2013-12-26
皆さんは覚えているだろうか―2009年に月刊コミックアライブで連載開始した、シュタゲ本編のコミカライズ作品があったことを―
皆さんは覚えているだろうか―第1巻の限定版に付いていたドラマCD「ラボメン円卓会議」が秀逸な出来だったことを―
というわけで、3年越しに続刊が出て一気に完結した、シュタゲメインルートのコミカライズ作品のレビューです。
Steins;Gate 2/Steins;Gate 3
著者:さらちよみ
レーベル:MFコミックス アライブシリーズ
価格:543円(税別)
レビュー
2巻と3巻が同時発売となりました。物語が動き出す中盤以降が比較的本編(メインルート)に沿った形でコミカライズされています。ただ所々で話を端折りすぎてつじつまが合わなくなっているのが気になります。シュタゲは伏線が緻密なところも魅力なのでこれはちょっと…
あとキャラクターがやや全体的にハイテンションなので、勢いになれないと辛いかも知れません。
総じてゲームのコミカライズとしては普通の出来ですのでファンアイテムでしょう。
所々に挟んであるオリジナルの台詞などは秀逸なものがあり、この作者の方は原作のない作品の方が輝くのではなかろうかと勝手ながら思ってしまいました。
ダル「なんか単純すぎね?」
岡部「鳳凰院凶真は単純なことほど大げさに言う男だ」
※3巻151ページより引用
2013-12-05
あっという間にAmazonで瞬殺されて(現在は入手可能)、本屋を5軒巡ったけど全く入荷されていなかった一冊です。やっぱりニッチなのかなぁ…
放課後さいころ倶楽部1
著者:中道裕大
レーベル:ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル
価格:552円(税別)
あらすじ
京都に引っ越してきた女子高生の綾(表紙中央の少女)と、その初めての友達で少し引っ込み思案な同級生の美姫(左)。ある日の放課後、繁華街を歩くクラス委員長の翠(右)のあとをこっそり付けた二人が行き着いたのは、アナログゲームの専門店「さいころ倶楽部」だった。3人はゲームを通じて次第に仲良くなっていくのだが―
レビュー
以前もチラッと話に出したんですけど、ぼくはボードゲームが大好きで、定期的に巡回しているボードゲーム関係のサイトも結構あります。その一つで話題になっていた、アナログゲームを題材にしたコミックです。
失礼ながら作者の方のお名前はこの作品で初めて知ったのですが(数年前にサンデーで連載されていた「ハルノクニ」の作者みたいですね)、絵が非常に達者というかボク好みで、それだけで満足感ありましたけど、それだけじゃなく話の転がし方がすごく面白いんですよね。
こういうゲームを題材にした漫画だと、ルールの解説で何ページも使っちゃったり、勝負自体に重きが置かれてしまうのが普通ですが(別にそれを否定するつもりはありません)、この漫画はそれよりも、ゲームを通じて生じる人間関係に重きが置かれています。ゲーム描写も十分ありますが、プレイ描写は基本的に1つのゲームにつき1話だけと短く、複雑なルールの説明は省略されています。ゲームをしない話も結構あります。でも面白い。出てくるゲームを買ってみたくなること請け合いです。あとはプレイしてくれる友達がいればな…
アナログゲームが好きな人にしっかりお勧めです。1巻では「マラケシュ」「ごきぶりポーカー」「ねことねずみの大レース」「ハゲタカのえじき」「ミラーズホロウの人狼」の5ゲームが取り上げられています(全10話なのでゲーム話は半分ということですね)。
2013-11-26
明日からうちの事務所に研修生が来るので、受け入れ準備に大忙しです。
そんなわけで今日は簡易更新。
うるるんロギー 『めぞん一刻』この1シーンが初出掲載時と単行本とで違うの知ってた?
