2011-07-15

ビジネスチャンス的には残念でしたが

6/10に言及した民事訴訟の判決があったようです。

最高裁 賃貸契約更新料は有効 NHKニュース

報道によれば,「更新料は家賃の前払いなどの意味があり、一定の地域では更新料を支払うことは多くの人に知られている。契約書に更新料が明記され当事者が合意している場合は、あまりに高額でなければ違法ではない」という理由で更新料特約を有効としたようです。全文読んでみないと何とも言えませんが,以前述べたとおりこれが妥当なのではないかと思います。慣習を法が追認するというのは別に珍しくもないですし。

今度は「あまりに高額」とはどのくらいの金額なのかが問題になりそうですね。個人的な感覚でいえば1年で賃料1ヶ月分くらいならセーフ,3ヶ月分くらいとなるとちょっとな…という感じはします。あくまで個人的な感覚ですけど。

ただ,この判決を理由に,これまで更新料を取っていない大家が更新料を取ろうかと思い始めるのはちょっとよろしくない気がしますね(判決を読む限り,現在契約期間中の賃貸借契約に更新料特約を追加するのは許されないものと思われます)。特に震災の影響で賃貸の需要は増えるような気がしますし。


2011-06-10

何でも賃借人を保護すればいいわけではないと思う

マンションの賃貸借契約を更新する際に更新料を支払う旨の条項の違法性が争われている訴訟で,最高裁が弁論を開いたようです。

賃貸住宅更新料 最高裁で弁論 NHKニュース

高裁では判決が別れていたので,それがこの事件の判決で統一されると思われますね。

僕個人としては,更新料条項は合法だと思います(もちろん、契約締結段階できちんと明示しておくことが前提です)。だってその分家賃が安くなっているわけでしょう?賃貸借物件のセールスとしては家賃を下げるというのがもっともアピールが強いわけですから,更新料を支払わせる代わりに家賃を下げるというのは賃貸人としては当然の帰結です。賃借人からしたところで,更新しなければ払わなくていいので、更新料がない代わりに高い家賃の物件に住むよりは得ですし,更新するとしても家賃が安い分プラマイゼロですから、別に不利益を強いるものではなく、むしろ有利なんじゃないかとすら思うのですが。賃貸人が契約を更新してもらえるよう賃借人へのサービスを充実させるというメリットもありますし。

ただもしこれで最高裁が違法なんて判決を出し,これまでに支払った更新料の返還を認めた日には,更新料返還訴訟が過払金返還訴訟に代わる新たな弁護士のビジネスチャンスになりそうです。そういう意味で,この判決の行方には注目しています。

判決は7月15日です。