なレベルは30~35あたりですが、その後はレベル99まで上げられるエンドコンテンツが待っているので、やり込み派の人も安心です。
- 「蒼き翼のシュバリエ」のおまけということで、あんまり期待せずにプレイし始めたのですが、思った以上に面白い作品でした。エクスペリエンスの次回作も楽しみです。