めぞん一刻面白いですよね。小さい頃から高橋留美子先生のファンなんですが(特に初期の作品群が好き。そういえばこのサイトではあまり取り上げたことないなぁ…)、最初に買った漫画は「らんま1/2」でも「うる星やつら」でもなくこれです。しかも買ったの高校生の頃なんだよな…。ちょっと年齢不相応な気がしなくもない。
一刻館のキャラが立ちすぎた面々が織りなす人間模様や、響子さんのちょっと面倒くさい性格とか、三鷹さんの光る歯とか色々見どころがありますけど、個人的には作中のちょっとしたセリフ回しが好きですね。一番印象に残っているのは、五代の実家から送られてきた食べ物を四谷さんがたかろうとした時のやり取りで、
四谷「水くさい。長年喜びも悲しみも分かち合ってきた仲なのに」
五代「そろそろ袂も分かちたいですね」
っていうシーンです。マイナーですいません。
でも響子さんって初登場時21歳なんですよね。三鷹さんですら20代後半ですよ…なんかショック。
この作品がお好きな方には、このサイトがオススメですよ。
めぞん一刻小辞典
2013-11-20
今日は本屋で衝動買いしてしまったこの一冊。
岸辺露伴は動かない
著者:荒木飛呂彦
レーベル:ジャンプコミックス
価格:419円(税別)
レビュー
内容をネタバレしてしまうと面白さ半減どころではないので、当たり障りのないレビューを。
コミックスには、ジョジョ第4部の登場人物「岸辺露伴」を主人公にしたスピンオフ作品のうち「懺悔室」「六壁坂」「富豪村」「密漁海岸」「岸辺露伴グッチへ行く」の5作品が収録されています。いずれも短編漫画です。
ぼくはジョジョは一通り読んだくらいで特に好きな漫画!というわけではないのですが、露伴先生はわりと好きなキャラなので購入を決めました。ヘブンズドアーの使い方もいつも機転が利いていますよね。
この作品の中では「富豪村」が好きかな。露伴の割りといい人なところが垣間見られますし。しかし結果的には良かったものの、こんな場所に露伴を連れて行く編集者の人を見る目のなさにちょっと同情。
ところでこの話って、オチが微妙に変わっているような気がするのですが気のせいですかね…。誰かジャンプ本誌に掲載された時のことを覚えている方はいらっしゃいませんか…
2013-11-09
COMICメテオさんのWebコミック「星界の紋章」が更新されましたよ。今回は間隔が3ヶ月に戻りましたね。前回5ヶ月でしたんで…
星界の紋章
第7話は引き続きゴースロスと敵艦隊との戦闘シーンです。話の配分から考えても戦闘終了までかと思いましたけど、まさかの「つづく」。これ本当に完結までたどり着けるのかな…
しかし防御磁場か思いっきりバリアーしててちょっとびっくり。これどういう原理で反陽子防いでいるんでしょうねぇ。でもこうやってバリバリ光ったり破れたりするのってSFっぽいよね。
※画像は第7話13ページから引用
2013-11-03
今回は再びドラマCD付き限定版を購入。ドラマCDと聞くと無条件に買ってしまう自分もどうかと思うのですが…聞いていないCDが溜まってきてるし。
銀の匙 Vol.9
著者:荒川弘
レーベル:少年サンデーコミックス
価格:419円(通常版)、1000円(限定版。いずれも税別)
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あらすじ
御影に勉強を教えることになった八軒は、兄が残した受験ノートを取りに行くため、久しぶりに札幌の実家に帰省する。再会した父親に「勉強で脱落した人間が人に勉強を教えるというのか」と厳しい言葉を投げかけられるが、八軒は生まれて初めて父親に自分の意見をぶつけ、実家をあとにするのだった。
その様子を見ていた母は、息子が高校で何をしているのか興味を持ち、単身エゾノーを訪問する。級友や先生達から息子の成長ぶりを聞かされた母は、八軒が成長していることを感じているようだった。
他方エゾノーでは、八軒のベーコン作りのノウハウを活かして、生徒達が共同でブタを購入して自らの手で加工・販売するという豚肉ファンドを立ち上げることになった。またもや中心に担ぎ上げられながらも、今度は全て一人で抱え込まず、信頼出来る仲間と苦労を分けあう八軒。しかし御影との距離はなかなか縮まらないまま、クリスマスの季節を迎えようとしていた―
感想
今回は全体的にシリアスな話が多かったですね。八軒の父親は言い方はきびしいけど、言っていることは結構正しいので余計胃に来るんだよなぁ。お母さんはもうちょっとフォローしてあげてよ!と思うんですけど、そのあとエゾノーに見学に来るシーンとかを見ると、母の愛を感じてジーンとします。さりげなく昆布できちんと出汁をとるなど、きちんと料理を作っていることが伺えますね。
あと八軒兄のノートなんですけど、わざわざ「過去問をとにかくやる」「長い文章題は先に問いを読む」みたいなことを書いていると言うことは、これ自分の為じゃなくて八軒のために作ったノートですよね(自分でわかりきったことはノートには書きませんから)。そこら辺は全く本編中で触れないんですけど、こういうところがなんかいいですね。でも文章題で先に問いを読むのは常識なんじゃないのかなぁ…
あ、今回の吉野さんは「八軒キモい。」(p.31)のコマが良かったです。
西川「あれ、あるじゃん。甘栗の皮がすでにむかれてるおやつ。あれ、パッケージに「私達がむいてます」って甘栗工場のめんこい女子の写真載せたらもっと売れるんじゃね?」
八軒たち「おまえ本当天才だな!!」
※98ページより引用
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2013-11-01
首を長くして待っていました!今一二を争うほど面白い漫画、「信長の忍び」最新刊です。
信長の忍び7
著者:重野なおき
レーベル:ジェッツコミックス
価格:571円(税別)
あらすじ
今作では信長包囲網の完成、比叡山焼討ち、武田家の進軍などが描かれています。信長が最も苦しかった時期ですね。日本史だと、信長はあっさり浅井・朝倉連合軍を倒すし、将軍も追放するし、信玄はあっさり死ぬしであまりピンチ!という感じではないんですけど、これを見るとすげーピンチだったのがよく分かります。歴史ってほんとドラマ。そして最後にはあの男がついに裏切りを…?
感想
本巻もメチャクチャ面白かったです。前巻も面白かったけどそれを上回る面白さでした。比叡山焼討ちとかかなり陰惨な出来事ですけど、その中で緊張感を失わせず、これだけの笑いを盛り込んでくるのは本当にすごいです。しかし信長と将軍の間に挟まれてしまい、その中で奮戦する歌人武将細川藤孝とか、あまりのアホさで城を失いながら、その件が元で覚醒し、執拗に信長を狙う斎藤龍興とか、日本史の授業ではほとんどスルーする人物達のエピソードてんこもりで、学術的観点からも、ギャグ4コマの観点からも、素晴らしい内容でした。
余談ですが、現在重野先生は、信長の若い頃を描く「尾張統一記」、黒田官兵衛の生涯を描く「軍師 黒田官兵衛伝」、伊達政宗の生涯を描く「政宗さまと景綱くん」などの歴史漫画も連載中です。こちらもよろしく。
こんな時まで
足利義昭「昨日の敵は今日の友など乱世によくある事なのだー♪」
細川藤孝「なんて事だ…ここまで節操のない御方だとは しかし私は将軍家に忠誠を誓った身…
立場上 従わなければ ならぬのか それとも止める? いや目をつぶる?
…油断すると五・七・五・七・七になってる歌人の性が憎いー!!」
※111ページより引用
2013-10-23
読んだのは結構前なんですけど、レビューを後回しにしていたらそのまますっかり忘れて…
いとしのムーコ④
著者:みずしな孝之
レーベル:イブニングKC
価格:562円(税別)
感想
みずしな先生の最新作、ムーコのアホさをひたすら愛でるマンガ「いとしのムーコ」の第4巻が出ました。いつの間にかアニメ化しているとか。けもチャがアニメ化した時は「これが最初で最後」と先生仰っていましたけど、本当良かったですね。サボキャンアニメ化まだですか?
今回はうしこうさん大活躍でしたね。コスプレしたり、怖い夢を見たムーコにガジガジされたり、ツンデレセリフを叫んで走り出したり、ムーコの毛をむしったりとやりたい放題でした。なおこの漫画を知らない人のために一言書いておきますが、うしこうさんというのはガタイのいいスキンヘッド+グラサンのオッサンです。
ところでこの人がウェブデザイナーだという設定を覚えている人はいるのだろうか。
今回のカバー裏には、付せんVSムーコ、うしこうゆきだるまVSムーコの2戦が載っています。ムーコ破竹の8連勝!
2013-10-01
毎年1度の楽しみ、みずしな先生の大人気連載「いいでん!」の最新刊です。
いいでん!2
著者:みずしな孝之
レーベル:BEAM COMICS
価格:950円(税別)
感想
みずしな先生が週刊ファミ通に連載している2ページ漫画の単行本です。今年も無事出ましたね。
ゲーム雑誌に載っているのにゲームしないという新たなジャンルを切り開いたこの漫画も、「いい電子」時代から考えると単行本も13冊なわけで、連載初期からの読者としては感慨深いものがあります。ていうか最近は結構ゲームしてますけどね。
最近旧巻を読み直していたんですが、いい電子1巻ではドリキャスやGBAが全盛期で、PS2すらまだ登場していないことに驚愕しました。あと長期連載だけあって、先生の絵の変遷とか気分の浮き沈みがダイレクトに反映されていて面白いです。
前も言ったような気がしますが、僕はみずしな先生とは全くゲームの嗜好が合わず、みずしな先生が漫画にしているゲームはほとんどプレイしたことがなく、逆に僕のプレイしたゲームが先生にネタとして取り上げられることもほとんどないのに、なんでこんなにこの漫画が好きなのかわかりません(みずしな作品の中ではサボキャンの次くらいに好き)。
とはいえ、2巻では先生がダンガンロンパにはまったことがかなりのスペースを割いて描かれており、ついにいいでん!で紹介されたゲームを僕がプレイする日が…多分来るんじゃないのかな…
いつかサイン会に行ってみたい作家さんの一人なのですが、なかなか地元に来て下さらないのが残念です。
この作品とは直接関係ないのですが、最近気になったエントリ。
「誰かが語らないとそろそろ整理がつかなくなる。」みずしな孝之を振り返ろう、1991-2013。 – 素晴らしい日々
ターニングポイントになったのが「けものとチャット」だったというのは、今までは全く感じていませんでしたが、たしかにな…という感じ。僕は先生お得意の自虐ネタも結構好きなんですけど、たしかに時々度が過ぎてるな…と思う時もありますしね(いいでん!も10巻辺りの暴力描写はちょっと…)。でもやっぱり明るいだけの作風では物足りないので、そこら辺のバランスが取れている「いいでん!」が好きです。
このエントリでは取り上げられていませんが、「うわの空チュートリアル」「ミズシネマ」も面白いですよ!
2013-09-01
アナザー・プリンセスもいよいよ最終巻です。長田先生お疲れさまでした。
既刊感想はこちらから。
→コミック | Y.A.S.
ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 4
原作:芝村裕吏 作画:長田馨
レーベル:電撃コミックス
価格:570円(税別)
続きを読む(ネタバレ注意) »
あらすじ
芝村神楽は、5121小隊の強さを探るよう秋草をパイロットとして小隊に入隊させる。きな臭いものを感じながらも、表面上は秋草を歓迎する善行と、新しい仲間が増えた事を素直に喜ぶ小隊員たち。秋草は小隊の強さの秘密を暴こうと暗躍するが、全く緊張感のない小隊員たちに逆に振り回される。
秋草が神楽のスパイである事を見抜いた舞たちは、逆に回線を乗っ取り、来たる決戦の実質的な指揮を善行に執らせるよう求める。なんとしても戦いに勝とうとする舞に、神楽も折れて協力を約束する。しかし神楽の真の目的は、5121小隊を中心とする少数の部隊を囮に敵を熊本城に引き込み、大量破壊兵器で小隊もろとも全滅させる事にあった。それが結果的には戦死者を減らす事につながると神楽は説明し、兵器投下前に離脱するよう秋草に命じる。その時、敵の激しい圧力にさらされていた小山から最後の通信が―
感想
ラストシーンは予想どおり熊本城決戦でしたが、ものすごい中途半端な終わり方したなぁ…というよりラストがどうなったのかすら理解出来ていないのですが…戦闘には勝ったの?それともまだ途中?
最後は「続きはwebで」ならぬ「続きは小説で」なので残念です。色々世界観をかなり綿密に構築していただけに、最後これで終わり?という肩すかし感が否めませんでした。結局秋草の出自についての伏線は投げっぱなしになってるし。
とはいえ、マンガ単体としてみれば十分楽しめました。どろどろした人間関係もあるけど、琴戦闘においてはあくまで勝利を追求するため出来うる限りの現実的な策を構築する、というガンパレの理念はしっかり生きていました。なにより原作から13年経った今になって新たなメディアミックスが見られたのは、ガンパレサイトを運営している自分としても有り難い限りでした。
9/10発売予定の小説で、このマンガの生き死には決まると思いますので、芝村氏には予想を上回る作品を期待しています。
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